奇想天外な警察小説シリーズ
2013/06/09 21:28
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
笹本稜平の警察小説である。メインタイトルが挑発で、サブタイトルが越境捜査となっているが、越境捜査シリーズの第2弾という位置付けである。すでに、越境捜査というタイトルで出版されている小説で、しかも、すでに第3弾も出されている。もちろん、知っていれば第1弾から先に読んでいた。
警察小説ではあるが、警視庁と神奈川県警、さらに仲間が加わってグループが構成されている。グループの目的は当然犯罪捜査である。また、グループとはいっても非公式なグループである。公式にそのグループで捜査が行われるわけではない。とくに警視庁と神奈川県警は仲が悪いと言われれいるそうである。
そういう設定を聞かされると、実際には有り得ない話で、非現実的な捜査を小説にしたものだと思いがちである。たしかに、そういう部分はかなりある。人間関係は組織の関係とは異なるので、仲が悪いとは言っても必ずしも人間関係でつながった仕事は有りうるであろう。
笹本の山岳小説などは読んだことはあるのだが、警察小説は初めてである。描い方は実に細かい。つまり、ストーリー展開に無関係なことが多いということである。文庫本にしては頁数がかなり多く、分厚くなっているのはおそらくそのせいであろう。
しかし、事件の中身はそうでもしないと読者には理解不能として途中で挫折されかねないほど複雑である。また、話の展開を予断させない、明かさない書き方なので、突然展開が変わったりする。それはそれで面白いし、飽きも来ない。こういう描き方もあるのかという印象がある。
今からシリーズ第1弾を読む気にはなれないが、第3弾は読んでみたいと思う。警察の暗部を暴露している真偽は分からないが、その辺りの知識を収集して読者に知らせるのも特徴を持たせることになるかも知れないが、話の展開を滑らかにすることを心がけてほしいものだ。
次は笹本の山岳小説を読みたいところである。ただし、ヒマラヤなどではなく、国内のありふれた山を舞台にしたものが良い。
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越境調査のシリーズ第2作。前作からの登場人物が、まじめに犯罪に立ち向かう刑事と今回もお金が目的な人たちがからみあって巨悪と戦うことに。
テンポがよくって今回も面白かった。
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サクサク読めたがどんでん返しがあるわけでもなく、最後まで無難に終わった
暇つぶしの読書
越境捜査シリーズはもういいかな。
警察ってこんなに悪い人の集まりなの?
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鷺沼、宮野、福富のコンビ、相変わらず面白い。この3人のキャラは、本当に良く出来ている。4部が出たばかりだがこれも愉しみ。
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警察の闇を暴く警察小説、面白くないはずがない。
しかも、警察官の不正を断罪する監察係を主人公とする痛快シリーズ『素行調査官』の著者ならば。
『素行・・・』が、職務として警察官を調査する「三人の侍」に対し、こちらはいささか「目的」の違った仲間が、主人公とタッグを組む。犯罪者の金の横取りが目当ての刑事と金目当てに助力する暴力団組長。何ともユニークなキャラが仲間を組むことか。
今回は実際に巷で噂されるパチンコ業界と警察との癒着がテーマ。汚辱にまみれた警察の上層部及び警察庁の幹部に、彼らタスクフォースがどこまで迫れるか、読み応え十分のシリーズ第2弾。
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シリーズ第2弾。
いや〜、普段は2日で1冊のペースで本を読んでいるのに、1週間近くかかった…決して、作品が悪かった訳ではなく、ただ単に時間がなくて、先になかなか進めないもどかしさが残る一冊になってしまった。
7年前の事件を調べるうちに、またしても、神奈川県警の宮野とタッグを組むことになった鷺沼。
今回の敵は、警察の上層部にも強力な影響力を持つパチンコ業界のドン・飛田。飛田の悪事に迫りつつも、後手後手に回り、なかなか尻尾が掴めないまま、ラストへ。
前作がハードな感じのラストだったので、今回は何となく敗北感が漂う中、何とか飛田の逮捕まで辿り着く展開に、少々物足りなさを感じた。
でも、鷺沼や宮野以外の人物にもかなり愛着が湧いてしまい、次作もかなり楽しみ。
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評価は4.
内容(BOOKデーターベースより)
警視庁捜査一課で継続捜査を担当する鷺沼は、捜査二課からの情報をもとに“パチンコ・パチスロ業界のドン”と呼ばれる飛田を訪ねる。飛田の経営する会社にある疑惑が浮かんだためだが、そこには7年前に起きた殺人事件が絡んでいた。捜査を進める鷺沼の前に神奈川県警の宮野が現れる。宮野は七年前の事件の情報を持っていた―。鷺沼と宮野。再び手を組んだ二人に立ちはだかるのは厚い警察組織の壁。真実を掴むため組織と犯罪に闘いを挑む刑事たちの熱い姿を描いた「越境捜査」シリーズ。
それぞれの個性も分かっているので安心して読める。安定のおもしろさ。
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『挑発―越境捜査』/笹本稜平
この「越境捜査」シリーズは大好きですね。
他の警察小説などのように、派手なアクションシーンなどはないのですが、人間の内に秘めている欲望や心情を如実に表してるところが多く、それは、例えば、本庁と県警の縦割り、同じ警察官でも正義感に溢れる鷺沼と、限りなく悪徳景観に近い宮野のコンビ、一般人とヤクザのような、物語の中でもそれぞれ、対比できる構図となっています。
冒頭に述べたように、派手なアクションシーンなどない代わりに、読者も含めて、清濁併せ呑むことを強要されるかのような感覚は一番面白いところです。
だからこそ、混成タスクフォースのチームができるのでしょう。。。
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前作読了後からずいぶんと間をあけてしまったが、読んでるうちにキャラの個性とか設定を思い出してきて、のってきた。そういう風にシリーズ物を創れるってのも、上手い小説家だからと思う。
大きな権力と経済力を持った悪役に対して、正義漢と抜け目ない小物悪とインテリやくざとヒョロヲタのチームが戦いを挑む構図。この設定は定番というかいつものヤツって感じだが、慣れている分安心して読める設定でもある。
どこかで読んだような気がする小説になってしまってるのは少々残念だが、マンネリを苦にしないタイプの俺には大きな失点にもならず…。
しいてあげれば、小悪魔ヒロインのキャラ色が薄めなのが残念。もっともっと峰富士子にできたと思うがなぁ~