0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰しもが迎える老いへの恐怖。実態が明らかになっている。本当に暮らしやすい社会とはどのような世の中なのか、深く考えさせられる。
百年安心はどうした?
2017/05/19 11:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やぶやん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「下流老人」。この本を読めば決して他人事ではないことをいやでも気づかさせられる。
筆者は、生活困窮者支援活動者だけあって説得力がある。
思えば2004年の年金大改正のとき、政府は「百年安心」の年金制度を主張していたのを、私は忘れていない。年金受給年齢になり、年金は減るばかり。これは「国家的詐欺」といってもいいくらいだ。
昔、労働省と厚生省が統合され、労働者派遣法が改正され原則自由になり、労働者を保護すべき法制度が事実上解体の方向にむかい、非正規労働者が増大し、貧富の差が二極化している。これでは、安倍首相のいう美しいニッポンもだめになるのではないか。問題は山積している。
貧困は社会制度が生み出す
2016/02/20 05:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
藤田孝典氏は『下流老人』を「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れのある高齢者」と定義しています。具体的な指標として3つの「ない」、すなわち(1)収入が著しく少ない、(2)十分な貯蓄がない、(3)頼れる人がいない(社会的孤立)が挙げられています。そして、現在年収400万円の人でも将来下流老人になる危険が非常に大きいことをモデル計算で示します。この年収で20歳から60歳の40年間厚生年金保険料を払ったとしても受け取れる年金月額は約16万5千円。若くて健康な独り暮らしならこの金額でどうにかなるでしょうが、高齢者の場合は「不測の事態(特に病気)」が若い人よりも多く、年金削減などで収入が減ることはあっても増えることはないということも考慮するとかなり心もとない金額です。労働収入が月25万円だった場合の年金受給額は約13万円で、明らかに生活保護レベルです。つまり、現在の非正規はもとより正社員でも400万円以下の低賃金で働く人の老後は相当厳しいということです。これはすでに個人の問題ではなく、国の制度が『下流老人』を生み出しているので、制度の改革なしには【一億総老後崩壊】もありうる、と藤田氏は指摘しています。
解決のための提言は、生活保護などの福祉の「申請主義」を止め、アウトリーチの福祉を目指す、生活の部分補助の導入、特に住宅扶助を充実させる、などさほど真新しくないものもありましたが、面白いと思われたのが、「生活保護の保険化」という案。現在の日本では社会保障制度が正しく理解されておらず、生活保護は特に差別の対象、「スティグマ」となっているため、いっそ保険制度にしてしまえば(保険料毎月100円など象徴的な金額で)、苦しくなったら「権利として」保護を受ける、という意識シフトを実現できるのではないか、というのが筆者のアイディア。
確かに社会保障論を国民に広めるよりも、「保険料を払って、必要な時に相応のサービスを受ける」という制度の方がより多くの人にとって理解しやすく、普及するチャンスがより大きいと思われます。たとえシンボリックな保険料が十分な財源にならないことが明らかでも、「保護を受けることは恥ずかしいこと」という間違った意識を薄れさすのに適した視覚化された制度なのではないでしょうか。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:どらえもん - この投稿者のレビュー一覧を見る
老後は、退職金、年金で安泰だと思っている方には、ぜひとも読んでもらいたい。安安泰なのは、今だけ。病気になったり、離婚したり、子供が離婚して転がり込んだり、子供がうつになり生活できなかつたり、一生独身で家にいたりすると、すべてが、あなたの老後は、変わります。崖から落ちるごとく、下流老人になります。
恐ろしい現実と将来ある下り坂
2015/10/27 16:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tyokoya - この投稿者のレビュー一覧を見る
老後の問題は悲惨なので読みたくなかったが、丸善ジュンク堂の本棚から「読め」と言わんばかりのシグナルを感じてしまった。
空き時間にスラスラと読んでしまった。考える余地がないほどの恐ろしい現実がそこに書かれていた。社会で子どもを育てるという発想があったが、社会で老人を敬う思想が大事なのだろう。
老人に向かっている立場上、声高に言えないが、この不条理を考える人が増えて何らかの保障に結びつくような活動を期待する。
投稿元:
レビューを見る
著者は、埼玉でホームレスなどの生活困窮者を支援しているNPO「ほっとプラス」の代表理事。「病児保育」の駒崎 弘樹や「ブラック企業」の今野晴貴と年齢が近く、次世代福祉系オピニオンリーダーの一人として注目されている。
「下流老人」とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」で、現在その数600~700万人と推定され、今後も一層広がっていくと予想されている。
この本では、高齢者貧困問題の実態、発生要因、社会的影響範囲、予防策、制度的対策などが網羅的に記述されていて、全体像の把握に役立つ。読んでわかるのは、誰にでも下流化の可能性があるということ。そういう社会構造になっている。
老後の心配はまだ早い、あるいは既にいま生活が苦しく老後の心配どころではないと思っている若い人ほど今のうちに読んでほしい。社会構造を変えるには、若い人の政治参加が欠かせない。
投稿元:
レビューを見る
『1:収入が著しく少「ない」
2:十分な貯蓄が「ない」
3:頼れる人間がい「ない」(社会的孤立)』
な老人はたくさんいる。
国民年金のみの生活は生活保護以下の貧困レベル。
(厚生年金があっても世帯構成によっては貧しい)
貯蓄があっても親の介護、子の扶養、医療費などで食いつぶすため
多くの人がここに落ちるリスクを抱えている。
これまで老人が豊かだったかどうかは疑問だが、核家族化、少子化により孤独な老人が増えたと理解した。
個人レベルでできることは貯蓄する、負債となる土地などを手放す、生活保護がもらえるのであればもらう、地域コミュニティに参加して人脈をつくるなど。
行政レベルでは対策を打ち出せていないように見えた。
投稿元:
レビューを見る
なかなか。
日本の将来は暗いと思わされる。大きな問題なのに、先送りされていると感じる。
節制した、収入に応じた生活を今から心がけよう。
投稿元:
レビューを見る
高齢者はお金を持っていると昔は思ってていたけれど、それは家族(子供や孫)がお金や介護など生活全般の面倒を見ていたから年金で十分足りていただけだったらしい。
確かに核家族化していて同居するということは難しい。
貯金が三千万円あっても底をついてしまった実話も恐ろしい。
最近、介護や認知症、老後の生活について凄く不安を抱いている。
そして、これを読んで更にそれは膨らんでしまった。
生活保護は確かに権利である。けれど今の国の現状ではどこまで耐えうるか。
「無料定額診療事業」「高額療養費助成制度」は覚えておく。
あとは、人とのつながりと貯金。
ため息しか出ない。
投稿元:
レビューを見る
単に生活困窮な老人のルポではない。
下流老人がどのような理由でその境遇に追い込まれるのか、主には社会の構造にその原因がある。
また、下流老人を生み出す素因として、若い人達の特徴を記述することにも成功している。
残念ながら、日本は以前より貧乏になっていっている。
個人ができることは、「人の縁」を大切にして、いざという時のセーフティネットにせよと筆者は述べている。これは「最底辺女子」で鈴木大介が繰り返し述べていたことであるが、同じような境遇の人たちを取材した両者が同じような提言をしていることも興味深い。
投稿元:
レビューを見る
老後に破産する怖れのある人々。
現在低年収なだけでなく、現役時代に高給取りで十分な年金や退職金があっても、なりうるリスクを孕む。家族の失業、疾病、介護、借金、負債となる不動産相続、さらには熟年離婚(による年金分割)そして…自分以外の要素でも貧困になる。これは老人だけでなく、生涯未婚の多いいまの若者にもその予備軍がいる。
若い人が読んでも損はない。
ただ、老後破産しないためのアドバイスは、すべてがすべて役に立ちそうもないけども。
対処策としては、現役時代から貯蓄、家計管理、いざというとき助け合える人間関係、正しい生活保護の知識、低所得者への家賃補助など。
生活保護の保険化にして、恩恵でなく権利にすればよい、というが、そもそも年金自体が保険みたいなもの。保険というのは、支払者が多く受給者が少なければいい仕組み。そもそも、生活保護は不動産保有者は受けられないので、古い家を相続したがリストラされたという人が受けられない。この点についてコラムで指摘してはいるが、借家に対する公的住宅費保護について述べるにとどまる。固定資産税を下げるとか、改装費に補助を与える、もしくは住宅の出費は税額控除されるというほうが望ましい。
消費を活発にするならば、消費税は上げてもいいが、必要最低限の消費物には税額控除が受けられるという方がよいのではなかろうか。
企業の福祉厚生は生活の負担を楽にするという恩恵があったが、非正規雇用の拡大で厳しい。アベノミクスで景気がよくなっても中小企業や個人事業主などには還元されていない。
震災復興が進まないうちに巨額の予算がオリンピック関連で組まれ、公共事業が活発して不要な道路がまた増えている。
そもそも、人口減少、少子化を想定していなかった。
年金も定年後の収入源や不労所得、子どもからの支援あって成り立つシステムだった。
けっきょく行き着く結論は格差論で、企業の内部留保を削れ、資産課税をとなるが、いまの日本にその体力はあるだろうか。若者を長時間労働で酷使して結婚も育児もそして介護もさせないようにしている、一部の老人長者たちが独り勝ちしているこの日本で。
投稿元:
レビューを見る
"現在の日本は様々な問題を抱え、
なかなか厳しい状況にあるわけですが、
この本を読んだ時、自分が思っているよりもずっとずっと・・
現状の問題の切実さが見えてきました。
二極化が進む現在の社会の中でも、
高齢者はそれでも恵まれていると思っていましたが、
これが全く違っていました・・・・・
その高齢者の多くが貧困化している現状・・・・
これは驚かされるものでした・・・
この本は日本人全員に必読の1冊だと思います。
自分はこれからも、CCメンバーひとりひとりが、
今後の困難な時代を切り抜けていくための様々な知恵・方法を
創っていきたいと思いますが、
深刻な現状を再度理解をすること。。。
これを改めてそれぞれに行ってほしいと思います。"
投稿元:
レビューを見る
下流老人というショッキングなタイトルに興味を持って購入。感想としては他人ごとではない。順調そうに見えていても、歯車がいったん狂えばどうなるかわからない。筆者が主張するように社会全体の課題として扱い、改善されていくべきと感じた。
投稿元:
レビューを見る
「下流老人」とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」とあって、まもなく日本の高齢者の9割が下流化する、と本のそでにあった。どこからそういう数字がはじき出されたのか、結局わからんかったのだが、今後増えるだろうことは容易に想像できる。
下流老人を増やさない為には・・・住まいの貧困を無くすという提言あたりは、良い着眼と思った。
何せ、日本の住宅政策は、戦後、住宅を消費財の対象として経済成長を続けることが出来たという歴史的背景があってここまで来ているんだそうだが、今やゴーストタウンと化したマンモス住宅や人の住んでいない廃家問題が表面化しているので、こういう問題とセットにして何とかならんのかねぇ?
投稿元:
レビューを見る
日本の高齢者の格差と貧困は極めて深刻であり、今後も一層広がっていく。普通に暮してきた人々が、老後を迎えて、普通の生活が送れなくなってしまうような事態が起きている。政策や制度を変えるべき。
みんなが不安だと思います。