紙の本
研究者から小説家へ
2018/05/16 16:45
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投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
森博嗣氏の小説家に至るまでの経緯と小説家であり続けることについて書かれたエッセイである。森氏は建築家の研究者でありながらも、なんとなく小説が書けそうだからという理由で小説を書いたという。小説をほとんど読んだことがないと森氏は記述している。そして、まるでバルザックのように、小説家になりたいのならまずはこんな本を読まずに10作くらい書いてみろとごもっともな指摘を行っている。10作くらい書いてダメなら考え直せとという持論を展開している。最近、小説講座や小説の書き方などの書籍があふれているが、本書はそのような書籍を否定しているように暗に主張していると評者はなんとなく感じている。
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「すべてがFになる」でおなじみ、森博嗣さんの本。小説作法のノウハウ本としては異色で、小説を書くテクニックについてはあまり触れられていない。一方で、出版社の現状、編集者とはどんな人なのか……など、作家になってからの生活を垣間見ることができる。このような作家もいる、ということで、作家志望の人が読むと、モチベーションをアップできるかもしれない。
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新書らしく、伝えたいことがわかり易いし、しかも、「まえがき」だけで言い尽くされている。タイトルからも分かるように、「小説家」というのは職業の1つ。そう捉えることができる人には、ごもっともなことが書かれているし、反対に、芸術性や職人性を感じる人には、納得しがたいのでは。
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新刊に森博嗣の本が出ているのを見て、久しぶりに著者のエッセイが読みたくなったので購入。
内容的にそれ程目新しいことはなかった (これまで他の著作で見た事があることが多かった) けど、独自の視点で、論理的に展開する文章が好きです。
ただ、真似は出来ないことが多いですが。
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面白かった。森さんに、小説家という職業に興味がある方におすすめ。本文中にもありますが、小説家になりたい方が「そういったもの」を期待して読むのはおすすめできません。
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森さんの文章を読むこと自体久しく、内容云々よりも「あぁ、森さんの文章だなぁ」という読後感。つまり、私にとって読みやすいと言うことです。
私は個人的に電子書籍はあまり好きじゃないけど、この本を読むと「これからは電子書籍の時代だな」と思わされるよ。確かに、出版業界って余計なプロセスとか多そう。でも紙媒体はなくなって欲しくないから(需要もあるし利点もあるからなくならないだろうけど)、出版社は何かしらのビジネスを行うべきなんだろうね。……本の業界、知らないから何とも言えないけど。
HowTo本と思って手に取った人には面白く読めないかもしれないけど、森さんの小説の一環として読むとこれは面白い本。なんか、文章が素直な感じするんだよなぁ(思ってること書いてたら素直になるのは当然だろうけど)。ヘタすると、昨今のXシリーズより好きかも(笑)
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タイトルにある「小説家」とは、「あこがれ」としての小説家ではなく、「ビジネス」としての小説家です。
相変わらずの森節炸裂。編集者や出版社に対しても毒を吐いています。
純粋に読書が好きで、本が好きで、「小説家になりたい」と漠然と思っているだけの人にとっては、かなりぐさっと刺さる本だと思います。
ただ、この本は小説家という職業の現実を示してもいます。たとえ賞をとることができたとしても、小説家としてのキャリアを5年、10年と積み重ねていくことの難しさ。
「小説家になりたい」と思っている人はたくさんいると思います。その「なりたい」は、「人気者になりたい」なのか「お金を稼ぎたい」なのか…
作家志望の方も、そうでない方も、ご一読をおすすめします。
森作品を図書館で借りて読んでいると、全作品を購入して手元に置いておきたいとよく思うのですが、私はまんまと策略に嵌まっていた訳ですね…
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ノウハウ本というよりも、森さんがどのようにして小説家になったのか、そして小説家になって体験したことのお話でした。
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読んでないで、考えてないで、書きなさい。あとでなんとでもなる。というはっきりした内容。あと出版業界におけるクレーム。
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2011年32冊目。
「アーティスト」としてというより、「ビジネスマン」としての小説家像が強い一冊。
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森博嗣の「小説論」。小説家、だけでなく本に関わる仕事についても記述がある。
出版社、印刷、取次、本屋…、これらの仕事に関わる人間は総じて本好きだという。わたしも本好きで、それらの仕事に興味があった。けれど、本は、レコードやMDのように消えつつある。いくらか先の未来では、電子化が進み本産業はなくなってしまうだろう、というお話。
しかし、小説家と読者はあり続ける。わたしは本をつくる仕事については考えなおすことにして、読者でい続け、そのうち小説家になるかもしれない。
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本屋で立ち読みをし、読みやすかったので購入した。
ハウツー本は好きではない。
確かに基本は大事かもしれないけれど、芸術はその先にあるものが大事なのではと思っていた。
だから、この本は「とにかく書け」という視点でとても共感できた。
職業にするということの意味も、ストレートでいいと思う。何もオブラートに包んで話すことはない。
やりたければやれ、でもやるには作戦がいるんだよ、と。
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この人の短編集を一冊読んだことがあるけれど、さっぱりわからずじまいで、不燃焼のままでした。
ミステリーなのに、結末があやふやなのも、とても居心地が悪い思いをしました。
そのため、ほかの小説を読み進めたいという気にはなりませんでしたが、エッセイ調の本ならば、読めるだろうと、この本を手に取りました。
確かに、文章は物語の文体と比べると普通です。
ただ、内容はかなり異端です。
小説家の仕事は、好きが高じてではなく、完全にビジネスと見做している著者。
全編を貫く、徹底したクールな姿勢に、驚きながら読みましたが、あまりにも偽らない本心が逆に小気味よく、読めました。
おもしろくて、再読しました。
とても割りきった人だということが、よく伝わってきました。
小説は好みではありませんが、こういう考えのもとに作られた作品だと思うと、物語に潜む突き放したような無常観や不条理感も、少しわかる気がします。
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好きな事のためにビジネスとして小説を書く。そうゆう割り切り方は私は嫌いじゃないと正直感じた。すっと脳に届くように計算されたかのような文章で、自分の中のグレーな所がクリアになりすっきりする。
私もこうゆう風なクリエイターになりたい。
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「小説を書く」ということを文芸、芸術的な側面から離れてビジネスのひとつとして捉えているところ本書のユニークな点。理系の学者と作家の二足のわらじを履く著者ならではのバランス感覚であろう。いわゆる「小説ファン」でない事が彼の持ち味であり、そうした視点を持つことで小説家への道はより現実的になるという。実用書の趣で始まる本書はやがて「小説」というものの本質的な価値を問う事になり、なかなか興味深い。新しい小説家像が見えてきた。