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投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代から現代までの毒と薬の扱われ方について書いた本。
東洋西洋共に語られていて、近代あたりの国同士の交流が盛んになりはじめた頃の科学の舞台裏のような話は興味深かった。
古来より毒と薬は表裏一体で、それは人工的に薬剤を作れるようになった今でも変わらないのだなぁ。
歴史に出てくる薬物のエピソード。
2009/01/15 16:17
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
プラトンが飲まされた毒、クレオパトラが使った毒・・・。 薬学部の講義で、先生が時折挿入するのだろうか、と思うような話である。古代、中世、近世、近代、現代と、年代で章を分けてまとめてはあるが内容は多彩。著者は漢方の講義もしているということもあるからだろう、西洋医学だけでなく中国や日本の古典からの引用も多数ある。
面白いエピソードも多いのだが、全体に「可もなく不可もなく」の印象になってしまった気がするのはなぜだろう。少し専門的になっても、興味のある話にもう少し突っ込んで書いてあっても良いのに、というところだろうか。著者があまり強い主張をしていないからだろうか。
著者が書いているように、薬になるもの、毒になるもの、の記録は文字が創られてすぐに始まっているのは、たしかに「それはまるで、毒や薬を記録したいがための文字や記録媒体の発明であったかのようである。p4」。こういうところでも、どんな薬が記載されていたか、などをもう少し詳しく知りたいところであった。
いなばの白兎がまとったガマの穂は蒲黄として止血薬に使われたとある。「皮をむかれた」ウサギに効果はあったのだろうということはわかるが、実際にその成分は何だとかんがえられているのだろうか。わかっていたら書いて欲しかった気がする。
ソクラテスが飲まされた、という毒についても、プラトンが「パイドン」に記しているように、ドクニンジンの成分コニイン(神経毒のアルカロイド)は「手足の末端から体の中心に向かって麻痺が進む(P12)」とまでは書いてある。では、なぜこの成分は末端から効くのか、とか、なぜドクニンジンが選ばれて使用されたのか、についてなど、説明がもう少しあれば、と思う。
広く浅く、が印象を全体に薄くしてしまった感じであって、少々物足りなさが残り、おしい。
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毒と薬の歴史を、現代から地球誕生までの
あらゆる場面で取り上げ、人類がいかに
毒や病を克服してきたか、また、今新たに
医療が迎えている危機がわかりやすく書かれている。
それに、身近な話題から、知識として面白いエピソードなども
沢山載っているので、関心のある方には良いかもしれません。
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名前があれですが笑
面白いですよ。興味深い本です。
こーいう面で世界史をとらえてみるのも、新鮮でよいと思います。
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世界は古代エジプト、日本は養老律令の時代から今日までの薬の歩みと、学者のエピソードがまとめられていて歴史物としても面白い。化学的に「薬」と「毒」を表裏一体として捉える視点も素人にも分かり易く斬新に思えた。
あと、トウガラシが鉄砲伝来の時期にポルトガル宣教師が日本に伝え、秀吉の朝鮮出兵の際に、目つぶしの武器として朝鮮半島に持ち込んだのが最初。中国やインドに伝わったのはさらにその後ってのは結構驚いた。
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日本・海外問わず様々な毒と薬の成り立ちなどが分かる本。薬は使う量により毒にもなるが、人間がそれを理解してきたのはかなり最近の話。様々な知識の積み重ねで病気に勝てるようになってきた経緯がわかる。
副題の「ソクラテス、錬金術、ドーピング」と書いてあるが、読んでみるとそこに特化したわけではない。参考文献のりすとだけで12ページもあるくらい様々な事項が載っている通史といえる。
本編に入る前の5〜6Pの「地球の誕生から現在を1日に置き換えると人類誕生は12月31日の午後2時」という部分がかなり納得した。
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ふと手に取った本だが、こんなに雑学に満ちた面白い本は初めてだ。本がメモと線だらけになってしまった。表裏一体である薬と毒。その歴史を原始~現代まで見た通史。アスベストなど最近になって人間に毒であることが分かったものも数多く、最後は少し怖くなってしまった。また、副作用が転じて正規の作用として治療に使われるようになったものもあり、まさに薬と毒の表裏一体性を感じた。色々な話の小ネタがいっぱいつまった良書。
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[ 内容 ]
毒にしても薬にしても、人類との関わりは、きわめて長く深い。
古くから人類は毒を避け、効能のある物質は活用してきた。
そして、それらを合成することが可能になってからは、良きにつけ悪しきにつけ、その使用法は無限に拡大している。
しかし、実は、同じものが毒にもなれば薬にもなる。
本書は、ソクラテスの飲まされた毒から、錬金術、ドーピングにいたるまで、古今東西の毒や薬をめぐる秘話・逸話を紹介するものである。
[ 目次 ]
第1章 古代の毒と薬(地球と毒・薬の誕生;古代エジプト・ギリシャ・ローマにおける毒と薬;古代インド・中国における毒と薬;古代日本における毒と薬)
第2章 中世の毒と薬(魔女と毒草;大航海時代の毒と薬;ルネサンス・錬金術・科学と化学の曙 ほか)
第3章 近世の毒と薬(『本草綱目』と本草学の発展および南蛮医学の導入;近代医学・薬学黎明期における毒や薬にまつわる発見・事件;近代有機化学への出発)
第4章 近代の毒と薬(病原微生物学の誕生と発展;近代薬学および有機化学の誕生と発展;種々の疾病に対抗する療法の黎明)
第5章 現代の毒と薬(抗生物質の再発見と発展;精神を左右する毒と薬;科学の発展と毒と薬;公害と薬害、毒や薬による犯罪)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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毒と薬、世界史
読むのに抵抗感を喚起させられる言葉がタイトルとなっているが、なんのことはありません。読むと、むしろ、学術的好奇心を呼び起されます。
薬品トリビア満載の一冊。
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密な本。古今東西における毒と薬の逸話を取り上げていて、飽きない。
『世界史』と銘打ってはいるが、日本史も多く登場したので、良い意味で予想が外れて楽しかった。
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毒と薬の歴史であり、それを通じて見る社会の歴史でもある。
歴史の知識がないと読み進めづらい部分もあるが、魔女狩りやアヘン戦争、公害のくだりは興味深かった。
明治期の感染症の研究のところが一番おもしろかったかな。当時のエリートたちがいかにグローバルに活躍していたかがよくわかる。
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おもしろい。特に、江戸後期〜明治までのシーボルトとビュルゲル、北里柴三郎の研究に関する記述が目を引いた。現在の薬剤師の立場についての改善を薬学部出身の著者が丁寧に指摘している。
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そのタイトルが表す通り、「毒と薬」を人類史的な観点から追いかけた本。本書を読んでいくと、毒や薬物が歴史を動かした事例が、意外にも多いことに気づく。中国の歴代皇帝の水銀中毒しかり、ローマ皇帝の鉛中毒しかり、アヘン戦争しかり、クレオパトラの自殺しかり。
雑学本としては、なかなか楽しめた。
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雑学本の一つであり、ある特定のテーマから歴史を読んでいくという本のつくり方自体は、それほど珍しいものではありません。コーヒーとか酒とか、いろんなものをモチーフに歴史を追いかける本は他にもたくさんあります。
著者が薬学部出身ということもあってか、内容的にはそこそこ専門的です。医学、薬学、化学あたりを専攻している方であれば大半は既に知っている内容かもしれませんが、そうでもない方にとってこれだけの量の情報と知識をまとめて読める資料はそうそうないでしょう。
面白かったんですが、星はやや低めに3つとしてます。理由の一つに、著者本人が後書きで断っている通り、著者が歴史の専門家ではないために「歴史的な連続性のある記述」ができていない、という点があります。この内容量でそこまで求めるのはやや酷だとは思いますが、各論が個別のテーマで終わってしまっていて、それが前の時代からどのようにつながってきたのか、そして次の時代にどのようにつながるのかが見えにくかったことから、少し評価を下げました。
一方で、新書サイズの割に参考文献をしっかりぎっちり載せてる点は非常に好感を持っています(この程度のことができない新書が最近は多いように思えます)。この参考文献表からさらに各論に飛べるので、こういう丁寧な本のつくり方ができる著者は、本当にしっかりした「理系の人」なんだな、と思います。
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時代ごとに薬に纏わる話が羅列されている。一つ一つの事実に深く立ち入る本ではない。医薬分業が日本で進まなかった理由についての記述が興味深い。