紙の本
シリーズ完結作。
2008/10/20 23:20
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投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ完結作。
清朝末期の歴史は、未来に対する「夢と理想」。列強に植民地化されていく「残酷な現実」の対比で語られます。
最終回の本作品では、やはり悲劇的な結末が待っています。
時代の流れに逆らうものと流れに身を任せるもの、どちらも必死に生きているのだ。
この作品を読み終えて感じることは、「自分の天命とはなにか」ということ。たぶんこの世に生まれてくるからには、何らかの役割が与えられているはず。
国家や世界という広い範囲の中で、自分の役割を見出すことは、至難の業でもあります。
でも、本作品では主人公格がすべて死ないので、ちょっと救われた気も。悲劇性を強調するには、「死」が最も簡単です。しかし、著者があえてそうしなかったのはどこかに意図があるのかも。
中国、久しぶりに行ってみたくなる小説でした。
龍
http://ameblo.jp/12484/
電子書籍
西太后という一人の女性
2019/03/09 21:38
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:扇町みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
『蒼穹の昴』は、ラストエンペラー溥儀の一代前の光緒帝の御代、貧困の中で生きる春児(チュンル)と科挙に合格した地元の名士の息子梁文秀がそれぞれの形で紫禁城に上がり、西太后や皇帝に仕え、二人はそれぞれの立場で戊戌の政変に巻き込まれていきます。
冒頭で書いた映画などの影響で、とても不気味な女性というイメージで固まっていた西太后は、この作品ではとても人間的に描かれています。時には癇癪を起こすこともあるけれど、西太后もまた、激動の時代に翻弄された一人の女性となっています。
電子書籍
最高作
2018/11/17 20:16
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
かなりの数の浅田次郎の作品を読んだが、この本が文句なしの最高作。
史実を裏付けにした舞台の壮大さ、登場人物の生き生きとした描き方、清朝初期と末期の時代転換のうまさ、そして泣かせどころを心得た浅田節と文句のない出来上がり。
電子書籍
勇気をもらった
2018/03/07 13:11
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投稿者:ポッター - この投稿者のレビュー一覧を見る
蒼穹の昴の意味とし、歴史の結末は天のみぞ知るという事でしょうか?
でも一人一人の国民達は、生活の為に様々苦労をして生きている。それぞれが役割を持って・・
施すのではなく尽くすとの言葉、そこに到達するのは大変な境涯が必要
ちっぽけな自分を振り返って、勇気をもらえる小説でした。
紙の本
春児はついに自らが人々の昴に
2015/03/26 09:47
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投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
あぁ、終わっちゃったな。名残り惜しさを感じさせる小説は今まで数えるほどしか出会ったことが無いのですがこの感覚は久しぶりです。文秀の手紙が玲玲の涙が春児の声が忘れられない。星に導かれた春児はついに自らが人々の昴になった。
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さあ。壮大な中での人間模様に泣いて感動して疲れてください。
映画化すれば。イーモウか?やれカイコーか?ベルトリッチで
ラストエンペラーエピソード1とかとか。ふうう。お買い得でした。
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清帝國は何故亡んだのか?
同じやうに帝國主義列強の侵略にさらされて、日本は江戸幕府は崩壞したものの大日本帝國として再生したのに、
國力からいへば比較にならぬほど強大な清帝國が滅亡したのは何故なのか?
その理由は樣々あるが、よく云はれることに以下の2つがある。
まづ第一に、科擧によるがちがちの官僚制度が整備されてゐて、新しいことを行なふに際してのエネルギーに缺けてゐたこと。
次に、宦官が裏の力を持ち、宦官に取り入らねば皇帝に話が通じなかつたこと。
さて、本作品はまさに亡びゆく清帝國を描いてゐる。
主たる登場人物のうち、一人は科擧に合格して進士登第を果したエリート官僚。
もう一人は、かつてそのエリート官僚の使用人だつたが、自ら一物を切除して宦官となり、西太后の寵臣となつた。
この二人がそれぞれの立場から激動の時代を乘り越えんとする。
いづれも國のために出來る限りの力を盡すのだが・・・
この小説には世界史で習ふやうな歴史上の人物がたくさん登場する。
康煕帝、乾隆帝、光緒帝、西太后、李鴻章、袁世凱、康有爲、伊藤博文など。
そして郎世寧ことカスチリオーネのエピソードも織込まれてゆく。
この作品を讀んで、清が亡びた理由は、先に擧げた二つだけではないことがよくわかる。
確かにこの二つは日本との違ひといふ上では大きなことだらう。
しかし、本當の理由は、大きな歴史の流れそのものだと云つてよいのだと思ふ。
それでは何を云つたことにもならない?
さうかもしれない。
しかし、この小説を讀んでみれば私の感想も理解できやう。
この小説の主人公は、亡びゆく清帝國そのものであり、歴史のうねりそのものなのだ。
2004年11月30日讀了
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2005/5/5無名の主人公の人生に歴史的史実を絡ませるというなら珍しくはないのだが、李春雲と梁文秀という2人の対称的な主人公に始まった物語が、何時ぞやに彼等は後方に追いやられ史上の傑物達が物語を蹂躙していく。それが予想外であり快感であった。時空までも超えた一大パノラマの群像劇を西太后と李鴻章とに収斂させたのは、正に落ちるとこに落ちたとの感があり感慨を呼ぶ。大労作であり並々ならぬ力量を感じつつも、しかし、浅田流のハメ外しが画龍点晴を欠く。何が?西太后おきゃん過ぎ。
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「百日維新」のクライマックス。改革の失敗と命を落とすもの、志を持って生き延びる者・・・本当にたくさんの人物の思いが現われています。勝ち残った春雲と、追われる文秀の間の絆に感動します。本当に多くの登場人物それぞれが丁寧に書かれています。歴史の事実もですが、人間関係の絡まり方が本当に複雑で、面白い話でした。
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王逸、忘れられてなかった!どうしたんだろうと思っていたところに登場。おおっと思う人物も絡んできてジーンと感動しました。残された西太后が可哀相で。。この物語の世界がたった100年ほど前の世界だなんて本当に不思議です。意志は天命をも変えるということ、忘れないようにしたいです。本当に面白かった!
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『蒼穹の昴』の完結。太白白が春児へ贈った予言の意味、それがこの長編小説のテーマとなっている。この小説を読んだ後の感動は筆舌につくしがたい。あらゆる人におすすめする。
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中国歴史小説には興味がないというのに、手にとってしまった本。何度1巻の1、2ページ目を読んだだろう・・・という位、興味が持てなくて何度も読み直していたけれど、何とか読み進めていくうちにいつしか先が気になって仕方ないという状態に。幼い頃から共にあった二人の主人公の道がどう変わって、そして交わるか。壮大なスケールはもちろん、多く登場する魅力的な人々との関りをも楽しみながら読めます。それにしても滅びるべくして・・・と感じました。あ、少々ファンタジーぽさが否めませんでした。
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『中国歴史小説』 取っつきにくさはあるが、読めば止まらない。科挙、宦官、男の死に様を見届ける女、母性愛、夢と希望の昴。4冊とおして、心を打たれて涙が流れた。
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遂に読破!潰えちゃいましたねー。一応世界史やってたからこーいふ結末は知ってたけど、やっぱり残念。どうせなら袁世凱が皇帝を名乗って失脚する所まで書いてくれてもよかったな。今度書いてくれ!(←そんな無茶な…)結局、奴らは未熟やったために自爆したって解釈していいんですかね。皇太后がなんかしたっけ?って感じ。だから自爆したって思ったんだけど。(20060416)
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とても壮大なストーリー。長さを感じさせないおもしろさと、鳥肌が立つほどの感動がある。
個人の感情ではどうにもならない歴史の流れに歯がゆさを感じつつも、その中で生きる人々の強さに心打たれた。