人間力を引き付ける都市はいまどこか?
2020/10/17 14:36
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
「今後の世界の経済発展は人間開発とともにしかない」という仮説を、膨大なデータを集め分析、証明しようとした研究書。本来的には、ノートを取りながらひとつひとつ確認して読むというスタイルでなければ総合的な理解は難しい、基本的には難解な本だと思う。
ちなみに「クリエイティブ・クラス」とあったからまた新しい階級社会の話かなとも思ったけど、ちょっと違う。最後まで読了すれば、「クリエイティブ・クラス」は、たぶん暫定的に使用している言葉だろうと理解できる。原題「The Flight of the Creative Class」を直訳すれば、「クリエイティブであることを経済活動に生かせる(やそういう志向をもって努力する)ひとが、それが実現しやすい都市を求めて気軽に旅(飛行機旅行)をする」...ぐらいの意味だろうか。
著者のリチャード・フロリダは、ベーシックなところではアメリカの可能性を信じるアメリカ人。しかし、9.11以降の「鎖国する軍事大国か?」(怖い!)とも思えるアメリカの動きにこころを痛め、焦燥感も感じている。(2007年発行なので、今はまた違った動きもあるだろうが、焦燥感はましたかも?)
著者は、経済発展に欠かせない重要な要素は3つ、「技術」、「才能」そして「寛容性」だと定義し、中でも、「寛容性」が今の時代もっとも大切と論を展開させる。
閉鎖的で包容力のない、近頃なんとも余裕の無いアメリカに対し、「クリエイティブ=人間の英知や創造力、工夫などが気軽にどんどん国外に移動してしまうよ」というの警告でもあるのだ。そして、クリエイティブなチカラは、どんな人間にも備わっていて、ひとたびそのチカラを見出したとき、人は自由に行きたいところに行って、自己実現に向かうだろうと。そして、このチカラが今後の経済を発展させるもっとも有効な資源なのだと。
著者のアメリカへの警告は、閉塞感を感じている国、都市、会社などあらゆる組織への警告でもあるし、お金のチカラではなく人間のチカラを信じるひとにとっては福音でもあるのだろうか?
「クリエイティブ資本論」をさきに読むべし
2008/06/25 21:18
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカでは全労働者の 30% がクリエイティブな仕事についているが,これはこれまでアメリカが世界のクリエイティブなひとびとをひきよせていたからだという.ところが,最近はそういうひとびとがむしろアメリカ以外の国にひきよせられている.本書はそういう危機感にいろどられている.
すこし意外だったのは,日本もこの本で使用された統計がとられた 2000 年ころにはいくつかの項目でアメリカよりクリエイティブだとみなされたことである.しかし,たぶん現在ではそうでなくなっているのだろう.
この本は日本では「クリエイティブ資本論」よりさきに出版されているが,「クリエイティブクラス」そのものについて書かれているのは「クリエイティブ資本論」であり,それをまず読むべきだとおもう.この本はアメリカ人向きであり,日本人が読む必要はないのではないかとおもう.
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いま都市は全世界的な人材獲得競争に巻き込まれていて、有能な人材は、(移民やゲイなどの)マイノリティに寛容性の高い国・都市に集中するといいます。つまりクリエイティブな人間が経済発展を主導し都市が発展するという論理です。
日本国内の話では、トヨタなどのカイゼン活動をクリエイティブな活動と捉えています。これらに従事する人をクリエイティブクラスと呼ぶのであれば、技能工を含めて日本における製造業のクリエイティブクラスは非常に多いことになりそうです。
入管法で高度な能力を有した人材に在留資格を与えるというのは、寛容性という点で問題があるのかもしれません
。しかしながら、その移民増加コストも当然ながら考えられるべきでしょうが…。
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2008/3/21
半年以上前に購入した「積読」を、一晩で速読。やっぱすごい。クリエイティブであることが求められている。これからの時代は、寛容、多様性が必須。
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賛否分かれている本らしいですが、個人的にこの著者の考え方は好きです。
著者曰く、クリエイティブ・クラスとは、データや物質を加工処理して、新しく有用なものを生み出す人たちで、米国では全労働人口の三分の一を占めるといわれています。
そういう人たちを集まるような都市作りが必要だぞというような内容の本になっています。
ところどころ、読み飛ばしながら読んだのですが、ざっとこんな内容です。
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当行常務が推奨していた本。
これからの社会についてマクロ的な視点を持つことを目的に読書。
内容についてざっくり書くと、
これからの世界はCreativityを持った人材を
挽きつけられるような都市づくりをすることが重要であり、
その上でキーワードになるのは、
「Talent」「Tolerance」「Technology」の三つ。
でこれらを指標に興して分析してみると、
意外や意外わが国は世界で二番目になるらしい。
「Technology」の部分ではなんとなく理解できるが、
「Tolerance」の部分では本当に意外。
個人的な推測によると、
これはひとえに日本の「無宗教」である部分が大きく左右していると思う。
日本では宗教的なぶつかりというものが相対的に少ないし、
そういった部分ではかなり自由である。
このように日本の「無宗教」な部分をポジティブに捉えることがなかったので、
新鮮な視点だと感じた。
筆者の主張などは、
「富の未来」などと非常に似てる気がした。
これから我々が考えていかなければならないことは、
魅力ある人材を惹きつけるような都市づくりをした上で、
それによって得た富が一極化しないようなシステムを構築することではないかと思う。
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クリエイティブ・クラスの大移動
第1部 クリエイティブ経済(クリエイティビティの重要性
開かれた社会の価値)
第2部 才能をめぐるグローバル競争(鎖国するアメリカ
新しい競争相手
繁栄する都市、停滞する都市)
第3部 クリエイティブ時代の課題(新たな格差社会
アメリカ政治の内部対立
クリエイティブ社会の構築)
補遺
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基本的にはドラッカーの「断絶の時代」にあるナレッジ・ワーカーの延長線の議論だと想ってしまった。 いいのかな?いやぁ多分違うんだろうけど。。
ただ、【シリコンバレーから自宅近くのオフィスへ】となる人材流出は面白かった。 儲かる仕組みが出来た既存の環境に人が集まるのではなく、自らの仕事や生活様式や文脈によって作りうるクリエイティブな風土、仕組み自体を彼ら彼女らが作るのだというパラダイムシフトなんだろう。
日本は、人口減少して六五歳以上の高齢者が二一%以上を占める「超高齢社会」に世界で最初に突入すると云われている。こういうときに、労働力人口の確保は女性や高齢者、若者、外国人という、これまで軽視されがちだった「異質の力」をいかに有効に活用できるかにかかっている。都市経済学者のリチャード・フロリダが経済成長の担い手として挙げる「クリエイティブ・クラス」という人材観は、日本の将来にとって示唆に富んだ選択肢だと想う。
しかし、トヨタもクリエイティブだということで、何がクリエイティブなのか定義が曖昧。結果オーライな議論、優良企業はみんなクリエイティブってことか?
少なくとも、そうした今後国の競争力を左右する【クリエイティブ人材確保】と、彼ら彼女らへの【正当な評価、対価】が問題になるだろう。ただぁ、漠然としてるなあ。
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1,2,5,6章
P47に本書の基本的な考え方が述べられている。
「クリエイティビティが現代の最も重要な富の源泉であり、人間一人一人がクリエイティブであり、あらゆる場所がクリエイティブな仕事に関わることに価値を置く物とする。」
そして、次の頁で、クリエイティビティによって持続的な経済成長を目指すには3つのTが必要だと述べられている。
Technology,Talent,Toleranceだ。
この本は比較的マクロな視点で書かれており、グローバルな人材獲得競争が加熱する中で、国、或は地域の経済を発展させていくためには、上記の3つのTを得るために方策を打っていかなければならないと主張している。
また視点を一人一人の人に移せば、「上記の3つのTを備えている場所は限られているし、また各地域によって特色があるので、自分が望むライフスタイルのためには、住む場所を良く考えて選ぶ必要がある」という『クリエイティブ都市論(Who's your city?)』の主張になる。
Toleranceを表す指標として、ゲイやボヘミアン指数が取り上げられているが、これは本に興味を持たせるための著者の戦略だろう。
冒頭では、NZのウェリントンでロード・オブ・ザ・リングが制作されたことを挙げ、映画産業ではハリウッドの独占が脅かされつつあり、クリエイティブクラスがアメリカ以外の国の都市に移動していく流れがあると指摘している。
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寄らば大樹の陰、昔は正解だったけど、youtubeあり、twitterあり、iBooksありのいま、「んで、実力を見せてもらおうか」で企業名を掲げるだけではヘタレ度が浮き彫りになる。新時代へのエール、若い人には疑わずに読んで欲しい、そして創って行って欲しい。
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若干、日本のみが彼の理論にスッポリ当てはまらず、例外として研究を進めたら面白い結果が見えてくるのでは思った。
個人的には少子高齢化社会の切り札として「クリエイティブクラス」への移民受入もありかと考えさせられた一冊であった。
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アメリカでベストセラーになった"The Rise of the Creative Class"につづく"The Flight of the Creative Class"の邦訳版。フロリダによれば世界経済は「クリエーティブクラス」と呼ばれる価値観を持つ人間が牽引する、クリエーティブ経済の時代に入ったと指摘する。このクリエイティブクラスの人間たち世界中から引き寄せ、有用な経済発展を遂げる為には国、特に都市は寛容性のある社会基盤作りを行ない、才能を引き寄せる為の装置作りをする必要があると説く。アメリカが多くの移民を受け入れ、海外からたくさんの才能を持つ人間を集め経済発展を遂げたのは周知の通りだが、近年の傾向を見ると必ずしもそうではない。9.11以降の各種政策により大学進学や転職による海外移住を目指す移民の多くはアメリカ以外の国々、とりわけ欧州等に目を向けはじめている。この才能の世界規模での争奪戦に向け、政策決定者が行なう社会作りは何か。個人はどのような意識を持つべきなのか。教育機関は何を見据えるべきか。多くの知見が得られると思う。
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■クリエイティブ・クラス
A.これからは、クリエイティブな時代になる。そして、今後は「専門的思考」「複雑なコミュニケーション」の2 つの分野
の職業が成長すると見られている。
B.今後、繁栄する都市としては、カナダの都市のように多様性があり、寛容性の高いところ、また台北のように、他地域か
ら才能を引き寄せる努力をしている都市などが注目される。
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クリエイティビティと都市の魅力機能を分析している。都市には創造的人々をひきつける力があり、3T(技術、才能、寛容性)が重要であり、都市の存在そのものがクリエイティビティの源泉になっている。
この面いおいては、都市は繁栄し、多くの多様な人々を集めるべきなのだ。
すこし難しめの内容だけれども、なぜか飽きずに読み進められる本。
20世紀のアメリカ沿岸都市にはその3つがそろっていて世界経済けん引の先頭に立ってきた。 産業構造が変わりつつあり、9.11のテロをきっかけにアメリカはその寛容性を低下させていて、他国のクリエイティブな都市が台頭してきているのだという。
東京もこの中ではまだその優位性を保っているともいえているが、寛容性/多様性の面ではかなり劣っているらしい。
確かにそうと思う。 日本人の国民感情が手伝っている。寛容性/多様性は、島国日本にとって国民感情的に閉鎖的思考があると思うので、ここを改善すればまだ伸びる部分がおおいと思う。 しかしどうだろうか、移民がふえて東京やその周辺に上から下までの生活レベルをもつ移民の人々が増えてきたら、、自分は違和感を感じるだろう。
すでにそこの間隔が日本の頭打ち思考なんだろうなと思う。
時間がかかったけれど、飽きずに読めた。 経済的な発展をもたらすための都市構築論と感じた。 もはや1980年代の工業的な都市構築ではなく、クリエイティビティを集めて都市を構築してゆく時代。 1980代的な余韻や考え方の延長ではこれからの発展は望めない。 そのためには開放性をたかめ、多様性のある人々を呼び込んでゆく必要がある。 排除ではなく受け入れること。 日本の再生について政府の考え方が昭和の夢を引きずらないことを切に願う。 すでに1980からは30年以上が経過している。
今、自分の故郷の街は駅前が閑散としてまるで廃墟のようだ。 1970, 80はたしかに栄えていた。 そこに戻そうと思ってもそれはノスタルジーに浸るだけで発展性はない。 過去を捨て去るような後ろめたさは感じるけれども、 過去を追い求めても自分に、地域に、都市に、経済に、国に未来はやってこないと思う。
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7年前の本だけれど、自信がクリエイティブクラスであると感じている人には少なくとも多いに刺激になるはず