アメリカの鏡・日本 完全版 みんなのレビュー
- 著者:ヘレン・ミアーズ, 翻訳:伊藤 延司
- 税込価格:704円(6pt)
- 出版社:KADOKAWA
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鏡の前に立つ
2018/08/27 23:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wordandheart - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本が終戦から間もない1948年に出版されていることは驚きだ。ペリーが来航して開国以来、日本は欧米、特にアメリカの背中を追いかけて近代化を成し遂げてきた。しかし何処で間違えたのか、やがて欧米と敵対し太平洋戦争へと突入していく。その日本の姿をアメリカを写す鏡であり、欧米がアジアで拡大させた植民地支配とパワーポリティックスの結果であると著者は看破する。戦勝国に「正義」がなかったのであれば、正義はどこにあるべきであったのか。北朝鮮の核をめぐる問題の行方が見えない東北アジアの行く末を考える上でも、考えるべき課題である。
戦争に関わった国々の事情をよく調べている
2020/01/30 14:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:akihiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はアメリカ人ですが、日本の地勢、歴史、経済状況をよく理解されています。そのため、安直な偏見や批判は述べていません。
戦前から戦後までの日米英露中韓の事情を客観的に分析されているおかげで、当時の複雑な関係性も理解しやすかったです。特に、中国周辺における勢力の移り変わりについて詳しく書かれており、非常に参考になりました。
各国政府の結論そのものを批判するのではなく、結論の導き方について指摘をしている点で公正な内容だと思いました。日本にとってもアメリカにとっても、これからの外交を考える上で重要な意見が書かれているように感じました。
進駐軍の知日派の主張
2016/11/08 23:07
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Hyperion64 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジョン・ダワーの研究でも明らかだが、戦前と戦中には日本もアメリカも相手を悪の権化、世界征服をたくらむ悪の帝国としてしか論じられなくなっていた。それが太平洋戦争末期のヒロシマ・ナガサキの悲劇につながってゆくのだ。
著者ヘレン・ミアーズはそうした中にあってアメリカ占領下の敗戦の混乱にあえぐ日本人の有様をつぶさに観察し、戦争前の状況を日米比較することによって、大日本帝国を単純に「悪の帝国」であり、全体主義的な野蛮人とみなすことの誤謬を明確にし、さらにその危険性、アメリカ自身が軍国化してゆく有様を指摘する。
実際に軍産複合体が強力に成長し、世界を分断するアメリカ帝国を予兆していたというべきか。
それはともかく、ヒロシマ・ナガサキの罪はアメリカ側にあったと1940年台に主張する勇気、マッカーサーにも提出した、その正義感には脱帽するものがあります。
禁書扱いにされてしまうわけですけどね。
そこに映っているのは西洋自身の姿なのだ。
2022/04/23 11:32
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投稿者:FA - この投稿者のレビュー一覧を見る
『日本人が死んだのは、彼らがファナティックに戦争が好きだったからではなく、圧倒的に優勢な敵と戦っていたためだった』『日本人が天皇を尊敬するのは、天皇が超自然的・超人間的存在であるからではない。長い歴史と伝統文化の表象としての制度を崇拝しているからである。日本の天皇は、アメリカの星条旗、あるいはアンクル・サムのようなシンボルなのだ』大体こう言った調子である。硫黄島での米軍の失敗も沖縄作戦も、原子爆弾投下もすべて、米軍の戦争指揮者が判断を誤った結果だという。日本人に対する誇張されたプロパガンダによって、日本を過大に評価してしまった。
『近代日本は西洋列強がつくり出した鏡であり、そこに映っているのは西洋自身の姿なのだ。』
この作品を読むと、戦前の日本は、平和主義であり、西洋諸国から売られたけんかをしぶしぶ買っただけに見えてくる。
オバマ来日を機に戦争責任を考える~埋もれた名著~
2016/05/12 15:20
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投稿者:伏魔殿の主 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オバマ大統領の広島訪問を機にまたぞろアメリカの原爆使用の責任と併せ、日本の戦争責任論が議論されている。右寄りの論壇からは引き続き、「日本は欧米がアジアを侵略し植民地化したプロセスを少し遅れて上品にやっただけだ」、「アジア諸国は白人支配からの独立の契機として歓迎していた」、「日韓併合は合法で韓国の開発に貢献した」、そして「パールハーバー攻撃はルーズベルトに嵌められた」、などなど常套句が提示されている。勿論、これらの解釈には、朝日新聞等に代表される”事実よりも思想(思い込み?)を優先する妄言”にくらべると、一定の正当性がある。
驚くことに、このマッカーサーに抹殺され、1990年代までほとんど顧みられなかった本書にそれらの言辞の淵源が多くみられる。しかも戦後すぐの時期に、若しくはそれが故に戦後間もない世界の息吹を反映して、著者ミアーズの緻密でありながら明快なファクトの提示と軽やかな論理展開が小気味よい。
”正論”であっても、今更武田邦彦先生やおぼっちゃま君(小林よしのり)の議論に耳を傾ける根気はない。この方面に興味のある方には、お馴染みの内容も多いが、ミアーズ女史の言葉で改めて確認すると新鮮。
太平洋戦争(大東亜戦争というべきか?)の議論は、日本人として、いつまでも逃げ続けてばかりはいられない。
本書がその良い道標となることは、間違いない。
Oh! America
2023/08/07 23:40
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投稿者:Hello - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本は、アメリカの敵にはなっておらず、その手中で生え回る存在だったのでしょうか。