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坂口安吾の随筆集。冒頭の「日本文化私観」を国語の教科書で読んだことがあったので、興味が湧いて読んでみました。
文体がやや古いので現代人としては読みにくさがありますが、それに勝るほどに文章が気持ちいい。間違っていると思うものには間違っていると真っ向から勝負をかける姿には、降って湧いたような反逆精神がありません。もちろん彼の思想はあくまでも彼の思想であるし、時代背景が違えば同じ文章でも価値が変わるのは当たり前で、賛成も反対も言いたくなるのだけど、それでもなぜか続きを読みたくなるのは筋の通った思想を提示してくれるからなのかな、と感じました。反抗の中に客観的な内実が伴っていて、誰かの言葉を傘にすることもなく、何の論拠もナシに作文することもなく、ひたすらに自ら考えていることが言葉の向こうに見えてきます。
正直な話、坂口安吾の作品は読んだことがない(そもそも純文学は進歩が感じられないので興味が無かった)のですが、少し手を付けてみようかなと思わされる一冊でした。まあ、芥川も太宰も漱石も鴎外も川端も三島も知らなくたって、今まで文章を読んできたのだから、それが自分の文学私観でいいのだろうけど。
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昔の人だと思っていたけど、読んでみると意外と面白い考え方をする人だと思った。
まぁ、途中言ってることがわからなかったり、何度か寝落ちしたけど……。
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日本は負け、そして武士道は亡びたが、堕落という真実の母胎によって始めて人間が誕生したのだ。
生きよ堕ちよ、その正当な手順のほかに、真に人間を救い得る便利な近道があるだろうか。
堕落論、なんだか難しそうだから、ずっと敬遠していました。
でも、読んでみたらおもしろい!!
もっと早く読んでもよかったかも!!
恋愛論がすごく好きです。
「恋なしに、人生は成りたたぬ。
所詮人生がバカげたものなのだから、恋愛がバカげていても、恋愛のひけめになるところもない。」
この文章に衝撃あんど勇気づけられました!
所詮人生はバカげたもの、そんな言いぐさにもつい納得できてしまいます。
開き直れば案外人生思い通りにいくのかもしれない。
恋愛は、人生の花
こんな風に言い切れる坂口安吾のファンになりました。
他の短編を見ても、なんだろー文体?
投げやりなおっちゃんって感じですごく好き。
歯に絹着せぬものいいが素敵です。
今の時期に出会うべくして出会った本なのかもしれない!
読んでよかった。
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難しいが読みごたえがあってこれぞ読書!と感じさせる作品。13作品が収録されている。一部の作品は私が無知で、批評している作家のことや時代背景の知識が不十分なところがあり、十分に理解できなかったところがある。しかし、他の作家を批評する場合にも、現代では作家間の関係性など、大人の事情があってここまで辛辣に批評できるのだろうかと感じた。
私は、日本文化私観という作品に特に感銘を受けた。筆者は「見たところのスマートだけでは真の美にはなりえない」と述べている。つまり、人々の魂がやどるものにヒトは美を感じるのだ。本文にある具体例からまとめると、月夜の景観に代わって、ネオンサインが光っているという状況もそこに人々の生活が真に存在するならば、美しいと感じるということだ。つまり、真に必要ならばなんでも美しいし、文化になりうるということだ。
私はこのことに加えて、同じものでも見かたによって必要性の感じ方に違いが出るということを提案したい。例えば、私たちが、ネオンサインに美を感じないとき、ネオンサインは、私たちにとって必要ない状況であるといえる。一方で、飛行機に乗っていて夜景をみるとき、街の光(ネオンサインも含めて)を美しいと感じる。これは、そこに人々が生活している証としての光と感じ、人々が生活するために必要なものだと私たちが無意識に感じているからだ。景観を意識した街づくりが近年注目されていて、どのように美を形成していくかということが検討されているが、人々にとって真に必要なものならばおのずと美しい街づくりが実現できるのではないだろうか。真に必要なものを形成することが困難なことではあるのだが。
また、筆者は法隆寺もヒトがいるから寺があり、必要なかったら焼いてしまえばよいと述べている。私はこの言葉から、日本固有の文化というものが現存しているのか、頑なにそれを守ることが本当に必要なのか検討することも今後出てくるのではないかと感じた。
次に表題の堕落論について少し述べる。人間だから堕ちるのであり、堕ちきって初めて変わることができるというのが主旨だと感じた。この言葉から、私は、人間は戦争や目先の利益にくらんだ争いをやめることができない。それは人間はまだ堕ちている途中で、どこかで変わることができる可能性を秘めていると拡大?解釈した。と、同時に私が生きている間には人間が堕ちきることはないとも感じた。
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かゆい所に手が届く。いや、痛いところに確実にパンチを食らわせてくるという表現の方が正しいか。
辛辣なる批評のなかにあって、どこか背中を強くバーンと叩かれたような気がする、そんな本。
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美しさのための美しさは素直でないというが、余計な美しさも人には必要でしょう。坂口さん自身、まじめな文章よりも人を笑わせる余計な文章が好きと言っていますし。
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笑った。表現の仕方もさることながら、書いてる内容も面白い。いい意味で時代を感じさせない近さの文章。気軽で好き。
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青空文庫にて表題作のみ。
どだい無茶な不幸や苦痛や硬派を貫く事が美徳というような世の中だが結局人は忘れ適応してゆく生き物だからそうやって堕落して生きてゆくしか仕方がない。
苦痛だけで生きられたらいいのだけど、やはり無理だよなあ。
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ぶっとんでた。なんにも古くない。すごく勇気出るし、色々愛しくなる。日本人なら読んだほうがいい。正しく堕ちて、生き抜くこと。
堕落論のテンポと痛快な批判で爆笑。続堕落論も含めハイライトかな、デカダン文学論のさいご、『私は風景の中で安息したいとは思わない。〜』で泣く。
風景が美しい?否、人間が一番に決まっているって言い切れるのすごい。まぁ、そうなんですけどね…。
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読んだきっかけ:100円で買った。
かかった時間:2/18-3/10(22日くらい)
あらすじ:「人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。」第二次世界大戦直後の混迷した社会に、戦前戦中の倫理観を明確に否定して新しい指標を示した「堕落論」は、当時の若者たちの絶大な支持を集めた。堕ちる事により救われるという安吾の考え方は、何時の時代でも受け入れられるに違いない(裏表紙より)
感想: 読みづらかった。短編集だが、簡単なのと難しいのの差が激しい。青春論、堕落論はしんどかったです。内容は、なるほどこれが無頼派か!というもの。この時代、あるいは前時代の文学者に喧嘩売りまくり、みたいな。なるほど、と思わせるものもたくさんありました。
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坂口安吾はわたしが今まで信じて疑わうことなく囚われてきたものたちを、気持ちいいくらいにばっさりと否定した。苦労や家庭や道徳に囚われず自分の欲望を認めて自分の力で這いつくばって生きなきゃいけなかったし、本当は生きたいと思ってたのかもしれない。はじめて、自分の根幹が揺らぐような衝撃を受けて、解放されたような視界が開けたような気持ちになった。生きるには大きな覚悟がいると思った。
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「堕落論」坂口安吾
随想録。灰色。
坂口安吾は初読です。
人間性のいろいろについて。あてなく書き連ねられているふうが正直読みづらかったですが、ひとつの骨子(例えば「欲望は秩序のために犠牲にせざるを得ないものではあるけれども、欲望を欲することは悪徳ではなく、我々の秩序が欲望の満足に近づくことは決して堕落ではない。」p214.)に対して、よくまあ逐一ねちっこくズルズルと書き起こせるなと感じること延々。
普段から深い考察と穿った視点がないと無理。見習いたいです。
収録作品の初出が昭和17〜23年の戦中戦後であることを考えると、このキナ臭くなさというか、埃っぽい四畳半を感じさせる読みごこちが意外でした。
中学生くらいで読んでいたかった。(3)
以下メモ
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p116.日本は負け、そして武士道は亡びたが、堕落という真実の母胎によって始めて人間が誕生したのだ。
堕落論と安楽死
、苦しみから逃れるエゴこそが二重の拘束から人間を救う、のではないかしらん。
またしかし、「堕ちぬくことはできないだろう」(p118.)から、法によって義を偽することで安堵する
日本人が連綿と続いてきたのは、統治者が何より日本人を知り抜いていたから?
←p124
p222.我々の周囲には思想のない読物が多すぎる。読物は文学ではない。
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超・有名な坂口安吾のエッセイ集。
特製カバーは空色? っぽいブルー。
語りかけるような文体で太宰治について語った『不良少年とキリスト』が面白かった。
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坂口安吾の小説を読まずにエッセイを読む。というのもどうなのか。エッセイでも、書評でもあり、ただの悪口の羅列だったり。
「この時代」と十把一絡げにしてしまうのは乱暴だが、頭でっかちで自意識過剰な男が多いなという雑感。
「僕が想像し、僕がつくればそれでいい。」これを言ってしまうには危なさが漂うが、ちょっとかっこいい文章だった。
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すごいなぁ。有名無名構わず真正面からバッサリぶった斬り。無茶苦茶言ってるんだけど、真理をついてる気もするんだから。なんだか落語家みたいな人だな。