解説で深く理解しました。
2020/11/07 17:33
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投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クエーカーという宗教者の話に始まり、イギリス人のキャラ、風潮、イギリスの文化などについて述べられた後はパスカルのパンセへと進み終結する一書です。
ヴォルテールの書は初めてで、解説を読む迄は普通というレベルでしたが、解説を読了して本書を深める事が出来ました。
本書は何と言ってもフランス人から捉えたイギリスについての考察という点が最大の関心処だと思います。
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物事の本質を見抜く目を養うのに格好の書。
1734年にヴォルテールが著したこの『哲学書簡』は、すぐさま発禁にされた。
あらゆることに批判的な眼をもつことで、物事の本質を突き、自分の頭で考えることの大切さが表わされた書だ。
時流ではなく本質的な観点から、自国フランスに関係する愚行も批判している。
パスカルの「パンセ」に対する批判も素晴らしい。
権威を鵜呑みにせず、かといって素晴らしいことは素晴らしいと認めつつ、極めて理路整然と合理的に批判を行う点だ。
例えば、
パスカルは言う。
人は知性が豊かになるほど、世の中で個性的な人間をますますたくさん見つけるようになる、
と。
だがヴォルテールは言う。
本当に個性的な人間はごくわずかしかいない。
ほとんど全ての人間が、慣習と教育の影響を受けて、おとなしくふるまい、物事を考え、ものを感じる。知性をそなえて、新しい道を歩む人間ほど、この世に稀なものはない、
と。
だが、そもそも
知性を磨く人間がどれほどいるのか。
読書する人間は少ない。
読書する人間のほとんどは小説を読む。
対して哲学などの古典を読む人間はさらに少ない。
物を考えることを好み自らの知性に磨きをかけることに情熱をもった人間は少ないように見える。
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いわゆる哲学本ではない。哲学という地平をフランスとイギリスそれぞれを融和し、ときにシニカルに相手を見据えたユニークな視点で描いた本。エッセイに近いのかもしれない。
当時の先端の知性がどう世の中を見ていたのかを把握できる。
ヴォルテール自身がイギリスに住んでいた経験が色濃く反映されていて、ニュートンの批評などは面白い。パスカル批判はやや分かりにくい。