人間の意志の絡む選択は不確実。
2016/01/31 08:47
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
心配事があるからこそ、リスクを回避できる賢い知恵であった心配性。しかし、本当の確率とはズレがあることがわかっています。昔はリスクを低減するために支払うコストがわかりませんでしたので、こうしたコストに目を奪われることはありませんでした。
平均年収を見ても「そんなにもらってないよ!」と訴える人も多いですが、収入は正規分布ではないので、基準値の極少数の人がお金を持っていると、分布で一番多い山よりも平均値が上がっちゃう。
わかっちゃいるけど、数字で見せられたら「下流なんだ」と心配しちゃう。経験や知識を得るがゆえに損得で勘定してしまいます。
災害とか事故が起きると「人災だ!」って思いたがるのは、人災だと人や管理のせいで、犯人がいるかのような印象になります。天災は損害を補償しないけど、人災って言うと責任補償してくれたりコントロール可能な印象をもたらします。
こうして「人災だよ」って言葉に慣れるとこう感じます。「リスクって軽量可能なんだ」と。
本書ではネットの情報を用いながら四則計算でわかりやすくリスクの計算方法をケースを用い紹介しています。なるべく簡易に書かれています。「そんなのいい統計じゃない」と思われるかもしれませんが、人の恣意的判断が混じるリスク計算は計算しても「計算外」の事がどうしても出てくるんだそうです。ざっくりの計算でいいから考えてみたら知識として知っとくだけでも無用な心配はなくなりますよ、と背中を押してくれます。
性悪説に基づくと、負担コストが高くなります。生レバは禁止のままだし、私たちはなるべくゼロリスク思考でリスクの大元を排除するやり方をとってきたわけですが、生レバを買うことの選択肢や消費のアップを潰すというコストも支払っているわけです。
しかし、飛行機の安全レベルが高い理由が、他の乗り物よりずっと高いレベルの安全性を提供しないと利用してもらえないから頑張ったっていう側面も島崎さんは見逃しません。私たちは飛行機を極端に恐れる人をなんかバカにしちゃいますが、ここまで信頼してもらうのに、どれだけの年月を費やしたことやら。
リスクはあるけど、人生の豊かさを考慮した時に、私たちはどういう行動をしたらいいのか?私たちが自衛できる武器を島崎さんは配っているのだと思います。
「心配学」ですが、怖がりの人も、そうじゃない人にもクールな視点を与えてくれる一冊です。ここまで読んでちょっといいかも?と思った方は本屋さんで開いてみるだけでも、ぜひ。
新書らしく気楽に読める本。
2017/12/23 16:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たまがわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこかで読んだことのあるような話も含めて
色々な話がのっている。
2015年、ヨーロッパで、海岸に打ち上げられた難民の男の子の遺体写真が
世論を動かし、軍事介入や難民の受け入れ加速のきっかけになった。
しかし著者が言うには、これ以前からも数多くの難民は生まれており、
戦闘や亡命途中で命を落としているという客観的なデータはあったのだという。
世の中を動かしたのは、ひとりの男の子の「写真」であり、
たくさんの難民が命を落としているという「データ」ではなかったという。
より深刻なのは、「ひとりの男の子の死」よりも、「たくさんの難民の死」であるはずなのに。
ギャンブルで ・パチンコやパチスロ ・競輪や競馬 ・宝くじ
それぞれの還元率の話とか、
秋津駅~新秋津駅間で、毎日のように起きているプチパニックの話とかが面白かった。
心配とは主観的なもの
2018/06/26 21:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
積読本の消化。
「心配」を分析したということで買ったのですが、リスクと統計(確率)の話を中心に、最後は大災害に対する準備や心構えを説いた本。リスクの定義やリスク計算に割いた部分が大きく、やや期待外れでした。
一方、最も役に立った箇所は、「できることは先にやっておく。つまり、こわいものから逃げている間はこわいままですが、立ち向かうようになればだんだんこわくなくなる」という下りでした。また、「心配とは主観的なもので、捉え方次第であり、リスクをちゃんと計算する」つまり、具体的にイメージすることが大事との由。
投稿元:
レビューを見る
心配学という聞いたことのない単語のタイトル。私たちは直感的、感覚的にリスクをとらえていると改めて認識させられる。
統計学等を使って客観的なデータで比較することの重要性を語る。身近な話題をちりばめており、読みやすい一冊。
投稿元:
レビューを見る
10年以上前だったと思うが「安全学」という本があった。村上陽一郎先生だ。原発の事故後、先生がどういう発言をされているのかきいてみたいところだ。さて、この「心配学」は先の本と近いところもあるが少し趣向が違う。心理面が含まれてくるからだろう。自動車事故の方がよほど起こる率は高いのに、飛行機に乗る方を恐がるのはなぜか、という話はよく聞く。当然飛行機事故はひとたび起これば生きて帰れないという思いが強いからだろう。私の場合、どうも自分が飛行機に乗るときは全く心配していない。落ちるとは思えないし、万が一の時は、もうそこでおしまいなのだからそれ以上考える意味がない。それより、家族が修学旅行だったり何かで飛行機に乗るとなると妙に不安になる。いまふと思ったのだけれど、それは家族を失うことに対する心配というより、家族を亡くして悲嘆にくれる自分のことが心配なのではないか。そんなことをちょっと考えてみた。携帯電話による脳腫瘍はまあ気にする必要はなさそうだ。おそらく電磁調理器などもそうだろう。タバコはもともと吸いたいと思ったこともないが、ヘビースモーカーであった森毅先生いわく、「タバコの害より、タバコを吸わずに被るストレスの方が体に悪い」ということもあながち間違ってはいないのかも知れない。著者は私より一回り下ですが、おもしろい経歴の方なので、もっともっと驚く話があるかと思いましたが、まあ割りと普通の話でした。
投稿元:
レビューを見る
一般向けに書かれた心配になってしまう心理について解説した本です。前半で心配になるメカニズムについて解説し、心配になるのは、リスクが分からないからなので、後半はリスクに関する情報の収集、実際のリスクの計算の仕方などを、例を挙げながら解説しています。
僕からみると非常に常識的な内容で、あまり目新しくはないように思いますが、いかにも自身の言葉で書かれたような内容で、親しみやすく読めると思います。
個人的には人の心配をとるための対応方法などに参考になればと思いましたが、そういう内容ではありませんでした。
投稿元:
レビューを見る
人が心配になるのは、不幸なできごとが起こるのか起こらないのかわからない状態だから。分からないから心配になるという。「本当の確率」を認識することで、心配の源になる「リスク」とうまく付き合うべきというのが本書の主眼。
第5章で紹介されている個々の確率の実例が参考になる。確率を算出すると、BSE騒動でアメリカ牛の全数検査することはリスクを過大評価して余計なコストを負担することを示している。
投稿元:
レビューを見る
普段自分が考えていることや、一度はじっくり考えておきたいな、と思うことを、わかりやすい言葉でまとめてくれた本、という印象を受けました。
個人的には、人間は「感情型」と「勘定型」に分かれると思っているのですが、この本は、「世の中には感情型の人間が多いけど、もう少し勘定できるようになると、無駄な心配を減らすことができますよ」ということを、いろいろな例を挙げながら説明してくれています。
改めて感じましたが、フェルミ推定って、大切ですね。
自分は、何となく身に付けた考え方ですが、いろんなところで使えますし、強力な武器だと思います。
投稿元:
レビューを見る
パイロットと研究者の説明の仕方の違い、センセーションシーキングなどが面白いアイデア。ゴキブリで死んだ人はいない
投稿元:
レビューを見る
160402 中央図書館
著者は、心理学の専門家。いろいろなバイアス的な効果や、集団によって「感情や意見」が強化されていくことに詳しい。余計な心配でストレスを感じないようにするには、大雑把にでも客観的に見積もってみよ、という、至極まっとうな方法を述べている。
投稿元:
レビューを見る
わけも分からずただ「不安」になるのではなく、科学的アプローチで不安を定量化しましょうという筆者の主張が展開されています。とかく世の中情緒的な面で受けがいいまさに「不安をあおる」言説が飛び交うようになっていますが、その正体がどんなものか、実際の発生確率を計算して、本当に心配しなければいけないものと実はそこまでの心配するほどのものではないことにわけようとする姿勢が貫かれています。単なる数字の計算だけにとどまらずときに人間心理にも迫り、心配とどう向き合い、リスクにどう備えるかといった点にも言及されておりバランスよくまとまった一冊に仕上がっているように思います。
投稿元:
レビューを見る
日本脳炎のリスクについては一読すべき。◆カブトムシが張り子のカブトムシと戦って強くなる話は初めて知った。
投稿元:
レビューを見る
データに基づき客観的に判断することで、余計な心配をしないですむようにと、いろんな例を交えて説明した本。
わかりやすく説得力もあるので良書だと思うけど、残念ながら知りたい内容ではなかった。
私の知りたかったのは、どんなに確率が低かろうが必要以上に怖がってしまう人間の性というか、ネガティブな思考に支配されてしまう傾向というか、そういう無駄な心配をどうやって克服すればよいのかな、というけっこうメンタルよりのことだったので、その部分では解決に近づけなかったかな。
投稿元:
レビューを見る
職場の同僚がコロナのことでプチパニック状態になっているのを見て、今が読みどきかと開いたUnlimited積読本。5年前の本だが、予防接種の話は今のコロナワクチンにも置き換えて考えられるし、心配性の人にはぜひ読んでいただきたい。
本書に書いてあるように、データの出典と身分を明かして訂正を受け入れる準備があるか、中立的で客観的な立場を取ろうとしているかは非常に大事。データも切り取り方によっては、自分の導きたい方向になんとでも印象操作できるので、自分の力で正しい情報を取りに行く力を身につけたい。