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投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
鳥類学者の川上博士が「島」について語る。
これまでも小笠原諸島でのフィールドワークの話や、南硫黄島での調査の話、西島での外来種駆除の話を『鳥類学者だからって鳥が好きだと思うなよ』や『鳥類学はあなたのお役に立てますか?』といった著作の中で読んできた。
今回も小笠原の話かと思っていたが、もっと大きく島について語った本だった。
世界には六大陸があり、それ以外は日本列島も含めてすべてが「島」である。
島の中には都市がいくつもある巨大なものから、海面に岩が顔を出しているような小さなものまで多種多様だ。
この多様性が島の研究の面白さなのだろう。
島はかつて大陸の一部だったものが切り離されて島になった「大陸島」と、生まれてから一度も大陸とつながったことのない「海洋島」に分けられる。
大陸から切り離された島では大陸に住んでいた生物がそのまま島になっても生き残っているが、海洋島では何らかの手段で海を渡ってきた生物が繁栄と絶滅を繰り返した結果、その島独特の生物環境が形成されていく。
生物が海を渡る手段は「Wing Wind Wave」という三つのWがあるそうですが、鳥やコウモリは自分の翼で海を渡って島へたどり着くことができる。
渡り鳥の休憩場所となる場合もあり、営巣地になる場合もあるが、この渡り鳥にくっついて植物の種や微小生物が一緒にくっついてくるケースは多い。
鳥が果実を食べても種はすぐに排出されてしまうため、何百キロも先の孤島へはなかなかたどり着けないように思われる。
だが鳥の羽毛にくっついて海を渡ってしまうことはよくあるようで、海鳥を捕まえて羽毛をワシャワシャすると植物の種や小さい昆虫類などがいろいろと出てくるそうです。
他にも偏西風に乗ってやってきたり、台風に飛ばされ、または波や津波に乗って島へたどり着いた動植物の中でも運よく子孫を残せたものが定着していく。
大型哺乳類は本土と近ければ泳ぐことができるが、本土と離れていれば海の捕食者に襲われてしまうので島へたどり着くのは難しいようです。
そのため海洋島では鳥類や昆虫、小動物の楽園ができあがる。
だがこの楽園は脆い。
大陸から離れた場所で独自に進化を遂げた固有種は、外来生物からの身の守り方も知らず外来生物が持ち込む病気への抵抗も持っていない。
大陸からネズミやネコ、ヤギといった人間が持ち込んだ生物が入り込んだり、外来植物がやってくると固有種はあっという間に絶滅の危機に立たされる。
ネコを駆除してみたらネズミが繁殖してネコがいた時より固有種への圧が高まってしまったりと対策も難しいようだ。
そんな問題にも触れつつ、島の進化とそれぞれの楽園をコミカルな語り口で紹介してくれた本だった。
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2013年の私にとっての(その年に読んだ)ベスト本『鳥類学者、無謀にも恐竜を語る』の著者の新著ということで期待して読みました…いや、面白かったです。「島」における「進化」がテーマ。
ただ、恐竜ほどに対象自体がパワーを持っていないからか、島における鳥類の研究は著者の専門分野により近い…というか専門そのものだからか、内容的にはやや肩の力が入り過ぎ、で、それを和らげるために語り口は前著に比べてやや行き過ぎ…な感じでちょっとバランスを失している感が無きにしも非ず(失礼!)。
でも、楽しく読ませてもらいました。
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いつもながら軽妙なトークで、全方向性に読者を笑かしにかかってくる。つい欄外の解説ばかり読んでしまって、本編がおろそかになりがちである。外来種の話は成る程フムフム読んだ。カラスの本の著者さんと対談か合作かして欲しい。
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島における生物の進化について鳥類学者である著者が語る1冊。やたらと登場する美女や、ガンダム、ウルトラマン、児童書、さらっと『鼻行類』まで引っ張り出す語り口は愉快で楽しい。
島はいいぞ。
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http://gihyo.jp/book/2016/978-4-7741-8250-6 ,
http://pyritesmile.shop-pro.jp/ ,
http://erushimasaku.blog65.fc2.com/ ,
http://studio-porcupine.com/
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そもそも島に進化あり 川上和人 技術評論社
海は多様な命の母なのか
それとも阻むものなのか
まれに見る面白い本である
《はじめに》からふざけた引用的表現が多く
多読家である著者の
好奇心の旺盛さが滲み出しているが
それでも前半はプロローグなのだろう
後半になるほど面白さが際立つ
濃い内容を素通りしてしまいそうなほどに
読み安いのが欠点かもしれない
鳥が専門の学者でありながら
植物にはじまりあらゆる専門外に話が飛び交い
盲目的な今の御時世に逆らって
全体観を養うにもモッテコイの物語である
地球物理の始まりから宇宙を見晴らす未来に
目を開いてくれる
もっとも《序》の初っ端から「星の王子さま」の登場で
思わず本を閉じそうになってしまったが
我慢して読み進んだおかげで
この世の理について多くを考え直してみるヒントを得ることができた
つまりこの世は理不尽な競争原理で成り立っているのか
それとも意識に注目した全体観と部分感の相対関係が
調和による棲み分けと食物連鎖で補い合いながら
五分五分の冒険をたのしませてくれているのか
という問題についてである
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川上和人「そもそも島に進化あり」http://gihyo.jp/book/2016/978-4-7741-8250-6 … 読んだ。おもしろかった。おもしろいんだけど、度を越したおちゃらけや無意味な比喩が多くてせっかくのいい内容が薄れる。ふざけて普通の学術書から差別化しないと売れないからかなあ。でもなんだかなあ(おわり
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川上さんの島の知識、雑学(島のではない)などが詰まった一冊。
島がどのようにできるかから島にどのように生き物が入ってくるのかが詳しく書かれている。島のバイブル。
以前読んだ島図鑑と同じく、人間の活動によって、いかに多くの固有種が絶滅したかが書かれていて胸が痛む。
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やっぱり面白かった。声出して笑ろてもた箇所有り(あはは)外では読めんな。この先生の講義はおもろいはず、シンポジウムとか参加したいもんですねぇ。今年の日程をみたら見事にかぶっててとっても残念。なんとなく去年の日程もみてみたらやっぱり被っていた、呪いか?ともかく本書、ツボ箇所多かったですが、特に今まで思っていたことをズバリ活字にしてくれていて、そうそう!そこそこ!と、痒いところをかいてもらったような気持ち良さでした。なんか垢おちたわー、とっても楽しい島旅でした。
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島の生態系に関する大真面目な話を小気味よくボケながら語ってくれる。
こんなに分かり易く楽しい本にはめったにお目にかかれない。
かなりの切れ者であるに違いない川上和人さんにハートを掴まれてしまった。
この方の著書は全部読むことになりそうだ。
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隔離された島だからこその生態系がそこにはある。堅苦しい生物学の本ではなく、カッパや座敷わらしなど想像上の生物もナチュラルに登場。例えが非常にわかりやすく、楽しく読むことが出来る本である(美女ネタが多いことはご愛嬌)
日本人は島に住みながら島の存在を忘れている。自分自身が海なし県在住なこともあり、島なんて観光地くらいにしか考えていなかった。しかし、この本を読むと少しだけ島に興味を持てる。だからと言って、いざ島へ!とはならないが。
プランターに土を置いて置けばそこには、いつか花が咲くかもしれない。とてもロマンのある考え方だと思った。島に生命が宿ることにくらべれば、とても小さなことだが、そういう小さな発見を楽しむことがが出来れば私も立派な島類学者なのかもしれない。
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鳥の本を読んで面白かったので、前作も読んでみた。
鳥よりも難しかったが、「おわりに」に書いてある、「この本の最大の目的は、島を理解してもらうことではない。これをきっかけに島に行き、島らしさを体感し、島を好きになってもらうことだ。」この一文を読んでホッとした。ぜひ、どこかの島に行って、その島らしさを体感したい気分だからだ。
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鳥類学者による、島の生物の本。
ユーモアたっぷりで楽しかった。
内容はけっこうしっかりしていて、島の生態や誕生などが知れます。
島に行きたくなる。
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鳥類学者川上氏が島を語る。海という障壁に囲まれた島という環境に生物はどのようにやってきてどのように繁殖しどのように進化したのか。話はついには地球全体の生物の話にまで拡がる。外来種の位置付け、人間の影響に及んでは人間世界における地球規模の政治的議論さえ想起させる。そして何より文章が面白い。
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いやぁ。面白かった面白かった。
ラムちゃんでしょ。ガンダムでしょ。
パンダとタイヤの配置についてでしょ。
東京ドームを縦に並べらいくつ分でしょ。
ってこれ何の本?
いやいや、いたって真面目。大真面目な本ですよ。
筆者のお人柄が読んでいて伝わってきます。大変、勉強にもなるいい本です。ギャンブルなら大勝利と、僕は自身を持っていいます。
ほんとは「恐竜」の本を買おうと書店に出かけたのですが、置いてありませんでした。仕方なくこちらを購入し、読んでみたんです。。。