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紙の本
絶対的な孤独と向き合う小説
2009/10/19 09:25
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yuki-chi - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台は、日本からギリシャのロードス島に飛び、
そして、はるか大気圏の外にまで思いを馳せる・・。
ぼくの目を通して描く、小説家志望のすみれ。
ぼくはすみれに片思い。すみれは17才年上の女性ミュウに恋している。
交わることのない行き場のない想い。
心に孤独を抱え生きる3人の姿が
地球の引力を唯一つの絆として、
周回し続ける人工衛星の孤独な姿と重なり合う。
引力という見えない絆。
確かにそこに在るのではあるが、実際は自分を繋ぎとめている大切なものなのに「見えない」という不安。
絆がちぎれて、いつか宇宙の闇の彼方に消えていくのではないか・・・と。
こんなに多くの人が込み合って、生きている地上でも
多かれ少なかれ、皆そんな思いを抱えて、孤独に苛まれながら生きている。
もし自分が消えてしまったら、どうなるか・・
悲しんでくれる人はいるのか、探し回ってくれる人はいるのか・・。
そんな思いが「あちら側の世界」を創り出す。
自分の人生を俯瞰して眺めることができる場所があれば、
もう孤独ではないのだろうか・・・。
普段は蓋をしてあまり見ないようにしている自分の心の一番奥深くにあるもの・・。
村上春樹は、個々が向き合って、考えるようにとそれを目の前に置いてみせる。
答えも出さず、ヒントも最小限で去っていく・・。
村上作品を読んでいると、
生涯かけてでも、向き合い、答えを見つけねばならない・・そんな人生の課題がたくさんできる。埋もれそうになる。
紙の本
すみれの人柄がいい
2002/05/30 14:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鼠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
このパラレル世界の意味はすごくよくわかりました。でもそういう話の核心よりも、すみれのキャラが良いなあ。小説家になりたくてそのことばっかり考えてたすみれ。物語の始まりから引き込まれました。私は、村上春樹の長篇は前半がつまらないと思っているんですけれど(笑)、これは最初の一行からいいぞ!と思いました。「ぼく」が語るすみれの姿は愛情に満ち溢れているし(て、そんな愛情とか言えるような簡単な記述じゃないんだけど…)、「ぼく」とすみれの人格破綻者ぶり(?)も良いなあと思うし。とにかく好きです。物凄く好きです。好き過ぎてんまり意見がかけませんよ!!! 何度も繰り返して読んでいるラブストーリーです!
紙の本
村上春樹氏のこの世のものとは思えないラブストーリーです!
2016/08/13 10:03
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、村上春樹氏の、とても奇妙な、そしてこの世のものとは思えないラブ・ストーリーです。内容は、22歳の春に生まれて初めて恋に落ちた主人公のすみれを中心とした物語です。この恋は、広大な平原をまっすくに突き進む竜巻のような激しい恋で、それは行く手にあるすべてのものをなぎ倒していくだけの力をもったものでした。さて、すみれの恋はこのあとどうなっていくのでしょうか?
紙の本
女性の失踪です
2023/06/27 09:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
猫もいなくなり、あちら側とこちら側の世界です。美しい音楽と食べ物、タバコ、車。村上春樹さんらしい文章です。長編はたくさん読んできたので、サラサラと流れるように頭に入ってくる。不思議なラブストーリーです。
紙の本
「あちらの世界」と「こちらの世界」
2020/09/09 22:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
すみれは本当に戻ってこれたのか、ラストの電話がかかってきた場面で私はすみれはこちらの世界に帰ってこれなかったんだと判断した。彼女は「あちらの世界」から電話をかけてきたのだ。「あちらの世界」「こちらの世界」、村上氏の小説にはよく登場する。「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」「ノルウェイの森」「1Q84」、どの小説にも異次元が登場する。この小説に登場する「あちらの世界」は「ノルウェイの森」に近いかもしれない。といっても現実に直子は死んでしまったんだけど、すみれは生死が不明だけど「あちらの世界」で元気に暮らしているんだろう、その世界ではミュウの髪はもう白くはないだろうし、セックスも好きになっているかもしれない。主人公とすみれの棲む世界をわけてしまったのは、山頂の音楽会を見たか、見なかったかだけのことに思える。どうして、「ぼく」は山頂への道でためらったのだろう