「きょうだい不安世代」のアンビバレンス
2016/05/10 22:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
超高齢化社会、親の介護などの問題が取り沙汰されていますが、長引く不況や少子化が進む日本で実際問題として深刻な、きょうだいリスクについて言及した本。
アンビバレンスとは、例えば「弟を大事な家族だとは思っているけど、なんだかうっとうしい」(本書p85)というような、「同一の人やものに対して相反する態度や感情をもつこと」。
リアルに問題を掘り下げた一冊です。
今ここにある危機
2016/05/15 23:03
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふじのき - この投稿者のレビュー一覧を見る
育児、介護、次のリスクがきょうだいの扶養ということらしい。
帯にあるとおり、浪費する兄、結婚しない姉、非正規の妹が
本来助け合うはずの家族、セーフティーネットであるはずの家族が
一転して自分の生活を脅かす存在となる、あるいは自分がその存在に
なるというリスクを提唱している。
税制上、男性世帯主を保護しているので、それに当てはまらない人は
皆その危険があるという。
一人っ子の場合、親の兄弟が世代を超えてリスクになるらしい。
解決策の提示までは至ってないけど、
政府は教育資金とか生前贈与とか、近距離3世代とかに税制上優遇政策を
しているのだから、今後も資金的、労力的いずれも家族間で何とか
やってくれといっているので、リスクの提唱という点でこの本の価値はあるだろう。
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「きょうだいリスク」とは、誰にでも起こる問題なのだと実感した。
今、ひきこもりでなくても、失業したりする兄弟だっているだろう。
この本を読んで、親兄弟に頼る現在のシステムでは、みんなが幸せになれないと思った。もっと社会保障が充実した社会になってほしいと思う。
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家族だけに留まらず社会全体の仕組みにの中で家族やきょうだいがどのような役割なのか、また求められているのか俯瞰的に見ることができる良書
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実に面白かった。兄弟の経済格差は実は社会問題の格差の問題であること。家族の問題は実は社会構造そのものに規定されていること。そもそも、戦前は夫婦でも子供がいない夫婦も多くて養子制度が幅を利かせていたこと。核家族化というのは、いままでの大家族制度を維持したままで、戦後の高度成長期という国家による扶養によって可能となった一時的な社会現象であったこと。現在直面している家族問題が、近現代史の社会構造と社会史経済史と無縁ではないこと。貧困問題、家族問題、家族の在り方、介護問題の在り方はもっと時空間的にひいて見ないと問題の所在を見落とすということであり、きょうだい格差(きょうだいリスク)はそのような背後があって現在直面してきた近現代史と社会構造の一側面であるという問題の見方ができること。
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「きょうだい」のなかに、独身、無職、孤立等、生活に不安を持つ人たちがいたら。将来、かれらの面倒を見るのは誰なのか。
最近は「きょうだい」の世話に苦しみ、世話をしている当人まで貧困状態に陥るケースも多いという。これまで確かに存在していたのに、ほとんど無視されていたリスク。
著者は原因を社会の福祉システムに求める。性別分業的な男性稼ぎ主世帯を想定したシステムが、他の家族が極度に世帯主(稼ぎ主)へ依存することを促進し、個人レベルの社会保障が充実していないためだ。
配偶者控除の見直しは世帯レベルから個人レベルへ社会保障システムを変革する一歩であり、「きょうだいリスク」を軽減する政策と評価しているが、現在の報道を見る限りは、直接影響を受ける人たちがどうなるのかという内容が中心。社会全体として、どういう社会福祉制度に変えていくかという理念が共有されていないのだと本書を読み終えて感じた。
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http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=17778
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きょうだい関係は、ほぼ同世代で生じる格差問題であり、世代間格差とは様相の異なる新しい課題である。家族内問題だったきょうだいが、単身急増社会で身内で支えられなくなってきた。親を看取った後に老いた兄弟の支え合いまで手がまわるのか。
改めて、世帯主+専業主婦+子ども二人というニューファミリーのしくみのひずみがでてきている、と思いました。
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「潰してしまってもいい子」の話はショックだった。
所得の再分配後に貧困率が上がる話(OECD諸国で日本だけ)も数字で見ると強い印象が残る。
現在の福祉モデルがもうダメになっていることがわかった。戦後の数十年しか対応できないモデル。
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本を読む前から分かっていた事だけれど、きょうだいリスクを下げる為には、親が元気なうちに話しておくこと。
読んで恐ろしいと思ったのは、民法上で「扶養する義務がある」と下される可能性があること。
少なくない借金を抱える非正規雇用・独身のきょうだいとは過去に衝突があり絶縁状態。今は親が面倒を見ている状況。親という防波堤がなくなることは考えたくないが、いつかは必ずそうなる。話すことすら絶望的な私はどうすればいいのだろう。読んで不安が大きくなった。
ただ、これは私自身の境遇故の感想なので、普通のきょうだい関係のある人は参考になると思う。予め家族と話しておく・公的機関を利用する・成年被後見人を設定しておく…等々。
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様々なケースを知ることが出来て、とても参考になりました。
今現在、何事もないことの幸せを感じます。
振り返れば、自分も随分と守られてきたことを、初めて理解しました。
次は、将来にわたり、どのような心構えで、子ども達を育てたら良いのか、
考え、対策していく番です。
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家族頼みの中負担福祉体制がきょうだいリスクで見えてくる。家の存続が前提であれば、子がなければ二人以上いるところから養子をとるから、家産も受け継げた。家族主義と家制度を存続させないと決めてそれでも自己責任というなら、人口はどんどん減るだろうし、出られる能力のある人間は海外に出るだろう。ポルトガル化するのかな。
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きょうだいリスク 無職の弟、非婚の姉の将来は誰がみる。平山亮先生と古川雅子先生の著書。家族や兄弟はお互いに面倒を見るという以前の常識はもう通じなくなっていて、家族や兄弟はお互いに面倒を見るというのが非常識になる時代になっているのかも。ニートの弟、未婚の姉、非正規の妹、親の資産を浪費する兄という例もあったけれど、他の家族や兄弟が面倒を見る必要はないし、それこそ国が面倒を見るべきです。
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コロナ禍で、きょうだいリスクは多くの人が痛感したのではないかと思う。対等な関係をもち、お互いさまで長い期間の中で助け合えるのがいちばんなのだと思う。一度、経済的な自立からこぼれてしまうと、這い上がるのは本当に難しい。勝ち・負けという意識がなくなればいいのだけれど。今の家族形態や働き方が、今の時代に生きてたら当然と思ってしまっていたけど、ほんの数十年のことだったのかと改めて新鮮に驚いた。