紙の本
3.11を忘れずに
2017/03/03 17:13
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投稿者:あいん - この投稿者のレビュー一覧を見る
もうすぐ3.11、あの日からまる6年。随分と時間が経ったような気もしますが、廃炉に向けた展望が見えず、デブリの状況も全く掴めていない現実。福島から避難してきた子ども達が虐めにあい、切ないニュースが終わらない。現実から目を背けず、現実に向かい合うきっかけになる1冊になるかもです。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本には、こういう人、多かった、と思いました、……が、ホームレスになってしまったことは、……やはり……本人の問題と思ってしまいます。仕方ないとはいえ……1964東京五輪にこういう人達の力が……
紙の本
美しい作品だが,「解説」で興醒め
2020/12/18 11:48
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の高度成長を支えてきた東北の出稼ぎ男が数々の不運に見舞われ,最後は孫娘に迷惑をかけたくないと家出してホームレスになる。しかも残された孫娘は東北地震の津波に飲み込まれて死んでしまうという悲しい物語を,日本人好みに美しく描いた作品。思わず落涙してしまう。主人公の不運で悲しい人生を浮きだたせるために特権階級である皇室をもってきたのはうまい。パチンコ店経営の在日韓国人というある種の特権階級に属する著者としては,普通の資産家では描きにくかったのであろう。それはよく理解できるし,著者は決して皇室を否定的には描いていない。素朴な東北人が普通にもつであろう君民一体の気もちを上手に表している。しかし原武史による「解説」がすべてをぶちこわしている。陳腐でありきたりな天皇制批判なのだ。「若いときにマルクスにかぶれなかった人間には心がない。齢を取ってもマルクスにかぶれている人間には頭がない」という言葉を思い出した。「解説」がなければ星5つ。
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現実と非現実、フィクションとノンフィクションが混在しているような小説
2020/11/26 22:15
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
現実と非現実、フィクションとノンフィクションが混在しているような小説だ。読みやすい文章だが、簡単に理解できるわけでもない。著者が女性なので、最初は主人公女性だと思って読み始めたが男性だった。戦前から2018年まで語られる時間は幅広い。だが、中心となる舞台は、上野公園だ。あとがきを読むと、著者は丹念な取材を行っているらしい。歴史的な価値もあるのだろう。ただ、原武史の解説はちょっと褒めすぎかなと思う。
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うーん、天皇制の事をもっと突っ込んで書いて欲しかった(自分自身天皇制について詳しくないので)物語としてはあまりピンとこなかったです。
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1人のホームレスの語りによって、彼自身の人生と、ある日の上野駅公園口前の情景が交互に物語られる。
福島県相馬地方の真宗門徒集落に生まれた男は、生家の貧しさから青年期より出稼ぎに赴き、オリンピックの建設ラッシュに沸く東京へもやってくる。降り立ったのは東北への玄関口である上野駅だった。
やがて出稼ぎを終え故郷に帰った男だったが、再び上野駅に降りその周辺でホームレスとして暮らし始める。
ある日のJR上野駅公園口、駅から横断歩道を渡った広場に何人かのホームレスが座っている。語り手の男は彼らの様子を観察し、その会話に耳を傾ける。
やがて広場を通りすぎていく通行人たちの会話や、園内に点在するダンボールハウスの様子、さらには美術館の展示品までその視線と聴覚は範囲を広げて行き、語り手はすでにその肉体を離れていることが判ってくる。
ホームレスたちにとって、最も耐え難い苦しみはなんだろうか。貧困もあるだろうし、差別もあるだろう。
だが最も大きいのは孤独ではないだろうか。
上野公園のホームレスたちは、それぞれがダンボールハウスに住み、顔見知り同士言葉を交わす程度の緩い繋がりを持っているものの、心の深い部分で理解しあったり、記憶を共有したりする関係ではない。それは冒頭の、ダンボールハウスの中で死んでいた“シゲちゃん”について語るホームレス同士の、暇つぶしの話題程度の乾いた口調からも察せられる。
話者のホームレスもまたそうであり、そして彼はホームレスになる前の人生から、他人との心からの交流を持つことなく生きて来ていた。
(書きかけ)
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しかしこれ英米読者には、どんな風に読まれてるのか気にならないではない。東京都内のホームレスのイメージや、日本政府の鬼畜なふるまいとか、よっぽど日本通?でないと、異世界ファンタジーになってしまうような気もしないではない。それでも主人公の懊悩はある程度伝わるとは思うが、それはそれで海外作品を読む自分の理解の程度も同じであろうし。いろいろ考えさせられる「ものがたり」だった。
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本編と柳美里さんのインタビューネット記事の両方を読んで、眞子さまと小室さんとの婚約に関連して話題になった皇室からもらえる結婚金1億円のニュースが頭をよぎった。そのときに抱いた「皇室の圧倒的存在」に対するなんとも言えない感情と、本編の切り口が少しリンクしている気もする。
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散文詩的な美しさはあるが、物語未満であると感じた。
また、私は東北地方の出身なので、地名も方言も馴染み深く、読み詰まることはなかったが、多くの読者の為には、さすがに地名には、ふりがな表記があったら良いのでは。
(意図的に表記しなかったのだろうか?)
解説「天皇制の〈磁力〉をあぶり出す」(原武史氏)については、やや納得できない思い。
ただし、天皇制については、様々に考えられるべき問題であり、現在の日本が、その議論を許される「時代」にあることは、重要なのではないか。
(少なくとも、75年前には世を憚る話だった)
現代の天皇制について、思うころがない訳ではないが、少なくとも、私は平成・令和天皇を「ひとりの人間」として見つめたとき、そこへ敬意を抱いている。
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福島の貧しい家庭に生まれ、上野公園のホームレスになった人生を、現在の上野周辺の光景を織り交ぜながら回想するような作品です。
街ゆく人々の切れ切れの会話や風景の描写は「ホームレスとして道の傍に座って眺めていたらこんな感じかな」と思わされます。
そんな光景を頭に浮かべながら、じっくり読むのがおすすめです。
前の東京オリンピックも、2020年に予定されていたオリンピックも華やかに浮かれている背後には、出稼ぎ労働やホームレスの特別清掃等、豊かさから排除された存在があることを感じ、何ともやるせない
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正直読み終わったとき辛かったが、社会問題を風刺したその内容に非常に心動かされ、読後も色々考えさせられた。ずっしりくる作品なので精神的に元気なときに読むのが良さそう。
読者に様々な解釈を与えてくれる書き方(時系列の前後)や独特の文体も非常によかった。
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全米で賞を取ったというので再読.上野公園という場所の存在がとても興味深く映った.ホームレスの人達の現実,生きにくさと自由,東北の人達の出稼ぎの歴史の重み,そして天皇への思いなど,時間や場所を行ったり来たりしながら走馬灯のように綴っていて,じんわりと心に染み入った.
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時々舞台となった上野公園に行くが、こんなドラマがあると思うと今までと違った目で見ることになると思う。味わい深い本。アメリカ人は本当に理解できるんだろうか。
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全米図書賞受賞を受けてTVで取り上げられていたことから本書を手に取った。率直に何とも重たい話だった。でもこれが現実。まさにコロナ禍においてますます増えているであろうホームレス問題や自殺問題。「コヤ」という言葉が文中に出てくる度に張り裂けそうな気持ちになった。自分には屋根がある住む場所がある。それから山狩りという言葉も初めて知った。心が弱っているときにはあまり読まない方がいいのかもしれない。辛すぎる。
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柳美里さんの心打たれる描写に
こういう表現の仕方が大好きなのよ!とドキドキさせていただきました。
切ない苦しい人生でしたね。
ホームレスで受ける差別
天皇家の受けている逆差別
考えさせられます。