皆が恩恵を受けられる真の好景気を生むための資本主義を説いた書です!
2018/08/24 09:19
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、これまで世界が経験してきた幻の、バブルとも言える好景気、一部の投資家だけが利益を生む資本主義などを真っ向から否定し、すべての人々が恩恵を受けられる真の好景気を生む資本主義の実現を目指すために必要な施策を説いた書です。近年、アメリカの発の金融危機によって、市場万能主義の資本主義の欠点が露呈されました。そこで、本書は真の資本主義の実現のためにストックオプションの禁止、五年以上の株主だけの市場の形成、投資減税で新技術開発の促進などを提言しています。今後の資本主義を見据えた良書です。
新たな幸福の価値基準
2009/05/02 18:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る
原丈人さんの本の出だしは結構ざっくりしている。
原さんはベンチャーキャピタリストというまだ見ぬ価値の産婆さんなので、
自分の仕事の限界と可能性が見えていて、そんな前提の上でこんなことを
冒頭でさらっと書いてしまう。
「幸せ」を数式で表すことが出来るだろうか。
人間の感情を数式で表すことが出来るだろうか。
新しい技術の芽はどこにあるかを数式が教えてくれるだろうか。
私は、幸せも人間の感情も数式で表せないと思うし、新しい技術の芽は
数式「だけ」ではわからないと思うから、本書は冒頭から心地よかった。
数式なんかで表されてたまるか!というのが人の気概であって、それでも
数式で表してやろうという人がいるのが、人の科学的知性だと思うので、
原さんのような価値観が広まるのは、人の世にとって、悪くない。
原さんの目は、国家の経済指標や財務諸表やチャートにばかり向いて
いない。その視線は、ウォール街の常識に染まったエリートの眼差しを
冷静に見据えているし、同じ視線がディーラーの近くで働いている
低賃金の清掃員にも注がれているように感じるし、また同じテンションで
空間的にはぜんぜん異なる途上国の、ごく普通に貧乏している人々を
見ているように感じさせる。更にはそうやって日々を生きる人々の
心と胃腸のなかにまで視線が届いているように思える。
本書で原さんが論じる新しい資本主義=公益資本主義は、資本のための
資本主義ではなく、人の幸福のための、貧困をなくすための資本主義で、
金融資本主義というひとつの価値観が崩壊したいま、能力のある人間が
公益というスタートラインに立つことは非常に意義がある。
まずはざっくりとでもいい、なんといってもこれからの価値を見出すのが、ベンチャーキャピタリストで、どんな技術が必要なのかも、貧困のない
幸福な世の中というざっくりとしたものから逆算で探り出していけば
良い訳だ。
もうひとつ、本書が前著の『21世紀の国富論』から一歩進んでいると
感じさせるのは、幸せは数式で表せないと強調しつつも、それでも
公益資本主義の指標を提示している点だ。それは3つあって、「公平性」と
「持続性」と「改良改善性」である。ある活動を進めていくにあたり、
価値基準をどこに設定するかは本当に難しい課題で、それこそが
時代の哲学であると思う。この指標が正しいのかどうか、それは
原さんの活動に関わった人の生活そのものの中にしかない。
(でもそれは実は金融資本主義でも同じで、金融エリートは果たして
いま幸福なのだろうか?)いずれにしろ、その測りがたさが原さんの
主張の一般的弱さであり、時代の息吹を感じる人への強さでもある
理想には賛同するが,説得力がある議論だとはいえない
2009/04/29 18:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
論旨はおなじ著者による「21 世紀の国富論」にちかい.崩壊した金融資本主義を批判し,ベンチャー的ものづくりの価値を主張している.著者はあたらしい産業には「コア技術」が必要だと主張しているが,自身が提言している PUC (パーベイシブ・ユビキタス・コンピューティング) という概念や,それをささえるものとして IFX 理論 (インデックス・ファブリック理論) からうまれることを期待している.そして,開発投資の対象をきめるのに各分野の専門家がえらんだ企業に優先的に投資するしくみを提案している.マイクロクレジットというような途上国における起業のしくみや日本の途上国援助にもふれている.
タイトルの「新しい資本主義」とは「公益資本主義」だという.それをささえる経済学も組織的に研究しているというが,経済学がつくれたからといってそれを実現させるのは困難なことだろう.かかげた理想には賛同するが,説得力がある議論だとはいえない.
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前著「21世紀の国富論」に続き、購入。内容は「Voice」で読んでいたものが多かったので、さほど衝撃は受けなかった。
著者は学者や評論家ではなく、事業家だ。今後も事業を通じて、自らの掲げる「公益資本主義」を体現していってほしい。
難を言えば、主張に対する確信度が強すぎて、時に独断的になる傾向が見られること。読んでいて「そうかなぁ」と感じる部分も、少なくなかった。
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国富論のじょーじ・はらの本。
相変わらず素晴らしい。
現在の資本主義の行き過ぎに警鐘を鳴らしており、
終盤で公共資本主義という新たなモデル提案をしている。
※グラミン銀行のマイクロクレジットが例
特にホストコンピュータとなる産業を生み出す必要性について論じている。
コンピュータはそもそも構造化されたものを整理したり、問題解決するのは得意だが、
そうでないものに対してはきわめて非効率だと。
アメリカはテロ以降、規制を強化し、非オープン化しているので、
優秀な人材が活躍できる機会が減っていると。シリコンバレーでさえ。
また、VCによる投資が行き過ぎ、
新たなものを生み出していくよりは、既存のサービスの延長線上のサービスを提供し、
リターンを得るという流れになっていると。
自分自身で公共資本主義なるものを実践もされており、
あいかわらずスーパーマンぶりが伝わってきます。
僕みたいなペーペーはまず、
それなりの経営者→公共資本主義プレーヤー
という流れを経る必要があると思いますね。
現在バリバリの経営者の人は是非公共資本主義に参画してほしいものっす。ってひとごとだなー。
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なぜ、この本が★3つ半なんだ。内容としてはもっと高評価でもおかしくないのに。
ただ、前作の「21世紀の国富論」と重複箇所が多いため、仕方ないか。
著者の原さん(George)は、アメリカ・シリコンバレーで大きな成功を収めた、数少ない日本人の一人です。
ポスト・コンピュータ産業、公益資本主義の考えは本書にもよーく書いてあるので、なにそれ?って人は必読でしょう。
世界中から尊敬される国、日本を創る。素晴らしいじゃないですか。
あと1年社会に出るのが遅ければ、Georgeのプロジェクト国連旗の下での民間による途上国支援」に参加できたのに!残念で仕方がない。
また、昨年10月に参加したワールドアライアンスフォーラムについても、当日の内容が一言書いてあったのはなんとなく嬉しかった。その場に居合わせていた、というのはモチベーション上がります。
Georgeを心から尊敬し、応援しています。
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エルサルバドルでの考古学発掘調査資金を稼ぐためにスタンフォードMBAに進学し、考古学調査で使用していた光ファイバーを用いた起業を思い立ち、スタンフォードの工学部大学院に再入学。光ケーブルを用いた当時としては最新型のディスプレイ装置を各社に提案するも、62回のプレゼン落選を経て、ウォルト・ディズニー・コ−ポレーションが最初の顧客となり事業を拡大。同事業での収益をもとにベンチャー・キャピタルを創業し、80年代〜90年代のシリコン・バレーで幾多のテクノロジー・ベンチャーを発掘してきた著者。彼が現在マルチに取り組んでいる営利事業・公益事業について説明している本。面白い。素晴らしい理念。
邪推かもしれないが、ここまで八面六臂に活躍している彼に家庭の時間があるのかは疑問。家族に関する記述としては、彼の祖父がかつて障害者を雇用していたことが触れられているのみ。
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著者が唱える新しい資本主義とは「公益資本主義」
個人の短期的な利益を求めるんじゃなくて、集団の長期的な利益を求めるべきだということ。
企業買収やもの言う株主、その理論は筋が通ってて納得できるんだけども、どうも肌に合わない。そんなボンヤリした違和感に、理論的裏づけと正当性を与えてくれた。これで胸を張って「ヤツらはやっぱり間違ってる」と言えるようになる。
新しい資本主義の萌芽が日本にあるかどうかは疑問だけど、とても心が震えるのだ。
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7月4日読了
・希望の湧く本
・基幹産業が成熟期に入ると、投資先が減少して金融的に過剰流動性が発生し易い
・テクノロジーがサービスに浸透していくのは、ライフサイクルの成熟期であり、終焉が近い
・技術の議論なくして高付加価値はありえない。脱工業化社会、サービスで生きていけるのは、シンガポールなどの小国だけ
・人生の早い段階で自らの価値観を広げてくれる体験をすべき(今でもまだ間に合うはず)
・MBAに行ったからといって人生が変わるわけではない、ダイバシティに自らを投じてみるだけ
・日本に対する悲観的な意見しか浮かばなくなってしまったからには、外から日本を見てみたい
・今のところMBA以外には方法がないような気がする
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・ 次の時代のコア技術のほとんどは知的財産
・ 高度な知的財産を、ハードウェアとして実現できるだけのインフラ基盤があるのは世界中で日本だけ
・ サービスや金融は実業、産業があって初めて成り立つ
・ 市場原理が常に正しいという考え方や、株主資本主義は間違い。公益を優先して考えるべき
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「21世紀の国富論」の著者でデフタ・パートナーズ会長の原丈人の本。
不遜なようだけど、似たようなことを考えていたよ・・・僕も・・・スケールはもっと小さいけど(^_^;
ROEを重視する株主中心の金融資本主義は、結局は産業を滅ぼし、人を苦しめる。
200年後の人類は、今日の悪辣ファンドの所業を「200年前の奴隷貿易」と同じように位置付けるだろう。
今こそ、日本が高い志と技術と和の伝統でもって、世界に貢献できるはず。
金融資本主義から「世の中への貢献こそが価値」の公益資本主義へと、日本が範を示していかないとな〜
公益資本主義:「会社の事業を通じて、会社が関係する経営者、従業員、仕入れ先、顧客、株主、地域社会、環境、そして地球全体に貢献すること」こそが価値として認められる資本主義・・・らしい。
確かに、金融は産業を円滑にするためのものだって、昔、学校で習ったよね。
それがいつの間にか主役になってるって、やっぱおかしいんだよね。
「21世紀の国富論」も良かったけど、この本もなかなかいいよ〜
かなりいいよ〜
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シリコンバレーでベンチャーキャピタルをする作者が、米国の金融資本主義の間違いを指摘。公益資本主義という枠組みを提言する。そして、IT産業の次の世界の基幹産業を作り出せるキーカントリーは日本だと明言し、その具体的な方策を提言する。
特定企業のイノベーション力を高めるための本ではないが、日本経済全体が世界の中で必要とされ、尊敬されるためにどうするべきか、考えさせられる一冊。
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ほんっとに読んでよかった本。
そして多くの人によんでいただきたい本。
この人のすごいところは、
お金という 良くも悪くも絶大なpowerをもつものを
良い方向に使う道しるべができるところだと思います。
ベンチャーキャピタリストとしての実績もすごいが
そのメンタルに尊敬できます。
こういう方が多くいればいいのに。。
私もなにかできたらいいのに。
ほんっといい本です!!
Jun 2009
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営業先で出会った経営者からすすめられた一冊。
シリコンバレーでベンチャーキャピタリストとして活躍してきた著者。
「会社はだれのものか」という点で、痛烈にアメリカ型の経営を批判しており、日本型経営の可能性を説いていた。
欧米礼賛ではなく、日本人としてのアイデンティティを確立し世界で活躍している姿に、勇気がわいた。
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アメリカの「挫折」の原因がよくわかるとともに、「未来」へのヒントが見える。作者の今後の活躍が非常に楽しみです。