サイト内検索

詳細
検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、年齢認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

新規会員70%OFFクーポン

hontoレビュー

  • 販売終了

みんなのレビュー64件

みんなの評価4.3

評価内訳

64 件中 1 件~ 15 件を表示

破綻の真相究明と清算業務に尽力した12人の克明なノンフィクション

2015/12/30 19:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:sk728 - この投稿者のレビュー一覧を見る

1997年の山一證券自主廃業はバブル崩壊や平成不況の代名詞として語られることが多い。しかし、破綻の真の原因は一部の上層部・社員が膨大な簿外債務をつくり続けたことである。この「飛ばし」行為はそれ自体が重大な違法行為なのであり、バブル崩壊や不況によるものとはいえ、決してそれを免罪符にしてはならない。本書は、自主廃業が決まった山一證券にその後もあえて残り、破綻の真相究明と清算業務に尽力した12人の克明なノンフィクションである。

12人は山一證券のエリート社員でも出世コースをゆく人々でもなく、「場末(ばすえ)」と呼ばれる社内で全く重要視されていない部署の社員だった。この場末の人々が不正を犯した役員やエリート社員を追い詰めていくストーリーだけでも十分に読み応えはあった。しかし、本書の価値はそれだけではなく、場末の人々の複雑な葛藤を丁寧に描いていることである。

「なぜこの会社は潰れなれけばならなかったのか」それを我々社員や迷惑をかけられた顧客、そして日本社会は知る必要があるーーーこれが真相究明に突き進む大きな彼らの大きなモチベーションになっていたことは疑いない。だが、自分がこれまでずっと仕えてきた会社の不正を暴くのは決して前向きな仕事ではなく、糾弾しなければならない人々には会社生活でお世話になってきた先輩社員やOBも多く含まれている。顧客からの預かり資産を返していく清算業務にあたる社員は毎日毎日顧客からの罵声を直接浴びせられる。何より、この12人のほとんどには自分が守らなければならない家族がいる。家族を養っていくためには、もうすぐ完全に無くなる会社で仕事を続けるのは全く合理的ではなく、いち早く転職しなければならなかった。それでも、誰かがやらなければならない、誰かがこの会社の最期をみとらなければならないと感じたーーー筆者の質問に12人の多くはこう答えている。
彼らがまとめた100ページ以上に及ぶ調査報告書は、それまでの企業不祥事における社内調査のイメージを根底から覆す「魂の報告書」となった。「破綻した会社の社内調査など、どうせ形だけのものだろう」というマスコミの思い込みを粉々に打ち砕いた。

「会社が潰れて全員が不幸になったのか、否ですよ。会社の破綻は人生の通過点に過ぎません。私はサラリーマンとして幸せな人生を過ごしました。」社内調査の責任者であった本書の主人公の嘉本氏は当時を振り返ってこう語っている。
1997年11月、山一證券の社員たちは突然否応なしに「自分の人生にとって会社とは何なのか」を考えさせられることになった。リクルートの元社長河野栄子氏がいうように「人生は企業が責任を負えるほど軽いものではない」だろうし、会社の破綻も「人生の通過点」くらいに捉えるのが丁度いいのかもしれない。
それでも、山一證券のしんがりとなった12人の正義感あふれる仕事ぶりは、彼らの人生に深く刻み込まれているはずである。会社破綻という数奇なシーンではあるものの、本書はいかに会社や仕事と向き合うかという点で多くの読者に重なり、胸に深く刻み込まれるノンフィクション作品である。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

俺はまたも便利や使いされようとしているのか!

2015/10/24 21:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:okadata - この投稿者のレビュー一覧を見る

山一証券の破綻に際し前例のない企業内の詳細な調査を実施し、報告書を公開したのはそれまで日のあたらない場所にいた業務管理本部長の嘉本隆正常務をリーダーとする七人の調査委員とそれを助ける少数のメンバーだった。嘉本の前任者は簿外債務の存在に気がついていながら問題ないと申し送りをし引き継ぎも済まない1997年4月11日証券取引委員会(SESC)の特別調査課の立入検査が入った。総会屋との取引について業務管理部がわかっていて見逃したというのが彼らのストーリーだ。嘉本は副社長会を招集しこのままでは大変なことになると警告するが経営陣に危機感はなかった。

業務管理部の調査の結果シンガポール法人を使って総会屋に利益供与をしていた実態が明らかになり担当する副社長の白井に報告する。それでも「うちには東京地検の捜査はない。」「そう言う感触だよ。」と言う白井、そして地検特捜部が4日後に山一幹部の一斉聴取を始め、更に2週間後には東京地検とSESCが山一本社に乗り込み役員の家宅捜査も始まった。驚くべきはこの会議参加者の内何人もが実際に利益供与に関わり、後に逮捕されている。「みんなで渡れば怖くない」という時期は過ぎているのに一向に危機感がない。そのくせ後に嘉本らが調査報告書を公表しようとすると自分の名前が出るのを怖れ公表に反対している。恐ろしいほど当事者意識がかけていたのだ。

会長の行平は捜査が本格化した後も「うちには違法行為はない」と言張り会長の座も日本証券業協会長の座も降りようとしなかったが8月6日後任社長人事に乗り出す。行平は引責辞任の後も権力を手放すつもりはなく、社長選びは難航した。傍流のリテール部門や若手の役員たちは体制の変更を望んでいたがそれを自分がやるというものは結局現れず社長候補を擁立できなかった。そうして選ばれたのが自主廃業の発表時に「社員は悪くありませんから!悪いのは我々なんですから!お願いします。再就職できる様お願いします。」とテレビの前で泣き叫んだ野澤だった。

11月18日嘉本は経営企画室を所管する常務の藤橋から唐突に切り出される「実は、当社には含み損が約2千6百億円あります。」翌19日には大蔵省から自主廃業を通達され22日には日経がスクープした。そしてその日の臨時取締役会で野澤社長がこう言った。「(不良債権が発生した経緯は)嘉本常務に依頼して調査を開始しました。」社長がこの調査を依頼したのはほんの1時間前の話だった。

俺はまたも便利や使いされようとしているのか!

怒りを腹の内ににしずめ嘉本は徹底的な調査を決意する。全権委任をこの場で取り付け嘉本と業務管理部が会社の中枢と山一の看板部門の法人部門に喧嘩を売った瞬間だった。取締会では立派なことを言いながらさっさと見切りを付け再就職した若手取締役に対し嘉本を含めた数人の取締役は調査委員として無給で働き始めた。一方で菊野は会社の清算を引き受ける。顧客から預かった株券や資産の返却、再就職の斡旋、そして債務隠しの真相をあばく社内調査それが12人の「しんがり」の山一での最後の仕事だった。

嘉本らの調査の結果90年過去最高の決算を出した年に既に簿外債務は1300億ほどに膨らんでおり破滅的状況だった。後の副社長で経理担当常務だった白井はこう言う「会長と社長のハラが固まっていなかった。どんな意見具申をしても、上のハラが固まらないとどうしようもなかった」白井を含めて代表権を持つ副社長は5人もいたのだが何のための代表権だったのか。

そして最後にハラを決めたのがあぶれものの嘉本たちであり、自分も株主代表訴訟に会うことを覚悟で実名の報告書を公表したのだ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

真の企業戦士

2015/08/26 13:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ツンドク - この投稿者のレビュー一覧を見る

山一証券が廃業発表したのち、その事後処理に当った社員たちの奮闘を記録した作品です。多くの社員が早々に次の職場を求めて求職活動に走った中で、将来への不安を押し殺して、残った資産の処分や債権者への弁済、さらに不正に至った経緯の調査を仕上げた社員たちの使命感・責任感・正義感に打たれました。同じくサラリーマンとして社会人生活を送ってきた自分にとって、改めて(できるかどうかは分からないが)「社会人たるものこうでなくては」と自戒させられた本でした。
それにしても、繰り返し行われる企業の不祥事の原因のいかに多くが「トップの保身」にあるか、ということに驚かされます。真に会社のため、社員のため、顧客のためを考えるなら、「不正だけはしない」ということが絶対の筈なんですが。その対極に本書のような社員もいる、ということに救いを感じます。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

大企業の破綻とはこういうものなのか!

2016/04/12 11:26

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:imikuto - この投稿者のレビュー一覧を見る

あの号泣映像を見ていたら、それにいたるまでの経緯(違法行為)はある程度想像できるだろう。
しかし、自主廃業ののち、わずか12人の社員たちが調査と清算業務に携わっていたことは想像の域を出ていた。
しかも、経営者の立場にある役員たちが調査の中心となっている。
読み始めでは、これには違和感があった。はたして役員たちが、まともな調査をできるのだろうか。
しかし、それを反発を覚悟でやってのけている。

そして、当時は実感があまり湧かなかったことだが、社員たちのその後についても語られている。
突然やってくる人生のプラン変更。もちろんそんな生易しいものではなく、その後なんども転職した人もいる。
でも、ほとんどの社員は、おおざっぱにいえば、うまくいったほうだろう。
山一という看板や社長の号泣が大きく寄与しているということ。
さらには、一部の経営者陣を除けば、企業人としてすぐれていたからなのだろう。


本書は実話にもとづくものであるが、小説風の会話文も多く、エンタメとしても楽しめる。
もしかしたら脚色も多いのではという気もするが、
ふつうのエンタメ小説のようなプロットによる変転、反転がないので、かえってそれにより実話の凄みを感じることができた。

実話ならではのことだが、しんがりのリーダーである嘉本氏は実在の人物であるはず。魅力ある人物なんだろうなあ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2014/01/16 10:05

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/01/23 06:50

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/01/27 21:06

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/02/19 21:19

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/04/06 14:20

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/04/11 13:00

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/04/20 19:57

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/04/11 17:47

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/04/28 22:10

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/05/14 22:47

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/05/25 21:46

投稿元:ブクログ

レビューを見る

64 件中 1 件~ 15 件を表示

本の通販連携サービス

このページの先頭へ

×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。