危険な女を追いかける男たち
2020/05/28 16:56
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
一途な想いに捉われ続けて、破滅的な道を歩んでいく大男のマロイが痛切です。若き日のフィリップ・マーロウも、傍観者に徹しながらも心揺れていて人間味がありました。
見知らぬ隣人たちとのコミュニケーションン
2018/10/16 10:23
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投稿者:KTYM - この投稿者のレビュー一覧を見る
レイモンド・チャンドラー52歳時(1940年)の作品。フィリップ・マーロウものの第2作。
以前、清水俊二訳で読んでいたのだが、村上春樹の新訳で再読。翻訳のおかげなのか端正な文章でとても読みやすいし、戦前の作品であるにもかかわらず、まったく古臭さを感じず、我々と同時代の作品という印象を受けた。
マーロウも(ハンフリー・ボガートのような)ごすごすした中年男ではなく、やや青臭さも残るハンサムな青年というイメージ。
刑務所から出所したての大男「へら鹿」マロイによる殺人現場に居合わせたことをきっかけに、マーロウは事件に巻き込まれる。様々な人と会い、会話し、殴られ、薬漬けにされたりするうちに、やがて事の真相が明らかになって行く。マーロウ自身に確固たる捜査方針や見通しがある訳でもないので、話の展開は分かり難く(はっきり言って、行き当たりばったり)、筋を追おうとすると挫折します。
一方で、多彩な登場人物とマーロウとの間で交わされる会話はとても魅力的。ギャングの大立者やひねくれた警察官、酒浸りの寡婦、ジゴロ、いんちき心霊術師等々との会話を通じて、個性的な人間像や、大都会ロスの社会状況などが浮かび上がって来ます。特に富豪の超美人ミセス・グレイルとマーロウとの酒飲み対決にははらはら、ドキドキさせられます。この洒落たというか、当意即妙のやり取りこそが、本書の読みどころと言えましょう。マーロウの捜査は、見知らぬ隣人たちが棲む大都会におけるコミュニケーションの試みと言えます。そして、どれ程人に会い、気の利いた会話を積み重ねても(そして殴られ、薬漬けにされても)、見知らぬ隣人たちとの関係性が深まることはないのです。これは都市への人口集中が進み、旧来の地縁的、血縁的人間関係が崩壊しつつあった1940年のアメリカの社会状況を反映したものであると言えるかもしれません。
チャンドラーはハードボイルドの代表的作家と呼ばれ、確かに本書も全編マーロウの一人称目線、会話主体で、ハードボイルドの特徴を備えた文体で書かれていますが、ハードボイルドと呼ぶには、少し饒舌過ぎるような気がしました(おしゃべりなハードボイルドって、少しイメージ違いますよね)。
文体が村上春樹である
2015/08/25 21:27
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは村上春樹訳であるが、その文体がぴったりとはまっていてびっくりした。他にも村上氏の訳した作家の本は読んでいるが、これほどぴったりだと感じたことはなかった。ハードボイルドタッチでしかも乾いていて、セリフにユーモアがある。村上氏はかなりチャンドラーの小説に影響を受けているとわかる。村上春樹の小説が好きな人ならチャンドラーの作品も必ず気に入るだろう。
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なんか一気に読んじまった タフでシニカル クールで情熱的 マーロウかっこいいな〜 昔はこんな男がたくさんいたのか? きっと日本にもね
村上春樹のカーヴァーの翻訳は苦手だったのにチャンドラーとは 相性が良いのかな?
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最初の一言目から、最後の言葉まで、隅から隅までスマート。
どの場面を切り取っても絵になるフランス映画みたいな小説。
最後の、お涙ちょうだいの結末まで、マーロウが言うとカッコいい。
(2011.7)
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じゃがりこですか「好きだー」と女の子が叫ぶCMがありますが、マーロウがアンに「私はキスされたいのよ。ひどい人ね」と言われる場面があってハードボイルドだと思った。
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主人公フィリップ・マーロウの言い回しが絶妙。読了後、容疑者ムース・マロイの存在感が強烈な印象を残す作品。ミステリー小説はあまり好んで読まないのだが、面白かった。
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チャンドラーの長編小説。
巧みな比喩と芸術的な風景・人物描写、そして読者を包み込んで引っ張り回す刺激的なストーリー。
やはりチャンドラーの小説は文句なく面白いです。
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親鸞といい、フィリップ・マーロウといい、最近私はハードボイルド系にはまっているようだ。二人は金のために生きていない。友情を大事にし、信念は全くブレない。このような人間になりたいと思ってきた今日この頃なのである。
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Farewell, My Lovely(1940年、米)。
私立探偵フィリップ・マーロウのシリーズ。同シリーズとしては2作目の長編となるハードボイルド小説。
マーロウはとある酒場で、マロイという大男と出会う。彼は刑務所から出所したばかりで、8年前に別れた恋人を尋ねてきたのだった。しかし女の行方は知れず、マロイは怒りにまかせて店の従業員を殺し、逃亡してしまう。凶暴だが一途なマロイに好感を抱いたマーロウは、彼とその恋人の行方を独自に調査するが…
シリーズの中でも人気の高い作品なだけあって、読みごたえ十分。翻訳ミステリは読みにくいのが相場だが、これはかなり技巧的で複雑な文体にも関わらず、心地よくスムーズに読める。訳者の力量&チャンドラー氏への愛ゆえだろう(村上氏はチャンドラリアンとして知られている)。
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ロング・グッドバイ程の傑作ではなかったが、しっかりと記憶に残る作品だった。
村上春樹の翻訳もぴったりと寄り添っているように思える。
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清水俊二訳のさらば愛しき人は数年前に読んだが、随分忘れているもんだ。アン・リオ−ダンのことはまったく覚えていなかった。記憶力に自信が無くなるなあ。
結局、煙草の細工は何だったんだ。特に説明はないが、警察のミスリードを狙ったものだったのか?。(あえて誰のとは書かない)
ブルーネットの発言「俺もずいぶん忙しい人間らしい」。だけど、マーロウは宝石強盗のことは口にしていないんじゃないかな。
そんな辺りに僅かな不満を感じたが、でも、ミステリーとしての種明かしより、マーロウというタフな都市生活者や悪人達や悪徳警官のちょっとした人間らしい顔つきが本書の魅力かな。
それにしても回りくどい言い回しが多い。主人公も登場人物も酒が無いと話ができないのかというくらい、酒を飲んでいる。本当にこんなに呑むのか。話は遠回りだし、登場人物は多くて、皆、変。
しかし、以前読んだときより情景がすっきり見えて、判り易くて面白かった。新訳のお蔭と、まあ、再読だからね。
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翻訳モノと村上春樹がダブルで苦手なんだけど、これは読みやすかった!
マイナス×マイナスはプラスなのかしら
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『さよなら、愛しい人』---このタイトルは、本作を読む前と読んだ後とでガラリと姿を変える。
フィリップ・マーロウが辿り着いた結論を目にした後では、『愛しい人』の意味に深い溜息と涙がこぼれた。
本作はチャンドラーの村上春樹・訳版、第二作目。オリジナルは前作の『ロング・グッドバイ』よりも前に書かれたものであるため、主人公のフィリップ・マーロウには若さを感じます。
アン・リオーダンの言葉を借りるなら…どこまでも勇敢で、強情で、ほんの僅かな報酬のために身を粉にして働く。
もっとも、この若きマーロウの無鉄砲さが、本作の醍醐味の一つでもあるのですが。
ある賭博場の前で偶然出会った大男ムース・マロイ。
大男ムースはかつての恋人を探すべく、その居所を掴むために殺人を犯して逃亡します。ムースに連れられ酒を飲んでいたことで、そこに居合わせたマーロウは、この大男の行方を追うのですが…
ムースの積年の恋心は結ばれるのか、マーロウはムースを見つけだすことができるのか。
様々な苦難に遭いながらも、どこか心を惹かれるムースの為に彷徨うマーロウの姿は、アン・リオーダンの言う『勇敢』そのものでした。
彼を追って、恐怖に震えながらも賭博船に乗り込んでいくシーンは、その極致としてとても印象的です。
『男であるというのは、時としてきついものだ。』
レッドがマーロウにかけたこの言葉が、忘れられません。
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主要登場人物の霊能力者の怪しさが、
逆に、身近に感じられるような
いまに、時代の流れをみました。
あわせてフィリップ・マーロウという人物造形が、
「内面描写」によるものではないことに、
あらためて、新鮮な驚きを感じました。驚異!