非現実的かもしれないが・・・
2017/04/30 11:34
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投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
他のレビュー内容を見た限り、”非現実的”とか“何が言いたいのかわからない”といった批判が多々見られます。
確かに、復讐法のような法律が現実に公布・施行されることはないと思いますし、著者もそのことは十分に理解していると思います。それでも、著者がこの法律を本小説のメインテーマに据えたのは何故でしょうか?
それは、人々が犯罪者を許せない、彼らに復讐したいといった感情を抱いているからではないでしょうか? 「いや、私はそんな風に考えない」 このレビューを読んでいるあなたはそう感じているかもしれません。でも、犯罪、特に殺人事件などの裁判を見ていると、「もっと重い刑じゃないと納得できない」という意見を見ます。インタビューに応えている一般市民から、テレビのワイドショーで知識人や芸能人がそんな風にコメントしているんです。
著者がこの作品を通して伝えたかったのは、加害者に復讐したい被害者の感情を優先しすぎると、生きづらい社会になってしまうことなんじゃないでしょうか?
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投稿者:スミレ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現実感の全く感じられない、それでいて、心揺さぶられる話でした。
こんな復讐法などあり得ない。
でも、もし復讐法が制定され、自分が被害者遺族という立場に立たされたら、私は復讐法を選ぶだろうか?
「絶対に選ばない」と今は言えるが、最愛の人を失った人の気持ちは、当事者にしか分からないだろう。
とても複雑な気持ちで読み終えました。
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
近未来。「復讐法」が制定された。犯罪被害者は、旧来の法律と、この復讐法を選ぶことができる。つまり、被告が犯したのと同じ方法で相手を殺すことができる。着想は面白いが、それで何?となると…結局は筆力不足か。現実社会で凶悪な犯罪が多発しているだけに、こうしたモチーフを扱う場合は被害者感情に配慮が大切の筈。ホラーだから、言論の自由があるから、それだけでは書く資格はなかろう。
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復讐法が制定されたことによって起きる、合法的な”復讐”、それに立ち会う監察官の視線で描く。
復讐が認められる位だから殺人、それも陰湿な事件が多く、被害者の家族の復讐シーンは重く暗い。殺人とその復讐という設定なので当然ドラマは重厚になるし、方や犯人、方や事件までは普通の人、ということで葛藤も深くなる。
しかしこの小説の秀でている点は、短編集ではあるが、このテーマはそのままでも、毎回事件の形式を微妙に変えているので話に飽きない事。単に復讐法を使った遺族の復讐というパターンだけだと重い話の連続になるのだが、そこを上手く組み立てていて、娯楽小説としても一級の仕上がりになっている。
復讐法をテーマにした作品は他にもあるが、少なくともこちらの方が遥かに優れていた。
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事件で誰かが大切な人を亡くした時、もし自分の身にふりかかっていたら…と思う。
何の罪もない人がある日とつぜん被害に遭い、加害者が何の反省もしていないとき、遺族はきっと自分の手で復讐してやりたい、同じ目に遭わせてやりたい、そう思うだろう。私もきっとそう思う。
そこに冤罪や偶発性がないとはっきりしていたら、この手で加害者の命を奪ってやりたい、何年かかっても必ず復讐してやる、と。でもそれがなされないのは、この国がそれを許していないから。
じゃぁ、それが法律で認められているとしたら…
この物語の哀しさは、復讐を認められた被害者の家族たちこそが、その復讐によって二重の苦しみを得てしまうという事。
大切なひとを亡くし、その復讐をその手で行うという重荷を背負う。なぜ、何度も苦しみを与えるのだ。法律は誰のためにあるのだ。
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復讐法、殺人に対しての報復が正当化される法律のはなし。将来、こういう法律ができる事はないとは思うけれど、自分の周りでこういった殺人事件が起こらないとは限らないし、自分が執行者にならないとも言えない。
考えられるいろんなパターンの対処法が出てきて、なるほどね、とも思う。
だけど、特に響くものなし。
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毎日のように信じられないようなニュースが流れている。無差別殺人であったり、快楽殺人であったり、複数で少年を暴行した上に殺したり。そんなニュースを見るたびに思うのは、自分の身内がその事件の被害者だったら自分はどうするだろうという問いだ。
この物語は、きっとそういったことを考えている人に対してのメッセージであったり、またはこの著者もそんなニュースを見て考えていたことをこうして本にしたのではないか。
物語は、自分の身内を殺された者が、新たに定められた復讐法によって、加害者を同じ方法によって裁くか、従来の刑法に則った裁きを与えるかを選べるというものだ。
もちろんこの物語に登場する被害者遺族は、復讐法を選ぶわけだが。
ただ、この短編で形成される物語は、そんな単純なものではなく、その加害者が身内であったり、また、復讐をする者が心の内に迷いや悩みを抱えたりしている。
その悩みであったりを応報監察官である鳥谷文乃が謎解きをすることで、また違ったストーリーが見えてくる。それがこの物語に厚みを出している。
物語自体はこれだけ重い内容にも関わらずサクサクを読めてしまう。3か4かで悩んだけれど、4で。
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犯罪が増加する一方の日本で施行された「復讐法」
旧法に基づく判決か、復讐法の執行かを選択する、
5件の犯罪の被害者家族と復讐法の執行を通して、
犯罪被害に対する復讐の意義を問うた短編集です。
とは言え、若い作家さんのデビュー作としては、
テーマが、少しヘビー過ぎましたでそぅか…??
5編とも、何となく、ミステリー色が蛇足気味で、
題材の重さや難しさが、活かし切れてない感じ…。
何より、復讐法の執行を、冷静に見届けるはずの、
応報監察官の主人公が、執行者に感情移入し過ぎ。
安楽椅子探偵ごとく、事件の真相を暴き過ぎだし、
職務に疑問を持ち過ぎで、最後の行動も安易過ぎ。
例えば、まったく同じ題材や設定でも、長編で、
5件の、シチュエーションの異なる犯罪に対して、
これらの被害者家族による復讐法の選択と執行を、
主人公の視点で、同時並列に、淡々と描きながら、
作者なりに考える犯罪被害に対する復讐の是非を、
主人公を介して、明示・暗示するような構成なら、
単に、現代社会への問題提起の範疇にとどまらず、
社会派のサスペンス小説として、秀作だったかも?
評価は、
今後への期待を込めて、辛めにさせて頂きました。
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人が人を裁くという難しさ。
裁判員制度を遥かに超える制度を仮定して語られる物語。
死刑執行人と応報監察官、どちらが辛いのだろうか。
少なくとも、犯罪抑止にはなりませんね。
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舞台は「復讐法」という法律が運用される世界。
非現実的な設定であるが、多くの読者はその物語にイッキに引き込まれる。なぜなら、そこは古代、成文法ハムラビ法典の時代のように「目には目を、歯には歯を」、すなわち「やられたらやり返す」ということが合法的に行えるという世界だからだ。愛する人を殺された被害者が加害者に対し同じ方法で復讐を行う。あくまで小説ではあるけれど、「もしも自分が被害者の立場なら…」という事を常に考えてしまう。愛する者を奪われた悲しみと怒り、感情のままに復讐を行うのか、あるいはその権利を放棄するのか。作中に出てくる被害者は様々な思いを胸に秘め、おそらく太古の昔に「人を愛する」という感情を持つと同時に芽生えた「人を憎む」という感情と、人間が永年培ってきた「理性」との狭間でもがき苦しむ。単なるエンタメ小説ではない、もしかすると近い将来こんな世界が訪れるかもしれないと思って読み進めると夜も眠れなくなりそうである。
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どの話も泣いてしまった。
確かに酷い事件あると、犯人も同じ目合えば・・・と思うけど。
自ら手を下すってなると、どうなんだろう。復讐したって大切な人は戻らないし、気が晴れる事もないだろうし。
色々考えさせられました。
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読んでて辛くなった。でも、どの話も現実に起きてるし、人間の「感情」は法律や制度ではどうにもならないと思った。
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もしも、この世の中に復讐法が存在したら・・・
自分だったら、通常の刑の執行と、自分で手を下す復讐法、どちらを選ぶだろうか?
そんな苦悩と闘う人たちを描く連作短編集。終始、淡々と語られており、強く感情移入をするようなこともないが、それぞれの人たちの苦悩が手に取るように分かる。これがデビュー作とは思えない作品。普段、本を読まない人にも読んで欲しい1冊。
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なんだろうなぁ・・・・
復讐法、というテーマに対して、ちょっと内容が薄い感じがした。
もう少し踏み込んで、深く掘り下げたら面白くなりそうなんだけど。
途中でちょっと飽きちゃった。
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前々からこういった問題に関しての小説は数多くあったが、これほどまでに本格的に取り扱った小説はないと思う。「復讐法」いわゆる殺人に対しての報復が正当化される法律である。将来、こういう法律ができる事はないとは思うが・・・自分の周りでこういった殺人事件が起こらないとは限らないし、自分が執行者にならないとも言えない。
内容は、つまり殺人被疑者に対して従来の法律による判決の懲役刑を選ぶか復讐法による死刑をえらぶかを被害者の関係者に選ばせるものだ、さらに復讐法を選択した場合自らが執行者になる。被疑者が受けた殺害方法をそのまま、執行者に実行させる・・・というもの。あまりにも残酷すぎるような気がする。要するに執行者もそのまま殺人者の十字架を背負うわけだ、そんな法律が許されるのも、被疑者の心情を考えるとあながち不法とも思えない。
本当にこの問題は永遠の問題で深く考えさせられる常に重たい問題である。死刑問題自体が論じられる昨今、新たな問題として取り上げられるかもしれない。いづれにせよ、難しい問題を提起した、話題の小説だけど、著者のデビュー作とは思えない斬新な小説だと思う。