台湾に興味が湧きます
2018/05/31 23:24
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投稿者:わらび - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かった!
伊藤比呂美さんや蓮実重彦さんがエッセイでときどき子供の使う独特な日本語について描いてるけれど、それと同じ流れで楽しく読めました。
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台湾人でありながら、幼少から日本で育ち、日本語をほぼ母語として使う著者の、自己投影的な作品。
すばる文学賞佳作を受賞した「好去好来歌」と表題作「来福の家」の2編。
なぜだろう、この人の文章は読んでいても情景を思い浮かべられない。
特に「好去好来歌」は、視点や場面の転換が頻繁で、しかもそれがわかりにくく、時系列や話の流れを掴むのに苦労する。散文的で、どことなく浮遊感があるような文章のせいなのか?
受賞作も表題作も、ストーリー展開は散漫。
ただ、台湾と中国と日本とのはざまで、翻弄され揺れ動く主人公は、そのまま、幼少からアイデンティティを模索し続けてきた著者自身に重なるのだろう。
日本人でもない、中国人でもない、台湾人だけれども、人生のほとんどを日本で過ごして一番身近な言葉は日本語、でも、周りのいわゆる日本人からは「外国人」として見られ、台湾も中国もひとくくりで「中国人」といわれてしまう、という、どこを拠り所としていいのかわからない、不安定さや複雑さ、もどかしさは、きっと同じような立場の人にしかわかり得ないものなのだろうな、ということはすごくよく伝わってきた。
☆2.5くらい。
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ブックデザイン 名久井直子
装画 荒井良二
荒井さんの装画がなんともすばらしい。もしかしたら原画はもっと鮮やかなのかもしれないけれど、印刷されたカバーでもその美しさと鮮やかさが伝わってくる。
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幼児の頃から家族で駐日する台湾人女性。
家では両親の中国語と台湾語、そして日本語の適当な会話。
見た目は日本人と変らない・・。
頭の中では何語で考えるのだろうか。「文字」より先に音として言語をマスターしている母国語、そしてあたりまえの日本語。
自分のアイデンティティについて考えることも多いだろう。
昨晩、TVで津田梅子のドキュメントを見た。
6歳で渡米10年滞在して帰国。「日本語が口から出ない」・・・。
元祖帰国子女の「浦島物語」も、心に残った。
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ある家族の日常を描いた2作品。恋、姉の結婚と出産、専門学校での生活とありふれた日常なのに台湾・中国・日本語がミックスされた日常に何故か心魅かれる・・・。
在日で普通に暮らしている彼女達を普通としてみない日本人の目にもドキっとさせられます。
興味深く面白い作品でしたが、一気に読み進めるというよりは、ゆったりと同じ世界の住人になった気分で読みたいお話でした。
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第33回すばる文学賞(2009年)佳作となった「好去好来歌」と「来福の家」の二編を収録。「好去好来歌」は著者自身の来歴を綴ったような一編。台湾生まれで3歳から日本で育った若い娘・楊縁珠(よう・えんじゅ)の言葉への思いと自己のアイデンティティーを探る物語だ。母語を持たない者の漠然とした心理的不安がよく描かれた一編。まさに著者のような立場の者ににしか書けない作品だ。このタイトルに使われている「好去好来歌」とは、本来、山上憶良が唐への出発を目前に控えた遣唐大使・多治比広成へ送った歌のことで、北京へ留学するボーイ・フレンド田中への惜別と縁珠からの励ましと受け止めた。「来福の家」は一転、明るいお話。前作同様、台湾から仕事のためにやって来た両親の元、幼いころから日本で育った二人姉妹、姉・歓歓と妹・笑笑の物語。それほど長くない物語の中に、言葉をめぐる日台中三か国の関係と、外国で暮らす人々の言葉の苦労などがよく組み込まれている。どちらかと言えば、肩肘張らない表題作の「来福の家」の方が好ましく思えた。
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読み始めは取っつきにくさを感じましたが、読み進むうちに、だんだんと笑笑ちゃんの世界を理解することが出来るようになった様に感じてきました。小説を読んでいると自分の知らなかった世界を疑似体験したように感じるときがある。この本もそんな感じを抱かせてくれました。台湾で産まれて日本で育った笑笑ちゃんとその家族。その方々と知り合いになれたような感じです。
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台湾生まれ、日本育ちの楊縁珠
台湾語と中国語と日本語に囲まれて育った彼女は日本語を話し
見た目も日本人と変わらないけれど、名前も国籍も、日本ではない。
日本人の恋人との関係、日本語があまりうまくない母と
祖国が二つある少女の多感な心の行方。
好奇の目で見られたり、名前を必要以上に指摘されたり
自分がいったい何人なのか、わからなくなる感覚かな?
そんなに気にすることはないだろうとか軽く思ったりもするけれど
本人にとっては大事なことだよね。
ひとつの場面にとらわれずに
今も過去も織り交ぜて話が作られている。
意外と読むのに時間がかかった)^o^(
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新井良二さんの装画がすてき。
いっしょに収録された「好去好来歌」のほうが残った。
主人公は三歳のときに台湾から日本へやってきたが、母親は日本語を話せない。
そんななかで自分が何人かと考えてみても、日本にいれば台湾人で
台湾へ行けば日本人になる。
どんな居心地なのだろう。
中国語をおりまぜながらうまく描いている。
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台湾生まれ東京育ちの作家さんが日本語で書かれたものです。お名前が素敵です。装丁も可愛らしくて、けれども内容は、今の自分の心を少しだけ抉るような、そんな作品でした。
何だか自分のなかにある「何で?」「どうして?」っていう気持ちに答えをもらったような。
何か意味をもたせなくても純粋に楽しめるお話です。特に台湾と日本、台湾の中国語と日本語に興味が有る人ならば!
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装丁がかわいい。
読みやすかった。
台湾語と中国語と日本語が混じる生活。
台湾に住んだからかその感覚が少し分かる気がした。
もう少しでやっぱりまた台湾に住もうかなーと思ってしまった。日本語教育を受けた世代がまだ生きているうちに。
あと分かる。田中くんの気持ちも。
必要ないんだけど、自分の中国語が試してみたくなってしまうのだ。通じるかなーって。
中華料理屋でそう思う事よくある。
「幸福の家」読んでまた日中学院通いたいなと思った。
いつかまたね。
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2009年すばる文学賞佳作。両親が台湾人で、3歳から日本で育った著者が書いた、ほぼ自身と同じ境遇の女性が主人公の話。日本語と台湾語と中国語が途中に入り混じり、主人公の両親、祖母の話、今の恋人との話と行ったり来たりして読みづらいところもあったけれど、根底に流れている温かさ、みたいなところがよかった。
表題作が後半に収められているけれど、こっちは更にストーリーがなかったけれど、まあ、明るい光に満ち溢れていて、なるほど〜、言葉は音かと思いながらさーっと読んだ。
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わたしとほぼ同年代の、日本で育った台湾国籍の女の子の話。悲痛な1話目も、ほんわかした2話目もどっちも作者が感じたことがある気持ちなんだと思う。1話目が鋭くてよかった。言葉の話がメインだったけど、生活習慣でも色々なエピソードがあるんだろうな。
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「好去好来歌」「来福の家」の2編がおさめられている。
私は読後感がすっきり幸福感が残る後者が好き。
2編とも台湾生まれ日本語育ちの作者でしか書けない、気づけないエピソードがちりばめられているようで興味深かった。自伝的小説?次のほかの作品を読んでみたい。また、2編とも親戚や祖父母さらにはその上の世代までの血縁の強いつながりを感じさせるお話だなぁと思う。私がそういったつながりをあまりもたないので、敏感になってしまっているのかも。
「好去好来歌」は黒髪のほっそりした主人公で姚愛寗を想像しながら常に映像を観るように読みすすめた。映画にできそう。台湾人で日本語が不得意な母との衝突に悲しくなってしまった。望まずに日本育ちとなってしまった自分との葛藤とまざってしまい自分では制御不能となってしまう少女のこころのもやもやを想いこちらが苦しくなる。
「来福の家」は前者と似た境遇ではあるが、主人公笑笑は少しふっきれているように感じられる。少し大人というか。自分の中のバランスも自分でとることができているようで安心して読み進めることができた。笑笑と姉がふたりしかできない言葉さがしをするところ、笑笑と里実が秘密の名前をもつところの女子特有のキラキラコソコソクスクストークの場面がお気に入り。笑笑がウェイウェイを連れて迷子になってしまった日の描写が暑い気温と色濃い緑と台湾の音が感じられ、むあっとした。姉歓歓が子供にどんな名前をつけたのか気になるところ。
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同級生のだれもが、日本語を話すおかあさんがいて、パスポートが日本国発行で、中国語は習うものであって…自分は日本での生活は長いのに、おかあさんの日本語は完璧ではないし、パスポートは日本国発行でないし、中国語も習わないと話せない。いろいろな葛藤が個人の中にくすぶっていて、そこを想像しながら、リービ英雄や柳美里の作品を思い出していました。