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多少の違和感あり
2009/01/12 11:37
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
天国までの百マイル 浅田次郎 朝日文庫
病気で死んでしまうかもしれない母親と、放蕩息子の会話が絶妙で胸にジンとくる。とくに母親のセリフがいい。貧しい中で勉学に励み富を得るという、中高年世代にとっては経験のある人が多いことなので説得力がある。
惜しいのは、後半部分で、ふたつの物語が合体しているような印象を与えること。接着剤でくっついているようです。作者の体調が悪くなったのか、心に変化があったのか。主役が、主人公から主人公を支えてきた水商売の女性に取って代わっています。宗教色とあわせて、不自然です。
もしかしたら、違う結末が別に用意されていたのかもしれません。
面白い!
2015/11/21 09:31
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
天国というか、死者をテーマにした小説にはいくつかありますが、これはその中でもとても面白い作品だと思います。森絵都氏の「カラフル」とも共通性はありますが、他方でまた違ったユニークさが、この作品にはあります。ぜひ、ご一読を!
なぜこんなにも、涙が止まらないのか。
2002/07/17 16:38
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投稿者:司既 敬 - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅田さんの作品では、「鉄道員」同様、映画化された作品なのでご存じの方も多いはず。しかし、映画には映画の良さがあるように、本にも本にしか出せない良さがあります。私は本当に(いや、冗談じゃなく)読んでて涙が止まりませんでした。主人公は本当に「情けない」の固まりみたいな中年男なんですが、この男を必死に支える水商売の「まり」はとても、いい女で、どちらかとゆーと、まりのいじらしさに涙が止まりませんでした。「映画みたからもういいや」と思っている人でも、だまされたと思って、読んでみてください。必ず涙しますから。
つべこべ言わずに釣られてみ?
2001/04/04 16:24
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投稿者:プラム - この投稿者のレビュー一覧を見る
とりあえず泣かされる。3分の1くらいから、マスカラの滲んだパンダ顔で読むハメになる。いろんなことがつぶさに効いて、感情の糸に引っかかるのだ。
主人公の周りの全てのこと(母、マリ、兄弟、家庭、友人、医師のこと等々)出てくる状況ひとつひとつにグラングランに揺さぶられてしまう。まさに作者の「思うツボ」である。
冷静に考えると、結局うまくいき過ぎてる(やはり小説)気がするし、それぞれのエピソードも、昔どこかで聞いたような、観たことあるような感動話が大集合したような気がしないでもないけれど「それがどうした!」そんなの全くどーでもよくなってしまうのだ。そして読んだ後の爽快感、これが実にいい。
クサイの何のとつべこべ言わずに、まずはこの涙のコテコテスープにどっぷり浸かろう。色や形の異なる、様々な人の愛を嗅いで、味わうがいい。飲み干したあと、家族、周囲にいる人たちのこと、これからのことなど、ガツンと真正面から受け止めて、考えてる自分がいると思うよ。
小説として楽しめる上、いろんなことを感じ、考えさせられてたったの476円。安い。ここはひとつおバカな魚になって、釣られてみるべし。
一気に読ませる筆力は見事
2001/03/04 21:48
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投稿者:廣田道 - この投稿者のレビュー一覧を見る
うまい。とにかく、この人の筋立てと読み手をうならせる勘所を捉えた表現は見事としか言いようがない。何気なく手にした本だが、読み始めると途中で止められない。
小説を読む時、多くの読者は登場人物の中に自らの境涯をなぞらえながらページを繰る。昨今の不安定なサラリーマン生活では内外ともに悩みは尽きない。読み進むほどにふと、考えさせられ、時に得心する。
著者が小説の中で読者を「はっ」とさせるような至言をさりげなく語るのはよく知られている。懸命に母を救おうとする主人公は、ある時、「忙しいふりをして、(おふくろのことが)面倒だった。」と、早死にしたまぼろしの父に語る。父は、「それでいい。親を面倒だと思うくらい自立していたんだ。おかあさんはよくわかってたはずだよ。」と応える。これ以下の2人のやり取りは、切なく、そして熱い。
中高年層の、とりわけビジネスマン諸氏には30年ほど前のPPM(ピーター、ポール、マーリー)の歌を思い返しながら、ひょっとしたら、「失われているかもしれない」この10数年間のそれぞれの「家族」に思いをはせるのではないだろうか。