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高熱隧道 みんなのレビュー

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みんなのレビュー189件

みんなの評価4.5

評価内訳

  • 星 5 (86件)
  • 星 4 (61件)
  • 星 3 (15件)
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182 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

秘境でのダム開発に挑む工事技術者に立ちはだかる自然の脅威

2005/11/21 12:23

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は黒部第三発電所の工事物語である。宇奈月からトロッコ電車に乗って1時間20分で欅平に到着する。そこで行き止まりであるが、登山者はさらに秘境を奥に進む。
 黒部峡谷のそそり立った崖に穿たれた僅かな道筋を辿って7時間。ようやく阿曾原小屋に到着する。ここには有難いことに温泉が沸いている。さらに右手の山間に入り数時間歩くと仙人池に達する。峡谷に沿ってそのまま進むと、仙人ダムに遭遇するが、ここが仙人谷でその奥が「下の廊下」と呼ばれて登山者が憧れる秘境である。現在でも体力のある登山者しか受付けない。
 本書で紹介されている昭和11年から始まった第三発電所の工事は、阿曾原谷、仙人谷で行われたトンネル工事の話である。ダム、発電所自体の建設工事ではない。ダムや発電所を建設するためには資材などが必要で、それを現場まで運搬しなければならない。そのための道筋を開くトンネル工事である。
 高熱隧道とは何のことかと思えば、阿曾原などに湧出する山中の温泉熱であった。隧道、すなわちトンネルを掘削すると地熱で山全体が熱せられており、トンネル内は100度を越える暑さとなる。そんな作業現場の環境である。一変して屋外は冬季は雪が降る気候である。
 随分と無茶な工事もあったものだ。渓流の水などは逆にかなり冷たいので作業員はその水を体に掛けてもらいながら削岩機で掘削する。頃合を見計らってダイナマイトを仕掛けて岩石を吹っ飛ばす。
 ダイナマイトは地熱で自然発火するし、断崖の空地に建設した5階、6階建ての鉄筋コンクリート製宿舎は泡雪崩という凄まじい圧搾空気によって粉微塵に吹き飛ばされ、山を一つ越えた谷に叩きつけられるという信じられない事故が何度も起こった。そして工事の始めからの死者が数百人に上るという。泡雪崩が発生して100名近くが亡くなった際は、さすがに富山県は工事の中止命令を出したのだが、天皇陛下から見舞金が遺族に下賜されると、この工事停止命令も撤回されてしまう。国家的な大事業だというお墨付きを得たということだ。
 黒四ダムの大町トンネルの工事物語は『黒部の太陽』として映画化されたが、本書は見事な描写でトンネル掘削の難工事の様子を表現し、映像を越えるほどの訴求力を以って読者に迫る。第三発電所は地下化されて今この地を訪れても表面上は何も見えないが、本書を読めばその凄まじさが良く分かるし、多くの犠牲者の冥福を祈らずにはいられない。

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紙の本

表紙に騙された

2018/11/30 03:34

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る

昭和11年8月に着工、昭和15年11月に完工した黒部第三発電所へのトンネル掘削工事。険しい自然のただなかである黒部渓谷の、トンネル施工予定地には最高165℃という高熱の岩盤地域が立ちふさがっていた。犠牲者300名を超えた難工事、トンネル貫通に取りつかれた男たちと大自然との闘いの記録。

「いい感じの表紙」と思ってしまったことが悔やまれるほど、壮絶な内容であった。
300ページない薄さ、淡々とした記述なのに、「ぐえっ」と声が漏れそうな描写が多々。ありえないあっけなさでどんどん人が死んでいき、それに対する予防策なり対策などがろくにないというおそろしさ。
以前、「アポロ計画ってファミコンより性能のよくないコンピュータで月に向かったんだよね、命知らずだぁ」と思ってましたが・・・ここで描かれているのは同じくらいもしくはそれ以上に命知らず。そういう時代、と言ってしまえばそれまでなんだけど、その時代でせいいっぱいの技術を使っていても、「事故で作業員が死ぬ」のが折込済み。
人の命がカネで買われる。でもそれは、現在も変わらぬ事実なのかもしれず。

そして温泉源があることも気づかず計画にお墨付きを出す学者、工事中の以上で再調査を頼んでも「これ以上にはならない」とか言うし、「学者は世間知らずであてにならない」ってイメージができたのはそんな積み重ねではないだろうか、そうじゃない学者さんたちいっぱいいるのに。
とはいえ、「この工事はやばい、やめよう」と言い出せない空気を作っていたのは戦争という背景、電力が絶対必要であるという国策。熟練工が徴兵されていくという矛盾もあり。
技師がいわゆるエリートで、人夫(作業員)は言われたことをするだけの替えのきく存在として、まったく違う世界の住人とされていることに衝撃を受けた!
私の知っている世界では技術者と職人が意見交換するのが当たり前だから。教育のベースの問題か、当時の人夫たちは専門性がない(とにかくただ集められただけの人手にすぎない)ということか。だからダイナマイトの自然発火は恐れるけど、残りクズのチェックはせずに放置してしまうのか。それでもできる範囲で技師たちが試行錯誤する様だけがこの物語では唯一ホッとできるところ。

が、更に泡雪崩(ほうなだれ)が宿舎を襲う。
とにかくたくさん人が死ぬのであるが、その死がいわゆる<ナレ死>などではなく、文字通り血と肉が吹き飛んだ塊として描かれることにおののく。決して残虐な描写に重きを置いているのではないのだけれど、ダイナマイトや雪崩で吹っ飛んだ肉片が転がっている光景が脳裏に浮かぶ(最初から、現場に辿り着くまでに山道を転げ落ちる人夫たちの死に様もかなりきているが)。そんな中でも工事は続く! 続けざるを得ない状況・心情が読みどころなんですよね!、わかります、わかりますが・・・。
外はものすごい大雪、けれどトンネルの中では油断すると熱死。自然豊かといえば聞こえがいいけど一歩間違えば自然に殺される、そんな地方出身の私には、もう最初の計画から「無謀」としか思えなくて。トンネルを貫通させることによろこびを見出し、そのためならどんな犠牲が出ても仕方ないと割り切らねばならない技師の気持ちもわからなくもないけど、自然に闘いを挑んでも勝てるわけがないと思ってしまう。
でも、そういう人たちがいたからこそ、今の私は便利を享受できているわけで・・・。
あぁ、なんかいろいろすみません、と、生きていることが申し訳なくなる。吉村昭の<記録文学>ってそういうの多い、それがすごさなんだけど。

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紙の本

命懸け

2023/10/22 23:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:悟空 - この投稿者のレビュー一覧を見る

黒部ダムはいかにしてできたのかが書かれています。自然の脅威がとても感じられ、命懸けで工事する場面は読んでてハラハラしました。

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紙の本

壮絶すぎるダム開発

2015/09/10 15:42

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トニー - この投稿者のレビュー一覧を見る

この夏黒部を訪れたのをきっかけに読んでみましたが、重すぎる内容に読後はしばらく陰鬱な気分に襲われました。
くろべ、というと黒部第四ダムが有名ですが、この小説の舞台は、日中戦争から太平洋戦争へと向かう時代に開発された仙人谷ダムです。黒部第四ダムへは長野県大町市からアクセスしますが、仙人谷へは富山県宇奈月からです。現在は観光用にトロッコ電車が有名ですね。ただしトロッコ電車は欅平という駅までしか通常は運転されません。その先にこの「高熱隧道」の舞台となる高熱地帯があり、一般の訪問は制限されています。
読み始めは、労働者が簡単に使い捨てにされていくことへの憤りを感じますが、次第に狂気を帯びてくる隧道工事の様子に、現代人も私の思考はついていけませんでした。厳しい自然環境でおきる事故も生易しいものではありません。
この工事を批判することは簡単ですが、これらの電力が戦後の日本を支え、その上に私たち戦後の日本人の生活は成り立っていたわけですから、事の善悪でこの工事を判断することは難しいです。
もちろん、これは史実を丹念に調べた上で著者が創作した小説です。登場人物や細かい事実が全て事実ではありません。
しかしながら、戦後の黒部第四ダムの工事でさえ、今に残る記録映像を見ると「高熱隧道」時代と大差ない危険で劣悪な環境下で人海戦術が取られていたことがわかりますので、かなりの部分は事実に近いと感じます。
お薦めかどうか、これは難しいところです。黒部へ行かれる方には是非読んでいただきたいです。ただ、事故の場面などは悲惨すぎて子どもにはまだ読ませたくないですね。大変優れた作品ですが、そういう意味で星4つにしました。

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2008/04/08 23:20

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2008/09/03 22:51

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2009/01/10 09:36

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2009/03/27 10:16

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2009/05/16 01:08

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2009/08/15 06:41

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2010/01/16 16:03

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2010/03/21 13:06

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2010/08/11 10:29

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2010/09/17 21:58

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