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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦前の奉天総領事時代から戦後の吉田内閣退陣まで、吉田茂の政治姿勢を描きつつ、戦前を中心に時代背景も解説している。吉田茂がGHQによる様々な体制変更を、主権を奪われている間の一時的なものと考えていたなど、とても興味深い内容だった。
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉田茂の戦前からの考え方や動きが戦後にも継承されていることや今の日本が吉田路線で動いていることの意義など面白かった
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吉田は世俗的な栄達には興味がなかった。なぜなら11歳にして莫大な財産を引き継いでいたから。だからリベラル。傍流でも気にならなかったのだろう。この敗戦、悪くはない。日本はアメリカに敗れて屈辱的にならずに徹底して戦ったのが吉田と白洲。
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学習院大学法学部教授(日本政治外交史)の井上寿一による吉田茂の評伝。
【構成】
序章 昭和のなかの吉田茂
第Ⅰ章 大陸の嵐のなかで
第Ⅱ章 政党政治と外交-外交優位の体制を求めて
第Ⅲ章 危機の時代の外交官=吉田茂
第Ⅳ章 復活を期して
第Ⅴ章 戦前を生きる戦後の吉田茂
第Ⅵ章 占領下の<自由>
第Ⅶ章 敗戦国の<自立>
終章 「吉田ドクトリン」のゆくえ
著者は『危機のなかの協調外交』『日中戦争下の日本』『昭和史の逆説』など昭和戦前期の外交史研究で知られており、前半の3章は外務官僚・吉田茂の対中国政策について、政友会、民政党、軍部を交えて描かれている。様々なチャネルによって行われていたこの時期の対中外交が要約されている。
ただ、戦後を扱った後半4章は不味い。一応時系列にはなっているものの、前半で転回されていた「外交」は話の合間にしか登場せず、敗戦によって混乱する社会世相に紙数が割かれている。これならタイトルに吉田茂を冠しなくてもいいだろう。
戦後占領期の外交はアメリカ政府・軍部の対日・対アジア戦略抜きに語ることはできないにも関わらず、日本国内の話ばかりで見通しが悪い。朝鮮戦争について全く言及されていないのには驚きを通り越してあきれるばかりである。
また、終章の「吉田ドクトリン」賞賛についても、近年の「吉田路線の再検証」という戦後日本外交史研究の潮流を踏まえた上で書いているようには思えない。
本文中に何度か登場する古川ロッパ、山田風太郎などの文化人の日記も当時の世相を表す言説としてやや興味をそそられたが、引用すべき必要性があるのかは疑問である。
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[ 内容 ]
「自立」か「協調」か、「自由」か「統制」か-歴代首相の立ち位置は吉田との政治的距離で決まっている。
今の日本政治は昭和の歴史から何を学ぶべきか。
[ 目次 ]
序章 昭和のなかの吉田茂
第1章 大陸の嵐のなかで
第2章 政党政治と外交-外交優位の体制を求めて
第3章 危機の時代の外交官=吉田茂
第4章 復活を期して
第5章 戦前を生きる戦後の吉田茂
第6章 占領下の「自由」
第7章 敗戦国の「自立」
終章 「吉田ドクトリン」のゆくえ
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吉田茂になんとなくひっかかって、職場の本屋の平積みから購入。
井上氏の政治家の分析軸、横軸は経済軸で自由と統制、縦軸は、国際軸で協調と自立。
吉田は、自由で協調。例えば、岸は、自立で統制(満州の革新官僚ですから)。
最近の政治家では、小泉さんは、自由で協調。麻生さんも自由で協調。安倍さんは、自由で自立。
そう思って分析してみると、民主党の総理は、どういう軸で分類されるのかはっきりしないな。鳩山さんは国際軸は自立で、経済軸は統制かな。菅さんは経済軸、国際軸とも不明。野田さんは、経済軸は自由か?
要は、経済軸は、市場の自由を大事にするかどうか、国際軸は、日米安保を大事にするかの軸だから、政治家は誰でもはっきりしなければいけないと思うが、そこがあいまいになってきている、というか気色を明確にしないのが最近の政治スタイルのような気がする。
その他、初めて学んだ点。
(1)国際連盟の脱退直前、イギリスは、日本とシナが直接交渉をするという妥協案を提示し、松岡氏も吉田氏もこれにのったが、外務省が反対した。(p99)
(2)吉田第二次内閣の組閣の際、占領軍民政局は吉田首班に反対したが、吉田がマッカーサーと直接会って話しをして、吉田首班を認めさせた。(pp195)
いずれにしても、日本占領下での日本の政治家たちの、苦労には頭が下がる。主権を持たない国はいかに制約を受けるか。万が一、日本が、IMFの支援を受けることになれば、財政金融政策もIMFにお伺いを立てなければいけなくなる。
その苦しさを知ることは、現時点での健全な国家運営のためにも必要だと思う。日本は絶対、ギリシアのようになってはならないと固く誓う。
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吉田茂の評伝。吉田茂の政治的活動について、戦前からよくまとまっている。特に現代との関連性を意識させる記述は新鮮。
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地元の図書館で読む。吉田長期政権は、占領軍とのバランスです。占領軍に反抗すれば、追放されます。迎合すれば、国民の信頼を失います。吉田茂は、そのバランスを取りました。
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「昭和史の再現」との意気込みを持った本であるが、内容に新しい視点はさほどないように思えた。
「吉田茂」の生涯を本書で追うと、まさに昭和戦前期から戦後史を網羅していることがわかるが、本書で初めて知ったというような事実はほとんどない。
本書は「吉田茂」と「日本」がたどった道をたんたんと描いているように読めるが、「考察」という視点でみるとちょっと「浅い」のではないかとも思えた。
戦前・戦後の激動期を描いているにもかかわらず、読後にあまり感慨を覚えないということは、歴史書としてはあまり評価できないということではないか。
総括的な歴史の知識を得られるという点は、間違いのない歴史書ではあるが、ちょっと物足りない。
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「吉田茂と昭和史」 井上寿一
ごく簡単に読める吉田茂の評伝。戦前の中国、イタリア、イギリスでの吉田の行動と思想、戦後との一貫性については始めて知ることが多く新鮮だった。
戦後の吉田による"軽軍備・経済重視"の経緯はある程度知っているつもりだったが、連立政権の枠組みを何度も繰り返しつつ粘り強く政権運営をしていたことは新たな発見だった。同様の粘りを占領軍に対しても行い、それにより沖縄の永久の国連信託統治を免れていたことも感銘を受けたし、いまの停滞する政治にも十分に参考になるかと思う。
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吉田目線の昭和史であり、吉田に対する批判的な検討はない。それを受け入れて読めば得るところもあるが、全体に単調で薄味という印象。