暗い系の文学作品のよう
2014/04/12 23:25
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
BT‘63。BTはボンネットトラックの略。作品中話題となっているのはBT21号というトラックなのだけど、それが活躍した時代が1963年なので表題に63が採用されたと思われる。
精神分裂症を患い、向こう側に行ってしまった主人公が妻に離婚を宣告されるところから始まるストーリーはSFかファンタジーのようで、池井戸潤の幅広さを感じられる一冊だろう。主人公は退院後に、父の遺品、運送会社の制服を通して過去を見、自分探しのために、そのかいまみた過去が事実かどうかを検証するために調査する。その過程で父が決して語ることのなかった生きざまを目の当たりにしていく。ストーリーの重点は過去にあるが、最後は現代の息子の方の問題解決に収束していく。隠されていた過去が余りにも暗いので、今ひとつすっきりしないというか逆に考えさせられてしまう暗い系の文学作品のようだ。
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投稿者:ぱぱっち - この投稿者のレビュー一覧を見る
父親と自分が 時間を行ったり来たりと、最初戸惑いましたが、知らなかった父親が分かるにつれ、主人公の本心が垣間見えて、のめり込みました。下の展開が楽しみです。
企業・経済通の池井戸ワールドに至る先駆的作品という印象でした。
2016/12/07 00:33
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白くはあったが、ちょっと期待を外されたというか、私が著者に期待したものと異なっていたといった感じ。薄幸の女性・竹中鏡子が娘のことを気にかけながら29歳という若さで死んでしまう結末も少々悲し過ぎた。でやはり最も気になったのが、主人公・大間木史郎の息子・大間木琢磨が、父の遺品の中にあったボンネットトラック“BT21”号車の鍵を媒体として父・史郎の見た情景を垣間見ることを通じて物語が展開されていく点である。これは完全にSFミステリーの作りであり、企業・経済通の池井戸ワールドとは異なっており、私には酷く非現実的な物語となってしまった。著者の先駆的作品ということで評価しておきましょう。
父の登場年代は、東京オリンピック(1964年)の前年となっているので、1963(昭38)年である。主人公は大間木史郎の息子・大間木琢磨が奇妙な精神病から回復?した時に何故か経験できるはずの無い“記憶”を持っていることに気付く。実は、それは父親の記憶の断片とリンクしているのだが、本人にはそんなことは分からない。物語は、また病気の再発かと恐れおののく息子・琢磨の現在と、約40年前の父・史郎の物語の間を行ったり来たりしながら、徐々に本題へと進んでいく。上巻の前半分くらいは、父・史郎の勤める相馬運送の経営不振状況が描かれ、一方、息子・琢磨に関しては何故奇妙な記憶に悩まされるのかを追求する中で、父・史郎の過去を辿る展開となる。後半になって、“BT21”号車の運行記録に疑問を持った史郎の予想通り、“BT21”号車の運行グループが闇の世界の仕事に加担していること、更にそのグループの一員が前年の偽装殺人・放火事件で死亡したことになっている人物であり、その事件の犯人であることが判明し、俄かに事件性を帯びた急展開となっていく。結局、悪者達は主人公・大間木史郎に倒されるのだが、その巻き添えで薄幸の女性・竹中鏡子が29歳という若さで亡くなってしまうのは何とも悲しい。かなり早い時期から警察が周りを伺っていたのだから、別の視点から打つ手があったような気もするが・・・・。とは言え、下巻は確かに謎解き・探偵ものといった雰囲気で引き込まれていくが、どうも“BT21”号車を鍵としたタイムトラベル的な構成が何故か気になって仕方がない。企業・経済通の池井戸ワールドに至る先駆的作品という印象でした。
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生前の父が仕事で乗っていたボンネットトラックBT21号車。この不思議な車が父の過去を蘇えらせる。久々に一気に読み終えたSFファンタジー小説。
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過度のストレスで精神病になってようやく回復した主人公は父の若き日をトラックのキーから見ることとなる。
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現代に生きる心を病む男とその父の記憶をつなげる一つの“鍵”。それは、呪われたトラックと称されるBT21の鍵だった。現代に生きる男が見た記憶は、父が体験した光と闇だった。男は父の軌跡を辿るように、自らの存在を探す。
今日もBT21のイグニッションキーを回すと、アイドリングが俺に何かを迫ってくる。まるで、何かを訴えるかのように…
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亡き父がどのような仕事をし、どのような足跡を送っていたのか・・。
ふとしたことから息子:琢磨は40年前の父親の視界にタイムスリップ(?)し、その体験を味わうことになる。
(この不思議な現象が何故起こるのかは、小説の中では理論的に説明されていない)
自分の知らない父親の秘密、そして生命の危機。
息子として父親の過去を知ることとなり、その運命を見守ることとなる琢磨。
また、その父親の過去に登場した女性を尋ねて、新たな発見をすることになる・・。
古き良き時代の昭和では、「高度成長」という名の下に誰もが未来を夢見ていた。
そしてあくせく一生懸命に働いていた。
自分の父のそんな姿勢を見ることが出来たのは、琢磨にとってはこれからの人生の糧になるのだろう。
(たとえそれが、想像の世界だったとしても)
ちなみに「BT」とは「ボンネット・トラック」の略であり、この小説のカギを握る。
子供の頃、この形の車がよく走っていたことを懐かしく思い出した。
オレの親父も既にこの世にはいない。
しかしこの小説を読んでみて、その過去に1日だけでも触れてみたいと思った。
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生前の父が仕事で乗っていた
ボンネットトラックBT21号車の
イグニッションキーを回すと父親の過去を蘇えらせる。
若き日の父が体験した運送会社での日々。
ちょっと、熱いものが湧きあがってきました。
この人の本を続けて読んだんですが
面白いな~って!
他の色んな本も読んでいきたいです。
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20111026読了(上下)。怖かった。映像化されたら絶対R指定。生きてる人間が結局一番怖い。最後はぐっとくるから、という言葉で一応最後まで読んだけど、途中でやめてもよかった。
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昭和30年代と現代を「BT(ボンネットトラック)21号」が介して親子を繋ぐ、バックトゥザフューチャー・池井戸潤版?全体的なストーリーがちょっと重たいので、最初は読み切れるか心配になったが、徐々に事件多発、キャラも特徴的になって(「いい人」ではなくそれぞれ裏がドギツイ)テンポアップ。事件は殺人やDVが絡んでおり楽しい気分では読めないが、それでも主人公の一人・史郎の事業に対する想いなどがしっかり伝わってきて感情移入しやすく引き込まれる。キーマンとして著者らしく銀行マンを絡めてくるあたりもなかなか良。結末がいまのところ読めませんが、なぜ題名がBT21でなくBT63なのか?というあたりがかかわってくるのかな??
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亡くなった父親が残した謎の鍵を偶然手にした琢磨。
その鍵をもとに琢磨の意識が生前の父親の意識と同化し、
寡黙な父の壮絶な過去を知ることになる。
・・って、タイムスリップ的な話は非現実的すぎてあまり好きじゃなかったんだけど、
大好きな作家、池井戸潤は私を裏切らなかった(^_^;)
どんどん話に引き込まれていき、
お父さんとお父さんの愛した女性が逃れられない運命と闘いながら生きていく様にまさに自分も同化してしまいました。
池井戸氏お得意の経済小説の色もしっかり出ていて、
経理マンの父親が会社を立て直すプランを練る過程も面白かったです(^-^)
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設定がちょっとファンタジーチックで、
池井戸さんにしては珍しかったけど、昭和の純愛?有り、
朴訥だった父親の知られざる波乱万丈の半生を息子が垣間見る
ストーリーは、ノスタルジックかつシリアスだった。
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ネット上の評価があまり高くないが、「下町ロケット」よりも面白い絶品。特に2つの時代をいったり来たりする話の流し方が素晴らしい。父子関係だけかと思いきや母娘関係も描いており、落涙必至。東京オリンピック前夜を描いているのも自分の世代に響く要因の一つかも知れない。話の筋には無理な部分もあるが、映像が思い浮かぶ印象があり、一気に読ませる。お薦め。
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池井戸潤7冊目、恐い!これまでの企業小説とは全く違う、こういうのも書くんだとちょっとびっくり。今は亡き父の過去が夢の中にあらわれる、早く続きが読みたい。
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過去に飛ぶ時点で、未来が決まっている…その中で少しでも変えられないのか。
もどかしい想いと、普段は寡黙で良くわからなかった父親の姿がわかってくる、この切なさ。
結末はわかってるはずなのに感じる話のスリル。
面白かった。