女性論が面白かった
2017/12/30 21:02
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【なにも刺激を受ける相手を同時代人に限定する必要はありません。わたしが「ラファエロと恋に落ちたい」といったのも、この意味です。】
*
男性論より、終盤で書かれていた女性論の方に興味津々。
それから冒頭の言葉。
【時間・空間を、横軸だけではなく縦軸で掘り下げて自分に似たひとや共感できる時代を探せば、ひとは自由になれる】
すごい…そんな発想無かったな〜!
女性論が面白かった
2017/12/30 21:01
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【なにも刺激を受ける相手を同時代人に限定する必要はありません。わたしが「ラファエロと恋に落ちたい」といったのも、この意味です。】
*
男性論より、終盤で書かれていた女性論の方に興味津々。
それから冒頭の言葉。
【時間・空間を、横軸だけではなく縦軸で掘り下げて自分に似たひとや共感できる時代を探せば、ひとは自由になれる】
すごい…そんな発想無かったな〜!
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タイトルから想像するような硬い内容ではなく、どちらかと言えば「ヤマザキマリの作り方」みたいな、ヤマザキマリの背景を知ることができる(帯にある”波瀾万丈な男性遍歴”はあざとすぎて嫌)。
彼女が主張する「外に出よ」には激しく同感。TVやネットで全てが解ると思っていること自体が、傲慢だし、自分自身を枠にはめ成長することを阻害しているということを知るべきだ。
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自分自身で時間をかけて『辞書』を作り上げて行く。これが人生ですね。
ヤマザキマリさんの人生観についての本でした。私は彼女ほどしっかりはしていませんが、同じ人生観を持ってます。特に若い人はどんどん外に出て行っていろいろな体験をするべきです。
今まで当たり前と思ってたことは当たり前ではなくなりますから。
その時々の体験が自分の辞書の1ページとなり、いつかは分厚い辞書となるでしょう。困った時には、想い出してページをめくってみればヒントが隠されていると思います。
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ヤマザキマリさんのエッセー漫画を愛読していたのですが、最近、NHKに出演される姿をみてハスキーな声とともに「カッコいい」女性だなあと認識していました。そこで、手に取ってみたのですが、『男性論』というタイトルから好きな男性たちが語られる単線のストーリーを想像していたところ、そこにとどまらないものでした。気づけばローマ史や美術史といった趣になり、さらに自分史がそのなかに織り込まれ、日本とイタリアの比較文化論的な趣もあるかと思って読み進めていくと、日頃息苦しさを感じていたところに風穴をあけられた感じがしたのでした。なかなか同じように生きるといったことは難しいかもしれない。でも、今がダメでも過去に自分と似た人を探してみると、いまより自由になれる、といったメッセージが痛快に響きました。
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テルマエロマエの著者が描く理想の男性像。彼女のいろいろあった生い立ちから、どんな男性を理想とするのか、イタリア人の中で育つと男性は、女性はどのように見えるのか。オタクが好きらしい彼女が、ハドリアヌス帝、ラファエロ、ジョブスなどの外国人から、安部公房などの日本人までを取り上げる。朝日の書評で朝日新聞の加来さん(知り合い)も書いていたが、男性に対する見方が換わると女性も換わる、ソフィアローレンなども取り上げられ、年齢を重ねる女性の魅力はどういうものかも説かれていて、日本の女性にエールを送る本なのかもしれないと思う。
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映画にもなったコミック「テルマエ・ロマエ」の原作者であるヤマザキマリ氏の、男を見つめる目線から見た人生論を書いた著書。「テルマエ・ロマエ」は映画でも、原作のコミックでも、観たり読んだりした方はご存じだと思うけど、この作品はかなり奇妙だと思う。古代ローマ人であるルシウスが、テルマエ<風呂>を通じて、現代の日本にタイムスリップ。いろいろ現代の日本風呂文化を知りながら、それを古代ローマに伝えていくという、ざっくりというと、そんなお話なのだ。なぜ、テルマエを中心に物語を進めるのか? なぜに古代ローマにこだわるのか? そんな著者の目線を「テルマエ・ロマエ」を中心に追いながら、私たちに明日を生きていくための人生論を展開してくれている。
【引用】現在の日本には絶対的に足りないものがあるとも思うのです。それは、ここに暮らす人々が「生きる喜び」の実感を得るための、機会や制度や気運といったものです。(P.15)
古代ローマに常に視点があるのは、著者自身が長年ヨーロッパ、特にイタリアに住んでいて分かる自由さがあり、今の日本との違いを如実に感じていることがあるのでしょう。
【引用】つまり、つねに古代ローマには未完であることをよしとする性質があるわけです。「ここまでできたからもういい」とはならない。時代が刻々と移り変わるから、ぼんやりとしていたら生きていられない。今日と明日はもう違う世界。生き延びるにはフレキシブルに変化できなければならないから、完璧であることよりも、未完であり、伸びしろを持ち続けることを重視する。(P.57)
いずれ紹介する他の本にもあるのですが、今の欧米の白黒はっきりつける社会に比べて、あわいの世界に日本人は生きていると思うのです。物事に結論をつけずに、いろいろな多様な考え方を取り入れようとする文化は、未開な部分でもどんどん世界を拡げていける可能性を秘めている。元来、不安定な自然界と対話しながら、適応して生きる仕組みを日本文化はつくってきた。同じことが、古代ローマの世界観にもあるのかなと読んでいて感じました。
【引用】ひとりの人間では、万物を認識することはできない。それは悲しいことではあるけれど、だからこそ、地球のほかの場所、あるいは歴史的にちがう時代のひとはこんなふうに物事を認識しているのかと知るのが楽しいのだと思います。知るって、やっぱりおもしろい。認識を共有することのおもしろさに、ルシウスもわたしもとりつかれている人間なのでしょう。(P.63)
やや偏った見方かもしれないですが、自分が自分という身体に意識を持って生まれてきたのは偶然の産物なんだと思うんです。逆に見れば、自己意識というのは目の前の人に宿っていた可能性もあるし、時代を越えて、歴史上の有名な人物に宿っていたものかもしれない。そう見ると、世の中の人がやっていることは、すべて自分がやっていることとも思えていいのかもしれません。だからこそ、いろんな考えを知りたい、、知識欲というのは、僕の場合、そういうところから生まれてきます。
【引用】日本にいるだけでは考えもしない問いに身を置くこと。グローバルな視野、などと大げさに言わな���とも、他人の感覚を自分のものにできる人は単純にかっこいい。他者への寛容性の第一歩は、この他人の感覚に寄り添えるかどうかだと思うのです。(P.216)
そうそう、自分の感覚にフワッと入ってこれる人って魅力的ですよね。それにはまず謙虚に他人を見つめること、知りたいと思うことから始まるのだと思います。
【引用】つまるところ、自分を助けてくれるものがあるとしたら、それは想像力だと思います。想像力という比喩は月並みに聞こえるかもしれないですが、言い換えるならば、自分自身で時間をかけて「辞書」を作り上げていくということ。いろんな書物を読んだり、絵や映画を見たり、音楽を聴いたり、世界中の街を歩いてみたりする。そうやって自分の想像力を駆使することで、今は生きていない人たちとも、親密に付き合うことができるわけです。(中略)なにか大きな局面に直面したときに、今の自分を助けてくれるヒントに満ちています。(P.222)
僕が映画や読書が好きなのは、自分の普段では感じ取れない感覚を、映像だったり、文字だったりの媒体を通じて伝えてくれるからだと思います。大げさかもしれないけど、映画や本があるから、僕は人間らしい生活が送れる。映画がなかったら、生物的には生きられるのかもしれないけど、中身が詰まっていない空虚な人間でしかなかったことでしょう。こうした”人生の魅力”というものを、いろんなカッコいい人たちの生き方から学べる素敵な本です。
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「男性論」というタイトルはどうなんだろう。今一つ内容と合致していないというか、十分に表現できていないのではないか。たしかに、著者が評価し、敬愛し、学んできた「変人」「天才」「魅力的な人々」の多くは男性なのだろうし実際にほとんどがそうした男性たちについての記述なのだが…。「男性論」にはとどまらない文化論、人間論になっている。
文章も読みやすく、著者が伝えたいことも明快。なぜジョブズの漫画を(いまさら)描くのか、という評者の疑問にも答えが書かれていて、一時期大騒動になった映画原作使用料に関する発言の経緯など、読んでなるほどと納得する情報もしっかり含まれていて、コンパクトな新書であっても、相変わらず骨太かつ低音(大人の魅力たっぷり)のヤマザキマリ健在、である。
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ヤマザキさんの男性のタイプはまさに私のタイプ。変人だけど、頭かキレッキレな男性のオンパレードで、読んでいる時間は胸のワキワキメキメキ感が止まらなかった。男性論もよかったが、最後に出てくる女性論も面白い。近年の凄まじい女性の処女性崇拝思想が、自分自身には違和感ありまくりだったが、ただ単に男性だけの課題ではなく、女性にも課題があるんだなと再確認した。
兎にも角にも、変人を愛するって素晴らしいと感じた本であった。
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『男性論』というタイトルに惹かれて読んだらまえがきで『テルマエ・ロマエ』の作者だと知る。しかし、『テルマエ・ロマエ』の事もタイトルしか知らないという無知っぷり。前半は著者のイタリア人のご主人やローマ帝国の話を交えて古代ローマの魅力を語るという感じ。後半に差し掛かるにつれて現代の日本や女性論について。やはり、海外を渡り歩いている方から日本を見るとおかしいのだという事がよくわかる。『男性論』というテーマを通して深い部分まで見ている気がする。とても勉強になった。
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塩野七生『男たちへ』のような内容を期待したせいか、かなりがっかりした。イタリアや諸外国をまたにかける漫画家、といった経歴を活かした独自の見識は少なく、「外国に出ろ!」「知性のないやつは嫌い!」といったそこらへんのアラフィフと同じような意見が多い。
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ローマ時代を愛する著者のエッセイ?
世界史、ローマに昏い私にはいまいちハードルが高く、途中挫折。
著者は高校生の頃、言葉も不十分なまま、イタリアに単身乗り込んだとか。
僕とは違う人だなぁと思う。
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読みやすく面白かった。
男性論というタイトルだけど、長い時間海外で過ごした作者の、海外と日本の比較文化論といった内容のように思えた。
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ライフネット生命の出口さんがお勧めしていた本。「テルマエ・ロマエ」の著書ヤマザキマリ氏。男性論ということで、彼女からみた魅力的な男性たちについて語っているのだが、
このヤマザキマリさん自身、非常に変わった経験をされており、彼女のエピソードだけでも十分におもしろい。
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「テルマエ・ロマエ」の作者ヤマザキマリさんによる男性論。
この作者らしく、古代ローマの男たち、とりわけハドリアヌスが魅力的と語る。
続いてルネサンス時代のアーティスト・ラファエロ、
さらにはスティーブ・ジョブズといった人たちが取り上げられている。
彼らに共通する、「古代ローマ=ルネサンス的なもの」とは、
「寛容性」、「ダイナミズム」、そして「増長性」。
「寛容性」とは、他人の感覚を自分のものにでき、その人の感覚に寄り添えること。
「増長性」とは、時代の移り変わりに合わせてフレキシブルに振る舞えること、
完璧であるよりも、未完で伸びしろを持ち続けること。
なかなか高いハードルだけれど、さらに、
即物的で現実的な側面をもちながらも、
空想・イマジネーションを具現化できる技術を合わせ持つことが
「男子の魅力」であると言っています。
空想というのはいい言葉、
ビッグなことを思い描いて実現できてしまう人というのは、たしかに凄い!
という男性論ですが、ここに出てくる男達の多くは、
彼女が出会ったことのないひと。
どうして、これらの男達が増長性を持っているなんてわかるのでしょう?
そこで大事になるのが、自分オリジナルの辞書を作ること。
ヤマザキさんは、17歳で絵を学びにイタリアにわたり、
その後、世界中を渡り歩き、波乱の人生を送っている。
その時々の感情に加え、本を読んだり、映画を観たりして得た経験が
自分のなかに織り込まれ、ミルフィーユ状態の辞書ができている。
この辞書を持って想像力を駆使すると、今は生きていない人たちとも
親密につき合うことができるという。
「テルマエ・ロマエ」のようなユニークで魅力的な作品ができる所以である。
「テルマエ・ロマエ」のルシウスが現在の日本に現れたように、
過去の人たちの想いを共有できる、そんな辞書をもつことができたら
どんなに幸せなことだろう。