一家に一冊というよりぜひ手元に置いておきたい文庫版サイズのお値打ちレファレンス本
2012/04/23 13:39
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投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本だけは絶対に自分で買って、手元に置いておくことをつよくすすめます。それだけ内容豊富な値打ちのある文庫本です。単行本の文庫化ではなく、最初から文庫本のフォーマットで作製されたものです。
『知って役立つキリスト教大研究』というタイトルで新潮Oh!文庫から2001年に出版されたものの増補改訂版です。わたしは旧版の時代から手元において、じつに重宝なレファレンス本としてつかってきましたが、このたび増補改訂版として朝日文庫から再登場したのは、たいへんありがたいことです。さっそくbk1で新版も購入しました。
キリスト教は基本的に一つの宗教ですが、それぞれの宗派で礼拝内容や用語が異なりますので、キリスト教としてひとくくりにできないのもまた現実なのです。カトリックもさまざまな会派がありますが、プロテスタント諸派はあまりにもその数が多い。この本のように索引(=インデックス)が完備した本は、「事典」として使いやすいだけでなく、読み物としてもたいへん興味深いものとなっています。
著者は、本人も認めている「キリスト教オタク」(・・世の中にはそんな人がいるんですね!)。本人はキリスト教徒ではないそうですが、だからこそ客観的な姿勢がとれるのかもしれません。しかも、著者本人が大量にイラストも描いており、読んで面白い内容の本にもなっています。キリスト教用語事典としては、日本語だけでなく対応する英語も銘記されていますので、たいへん役に立つ内容になっています。
調べ物する際や英文和訳に役立つだけでなく、じつによくできた「読む事典」になっています。すぐに読まなくても、まずは買っておいて、聖書と一緒に机上に備えておくことといいでしょう。千円札一枚で買える文庫本にしては、間違いなく販売価格の十倍以上(!)のお値打ち本です。ぜひおすすめします。
資料としては便利
2018/04/16 06:42
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投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「知って役立つキリスト教大研究」の加筆修正版。
かなりの量加筆されているので、「知って役立つキリスト教大研究」をお持ちの方でももう少し詳しく知りたいのなら買っても良いと思うし、キリスト教に関する資料を初めて買うと言う方にはこちらの方がお勧め。
少し物足りない部分や少し不明瞭だなと言う部分は若干有るけれど、ほぼ初めて触れるのには丁度良い情報量だと思う。
キリスト教の門外漢には、最適なガイドブックですね。
2017/04/22 15:17
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投稿者:楓 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先ず、著者の八木谷涼子女史並びに発行所の朝日新聞出版には、「よくぞ出版なさって下さいました!!!」との感謝の一語に尽きます。
その理由は、例えば同書を読んで初めて「プロテスタント教会」のクエーカー(フレンズ)・バプテスト・メノナイト系・会衆派/組合派・改革派/長老派・救世軍・ペンテコンテ派・メソジスト・聖教会(アングリカン教会)・ルター派(ルーテル教会)等のそれぞれの特色や他教派との相違が理解,把握出来ましたので...。
更に、キリスト教全般に疎い状態の私には、正しく痒い所に手が届くが如く、日頃疑問に思っておりました事柄が、平素な文体にて分かり易く解説されておりましたので...。
そして、一般読者向けにこれだけ様々な視点・観点からこれ程詳しく平素な文体にてキリスト教を解説されております書籍は、私が知る限りではございませんので...。
以上の様な次第で、多少なりとキリスト教に対してご興味を抱かれた皆様には、是非同書を今後のご参考になさって頂けたら...と、個人的には思う次第です。
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投稿者:アブラハム77 - この投稿者のレビュー一覧を見る
安価な本ですが、内容はとっても充実しています。
この本が2001年に発行されたときは、
「知って役立つキリスト教大研究」でしたが改題されました。
こんなに安価な本が多くの人に読まれ、
もっとキリスト教が理解されることを願います
この本を読んで教会に行かれたら、
説教が良く分かると思います。
宗教家と言われる方の必読書です。
次は日本のプロテスタントの教会の解説を
2012/09/13 18:28
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投稿者:md95 - この投稿者のレビュー一覧を見る
旧教と呼ばれる「カトリック」「東方正教」は、国による差異は少なく、理解しやすいのだが、一方「新教」のプロテスタント教会は、数が多すぎて、違いが多すぎて判り難い。
大まかにマルチン・ルターのルーテル教会、ツヴィングリ&カルヴァンの「改革派」教会、エリザベス一世の父・ヘンリー八世が妻と離婚したいがために、カトリックをやめて作ったイギリス国教会(聖公会)がある。
問題は「改革派」だ。それぞれ主義・主張によって分派し、数多くの教会がある。
この本では、欧米の教派をもとに解説しているのだが、さて日本では戦時に日本基督教団が作られ、プロテスタントのキリスト教会は、合同された。
戦後になって、日本基督教団(通称・日基)から離脱するもの、残るものがあって百花繚乱・テンデンバラバラの感がある。
特に、それぞれの教義に差異がある日基に残った教会には、この本の西洋の教会・教派とは、同じ流れとはいうものの、組織・形態に違いが出てしまっている。
その日本化したプロテスタント教会について、解説してくれる本を著者に望みたい。
不思議なことに、日基に属する教会では、改革派・長老派の流れの教会に、自由メソジスト派の牧師が赴任する、などという事が起こる。
このわかり難さ、分派・独立教会派の多さが、日本のプロテスタントの現状だ。
この本では、ご近所のプロテスタント教会は、さて、どの流れの教会なのかを判別する手立てには、ちょっとなり難いと思う。
知識として読むにはよい本なのだが、そこだけが残念。
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投稿者:フィン - この投稿者のレビュー一覧を見る
調べものに最適というコメントを見て購入したのですが、いまいちよくわかりません。もっと歴史的背景とかがあるといいのかなぁ。ということは、私の基本知識が足りなさすぎということなのでしょうが。。。カラーイラストなど、わかり易い配慮がされています。
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キリスト教宗派の教えや儀式の違いがよく分かる。索引も立派なので事典として使える。牧師さんやシスターへのインタビュー等も掲載されていて、イラストも豊富で、キリスト教を理解する為にとても役に立つ一冊。
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「知って役立つキリスト教大研究」を読んだときも、そのわかりやすさと情報量に正直驚いたたけれど、今回も増補改訂版ということで楽しく読めた。
増補改訂版としては、イラストを全面改訂、誤りなどを訂正したと書いてあった。なかなか良い本なので、旧版とともに置いておいて、事典として使えるなあと思う。
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ノンクリスチャンの「教会ウォッチャー」八木谷涼子さんによる『知って役立つキリスト教大研究』(新潮OH!文庫)が、50ページほど増補し、480ページを超える大著として生まれ変わった。
『知って役立つ~』は2001年の発行以来、十刷まで版を重ね、初心者にもわかりやすいキリスト教の入門書として広く読まれてきた。受洗者には聖書のほかに同書を贈呈する教会もあるという。
今回の改訂にあたっては、「十九世紀のアメリカで生まれたグループ」としてセブンスデー・アドベンチスト、エホバの証人、モルモン教、クリスチャン・サイエンス、「日本で生まれた」グループとして無教会の記述を追加。
実際の礼拝へ足しげく通うなど、地道な取材の成果が随所に結実している。この10年で変化のあった世界の教会情勢にも対応し、最新の情報に更新。イラストもすべて書き直したという執念たるや、アッパレとしかいいようがない。信徒ではないからこそなしえた〝偉業〟なのだと改めて思う。(松ちゃん)
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こんな教会もあったの?!と驚かされました。こんなに一杯あったのではどこに行くべきかますます悩んでしまうのではないでしょうか。特定の教会の事をもっと深く知りたいのなら、巻末の方にある参考文献リストを頼りに読んでみるといいと思います。
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http://www32.atwiki.jp/fushiginakirisutokyo/pages/16.html
ここでこの本について知りました。
読み物というよりは文字通り「事典」的な書籍です。
キリスト教のさまざまな教派についての説明がなされています。
ローマ・カトリックは勿論のこと、世界史で出てくるルター派、東方正教会、ニュースなどで時折話題となる福音派、エホバの証人などまで網羅されており、全体像を掴むのに適しているのではないかと思います。
それに加えて、各教派に関連した作品、参考図書、膨大な文献リストがあるのが優れている点だと思います。キリスト教について深く掘り下げて理解していく際の足がかりとしても有用ではないでしょうか。
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[教えの前に]「神父と牧師ってどう違うの?」、「カトリックと正教会とプロテスタントって具体的にどう違うの?」、「イースターって何の日?」など、キリスト教についての基礎的な情報・知識をわかりやすくまとめてくれた一冊。教えの内容よりは、行事や教派、服装などの外形的な点に焦点を当てた内容となっています。著者は、英国貴族の称号ルールについての興味が尽きないというフリーライター、八木谷涼子。
信仰や救いということではなく、まずは知識としてキリスト教を知りたいという方にオススメ。なんとなく知っているつもりではあっても、具体的には知らないという諸点について、Q&A形式も絡めながらわかりやすく解説してくれています。著者自身もクリスチャンではないとのことで、特定の派に偏って記述がなされていない点も、非クリスチャンの方にとっては非常に読みやすくなっているのではないでしょうか。
特に各教派についての解説は、それぞれについて歴史や運営制度など分野ごとに解説されており、何がどう違うのかをはっきりと示してくれています。参考文献や関連サイトについてももちろん充実していますので、キリスト教についての学習を深めたい方は、まずこの作品を手に取ってみるというのも良いのではないでしょうか。
〜あくまで平易な「ガイド本」として、冒頭にあげたような素朴な疑問を解きほぐし、キリスト教圏の文化の理解に役に立つ基礎情報を提供すること、それが本書の目標だ。〜
ありそうでなかなかない良い作品☆5つ
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カテゴリ:図書館企画展示
2017年度第7回図書館企画展示
「大学生に読んでほしい本」 第3弾!
本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。
山田庄太郎講師(哲学科)からのおすすめ図書を展示しています。
展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。
開催期間:2018年1月9日(火) ~ 2018年2月28日(水)
開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース
仏教に天台宗や臨済宗などの宗派(教派)があるように、キリスト教にも様々な教派があります。カトリックやルター派、聖公会などは有名ですが、たとえば正教会の名前を聞いたことはあるでしょうか。各教派の歴史から、日常生活における細かな習慣まで、本書はキリスト教に関する素朴な疑問を、イラストをまじえながら分かりやすく解説したガイドブックです。キリスト教に関心がある人はぜひ手にとってみてください。
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自称「キリスト教オタ」による解説。いろいろ知らないことだらけでおもしろい。偉い。T.E.ロレンスの研究者らしい。
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キリスト教って何なのか?知っているようでいまいちよくわからない。ちょっと勉強してみたい。そんな方は結構いるのではないでしょうか。
私の場合、興味の始まりはユダヤ陰謀論(笑)。そして世界史で十字軍やビザンチン、そして米国史を学ぶうちにキリスト教についても興味がわき、さらに文学作品を渉猟するにあたり、どうもキリスト教内部でもいろいろあるらしい、と気づきはじめました。
キリスト教を包括的に学ぶのに何かいい本はないかとネットで調べていたら、とあるサイトでお勧めにあったのがこちらの作品。
で、読んでみましたが、非常にわかりやすかった。この人は一体何者か?とむしろ筆者の素性が気になるくらいよくご存じで。
一番の特徴は宗派についての概要を具体的かつ簡潔かつ網羅的にまとめている部分。具体的に書きますと、東方正教会、ローマ・カトリック、ルター派、聖公会(アングリカン)、改革派・長老派、改宗派・組合派、バブテスト、メソジスト、ペンテコステ派、メノナイト系、クエーカー、ユニテリアン・ユニバーサリスト、救世軍、福音派、その他いわゆる新宗教に分類されるような宗派も。筆致も柔らかく、詳しい友達に教えてもらっているかのようなフランクな語りで、直観的なわかりやすさがあります。いろいろ違いがあり、また色々互いにいがみ合ったりもしてるらしく、そういうこともきちんと教えてもらえます。
そのほか、典礼の服装のイラスト(どうやらご自身が書いていらっしゃる様子)やキリスト教の習慣についてとか、シスターや牧師さんとのインタビューとか、なかなかお目にかかれない方々の経験談も非常に興味深いものでした。
読んでいてへー、と感じたのはオートミールの話。よくある”Quaker Oats”は別にクエーカーが創始者であったわけではなく、「純正品にふさわしい」として、いわばイメージとして採用されたとのこと。つまりクエーカーって、誠実・純正・嘘偽りのないとか、そういうイメージなのでしょうね。
また東方正教会の記述にこんなのがありました。
「地域や民族全体、あるいは家族の宗教という側面があるため、自然体の信者が多い。信仰とは頭だけのものではなく、生活そのものともとらえ、完成を駆使して神に向き合う。(P.49)」
わたしはこれを読んでいて、なんだかアイヌのことを思い出しました。あまねく自然を調和的に司る神。神がリズムを刻むことで人間も生かされている、というようなホーリスティックなテイストがキリスト教にもあるのかもしれないとふと感じた次第です。
・・・
以前世界史の講義で、世界人口の約3割がキリスト教徒という話を聞きました。世の中グローバル化だとかコミュニケーションとか色々言う割に、世界の人々のバックグラウンドについての理解が足りないんじゃないかと自省しております。
実質的無宗教の方が太宗である日本にあっては宗教の理解はそこまで必要ではないかもしれません。しかし、私たちもひとたび日本国外へ踏み出せば、文学作品でも多くの宗教的バックグラウンドをもとに書かれた作品、また実際に多くの宗教者・宗教家に出会うことになります。
そうした自分とは異なるものの理解への一歩として本書は非常なる有用さを持っていると断言できる本でありました。