東南アジア各国について一気にわかる
2022/03/31 13:10
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投稿者:mk - この投稿者のレビュー一覧を見る
今まで東南アジアのそれぞれの国について考えたことはあったのですが、東南アジアというまとまりについて考えたことはあまりありませんでした。この本を読むと、国同士のつながりだけでなく、東南アジアやASEANとしての過去から未来についても考えることができます。
東南アジアが身近になる好著
2017/05/15 23:20
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投稿者:クッキーパパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人口も面積も異なる東南アジア諸国だが、どの国も大なり小なり多民族国家であり、欧米の植民地政策、そして第二次大戦時の日本軍の蛮行に翻弄された歴史をもつ。各国の歴史や政治、経済がコンパクトにまとめられ、著者がこの地域を読み解く鍵という「多様性の統一」、そして今後民主化が定着するかどうかとの問題意識も納得できる。中国の動きなど最近の情勢も解説されていて、東南アジアがぐっと身近になるし、今後の新聞報道などにももっと眼を向けなければ、と思わせてくれる好著だと思う。
多様性の中の統一
2020/05/15 21:02
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
民族も歴史も宗教もバラバラな東南アジアだがどのような歴史を辿ったのか網羅的に記述しており当地域の近現代史がよくわかる
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東南アジア諸国と日本との関係が述べられているのかと期待したのですが、日本との関係よりもそれぞれの国の歴史が要約されていたので、すこし物足りなく思いました。とにかく東南アジア諸国はどこも多民族国家だということが改めて分かりました。多くの民族が同じ国に住んでいるので民族間紛争がしばしば生じてきましたが、その人々に同じ国に住むという意識を持たせるには大きな労力を要するでしょう。日本はほぼ単一民族国家に近いのでその苦労はないのでしょうが、沖縄の人々はもう日本から独立したいと思ってるかも知れません。
ナイス! - コメント(0) - 2月28日 - 編集
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東南アジアの地域秩序を確保、維持するうえで現在、重要な役割を果たしているのが、アメリカの軍事力とプレゼンスであり、これは今後も変わらない。
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東南アジア諸国の植民地化以降の歴史(土着国家時代の歴史の概要も含む)がわかりやすくコンパクトにまとまっている。
「多様性の中の統一」という特徴を持つ、現代の東南アジア諸国の成り立ち、来し方について、よく理解することができた。
東南アジア諸国が多民族型社会となった理由など、これまで知っているようで知らなかったことが多く、勉強になった。
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そもそもなぜ東南アジアが植民地化されたのか?結局は資源、そして土地と労働力。そんな中で唯一植民地化を免れたのがタイ。その理由の一つである近代化改革「チャクリー改革」が、日本の明治維新と似た性格を持っていたという点に驚いた。もともと世界史を毛嫌いしていたが、同時期に世界各地でいかなる動きがあるのか、相違点でなく共通点を発見するのも楽しいかも知れない。近現代史の概略を知った上でASEAN創設の背景を知ることができ、歴史を流れでつかむことの大切さをまず思い出させられた。さて、問題はここからである。地域的にフォーカスして考えていくとなると、まだまだ他書との読み合わせも必要だ。その際ベースとなり、いつでも振り返りやすいのが本書であるはず。
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ヨーロッパ諸国の東南アジア進出が始まった16世紀から現在までを5章に分け、これに序章、ASEANを扱った第6章、終章で構成。
●序章―東南アジアの土着国家
東南アジアの11国家は、面積・人口ともに大小さまざまで、経済発展段階も文化も大きく異なる。
・仏教文化圏:ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア
・イスラム文化圏:インドネシア、マレーシア、ブルネイ
・キリスト教文化圏:フィリピン、東ティモール
東南アジアはいくつもの中小規模の土着国家に分節していた(ひとつの国の支配下に置かれることは無く)多民族国家である。土着国家間で興亡を繰り返していた。これら土着国家の共通点は、「インド化した国」「あいまいな国家領域」そして「港市国家」である。
●第1章―ヨーロッパの植民地化(16~19世紀)
植民地化に対する現地の抵抗運動は勿論あった。しかし、軍事力の圧倒的違いと土着国家内の王位継承などを巡る内紛により、抵抗は失敗する。
植民地化の初期の目的は「第一次産品貿易」(モルッカ諸島(別名、香辛料諸島)における、胡椒・ナツメグなど)の独占であった。このため、貿易港の支配に関心があった。しかし、18世紀の産業革命の頃から、工業製品に必要な天然資源や販売市場の確保のため「領域支配」へと変化する。官僚制は上級ポストを本国人がおさえ、中級下級ポストに現地人を養成。中心都市にヨーロッパ風の建物、経済は資本主義化され、栽培の強制(モノカルチャー経済)、安い賃金での買い上げ、税金により過酷な収奪を行ったが、伝統経済も残り、二重構造化した。中国人と、インド人の出稼ぎが流入し、多民族社会へと変貌。ヨーロッパによる経済収奪で、地域は貧困化。独立運動の始まり。
●第2章―日本の東南アジア占領統治
第一次大戦が勃発すると、日本の経済進出が始まる。第二次世界大戦によるにおける占領は、アメリカなどの禁輸措置などにより、軍事行動や産業活動に不可欠な鉄、石炭、石油、ゴム、スズ、銅などの一次資源を調達する必要があったため。ビルマ、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ラオスでの独立支援と宣言(戦後無効)。マレーシア、ビルマなどでは抗日運動もあり、サンフランシスコ講和条約対象国以外にも実質的な戦後賠償(無償経済協力金)が支払われた。
●第3章―大戦後の独立と混乱(1945~64年)
独立運動の担い手としてホー・チミン(ベトナム)、リー・クアンユー(シンガポール)、スカルノ(インドネシア)等のカリスマ指導者。多民族社会での独立における国家統合と国民統合。国民意識が醸成される一方、民族間対立による混乱の発生。インドネシア、ベトナムの独立戦争とベトナム戦争。スハルトによる共産党と華人排除。
●第4章―開発主義国家と民主化(1960年代後半~90年代)
政治社会の混乱の一因は貧困にあると考えられ、「開発主義国家」を目指す。国内の反対派、政治自由を抑圧し、指導者の権威のもとに、強力に経済成長を推進。スハルトのインドネシア、マルコスのフィリピン、マハティールのマレーシア等。政治体制としては「権威主義」に属する。1990年頃の冷戦の終焉、長期政権による腐敗、都市中間層の増大による「民主化」の波により、終焉する。
●第5章―経済開発と発展(1960年代後半~2000年代)
今なお残る経済の多様性。国民所得が高い順から、シンガポール、ブルネイ、(日本)、マレーシア、タイ、東ティモール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアである。東南アジアの最貧国カンボジアは、シンガポールの僅か1/50である。
●第6章―地域機構ASEANの理想と現実
戦後の冷戦の影響により、次のように陣営(経済体制)が分かれた。
自由主義国:インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン
社会主義国:ベトナム、カンボジア(中国依存の国)、ラオス(≒旧仏領インドシナ連邦)
中立:ミャンマー
ベトナム戦争が始まると、タイが安全保障の危機意識を持ち、ASEANを結成。当初は、東南アジアの反共自由主義5か国によるアメリカの軍事行動後方支援の同盟という性格が強かった(1967~75)。アメリカが撤退後、経済社会を強化することが共産主義勢力に対する対抗策と考え経済協力機構に転換した第2段階(1976~90)。経済協力機構への転換。ミャンマー、ラオス、カンボジアなど社会主義国などが加盟した第3段階(1991~99)。「ASEAN経済共同体(AEC)」に発展した第4段階(2000以後)へと発展した。
●終章―東南アジアとは何か
今後東南アジアの行方に強い影響を与えるのは、「多様性の原型」「イスラム過激派勢力」である。
東南アジア全体の統一を考えた場合、ヨーロッパとは文化的歴史的背景が異なる。つまり、過去にローマ帝国、神聖ローマ帝国、オスマン帝国のような国家を跨ぐ広大な地域を支配した国がなかったことや宗教文化の共通性がない。政治社会構造や経済発展段階もかなり違う。
換言すると、東南アジア諸国が目指す方向は、それぞれの固有性(多様性)を捨てて、同質化と一体化を目指すのではなく、それを前提にしたうえで協調ということになろう。
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東南アジア各国の歴史、政治、経済がコンパクトにまとまっていて、興味がある人には非常に有益な本だと思う。
東南アジアの各国がどのように国家を形成し、植民地化、戦争経験を経て、現在の発展に至ってきたかをダイジェスト的に紹介されている。
個人的には、
戦時中の日本の蛮行や、なぜ植民地化の色合いが各国バラバラなのか(タイだけ植民地を免れてたり)など、興味をひかれる話がたくさん。
東南アジア、ASEANの今後は多様性の中の統一というインドネシアの国是に沿った考え方をもって緩やかな連携を目指していくべきという筆者の提言はまさにそのとおりだと思う。その中で、日本や我々がどのように東南アジアと関わっていくべきか考えたい。
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東南アジアは最近でこそ地域としての一体感を見せようとしているが、ヨーロッパなどとは背景・地域としての経験が全く異なる。ひとつの帝国にまとめられたこともないし、宗教もバラバラだ。
そんな中で功利的な理由から纏まろうとする試みの最先端がどうなっているのか。様々なニュースの背景を理解する助けとして、今時点ではとても参考になる内容が丁度よく収められていた。
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東南アジア各国の土着の頃の話から日本軍占領や冷戦、開発独裁や現在の新興国としての成長などを非常にわかりやすく解説されていて読み応えがあった。現在マレーシアに住んでいるので2018年の歴史的な政権交代後の道筋がどうなるかなど著者の更なる考察など読んでみたい。
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ペナン島に旅行し、また今後、仕事で東南アジアに関わる可能性が出てきたので、関心を持ち購入。
土着国家の成立ち×植民地化の歴史×独立時の共産圏へのポジションで、東南アジア諸国のあり方をざっくり理解できる。
初心者には大変優れた本だと思う。
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体系的、時系列的にまとめられていて、それぞれの国について丁寧に説明されている。複雑な内容なのに意外と読みやすかった。
個人的に東南アジア諸国と仕事関係していくこととなったので、手に取ってみました。どういった歴史を経て、現在の経済成長著しい東南アジアになっていったのかイメージを掴むことができた。各国多様性の中紛争、内乱を乗り越えて、政府主導や華人の躍動を経験しながら現在の姿があるんだと理解した。
将来的には中国、インド、日本に迫る経済力を付けていくのだろうけど、その頃の日本を想像すると何となく頼りないよなぁ。ASEANってEUとは違って政治統合まで突き詰めてなくて、緩やかな経済統合、内政不干渉や全会一致原則があるなんて初めて知りました。力強さは物足りないのかもしれないけど、EUはドイツ、フランスという大国に利益の偏りが出ている状況を考えると、時間はかかっても最適な形を模索するASEANの今後動向は気になるし期待しちゃうよね。
次は、個々の国について学んでみるか。。
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東南アジア諸国において、確かに先発グループと後発グループでは大きな格差があることは否めない側面があると感じる。私は後発グループではベトナムしか訪れたことは無いが、確かにマレーシアやシンガポールのような洗練された雰囲気が感じられない(それでもベトナムは限りなく先発寄り)。本著では東南アジア諸国を横通しとし、縦軸に時系列を置いている。教科書等と同じ構造であるが、話が偏らない為非常に理解がしやすい。書名の通り入門ではあるが、良い意味で東南アジアを広く浅く理解するための良書であると思う。
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東南アジア11か国の近現代史と現状、課題について概観した1冊。各国で宗教、民族が大きく異なり、多様性が特徴のこの地域ではあるが、こうして東南アジアとして括って外観してみると、例えば、EUや東アジアとの違いが浮き彫りになって面白い。(EUは宗教的にも近い、歴史的にも侵略、交流を重ねてきた国々が、一つの共同体としてまとまろうという動きが、ASEANとは異なる。東アジアは、歴史的に分断された国(中国・台湾、南北朝鮮)が存在するために、統一の動きは困難)
最近読んだ、池上彰さんの東南アジア本の記憶が鮮明だったので、理解を深めるには良いタイミングだった。