SOCとかどうなんだろうね
2019/07/25 09:02
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投稿者:Yo - この投稿者のレビュー一覧を見る
精神科医である著者が、これまでラカン的な「病者」にこだわりすぎていたという反省から、「何が健康か」について検討した本です。
健康の定義というとWHOが有名ですが、これからは高齢化(病気をもつ人が増える)+少子化(病気になっても人手が足りないから病院にかかれない)=病気をもったまま地域で暮らす、ということになるのは間違いないので、健康の考え方にもパラダイムシフトが起こるでしょう。今後、健康は病気と対立する概念ではなくなり、自己実現の達成度とか満足度とか、適応力とか有意味感とか、そういう要素が重要になるのかもしれないと思いました。客観的な科学的判断だけでなく、主観や社会的合意の領域が拡大するとも言えます。
正直、雑誌連載をそのまま載せただけのようで、内容はまとまりに欠けますが、これからの健康を考えるのに興味深い一冊です。
心の健康、幸福など様々な話題
2018/07/14 10:59
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投稿者:たまがわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『従来の医学は「疾病生成論」、現代医学は「健康生成論」』。
「心の健康」を示す尺度としての、SOC、レジリエンス。
病跡学から見た歴史上の有名人。
日本のヤンキー文化論、組織論、リーダー論、幸福論、ポジティブ心理学、マインドフルネス…。
などなど、様々な話題に言及されている。
本書は、「健康は生成する」というタイトルで、雑誌『Voice』に掲載された連載を、
加筆修正して一冊にまとめたものだそうだ。
それぞれの話題について、丁寧に論じられているものもあれば、
分量的にそうでもないものもあるので、読者が興味を持った話題について、
本書内で紹介されている本など、別の本に当たってみるのも良いのかもしれない。
もちろん本書だけでも、面白い。
枝葉末節多し、論旨は通っている?
2016/11/24 20:31
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投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直、分かりにくかった。
理解力の問題と言われればそれまでだが、正直、議論はそんなに緻密ではないように思える。閑話休題の多さに現れるように、ふわふわとあちこち触手を伸ばす議論は、言葉の定義を曖昧にしたまま展開して結論付けてくる。そんな結論がこじつけに思えてしまう。なんていうか、言われてみればそうかもしれないけど・・・物を見る視点としては持っていてもいいか・・・というのが読後感。すみませんね。
健康と倫理のパラドックスは、まあ分からないでもない。
毎日定時に変える医療従事者、オフ優先で自己研鑚しない医療従事者。
確かに健康度は高そう、でもそんな人たちに見てもらいたくない。
もちろん相手のことを思うと、そこそこの腕で過労死せずに長く働ける人の方がいいけど、健康に重大な支障をきたしたとき、そりゃあベストの医療を求めるのが人情。
この辺が、医療従事者に自己犠牲を強いる隙なのか。
医療従事者にもそのへんの苦悩があって、自己犠牲が美談になりやすい。難しいね。
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第5章くらいまでは内容についていけたけど、後半になるにつれわからない部分が出てきた。
とはいえ、心の健康の尺度について今まで知らなかった概念が概説的に学べて良かったー。
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「過程としての健康を求め、状態としての幸福を享受せよ」精神が主観的に健康であれば幸福。って事になるのだろうか?
自死を決意した人はその直前に極めて明晰で平静な気分を回復し「自分に与えられた生は全うした」という感覚になるらしい。という意味では自殺者は悔いを残して病死する人間よりも幸福という事になるのだろうか?非常に考えさせられた。
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雑誌『Voice』に「健康は生成する」というタイトルで連載したコラムを加筆修正してまとめた本。
コラムの、そして本書のタイトルからは「人の健康」についての本だと思ったが、もちろんその部分はあるものの、人が健康を生成する資源となっているSOC(センス・オブ・コヒーレンス:首尾一貫性)とレジリエンスにまつわる文化論や社会論、著名な政治家の病跡学など、要は著者の興味を他の文献からつまみ食いしたような内容。
人間の健康に関しては、「健康=病気ではない状態」ではなく、放っておくと常に病気・死へと向かおうとする圧に抗しながら、より健康に近づこうとする(生成する)プロセスであるとする観点や、いい意味での鈍感力、いい加減さも大事だということを認識した。
健康とは何か?の問いの先に、健康であるために何をすればよいのかの答えを期待したが、期待外れだった。
17-17
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読みやすかったので、同時に買った『承認をめぐる病』『生き延びるためのラカン』よりも先に読了してしまいました。
>絶望的な状況下では、希望と冷静さを失わない゛強さ”こそが求められる。それは゛健康な鈍感さ”でもあるだろう。この強さを解く鍵は、SOCとレジリエンス。゛わかる・できる・意味がある”こと、この三要素がバランスよく発達することが゛健康生成”においては重要なのだ…心の健康と幸せは、表裏の関係にあるのかもしれません。どちらが先かわかりませんが、幸せの条件、不幸になる状況を知ることで健康になりたいと思います。
『生き延びるためのラカン』を読み進めることが出来なかった理由は、「シニフィアン」(音)と「シニフィエ」(イメージ)との結びつきと「現実界・象徴界・想像界」というシステムが理解できなかったから…
SOC(センス・オブ・コヒーレンス)と呼ばれる感覚は、「把握可能感(わかる)」自分の置かれている状況を一貫性のあるものと理解し、説明や予測が可能であると見なす感覚のこと。「処理可能感(できる)」困難な状況に陥っても、それを解決し、先にすすめる能力が自分には備わっている、という感覚のこと。「有意味感(意味がある)」いま行っていることが、自分の人生とって意味のあることであるという感覚のこと。
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SOC/センス・オブ・コヒーレンス(首尾一貫の感覚)という健康という尺度は、目の前の患者に優先度をつけて切り捨てるある意味の「非情さ」、自分の身体を忙しさから守るために問題にならない範囲で手を抜く「怠惰さ」などが支えてるのも事実。倫理観とは必ずしも相いれない。というのはビックリした。
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一般的な健康論ではなかった。
SOC首尾一貫感覚について
把握可能感、処理可能感、有意味感(わかるできる意味がある)を持つこと、対処リソースとしてのGPRsについては具体的な例や近代史などを用いて示された。
自己効力感 ある目標を実現できる能力
日本人は日本教
日本教の中心は神ではなく人間
健康生成論
ポジティブ心理学
戦争は過程 平和は状態
幸福は過程 健康は状態
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医学における健康についての新しい考えかたや、「レジリエンス」など心の健康に焦点をあてた議論が活性化している現状を紹介しつつ、著者の健康観、さらには幸福観までもが語られている本です。
著者は「はじめに」でも「おわりに」でも、これまでラカン派の精神分析に依拠してきた著者自身が「健康」について考えることになるとは予想していなかったと述べていますが、読者であるわたくしも、著者がこうした内容の本を出すことになるのは意外でした。ただ、「健康ブーム」の浅薄さを冷笑するような言説もいまとなってはすっかり手垢のついたものになっており、「健康」という概念を見なおすためのあたらしい視点をさがし求めることがスリリングな試みとして受けとられ、本書で紹介されているような議論の活況を生んでいるのかもしれません。
他方で著者は、「私に有利な点があったとすれば、それはまさにラカン派の視点をとりうることによって、「健康」概念に対していつでも懐疑的な姿勢に戻りうるということだった」と述べており、本書でも個人のレジリエンスの高さが社会の倫理と矛盾するという問題などがとりあげられています。
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健康、幸せ、とは何か
何が、自分の健康や幸せを支え、形づくるのか
丁寧に綴られた文章から答えのヒントが見つかるかも知れない
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『首尾一貫感覚』と『レジリエンス』について知りたくてこの本を手に取ったが、やっぱり難しい~。
斉藤環先生は好きなんだけど、私には難解だった。
しかし、読みながら気になったのは「混乱期には病んだリーダーが―活躍する」の章。
現在ロシアによるウクライナ侵攻真っ最中。思わず浮かんでしまうのよねプーチン。
とりあえず、宝くじ当たっても幸せは持続しないそうなので、引き続き買わないでおこう。そんなことしか得られなくてすみません。