紙の本
愛について
2017/12/30 17:37
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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
愛に対する私の考えとは一致しなかった。主人公の藤代君は、自分自身の感情に受動的すぎると思う。自分の心の中の正直な気持ちを追及するより、自分が相手に対してどんなふうに向き合いたいのか追及してほしかった。結局彼は、彼女(たち)の何になりたかったのかよく見えなかった。それとも、そこが見どころなのか??
紙の本
愛おしくなる瞬間が重なるとき
2017/05/17 18:59
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投稿者:1900 - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生時代の恋人ハルから突然の手紙。結婚を控えた精神科医藤代の心に何かがうずき始める。ハルはなぜ手紙をよこしたのか。ずっと一緒にいるといった言葉はどこへいったのか。穏やかだったはずの日常に風が吹く。
また来ようねと言った初めての海外旅行。いつでも来れるとその時は思っていた。
なぜか私のこころの奥でも揺れるものがあった。書店で表紙に目を奪われ手に取ったときはこんな気持ちになるとは思わなかった。今すぐすきなひとのところに飛び込んでいきたくなる。普段は言葉にできないけれど好きな気持ちでいるこの瞬間を大切にしたくなる。
季節とともに、時間の経過とともに人の心がゆっくり動いていく、でも変わらない自分でいられる。その様が心地よく読み進めていける一冊。愛の色や形、においや音は誰とも簡単に重なるものではない。私だけのものだからこそ、共有できたときは嬉しい。
紙の本
何かを得れば何かを失うのか?
2017/03/05 19:47
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙はウユニ塩湖、ここから大学時代に付き合ってた彼女から突然手紙が届く所から始まります。
精神科医・藤代くんには婚約者がいますが、本当に愛しているか自信が持てない。かつては確かに好きだったけど。
かつては人と話せた黒猫がメス猫に恋したら人の言葉を失った様に、何かを得れば何かを失うのか?
結婚はゴールか未来か。愛情の変化をどう受け止めるのか。真実の愛は存在するのか。
今と昔を行き来しながら、そんな事を静かに読み解くようなお話です。
紙の本
穏やかな切なさ
2017/01/30 01:23
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投稿者:ぷ - この投稿者のレビュー一覧を見る
愛とは何か、をまっすぐに訴えかけてくる作品です。
えぐられるような切なさはないものの、穏やかに染み渡るストーリーかなと思います。
ストレートな作品を好む方にはいいかもしれません。
推理物やひねりのある作品を読み慣れている人にとっては少し物足りなさを感じさせるかなと思いました。
ストーリー展開はシンプルですが、川村さんが伝えようとしているものはひしひしと伝わってきます。
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いろんなドラマを手掛け、映画「セカネコ」で注目浴びた作家の最新作。「セカネコ」は原作も読んでないし、映画も観てないけど、テレビで取り上げられたこの作品が気になり、手に取ってみた。気になった理由は冒頭の「ウユニ湖」から送られる9年前の元カノからの手紙。その手紙に婚約者のいるフジは、それほど動揺もせず、物語はフジの婚約者・弥生、その妹夫婦を巻き込みながら、淡々と進んでいく。静かで、情景も豊かで、ゆったりとした作風。好きな人は好きな世界観かもしれない。
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果たせなかった約束や、
忘れられない気持ちを抱えながら
忘れなくてはならないと思いながら捨てきれない希望と。
私たちは愛することをさぼった。面倒くさがった。
変わってしまう自分の気持ちも、引き止められない相手の気持ちも、
永遠はないとわかりながらも
わかりながらも信じたいと思えることを。
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共感してしまうことが嫌なのに、わかってしまう自分と向き合わざるを得なかった読書体験でした。無意識に目をそらしていたことを突きつけられているかんじ。自分もこの川村さんが捉えている社会の流れの中で生きているんだなぁ。作られた世界でのお話だから、現実より少し優しくて、それこそクリアな現実にとハルのどこか優しげな写真が散りばめられている映像を見ているかんじ。よかったです。
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愛について淡々と突き詰めた小説。
こっぱずかしくなる内容ではなく、本当に淡々と愛は次第に変化していき、最初の燃えるような情熱も消えていってしまう。ということが書かれている。
でも、その変わりゆく愛に最後まで寄り添っていけるのは、一瞬でも対等にお互いの愛を感じあった者同士でしか寄り添って乗り越えていけないと言う事実があって、
なんだか人生の愛についての手引書だなと感じた。
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夫婦とは何か。人を愛するとはどういうことか。川村さんは優しい描写の中に鋭いことを書いている。二度、三度と読みたいお話だった。
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読んでいてとても心がざわざわするお話だった。
結婚を控えた藤代は婚約者を愛しているかわからなくなっている。そして大学時代に愛した女性からの手紙で昔の別れを振り返るも、結局愛することにこだわれなかった自分がいる。
「愛を終わらせない方法は……手に入れないことだ。」これにはちょっと納得してしまうけど。でも、全てに頷くには寂しいし、悲しい。
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「セカネコ」の川村元気さんによる深く静かな恋愛小説。これを読んでカニャークマリに行っちゃう人が、、、いるんだろうな〜。救いのあるラストで後味良し。
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もやもやしながらもよかった。風景が頭に浮かんでくるお話。たぶん映画になるんだろうな。表紙がとても素敵。
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「いま、そばにいる人のことを本当に愛してますか?」そう問われているようで、読み終わった後も胸の奥の方でざわざわとした何かが動いている。
誰かと出会い、誰かを愛し、誰かと共に歩いていく。当たり前のように繰り返されてきた「人生」は実は不安定で壊れやすいモノだという事に、本当はだれもが気付いているのかもしれない。だから、それに気付かないふりをして毎日誰かのことを「愛している」と言い続けているのかも。
藤代とハルの出会いは自然でこのままずっと一緒に生きていくことが極々自然のながれだと思えていたのに。2人の人生が離れて行ったのは、あるいみ2人それぞれの存在があまりにも自然だったからか。
終わってしまった恋に決着がつけられないまま生きている多くの人にとって、心の小さなささくれを刺激するビターな一冊。
久しぶりにサイモンとガーファンクルを聴いた。卒業もまた観直してみたい。
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私の期待値が高かったゆえに評価は☆4つです。
でも多分☆5くらいの作品だと思います。
川村元気さんの「世界から猫が消えたなら」と同様になんとなく世界観が薄いような作品でした。
内容が薄いとかいう意味ではなくて作中にもハルの撮る写真は色が薄いといったような表現がありますが、まさにそんな感じです。
想像してみてもなんとなく景色が薄く見えるなぁというような。
内容は今結婚相手がいるけど別にその相手に対しては執着しておらず、昔の恋人を思い返しながら自分を見つめるといったようなものです。
恋愛ってある固定の一つの形がなくて人それぞれなんだなと思わされると同時に自分の恋愛観を考えさせられるような内容でした。
読んでいて感情が燃え上がるような作品では決してありませんが、しっとりと何かが心に残るようなちょっぴり切なくなるような作品でした。
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映画を見ているような構成。情景が浮かんできやすい文章の運び。
冷めかけた恋愛感情とやるせなさも、それに反した一瞬の意思疎通も、どちらも共感しやすい。