紙の本
リアリティがあるのに、スッキリとした読み心地
2018/11/16 12:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しょうちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性特有の「影」を描いた小説(短編集)で、最初はドロドロ・ネチネチしてるのかな~と思いきや、なんとも爽やか!
ただ、ソーダのような爽快感ではなく、ビターチョコの中に入ったミントを食べたときのような清涼感というか…スッキリとくどくない読み応えでした。
もちろん、女性同士の「なんて面倒…」と思うような展開ばかりなのですが(それも、結構リアル!)、その手の小説にありそうな眉をひそめるような描写や、辟易とするような不味さがなく、安心して読み進めることができました。
たぶん、多くの人が「あるある」と共感したり、「ああ、こういう関係も悪くないよね」と納得したり、「こういうこと、自分にもあったな」とほっこりしたりするんじゃないかな。
すべて「意外な展開」でしたが、どれもいわゆるバッドエンドではないのでオススメできます。
(人間関係を小手先の綺麗事で片づけず、リアリティを出しつつ、良い感じに物語を着地させてます)
解説もすっごくいいですよー。
普段、小説本編しか読まない人も、この作品の解説はオススメですっ。
紙の本
女性たちの友情、オール年代
2020/08/18 20:49
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
あらすじを見て、「イヤミスか?」と思っていましたが、気持ちの良い終わり方をする話が多かったです。どの話も、話の最初は「うわ、この話はロクな終わり方しないだろうな。」と思わせるものなのですが、登場人物の心の変化などが緻密に描かれていて、最後には気持ち良く終われる話が多かったです。
また、内容には全く関係ありませんが、全ての話は異なる時系列で繋がっており、それを発見するのも楽しかったです。短編集でも、こういう繋がりのある話が好きです。
女の友情は、どの年代でも面倒くさいものですが、この短編集では、あらゆる年代での、あらゆるタイプの女の友情を描いています。学校の友達、ママ友、老人ホームの仲間など、場面はいろいろですが、どれもありそうな状況の話ということもあり、夢中になって読み進めてしまいました。
紙の本
静かな怖さ
2017/04/25 13:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BHUTAN - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し時間軸がずれたようでいて、全ての話が緩く繋がっている短編集。
どの話も日常生活でおこりそうな話。
怖いけど、読み続けていっというまに読み終わった。
久しぶりのミステリーを楽しみました。
投稿元:
レビューを見る
芦沢央さん初読。短編集で読みやすかったし面白かった。ヒーリングミステリというジャンルとして自分の中で分類したい。
ミステリ的な連作の形を取りながら、実は勘違いや言葉のかけ違いで容易に崩れていきそうになる繋がりを言葉を尽くして取り戻す物語だったのかな。全てが「友情って素晴らしい」とかではなく、中にはそのまま消えていく友情もあるんだけど、それによって自分の考え方や世界が広がって、その友情が自分を積み上げていくことに繋がる、みたいな連作なのかな?読む前より読んだ後の方がちょっといい気分になる、という点で、とてもいい本だったと思う。ごちそうさまでした!
解説
大矢博子さんの解説には絶大な信頼を寄せている。解説を読んでようやく題名の「今だけの」って言葉の意味を理解できた。なるほど、そういう意味なのか…。
投稿元:
レビューを見る
いわゆる日常系ミステリ。
なるほど女の友情は刻一刻と形を変え、上手くは説明できない難解さを抱えたミステリかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
読み終わって気づいたのだが、女性同士の友情の話だったのか。
女性同士の友情は成立するのか、もしくは女性同士の友情とは何なんだろう。
嫉妬や憧憬、同一化など一言では解決できないさまざまな感情を抱きつつ
平静はおだやかな「いい関係」「友情」を演じ続けなければやっていけない。
各章のスタートがもめているので少し読み進めるのが重く
まさしく暗澹たる状況ながら
そのしがらみ、苦しみが読み進めていくと少しだけ軽くなり、
気持ちがすーっと晴れていく。
ああ、もめていることって「何で」もめているかわからなかっただけなのかと
それがわかるだけも人にやさしくできるんだなと。
そんなミステリーも悪くない。
投稿元:
レビューを見る
環境が変わっても続いていく関係だってある。
ただ、あのときだけだったなあって思うことだってすくなくない。
ラストの『正しくない言葉』がよかった。わたしも澄江さんみたいなおばあちゃんになりたい。
投稿元:
レビューを見る
その友情、今だけのもの?
「女の友情」に隠された5つの物語。
イヤミスとみせかけて、爽やかな結末という、期待外れの話だった。
(図書館)
投稿元:
レビューを見る
なんか思ったよりいい話だった!
離れる事を憂うよりも、つかの間交わる事を喜べるのが本当の友情なのかも。だとすると女の友情も悪くないなと思う。
愛情はそれが永遠だと思い込まなきゃ持続しないよなぁと思うと、なるほど男と女の関係は儚い。
男同士のことは男じゃないからわかりません。
投稿元:
レビューを見る
いやぁ面白い。
私が女だからなのか、それとも人間関係に一度は悩んだことがある人であれば誰でもそうなのか。
一度は相手の悪意や裏切りやいやらしさを疑ってしまうところから、どうにか誤解だと気付いたり自己の中で消化したりする過程を巧みな心理描写で表現していく。
最後には自分の中の落とし所がちゃんと用意されていて、それが「女友達」との関係の修復や想像や清算に繋がっている。
見返してみると悪い人は1人もいなくて、それぞれがそれぞれの人生を、相手との関係性を真面目に思い遣っているからこその捩れを思う存分堪能できる短編集。
投稿元:
レビューを見る
2017.10.10.読み始めたら短編集だった。
私は短編は読まない事にしている
→2020.04読了。
再度購入してしまった。芦沢央作品ならおもしろいかもしれないとの期待だ!
連作というほどではないがそれぞれの作品に共通点がある。ページを戻りながら読み進めるとなるほどな。。。と。
よくできているがおもしろいものもあれば、つまらない作品もあり!
投稿元:
レビューを見る
「女の友情」をテーマにした日常の謎系ミステリー短編集。イヤミスの流れが鮮やかに反転する展開がすばらしい。
ただでもややこしくてめんどくさいのが女性同士の人間関係。エゴと見栄が見え隠れして、かつ変な気遣いも同居する。そんな不穏な空気が一変するオチに、思わず唸る。そして各篇の登場人物が繋がるという巧さ。ミステリーの面白さを堪能できる一冊。
投稿元:
レビューを見る
初読みの作家さん。
女性の友情をテーマにした連作短編集。
大学のサークル友達の結婚式。
招待状が自分にだけこなかったのは何故。
届かない、帰らない、答えない、願わない、正しくない
ないないの5編。
この「ないない」がくるりと様子を変える。
逆どんでん返しな感じで読後感がよかった。
「正しくない言葉」が好きだな。
あとがきもよかった。
投稿元:
レビューを見る
「女の友情」をテーマにした5つの短編。
女の友情と聞いて連想するドロドロした嫌ミスを想像していたら、さにあらず。なかなかよくできた話ばかりだった。
「届かない手紙」では、主人公が親友だと思っていた友人から結婚式に招待されなかった本当の理由がわかった時、思わず涙が出たし、「願わない少女」では最後の頁でどんでん返しにあった。最後に掲載の「正しくない言葉」は、この短編集を締めくくるにふさわしい作品で、主人公が悟った娘に伝えたい言葉には思わず涙した。
それぞれの作品が互いになんらかの形で繋がり合った本当によくできた連作短編で、作品の配置までが計算しつくされ、サークルを形成するような秀逸な短編集だった。
投稿元:
レビューを見る
短編集。「答えない子ども」と「正しくない言葉」が印象に残った。「答えない子ども」の主人公直香は、私の苦手なタイプの女の人だ(笑)。「正しくない言葉」の最後の方では、ちょっとうるうる来てしまった。おすすめ。