我が国の民俗学を牽引してこられた柳田国男氏の代表作です!
2020/05/24 10:02
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国の民俗学を牽引してこられた柳田国男氏によって明治43(1910)年に発表された作品です。同書は、岩手県遠野地方に伝わる逸話、伝承などを記した説話集で、遠野地方の土淵村出身の民話蒐集家であり、小説家でもあった佐々木喜善氏より語られた遠野地方に伝わる伝承を著者が筆記・編纂する形で出版されました。実は、同書は『後狩詞記』及び『石神問答』とならぶ柳田国男氏の初期三部作の一作として有名です。同書は、現代口語訳で非常に読みやすくなっています。ぜひ、一度、お読みいただきたいと思います。
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
遠野物語が、わかりやすく口語訳されていて、読みやすくてよかったです。伝説、民話の世界に触れられて、楽しめました。
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投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
荻原浩さんの『逢魔が時に会いましょう』や、三浦しをんさんの『神去なあなあ日常』を読んでいたら、やはり原点に戻ろうと。ただ、学生時代柳田国男の「原作」は読みかけて挫折しました。そこで今回注釈も丁寧な口語訳版で読み直し。純朴でもあり、過酷でもあるかつての遠野の人々の暮らしを、今度は思い描くことができました。そういえば原作はどこにあったっけ。
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発刊100年を経過し、いまなお語り継がれ読み続けられている不朽の名作『遠野物語』。柳田国男が言い伝えを採集し簡潔な文語でまとめた原文を、わかりやすく味わい深い現代口語文に。
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『遠野物語』で検索したら沢山出てきたのですが、原典は私に理解できなさそうな気がするので、わかりやすい口語訳のものを選びました(あとがきには、原典の文体だからこそ『遠野物語』は素晴らしい、というようなことも書いてあったけど・・・)。
注釈が多く、それを確認しながら読み進めるのは最初面倒でしたが、一つ一つのお話は短いのでなんとかなりました。
『遠野物語』って昔話だけど、そんなに大昔のお話というわけではないんですよねぇ。
山男や天狗、河童や座敷わらしなどの存在が身近だった生活・・・。想像すると、不思議な気分になります。
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原文が難しい遠野物語を口語訳していただいたお陰で読みやすく、同じ日本の国の話なのに異国の昔話のような不思議な感覚に陥ります。注釈がわかりやすく、かつ原文や柳田氏の考え方を尊重しているため臨場感があります。かなり読みやすいので、これから遠野物語を読んでみたいという人にはおすすめです。どんどはれ!
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さすがに原文をいきなりは厳しい。物語調の印象を崩さす、素朴な話が口語文で読める。とても読みやすいので読み通すには最適。脈絡があるようなないような不思議な話が多く面白かった。
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理不尽や不条理を噛み砕いて飲み込もうとする時にオカルトとかスピリチュアルな物語を作り上げてしまうのは人間の性というか、生まれ持った知恵なのかもと思った。宗教とか神様とかもそうだし。
オカルトとかスピリチュアル、つまり「天狗の仕業じゃ!」って言われたら、かつては納得するしかなかった訳で。天狗の仕業じゃ仕方がない。仕方がないはずなんだけど、今じゃ誰も納得しないし許してくれない。論理的に、あるいは科学的に、原因を追究せずにはいられない。謎を謎のままにしておくことができない。そして無理にでも現実の何かの、誰かのせいにしてしまう。天狗の仕業、つまりオカルトとかスピリチュアルのせいにしたら相手にされなくなる。さびしい。
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岩手県、遠野地方に伝わる昔話を集めた話。
どこか懐かしさを感じる昔話あった山男、妖怪、日本狼や不思議な話が語られる。彼らどこに行ってしまったのだろうか?
【柳田国男】
「日本人とは何か」その答えを求め、日本列島各地や当時の日本領の外地を調査旅行した、日本民俗学の開拓者。
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原文では理解しにくい遠野物語を口語訳で内容をわかりやすくしているのはとてもありがたい。
山男や天狗、狐、産鉄族、遠野に根付く神々にまつわる伝承が一つ一つ興味深く、「ありえないなんてことはない」という妖しげな浪漫に満ち溢れている。
実際、東北の山々は人間が知り得ない未知の世界が広がっているのでは?と感じてしまうほど広大で深く、明治期という近代にあってもこのような話が起こることに違和感はない。死者の霊や妖怪のような存在、神々への畏怖が背景にはあるはずであり、そういった意味でやはり民俗学は面白い学問だと思う。
遠野物語、イーハートーブ、吉里吉里人と独特の世界観を生み出してきたこの土地の摩訶不思議をぜひ読んでいただきたい。
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遠野物語を現代人でも分かりやすく、楽しく読めるようになっている。原文もいいがこのように親しみやすい口語訳も重要だ。
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知っている地名ばかり出てくるので遠野物語の時代から山は動かないんだなと思うと感動する。
掲載されている話はよくある東北の昔話だから、地元民としては懐かしい感じ。
鹿踊りのほめ唄はよく聞くアレなのか?とにかくもう一度読まなくては!
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遠野物語という名前自体は有名じゃないでしょうか。
ただ、どんな内容なのかを全く知らなかったので読んでみた。
柳田國男の名前も有名ですね。文系じゃないので学校で教わった記憶は無いが、
柳田國男を引用している本は何度も読んだ記憶がある。
じゃあ柳田國男著の本を読んだことがあるというかと、ないんだよねこれが。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/472425881.html
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学生時代に民俗学の講義を受けてからというもの、遠野物語や、各地に纏わる伝奇伝承を調べています。
こういった民俗学のはしりとなったのが、この遠野物語です。
もっといえば...
子供の頃に「あこには行ってはいけないよ」とか「何時から何時のうちは、家から出てはいけないよ」とか、子供の頃親等から言われたことのない人は、いないと思います。
そういった感じのものを集めたものがこの本です。
何故そう言われるようになったのか、自分の地元のこと少し調べてみると、楽しいかもしれませんね。
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本書は、民俗学者・柳田国男が発表した『遠野物語』を、岩手県遠野に生まれ、遠野市内の小学校校長を務めた佐藤誠輔(1928年~)氏が口語訳したものである。1992年に初版、2013年に改訂新版が出版され、2014年文庫化された。
柳田国男(1875~1962年)は、兵庫県に生まれ、東京帝大卒業後、農務官僚、貴族院書記官長等を務める傍ら、全国各地を訪れて民俗調査を行い、日本民俗学の祖と称される。
『遠野物語』は、遠野地方の民話蒐集家・小説家であった佐々木喜善により語られた遠野地方に伝わる逸話・伝承を、柳田が筆記・編纂し、1910年(明治43年)に発表されたもので、日本の民俗学の先駆けとも称される作品。その中には、ザシキワラシ、河童、神隠し、姥捨てなど、現代の我々もしばしば口にするキャラクターや事象が登場し、また、神への畏怖と感謝、祖霊への思いなどが通底しており、日本人の死生観や自然観が凝縮されていると言われる。
私は以前より、本作品を一度は読んでみたいと思いつつ、原本の文語体がハードルとなっていたのだが、今般たまたま口語訳の本書を見つけ、通読することができた。尚、本作品はその文語体に趣があると一般に言われるが、民俗学者・赤坂憲雄氏は解説で、「『遠野物語』の文体はいかにも特異なものだ。それは、柳田が周到な文体研究の果てにつくりあげた、いくらか奇妙な文語体であった。」、「『遠野物語』の文体は、遠野の語りの世界からはまるで隔絶したものであった」、「佐々木喜善によるいかにも訥々とした、遠野方言の語りをひとたび脱色し、消去したうえで選ばれた柳田の文体」と書いているのは、ある意味興味深く、また、会話文のみ遠野方言で表し、そのほかは口語訳した本書に、新たな価値を与えていると言えるのかもしれない。
いずれにしても、「日本人の死生観・自然観が凝縮されている」作品を知る上で、手に取り易い良書といえるだろう。
(2021年3月了)