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新感覚の長谷川平蔵像
2014/12/06 21:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
池波正太郎ですっかり名が知られるようになった鬼平犯科帳である。その中の長谷川平蔵が主人公である。鬼平は鬼の平蔵の略であるが、本書では鬼平という言葉は出てこない。大抵が平蔵である。池波の長谷川平蔵は、いかにも人情家で部下の尊敬や人望を一身に集めている。部下ばかりではない。元盗賊の密偵も大半が平蔵の人柄に惚れて密偵になったといっても過言ではない。
本書も基本的には同じなのだが、読み進んでいくに従ってやはり池波の鬼平犯科帳とは違うことがよくわかってくるのである。登場人物には池波鬼平と同じ人物は出てこないので、やや違和感があるのだが、これはむしろ当然のことである。
違和感もあり、登場人物も異なっているのだが、ぐいぐいと引き込まれていく。構成は池波鬼平と同じように短編が6編並べられている。これは池波の鬼平同様大変読みやすい。
さて、何が異なるというのであろうか。
冒頭にも述べたように池波鬼平は、事件を通じて、盗賊を通じて鬼平と部下、密偵との交流が描かれ、読者、ファンはこれに惹かれていくのであろう。本編ではこれは主流ではない。本編の主流は探偵小説なのである。あるいは推理小説である。盗賊の仕掛けた陰謀を解き明かしていく面白さを描いているといっても良い。
推理小説の舞台を鬼平に借りているといってもよい。池波版に読み慣れていると、そこが曖昧にしてあったり、瑣末なこととして放置されている場合も多いのだが、逢坂版はむしろそちらに重点を置いて、悪党どもの巧妙な悪だくみが描かれているのである。
こちらはテレビの長谷川平蔵をよく見ているせいか、最初に出ている「平蔵の顔」を読むと、さらなる違和感を味わうことになる。平蔵は市中見回りの際には笠で顔を隠しているので、誰もまともに平蔵の顔を見たことがなく、誰が平蔵なのか分からないという前提である。
中村吉右衛門、松本白鸚、丹波哲郎、萬屋錦之助の顔が嫌でも思い浮かぶ私としては、なかなか面白いアイデアだと思った。それがこの短編にうまく利用されているのもこの作家の実力かもしれない。是非、続編を書き続けて欲しい。作家の父親である中一弥の表紙絵、挿絵もこの平蔵によく似合っている。
無理をしたみたいですけど
2014/09/30 23:12
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投稿者:竜生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
鬼平と云えば、池波正太郎の長谷川平蔵物の一連の話が思い浮かぶほど人口に膾炙した話である。その意味では、『平蔵の首』で、長谷川平蔵を主人公にした小説を書くと決意したことは、いい度胸だと云うことになるが、池波さんの平蔵が歌舞伎だとすると、逢坂さんの平蔵は新国劇である。些か乱暴な話の組み立てで、第1話の『平蔵の顔』あたりはややかったるいというのが正直なところである。ただ、第6話の『野火止』は、人の出入りが激しいところはあるが、作者の個性が発露されているということが出来る。
このシリーズは次に続くようであるから、何とか逢坂さんの平蔵が見えてくるのかもしれない。
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