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ゴッホの名作「ひまわり」をめぐる傑作!
2016/01/17 20:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
藤原氏の作品は、すべてにおいてかなり緻密に計算された仕掛けが、筆者の素晴らしい筆致力で描かれますが、この作品もそのうちの一つです。ゴッホの名作「ひまわり」をめぐり、様々な事件や出来事が起こりますが、その一つひとつが見事に読者の心をとらえてくれます。一度読みだしたらもう止まりません!
ひまわりの謎
2001/11/21 20:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
絶対ありえない設定や都合のいい展開が多いところは「テロリストのパラソル」と同じなのだが、魅力あふれる人物や洒落た会話に引き込まれて一気に読み終えてしまった。まあ読み直すとアラの多い作品だけど、主人公をカッコいい男にするってことがポイントで、それ以外のことは後回しにされてるってことなのかな。
やっぱり高等遊民ていうか、要するに逃げる男って言うのは、魅力的ではないわけで、流石藤原の筆をもってしてもこの壁は破れなかったっていうか
2005/09/05 20:31
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は再読で、昔読んだ時の印象は、さほどでもなかった。で、何故、読み直しているか、です。最近読んだばかりの『シリウスの道』があまりに面白くて、そういえば『蚊トンボ白髯の冒険』も『てのひらの闇』もとてつもなく面白かったことを思い出し、ただ一つ藤原の作品で読み残していた、というか存在に気がつかなかった『ダックスフントのワープ』を読んだら、これがまたよくて、それならタイトルこそ覚えているけれど、内容は完全に白紙化している『ひまわり』を読み直しちゃおうか、と弾みで来てしまったわけです。
で、驚いたんです、藤原って1948年生まれなんですね。『ダックスフント』なんか読むと、どうしたって1985年当時で20代風、1960年代生まれのスメル、プンプンなんですけど。
ま、1948年生まれなら上手いのは当然ではあるんですけれど、じゃあ、1985年にすばる文学賞を取った時、37歳(この小説のキーとなるファン・ゴッホが亡くなった年齢だ!)なわけで、その時、何をしていたのかな、とか気になることが一杯です。
こういう面白い話は、読んでもらうのが一番なので、補足だけしておきます。主人公は秋山秋二、38歳。現在は無職。元商業デザイナー、それも飛び切りの才能をもった。10年程前に史上最年少でJADA賞という商業デザインの分野で最高の賞をもらっています。
秋二の受賞歴は、実は高校の時に始まっていて、それが今は亡き妻英子との出会いになるのですが、その時は本格的な油絵でした。わずか15歳で彼は大きな公募展の新人賞を受賞しているのです。秋二高校二年生、英子一年生の時です。そして二人は目出度く結婚をし、7年前、彼女は自殺をして、残された男は引退生活を始めるのです。
その彼を、冒険の場に引きずり出したのが、一見、英子にそっくりな印象を与える21歳の元ソープ嬢の加納麻里であり、彼にバカラで勝負を挑み2000万円を取られてしまう彼女の雇い人、77歳の仁科忠道という経済界の黒幕です。他に、英子の弟で半分ヤクザの宏、仁科の下で働く魅力的な男・原田、彼に雇われる新聞配達の男、正真正銘のヤクザ曽根、などがいます。
解説で、郷原宏が藤原の文章力について、じつにしっかりとした分析?をしていますので読んでください。納得します。ちなみに、郷原は1997年にこの作品が出版されたとき、その年度の国内ベストミステリーの第一位に選んだそうです。私は、といいますと、ブッチギリで桐野夏生『OUT』でしたし、今、これを読み返してもその評価は変わりません。
まず、私はこの話を殆ど忘れていたのですが、その最大の理由は主人公である秋山秋二の魅力のなさでしょう。小説の中で加納麻里が言いますが、秋二は子どもというかガキなんですね。ともかく、現実を見抜く力はあるし、それを動かす力もあるけれど、意欲がない。宏にいわせると「逃げてる」ということなんでしょうが、まさにそれです。無欲、であるよりも無気力でしょう。それが事件の核にあります。
一見、事件は落着しますが、その中で秋二は全く変化しません。周囲も変わりません。例えば2005年に出た『シリウスの道』では、主人公も上司も部下も争いの中で変化し成長します。そうですね、この話で言えば麻里や原田、新聞配達の彼が、さらに一皮剥ける。でも、秋二は多分以前と同じ生活を繰り返すだけでしょう。そういう停滞、自己満足だけがあります。これを読んで勇気は出てきません。意欲が沸いてくることもありません。実は『テロリストのパラソル』にもそういった印象を抱いた記憶があります。今さら過激派なんて、全共闘時代をもろに引きづっちゃって、傷舐めてんじゃないよ、今はテロでしょ、民族でしょといった反発があります。郷原の絶賛に敢えて異をとなえます。藤原が本当に面白くなるのは、99年の『てのひらの闇』以降、私はそう思います。
8枚目の「ひまわり」
2001/09/07 02:31
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投稿者:takumi_y - この投稿者のレビュー一覧を見る
フィンセント・ファン・ゴッホの幻の8枚目の「ひまわり」をめぐる物語。
7年前の妻の死から世捨て人のような生活を送っていた男が「ひまわり」を手に入れようと画策する人々の思惑によって、騒動に引きずり込まれていく。現存する7枚の「ひまわり」とは別にもう一枚8枚目の絵があったのではないかという仮説を立てていた妻との会話を思い出しながら、2人で過ごした過去の記憶を反芻する。
世界的な名画の謎なのに日本が舞台なあたりからしてものすごく都合よすぎなんですが、エンターテインメントとしては楽しめるのではないでしょうか。特に印象に残るような印象的な場面はなかったんですけれども、読後感の何とも言えない気分は前作同様でした。
わたくし的には理知的な女性が、自分が夫のものでない子供を妊娠してて自殺なんかしたら旦那がずーーーっと思い悩むであろう事に気が回らないはずはないと思うのですが。しかしまあ堕胎してても調べればわかるらしいので、結果的には一緒かも知れんが……腑に落ちん。
ついでにホモセクシャルを「性的な趣味」とかいうのはいかがなものなのでしょう。趣味って言葉は嗜好に近くないですかね。そういうものではないような気が……。
この話の端々に出てくる安田火災のひまわりはファン・ゴッホの研究家によると高い確率で贋作らしいので、実際には7枚目がどこかに埋もれているのかも知れません。
そういえば一時期CMでよく見たのに最近ちっとも見ないねぇ、あのひまわり。