靖国問題を、英霊が語ったとしたら。
2011/09/06 09:50
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
この時期になると、こういう本をいくつか読みたくなる。戦争反対、誰が何を言おうと絶対反対。その意識を再確認して強めるためにも、こういう本を読んでおきたいと思う。
この作品の下地となるのはタイトルからも分かる通り、毎年夏になると取り沙汰される「靖国問題」である。すなわち政府筋公人の靖国参拝の問題と、A級戦犯合祀の問題。色々な人が色々な立場で、毎年意見をぶつけ合うが。本作品の非常に興味深いのは、当のご本人たち、すなわち靖国に眠る英霊達がこの問題に言及したら、どんな事を言うのか。また今の日本と靖国を取り巻く問題を見聞きした時に、一体何を思うのか。それをテーマにした所である。
誰しも一度は現代の繁栄と豊かさ便利さに感謝を覚え、かの戦争で若くして亡くなって行った者達に同情を覚えた事があると思う。一体その英霊たちが敗戦を知り、その上でここまで発展した日本を見たらどう思うだろうか。非常に興味深く面白いが、また非常にデリケートで難しいテーマでもある。
またえてして重厚になってしまいがちなこのテーマを、タイムスリップというトリックを用いて物語に入り込み易くし、主人公「武者滋」の淡い恋をエッセンスに加える事で、うまくエタテイメント作品に仕上げてある。これなら一番読んで欲しい若者たちに十分勧められる、また読み切れる作品になっていると思う。
作者の内田康夫氏といえば浅見光彦シリーが代名詞のようになっているし、私も散々楽しませてもらったクチである。でも本作品はそれとはがらっと変わった作風とテーマの一作。内田氏が、かの戦争に参加し今でも存命でらっしゃる実在の人物「武者滋」さんに出会い、話を聞く事で本作品の構想を得たという。であるから靖国論に関しても説得力があり、また当時の青年たちの生き様にも胸震わされる。日本人である以上、近隣諸国との外交問題や、戦争を二度と起こさない為にも、避けては通れない靖国問題。この問題に疎い方、また中学生や高校生にぜひ、読んでもらいたい一冊です。
靖国問題をテーマとして戦争を考えさせる異色の小説
2011/10/23 21:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
珍しく浅見光彦以外の主人公が活躍する小説である。しかし、本編は内田康夫のこのテーマに対する主張が色濃くにじんでいるように私には感じられる。とはいえ、その主張自体がくどく書かれてはいない。今までも『はちまん』などでは推理小説のストーリーそっちのけで作家の主張が述べられており、辟易とさせられたことがあった。
本編ではそのようなことはないが、作家が風化しそうなテーマを掘り起こし、読者に考えさせたかったのであろう。そのテーマは“靖国”である。靖国神社に関する問題である。時は戦中だが、もう敗戦が見えてきた頃である。海軍の複座の夜間迎撃機『月光』に搭乗してB-29を迎え撃つ海軍中尉が主人公である。
この『月光』は機関砲が斜め上に向いている珍しい迎撃機であるが、我々の小学生時代は今とは全く異なり、案外その名が知られていた。この迎撃機に搭乗して、主人公は毎夜来襲するB-29を迎え撃っていた。ところがある日飛行中に現代にタイムスリップしたというSF仕立てのストーリーである。
内田がさかんに作中人物に言わせているのが、この軍人たちは靖国の英霊を目指して日日々戦闘に臨んでいたということである。おそらくそれが真実であろう。それを戦後半世紀以上を経た我々に知らせたかったのであろう。
たしかにこれを読んでいると、その思いを持ちながら『月光』に搭乗して戦っていた若者の心理状態を想像することはできる。また、当時の追い込まれた日本の戦況も真に迫るものがある。しかし、現実はほとんど風化しているのである。同時に本書には戦犯についてもテーマとして登場する。
戦犯となると戦勝国が敗戦国を裁く法廷は茶番以外のものではないと、よく言われている。争い事は相手がなければ争いにならないのだが、たしかに戦勝国の戦争犯罪は誰が裁くのであろうか。そう考えると公平性が維持できず、ナンセンスであろう。しかし、国民の中には国民を戦争に導いた指導者に対する怨念も凄まじい。この怨念は特定のイデオロギーとは全く別に、庶民の中に存在することも確かである。
これらの様々な考え方がストーリー内で披歴されており、考えるべきことが読者にとっては小説という入りやすい形で提供されている。浅見光彦モノとは異色の興味深い小説である。
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タイムスリップしてきた戦闘機搭乗員に靖国神社の正当性を訴えさせるのは「ズルイ」と思い読み進めましたが、最後の有美子の台詞でスッキリしました。
武者は有美子を2回悲しませたことになるし、瞳も悲しませてしまった。タイムスリップのオチはこうするしかなかったのでしょうけど、悲しい結末です。
ミリオタ的には中島(現富士重工)製の月光をなぜに小牧の三菱にというアレレがあります。
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なんと、太平洋戦時下の海軍中尉が、いまの日本にタイムスリップ?
実際の内容は、内田先生に代わって、武者中尉が、英霊の視点から問う靖国論。と大変真面目な内容。
A級戦犯合祀や外交問題など靖国参拝について、様々な意見があると思いますが、
「死んだら、靖国神社で会おう。」
死地に赴く将兵にとって、靖国が、最後の心の拠り所だったことは事実であると思う。
ラストに、有美子さんが告げた、女にとっては、家族や愛する人の心に還ってきてほしかった。切ない気持ちにグッときました。
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本土への空襲が激化するなか、夜間戦闘機「月光」に乗りこんだ海軍中尉。B29の編隊との戦闘で被弾し、厚い雲に突っ込み意識が薄れてゆく。気がつけば現在の厚木基地にタイムスリップしていた…
負傷しながらも、タイムスリップして助かった海軍中尉が、タイムスリップした事実を受け入れ、戦後の発展や現代の日本の問題を知り、自分が生き残った意味を問うていく。その中で靖国神社の問題を知る。
戦友と死んだら英霊になり靖国で会おうと言い合い、祀られることを名誉に思っていた兵士が、現代の靖国神社に関する論争を知って衝撃を受け、ある行動にでる。
タイムスリップというSF的な話から始まるので、どんな展開になるのかワクワクしながら読める。今の政治や政治家、マスコミのあり様、夢を持たない若者など、日本の様々な問題を織り交ぜながら話は靖国神社の論争へと移るが、決して重苦しい感じはせず、様々な立場からの靖国神社論が知れて勉強になった。
最後、ある年配女性の言葉がぐっとくる。軍人さんが靖国神社に還るという気持ちは分かるが、それは男性の考え。女性は、愛する人や家族には自分の心に還ってきてほしいと思っていましたよ…と。
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SFだけでは終われない小説だと思った。
毎年騒がれる「靖国参拝問題」多くの国民はあまりその意味を分かってないと思います。実際私もその一人でした。
この本を読んで、いろんな角度からの「靖国問題」について考えさせられた。予想以上に勉強になったし、なにしろ読みやすかった!
物資豊かな時代に生まれた私からすると、戦時中の苦しみや明日生きる保証がなく生活する事は想像を絶しますが、とりあえず「知る」事からはじめようと思いました。
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あくまでも1小説として読んだが、考えさせられる内容でもある。ただ、あとがきの最後にあった作者の意図したところは伝わったかな・・
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ずっと言われ続けている問題ですよね、靖国参拝。ワタシからしてみれば、何をそんなに大騒ぎしたり批判したりする必要があるんだろう、過去、日本ために戦った人に敬意を示すことの、何がそんなに問題視するんだろうっていう感じなんですが、そこは外交とかいろいろな問題もあるんでしょう。
でも、そこで外国の顔色ばっかり窺ってる今の日本政府ってどうなんだろうね?と、真剣に考えてしまいます。人によって考え方は違って当然だし、戦犯合祀の問題もあるでしょう。
でも、思想統制でもされてるのか?って思うくらい最近の日本は自分の意見を言わないし、自分の頭で考えないし、行動しようともしない。情けないな、と思います。
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終戦間際、B29迎撃のため「月光」で飛び立った海軍中尉が、現代の日本にタイムスリップするストーリー。タイトル通り、物語の大半が靖国問題関係の話(やや強引なところもアリ)で、ヒコーキ好きとしてはちょっともの足りませんでした。(これはこれで、問題を深く掘り下げていておもしろかったのですが)しかし、主人公は名字からして「いかにも」なカンジでキャラ作ったのだなーと思いきや・・・・・、実在の御方だったのですね、失礼しました。
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つまりは、プロパガンダ小説。
小説にするくらいだから、なにか目新しい考え方でもあるのかなとおもったけど、よくある肯定論だった。
肯定も、否定も、簡単に割り切ることができないのは、宗教がからんでいるから仕方のないことだけど、
戦時の兵士を現代によみがえらせて、あたかも自分の意見が、戦争中の戦士たちの総意なのだと見せるかのような書き方のスタイルは、端的にいって、著者の驕りだと思う。
そういう考え方ができるとしても、その表現スタイルが好かない。
政治家やマスコミの反応も、まわりの人間の反応も、表面的なとらえ方に思えてしまい、本当にそんな反応するかな、みたいな疑問が残ってしまう。
それは物語だから仕方ないか。
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プロパガンダではないかと見る人もいるようだけれども、靖国神社を色々な視点から見ていてそんなことはないというのが私の印象である。また現代日本人への警鐘を鳴らしている、いい作品であった。「覚悟」と「責任」が必要である、うん。
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靖国問題って、いまいち良くわからなかったけど、いろんな立場から、なんとなく優しくわかった気がする。ただ、何がいいのかはわたし正直わからない。
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靖国神社に初めて触れることが出来た一冊。
読みやすかったので、スラスラ読んでたけど。
まだまだ深い所を覗いてみたいなと
感じた。靖国神社に足を運んでみようかな。
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(改訂)【日本人らしさとは・・・靖国問題を踏まえて】
<最初に>
さて今回は非常に面倒な作品を私、むうの独断と偏見でレビュー
しますので興味が無い方はスルーでお願いします!!
あはは・・・初文から突き放すような文章になっちゃった!!
このレビューを書くにあたり、彼女はやはり普通の現代人的に靖国
をタブーと認識しており、私がレビューする事を否定しています。
ですがご承知の通り、私ははっきりくっきりな帰国子女で・・・
タブーだからこそきちんと問題を精査し、自分なりの意見を纏めない
と気がすまない超面倒で天邪鬼な性格なので・・・(笑)
あはは・・・自分でも面倒くさい性格だと分かってますよ!!
でもやめられない、とまらない!!
なので、レビュー中の意見は全て私個人の私見である事をご承知
おきくださいね!!
では、始めましょうか・・・。
<本作の紹介>
今回、レビューさせて戴くのは私達が大好きな推理作家、内田康夫
さんの異色作、『靖国への帰還』です。
内田さんと言えば沖縄の巫女を題材にした『ユタが愛した探偵』や
香りがテーマの『幻香』、日光を題材にした『日光殺人事件』など
ご当地に沿った題材をテーマに、読みやすい文章と卓越した事件
設定で読者を魅了してやまない日本、いや世界最高の作家の一人で
ありますが・・・
この『靖国への帰還』はそんな推理小説から外れた、現代の日本が
抱えるタブーへの挑戦で・・・
現代に蘇った戦時中の中尉の目線から現代の日本の問題点、特に
靖国問題を中心に著者の思いを吐露しています。
本作は重すぎるタブーを扱っているとはいえ、そこは内田さん!!
誤った政策の結果とはいえ、愛する恋人や愛する家族の慎ましやか
で安全な日常を守る為に戦争に行かざるを得なかった青年将校の
目線で全編が構成されています。
そんな蘇った(タイムスリップした)中尉に、歪んだ現代社会の
問題を雄弁且つ軽妙に語らせ、更に読者に全ての問題点の是非の
判断をゆだねるスタイルは非常に好感が持てますよね!!
このように”右”にも”左”にも傾倒せずにタブーに挑戦した
本作は、タブーを避けてばかりの現代人は絶対に読むべき
傑作だと思うのです!!
<言いたい事が沢山あるので・・・私見です(笑)>
ここで私見を・・・
靖国問題は現在最大のタブーだけあり、レビューを読むと皆さん
の口が重いと感じてしまいます。
では何故、靖国神社がここまで批判され、タブー扱いされている
のでしょうか?
<靖国神社とは?>
そもそも靖国神社の前身は1869年に創建された東京招魂社でした。
国内外の事変、戦争等、国事に殉じた軍人や軍属等の戦没者を
祭る為に設けられたのです。
1879年には現在の靖国神社に改名され、戊辰戦争から太平洋戦争
まで、計246万6584柱の方々を祭っています。
理由はどうあれ、国家の為に犠牲となった方々を祭る・・・
これだけ見れば日本人らしい非常に良い事だと誰しもが思います
よね??
<非難する事は果たして正しいのか?>
ですが靖国神社を否定される方々が非常に多いのも事実です。
大まかに纏めると彼らの理由の大半は、
①戦争で人を殺した方々を祭っている、
②戦犯を合祀している
などが問題だとあります。
<①の考察>
まず①ですが、決して彼らは望んで人を殺したわけでは無いと
思います。
戦争に行けば相手を殺さないと自分が殺されます。
そんなギリギリの極限状態に彼らはいたのです。
自分が死んでは日本に残した愛する人を守れなくなる。
そう思い込んだ彼らは必死だったでしょう。
人を殺すしか、他に道が無いのですから。
そうして彼らは自己と良心を犠牲にして望まぬ殺人を行った
のです。
これは現代の殺人とは全く違う、極限状態での被害者達と
言っても過言ではないと思います。
確かに戦争は許されないもので、どんな理由があっても殺人は
決して行ってはいけない最大の犯罪です。
ですが、いかに間違った行為の結果であっても、日本の未来を
憂いて過ちを犯した亡くなった方々を偲ぶのはいけない事なの
でしょうか??
実際、犯罪人が許される事例は過去、皆さんが知っている歴史
上の人物で多々良い例があります。
平安時代、菅原道真は時の左大臣、藤原時平と対立した結果、
讒訴され、大宰府にて亡くなりますが、その後、天変地異を
起こし祟りを起こしました。
当然、戦後の東条内閣のように時の朝廷からは恐れられ、忌み嫌
われる存在だったと思います。
しかし朝廷は、そんな菅原道真を九州の大宰府に天満天神の神様
として祭ります。
まあそれは祟りを恐れただけかもしれませんが、亡くなったら
全ての恨みや禍根を忘れて祭りましょう、という如何にも人に
対して優しい日本人らしい行為だと思います。
また飛鳥時代の聖徳太子も不遇であり、本名の厩戸皇子という
蔑称でも理解できるように最近の研究では卑しい皇子と蔑まれて
いたようです。
しかしそのように不遇の人が失意の下で亡くなると祟りをなす
もの!!
結果、その後、一転して”聖徳太子”という素晴らしい戒名を
与えられ、(信憑性に欠ける)美談を語り継ぐ事で祭神として
今日にまで祭られているのです。
また神話ですが・・・
大黒様で知られる大国主は、元々葦原中国に住む土着の豪族
だったと思料されますが、天津神により”国譲り”を行い
(私見ですが敗戦した)、出雲大社で神として祭られるよう
になったのは皆さんもご存知ですよね?
これからも理解できるように日本人は”罪が償われれば(亡
くなれば)全てを許す”精神で現代までやってきたはずです。
ですがこの靖国問題、彼らが亡くなっていても罪を許すどころか
未だに彼らは犯罪人だと蔑むような事を言わ��続けています。
元々、靖国神社を弾劾し始めたのは皆さんも良く知る某新聞社
なのですが、現在は特定の国々が外交問題として非難し続けて
いるのはご承知の通りです。
<②の考察>
それと②ですが、確かに1978年東京裁判で有罪となった太平洋
戦争時の被告が祭られる事となり、その事もあってか天皇家の
参拝も見送られるようになりました。
彼らは確かに日本を戦争に導いた指導者達であり、責任は重大
だと感じます。
しかし戦争は”国家犯罪”であり、個人の犯罪ではありません。
それは個人がいくら戦争がしたいといっても出来ないからです。
それが日本が戦争を行った時点での国際法でははっきりとそう
明記されていました。
それに戦前の日本に対する長い経済封鎖により、欧米各国も
戦争を起こすように仕組んだ面もあり、彼らが戦争を望んで
いたと思料できる公的文書が米国で発見されるなど、一概に
日本指導者だけが悪だと決め付けるのも微妙なところです。
実際、東京裁判(極東国際軍事裁判)でもGHQ(米軍総司令部)
に所属するチャールス・ウイロビー少将も”米国が日本と同じ
立場に置かれたら戦争していただろう”と証言しています。
また裁判では”平和に対する罪、人道に対する罪、殺人罪”に
より、戦争犯罪として有罪判決を被告人たちに宣告しています
が、これはポツダム宣言後に作成された事後法であり、少し
でも法律学を学んだ方なら、新法で過去の犯罪を罰する事は
”法の不遡及(過去に遡って罰する事はできない)”の原則
を破る大変な違法だと思うはずです。
もし現在、第三者的な目線で、本当に公平な立場で裁くとした
ら、東京大空襲の民間人たちへの焼夷弾攻撃、広島、長崎など
への一般人をも殺戮した原子爆弾攻撃、新しくはベトナムや
イラクなどへの攻撃も立派な”平和に対する罪、人道に対する
罪、殺人罪”の適用となるはずです。
<特定国の非難について>
戦勝国が敗戦国を裁く事がおかしいのです。
しかし実際はそうはなりません。
その為に国連が出来たはずなのですが・・・
これも常任理事国の思惑だけで動いている現状が間違っており
戦争が無くならない理由であると考えます。
話は戻りますが、そうは言っても太平洋戦争後、何かしらの罰
(恐怖)を与えないと日本の再教育が出来ず、また脅威となっ
てしまうかもしれません。
その為、連合国は司法裁判と言いながら軍事裁判にすり替えて
一方的に自分達の望む通りの判決を下したのです。
そのような胡散臭い背景はありますが、被告人たちは日本人のみ
ならず、関係各国民の殺傷を命令していた立場にあるので、有罪
判決を受けても仕方がないでしょう。
ですがその後が問題です。
<日本の戦後補償は済んでいる>
有罪判決を受け、多くの方は絞首刑となり、亡くなった事で彼ら
の犯罪は許されたはずです。
また戦争によって迷惑を掛けた国々へもサンフランシス���条約に
基づき、”戦後補償”という形で賠償金の支払いを行い、各国も
それを納得して、平和条約を結んでいる事から、”全ての国への
償いは済んでいる”事は国際法上、明白であり、最近の特定国の
非難は、国と国の条約を一方的に反故にする立派な契約違反であり
国の行為として、最も不当であると断じざるを得ないでしょう。
ですので我々日本人は過去の行為に対して反省すべきですが、
彼らに改めて謝罪する必要は無く、毅然とした態度を取り続ける
べきなのです。
それが過去の過ちを未来への繋げる、現代の日本に生きる我々の
務めなのです。
<日本人だからこそ日本人たれ!!>
改めて申しますが、基本である大原則を見失ってはいけません。
戦争は国家犯罪であり、個人犯罪でないという原則を!!
しかも靖国神社に祭られている方々の大部分は”日本国の為”
犠牲となった方々ばかりです。
彼らが戦争に従事したという問題はありますが、現在、我々が
住んでいる日本という国を守ろうと散っていかれた方々です。
そう考えれば、赤ん坊であろうが若者世代であろうが”日本人”
ならば、戦争を行った事は間違いであっても、彼ら戦争に行か
れた先輩方のお陰で今の自分があるのではないでしょうか??
これでも納得できない方に・・・
皆さんにも祖父や祖母がおられますよね?
祖父母の世代は皆さんの年齢時には戦争に行かれていたかもしれ
ませんし、行かれていなくても学徒動員などにより、戦争行為に
加担していた事は間違いありません。
反対されていらっしゃる方々にお聞きしたいのですが、皆さん
のご先祖が戦争に行かれていたからとの理由でお盆にお墓参り
をしない方はいらっしゃるのでしょうか?
作品中に著者は靖国神社が如何に兵士達の心の拠り所だったのか
体験者への取材を通して得た言葉を主人公の言葉として書かれて
います。
”実家の墓に入れるのは遺骨が残った場合のみ、日本から遠く
離れた遠方や空で散った人間は靖国神社に帰るしかないのです”
そしてまた更にこう続けます。
”死んだら靖国神社で会おう、と死地に赴く戦友と誓いあった”
何もこれら事例は日本独特のものではありません。
主な外国の都市に行くと神社はさすがにありませんが、墓地や
記念公園と言った形で戦没者が祭られているのはご存知です
よね??
戦勝国は当然としても、敗戦国であっても戦没者を慰霊するのは
世界では常識なのです!!
そうした場所にその国の政府首脳がお参りしても他国から非難
される事は決してありません。
もし他国がそれをしてしまうと”内政干渉”であり、外国が
他国の政治へ不法に介入する事となり、”自治権の侵害”と
いう重大な国際問題に発展してしまいます。
声高に非難し続ける特定国の非常識ぶりには心底呆れますが、
日本も言われっぱなしのまま、有耶無耶でタブー扱いし続けて
国民の総意を纏められない��もだらしが無い・・・(泣)
結局、国民が見てみぬ振りをし続けた結果、こんな歪な状態に
なってしまったのですね。
いかなる過去であれ、日本の事は日本国民で決めるべきです。
そしてどんな犯罪であってもその罪が償われたのならば許し
ましょう。
日本の未来は私達、日本人にかかっているのです。
日本という国をもっと愛し、特定国ともより良い関係を築ける
様に努力し続けましょう。
それが先人達への一番の弔いであり、優しい心根を持った
日本人の最高に良いところだと思いますよ!!
<最後に・・・>
ここまで長文駄文に付き合ってくださった方に感謝っ!!
最後にこのような深刻な問題に言及している作品ですので
万人におススメできるわけではありません。
ですが少しでも日本を良くしたい、日本人でありたいと願う
のなら絶対に読むべき傑作だと思います。
また外国の方でも日本人を理解するテキストとして読んで
みるのも面白いと思いますよ!!
日本人である事に誇りを持っている・・・むうでした!!
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武者滋という英霊が現代にタイムスリップする話。社会的な視点が多く、靖国神社にまつわる昨今の問題をいろいろとカバーしている。あの浅見シリーズの作家が、こうしてこういう作品を書かずにはいれなかった想いみたいなのが作品からは伝わってきた。声を大にして言いたいことだったのだと思う。エンターテイメントではあるものの作者の想いが強く出ている作品だと思った。新書のようなメッセージ性のある内田康夫の靖国論って感じかな。