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良い小説を読んだなー、と素直に思った。一頭のサラブレッドを軸にした群像劇ともいえる。宮本輝の作品中でも一番好きだ。
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展開がある程度予定調和なのは否めないけれど、上巻での丁寧な人物描写を土台に描かれてるので全然白けることもなく。
祈りとは、誰かを思い、どこまでも信じることと知る
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北海道・静内の小さな牧場、トカイファームで主人が一世一代の博打に出て産まれた青毛の馬。
クロと呼ばれたその馬はやがてスペイン語で「祈り」という意味の『オラシオン』と名付けられる。
生産者の愛情、厩舎の思惑、馬主の過去未来、ジョッキーの恐怖等々。あらゆる感情がその馬に乗せられながらオラシオンは恐ろしく強い馬に成長していく…。
競馬は一度もやったことないが、この馬を取り巻く人間ドラマが幾重にも重なり描かれていることに感動。
もちろんレースシーンも息を呑むほどリアルに描かれていて感動。
こんなに夢中になれる小説は久し振りに読んだ。
本当にこれは凄い小説ですよ。あっぱれだ。
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宮本輝さん作品は大好きですが、とくに圧倒されました。絶対先にオチやネタばれを見ないよう心がけて読んでました(笑)。
とくにラスト20頁は、本物のレースを見てるくらい興奮しました~。
登場人物たちの生き様が、生々しいです。
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マキバオー的なストーリーを想像してたが、サラブレッドの成長物語というよりは競馬を軸にした人間ドラマといったかんじだった。
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競馬のしくみについて、予備知識ゼロだったがおもしろかった。サラブレットになるのはほんの一握りで、その命のために多くのお金がつぎ込まれる事実に驚愕。人間はなんて欲深いのでしょうか。馬をめぐる人々の欲望と、命の誕生を操作されるサラブレットの美しさと悲しさ、尊さが対照的。
欲にまみれた人間ばかり出てきますが、牧場の息子のまっすぐな気質がよかったです。シベチャリ川を見てみたい。
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《いのち》を主題に、走るために生まれてきたサラブレット『オラシオン』に関わる人々の人間としての業を考えさせられる。馬、犬、人の出産のシーンから始まり、生きていく中で、幾つかの死も訪れる…
それぞれの人生の中で、悩み、苦しみ、決断し夢を生きてゆく。
勇気と夢が湧いてくる。
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最後のダービー戦は燃えました!!!
オラシオンがスタートボックスに入った時、奈良はいつもとようすが違うことを察知しましたが、読んでいる私まで、大丈夫か?ここでダメになってしまうのか?とハラハラしました。
オラシオンの内側に入る癖がこんな重要な場面で出てくるなんてと思いましたが、最後は運よく優勝を勝ち取れてほっとしています。
輝さん、こんなところに種をまきよって・・・!笑
博正、久美子、平八郎、多田、奈良、そして読者の誰もが、このダービー戦ではオラシオンの勝利を心から<祈った>のではないでしょうか。
奇跡としか言えないこのサラブレットが、千造という小さな産馬者の夢から生まれ、様々な人の手によって育てられていく。
そして、オラシオンに関わる人々のヒューマンドラマが幾重も重なり合いながらダービー戦での勝利へと祈りが一つになった。
輝さんは複数の人のドラマを一つの物語に描くのが上手ですが、優駿ではその構成が秀逸です。
氏の作品の中でも、久々に興奮する小説に出会ったような気がします。
唯一、トカイファームの今後や博正と久美子の将来について書かれていないのがの心残りです。
ですが、きっと博正は平八郎と事業を発足し、手元に多田を置いて新しいスタートを切ったのではなかろうか、と勝手に想像しております。
また、博正と久美子の関係も相変わらず縮まりそうにないが、いずれ時を経て共にトカイファームを大きな牧場にしていくのではないだろうかと、そんな空想を広げ、私の中で優駿を終わらせたいと思います。
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2012.8.21読了。
中心にいる物言わぬ馬のスピードとあいまって、取り巻くひとびとの人生の凝縮、加速は凄まじい。
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馬主の電機メーカーはついに吸収合併。しかもその遠因はオラシオンの獲得にあった。また、馬主の娘が事実上の馬主となる。その娘も父の隠し子について気づく。さらに父の秘書も。動揺する娘と秘書の危険な逢引、そして寸前での娘の祈り。また、オラシオンの生産者のガンによる他界。オラシオンを追い、新聞記者を辞めて、競馬情報の世界で一山当てようとしている男とその愛人。そして、「オラシオン」に祈りを込めた青年。かれらの「祈り」を込めて、オラシオンは日本ダービーに臨む。しかし、体調は万全ではない。疲れが残っているようだ。その異常に、馬主の娘が気付く。そして、「ゲートオープン」・・・・騎手の不安な気持ち、そして、予想外のレース展開、果たしてオラシオンは、日本ダービーを獲得できるのか? 調教師にとっても、日本ダービー獲得は初めての経験だ。人気馬で倍率が1.1倍。関係者の「思い・祈り」をパワーにオラシオンはターフを走る。「電光掲示板の結果は如何に!!」
夢を描く青年の「オラシオンがダービーに勝ったら」という決意。そして、その青年を見守る老ばくろうの「何かやるぞ、と決意した時には、必ずそれを『止めよう』とする力が働くんだ。でもそれを、なにくそっ、って撥ね退けてやる時、物はうまく行くんだ。」という、太平洋戦争も生き抜いた老人の何気ない、でも重い言葉。
「オラシオン」のレース結果は?そして青年の夢は?最後の日本ダービーの結末に集約される。
読後も、競馬場の歓声が聞こえて来る様なさわやかな本。長い様で、「上・下」巻、一気に読めます。
また、馬主の娘と秘書が一線を越えようとする時に、「オラシオン」と言う名の意味が分かる。その謎解きも面白い。また対抗馬の名前、その騎手と娘との、嫌な関係。全部、オラシオンを中心とした人間関係に集約される。
「あとがき」に評されている様に、読後とても「さわやかな」本です。夏の北海道の緑の草原を吹きぬける風を感じる本。そして、乗馬した時の疾走感を感じる本です。
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下巻に来て、出ました。怪物オラシオンの「馬じゃない」ほどの俊足。
まさかこのまま・・・勝ち続けました。
「馬はロマンだ」って言っても、なかなか手に取る様にみえるものではないので、こうやって御伽草子の屏風みたいに見せてくれたことに驚き。
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優駿「オラシオン」を巡る人々の群像劇。
読み終わった後に残る、あの爽やかな読後感はなんとも言えません。
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競馬のことを知らなくても、競走馬とそれに関わる人たちの運命や、かすかな心の動き、息づかいを十分に楽しむことができる。
専門用語もふんだんに使われていて、かつそれを説明するような表現も全くないため、意味が分からないまま読み進めて行くことになるが、それでもここまで入り込むことができるのは、作者の巧みな表現力があってのことだろう。いちいち興ざめな解説をされると、流れがつかめず、客観的に読んでしまうことがある。
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吉川英治文学賞。
北海道のトカイファームという小さな牧場で生まれた「額に白い星印を捺された漆黒の仔馬」。「オラシオン(祈り)」と名付けられた競走馬が、周囲の人々から様々な想いを託され日本ダービーに出走する。
単に馬の出世物語ではなく、馬の血統・遺伝と人を対比し、それを取り巻く人の命の繋がり、尊厳を描く。
「母の肉は子の肉、子の骨は母の骨なり」
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一頭の馬、競馬にかかわる人々の人間模様が絶妙に描かれている。
下巻になるとより読み進めたくなり、一気に読破した。