「親が絶対」ではいけない
2015/10/19 12:58
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投稿者:ぴー - この投稿者のレビュー一覧を見る
親が貧困だと、子どもが満足な教育を受けられず、学歴社会で差別されます。
特に、施設で育った子どもはまともな就職先がありません。
貧困でなくても、子どもの教育に出費するのが大嫌いな親、子どもの才能をねたむ親、子どもの進路指導を誤る親はいくらでもいます。
この国に、救済手段がないのが情けないです。
保育と貧困という新しい視点
2014/11/29 14:01
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投稿者:みゆき - この投稿者のレビュー一覧を見る
データ重視の本です。
保育と貧困との関連性を書いたのは初めての本ではないでしょうか。
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考えさせる数字が列挙されており、説得力がある。解決策も示唆的。
・ここ25年を見ると、子どもの貧困率は好景気によって好転するものではない。
・日本はシングルマザーが就労している率がOECD中で一番高い。
・日本の父親の場合、平日子どもとふれあう時間はないが、収入によって休日ふれあう時間が変わる。
・妻が主婦の場合の方が、共働き世帯よりも貧困率が高い。
・高卒の親の子どもの貧困率は22%、大卒は8%。
・どうして国立大学の授業料だけで国際比較するのか?日本は75%が私立。しかし、先進国は私立大学はほとんど存在しない。
・国保の保険料は、応能負担と応益負担の部分があり、逆進性がある。
・(家庭の貧困に関する怒りや恥ずかしさを)外ではなく、自分自身に向かってぶつけている。自己評価、自己肯定感を下げている。
・扶養義務について、イギリス、フランス、スウェーデンでは、夫婦間と未成年の子どものみ。ドイツは成人後の親子間で扶養義務があるが、年130万円以上の資産があるばあいのみ。兄弟姉妹間はない。
・家族は子どもを育むが、貧困の解決を家族に求めてはいけない。
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山野良一『子どもに貧困を押しつける国・日本』光文社新書、読了。6人に1人の子どもが貧困状態の現代日本。本書は児童相談所に勤務した著者が、報道では見えにくいその実態をデータと共に伝える。子どもたちの肉声も収録。その現状を知る最初にして最良の入門書。「他人は関係ない」ではすまされない
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親の経済的困難が子どもに及ぼす影響として、不健康、虐待、親の長時間労働、ストレス、心身の未発達、無力感・ボイスレス、親族・近隣から孤立、不十分な衣食住などが挙げられる。大人の貧困は見えやすいが、子どもの貧困は親に隠れて見えにくい。文化的な資本の不足なども起こって、小さい頃に触れるべき教養も受けられない。
貧困問題は色々な見方や考え方が存在し、多角的に考察することが大事だ。
日本が先進国の中で子どもの貧困率が高いという指摘に驚いた。実は6人に1人が貧困だという。何をどこまで貧困というかの基準もちゃんとあって、世帯の家族構成人数や総所得、生活で使える金額などを計算し、基準となる貧困のラインを割り出していく。その結果、日本はその定めた基準から大きく下回る貧困層がたくさんいることがわかり、実は日本は子どもの貧困大国と言えるイタリアよりも深刻であることが見えてくるのである。
景気がよくなれば貧困層もなくなるという考えは幻想で、バブルの時でさえ貧困率は上昇していた。2012年には子どもの貧困率が全体の貧困率を上回る。この原因が、長い間シングルマザーのせいにされていたことは気の毒だなと思う。
日本は子どもに対する現金給付が低いことでも有名で、国の政策自体が子育てに後ろ向きなのがよく分かった。
教育なについても、日本は子どもの教育をほぼ自費でなんとかしてくてはいけなくて、授業料は無償でも、学校納付金などは自己負担だという。
確かに、研修旅行費、部活動費等は自費だ。今は海外に研修に行く学校もあるので、研修旅行だけでも積立金は10万弱。お土産代やその場での交遊費も合わせればもっと跳ね上がる。体育会系の部活に入ればユニフォーム代や試合の度に交通費がかかり、部費は毎月一万円。これはかなりきついなと思った。
また、保育士不足が叫ばれる昨今、どのように幼保が質を保っていくのかという問題にも言及。この質の良い保育園に入れるのも、結局は費用の問題に帰結していく。幼少期の教育は何よりも大事なのに、貧困が子どもの情操教育の場面を奪ってしまう。
幼児教育が上記の様相を呈している上に、大学も日本は入りにくい。難易度ではなく学費が問題なのだ。学費を支出するのは親の役目だとしている現在は、極端に言えば、どんな家に生まれ落ちるかによって、子ども・若者の将来や人生が左右されるような社会を是正することに繋がらないかと著者は指摘する。
生まれ落ちた環境で一生が決まってしまう。
子どもの貧困対策の推進が法律で制定されてはや2年が過ぎようとしているが、この貧困をどこまで食い止めることができるかが今後の課題だ。
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2015.6.11読了。
新聞などで、子供の貧困が深刻化していることを見聞きしたので、より多くの情報に触れたいと思い手に取った。
本文中にも「家制度に胡座をかく」といった表現が出てきたが、やはりここにたどり着くのか…と妙な既視感があった。子育て世帯の孤立、貧困など、家族の問題は表面化しにくいというけれど、それはそもそも、様々な責任を家族に押し付けすぎているのだと、私も著者に同感である。
もちろん、家族がセーフティネットの「最後の砦」として機能するのも理想ではあるが、ではそういうセーフティネットをもたない子供たちをどう救い出せばよいのか。最後に「希望」として紹介された地域の取り組みが、もっともっと広がってほしいと思った。
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自分自身が貧困家庭で育ち、学歴を得て今では社会階層を登った身としては複雑な感想だ。学部に入学した時の国立大授業料は20万、4年後の大学院は40万。大学院はさすがに学費が捻出できなかった。授業料免除の恩恵を得たのと、毎晩のアルバイトで辛くも卒業できたが、授業料免除は誰もが使える制度ではなく、貧乏人が高等教育を受けるのは当時でも並大抵ではなかった。本書で事態が更に悪化している事を知った。国立大の授業料は高すぎる。
社会正義追求の為にはこのような「社会的相続」は是正すべきだとの思いがある一方で、自分の子供達には誰よりもお金を注いで教育を付けたいと望んでしまう。人間というのは都合のいいものだ。
本書は豊富なデータで問題の本質を的確に描いた良書。
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子どもに対する現金給付や現物給付,就学のための支援が不十分なことが説得的に書かれていたと思う。
子どもの貧困の解決を民間だけにゆだねず国も責任をもっておこなっていくにはどうしたらいいか,対策の財源や国と民間の連携のあり方などの話も含めて,さらに考える必要があると思った。
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子どもに貧困を押しつける国・日本。山野良一先生の著書。子どもたちのため、将来ある若い世代のために、我慢するのが人間として正しい道。それなのに今の日本は子どもに貧困を押しつける国になってしまっている。無責任で醜悪で身勝手なほど自己中心的な利己主義、後世の人たちにそんな風に後ろ指を指されないか不安になってしまいます。
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・日本は失業率が著しく低いのにも関わらず、貧困率は先進十五ヶ国の中で高い部類だと言える。OECDの中でも最も高い就業率を示している。→ワーキングプア状態
・経済的格差が子供と触れ合う時間の格差を生んでしまっている。世帯収入が少ない家庭ほど、仕事に費やす時間が長く、育児に費やす時間が短い傾向が表れている。
・貧困率のもとになっている所得よりも、金融資産の額で見る方が、豊かな家庭と貧困な家庭の格差は遥かに大きい。ジニ係数の差分が大きい。失業して2、3ヶ月で貯金が無くなってしまう母子家庭の割合は59%。ほぼ相対的貧困の割合と等しい。
・再分配後の子供の貧困率の方が、家族の税引き前の収入のみに基づく再分配前の貧困率よりも高くなってしまっている。先進十六ヶ国で唯一の国。
・好景気は豊かな人や企業にさらなる豊かさをもたらしたかもしれません。しかし、データを見る限り、経済的に苦しい人や家庭では、景気による恩恵をほとんど受けることができなかったと言える。
・地域からも親類からも孤立してしまう時代。always三丁目の夕陽のような、貧しい人たちが地域の中で助け合う時代とは違う・
・相対的貧困は所得再分配をした後の金額
・日本は貧困ギャップの水準も高い。より深刻な貧困状況にあるしんどい子供や親たちがかなり多いと推測される。
・相対的貧困はあくまでも中央値の半分の可処分所得額であり、平均値ではないので、お金持ちがうまれても貧困ラインは変わらない。
幼少期に投資された1米ドルの投資効果は、後年になって投資された1米ドルの投資効果より高い。子ども子育て支援は未来への投資(貧困から影響を受けるコストのほうが、貧困をなくすためのコストを上回っている)であるのにも関わらず、消費税増税分の13.5兆円は高齢者のための年金・医療・介護のために使えわれている。子育て支援は0.7兆円
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元々興味があったのと、最近仕事でも扱う機会があるテーマということもあり読了。
先日ニュースになった「親ガチャ」という言葉を思い出させる一冊。言葉の是非を自分の人生軸に照らし合わせた感情的なコメントが散見していたが、「親ガチャ」の概念を子どもに認識させた時点でアウトだと思う。本書を読むと、それが親の責任ではなく、政府・日本社会の責任であることがよくわかる。貧困状況に陥っている人が悪いわけではない。社会システムが整備されていないことが問題とのこと。
教育格差が生じるのは仕方がないことだと思う割合が6割を超えているという調査結果が衝撃だった。すべての子どもに満足な衣食住と平等な教育機会(義務教育ではなく大学まで)は与えられるべき。貧困は子どもの責任ではない。今我が家は貧困世帯ではないが、長引くコロナ禍で貧困世帯の増加は間違いなく、「ぼくはイエローで〜」のように息子に貧困状況にある友達ができるかもしれない。そんな時、どう接するのが良いか、できる範囲での支援は何なのかなど考えさせられた。