物語のありがたさに救われる
2022/12/03 15:37
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぼーっと授業中に空想してしまうので、勉強が苦手な羽猫山吹。
ちょっと変わった苗字一家の物語。
高校受験を前に山吹もさすがにこの成績ではいけないと思う。
何がいけないのか説明できないながらも、おばあちゃんに相談する。
自分に得意なものもなく、このままでは役に立たないのではと考えてしまうが、おばあちゃんから「無駄なものがない世界なんて、おことわりよ」
そんな言葉に山吹も少し救われる。
あたり前だと思っていることや正しいと思っていることが、実は上から目線だったり、立場が異なる人にとっては辛い考えだっていうこともある。
あまり何でも理解しなければと思う必要はないけれど、気付けられるくらいの感覚は持っていたい。
山吹も少しずつ時間を重ね、専門学校、就職、結婚と年を重ねていく。
祖母、両親、姉 みんな年を重ねそぞれぞれに折り合いをつけていく。
面白く羽猫家の物語を読ませていただきました♪
優しい嘘つきたち
2018/02/24 18:43
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ほら吹きの祖父、自由な祖母、ダメだめな父、自分の世界に閉じこもる母、母の世界を守るために嘘をつく息子、嘘が大嫌いな娘。
奇妙な羽猫家のひとたちが本音で過ごせるまで何年もかかる様子が描かれてます。
頼りなく嘘つきな息子がとっても優しくてイイ奴です。
出てくる女性は皆たくましい。
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家族に起こった悲しい出来事。受け止めきれずに、家族がみんな嘘をついて、どうにかこうにか上手くやろうとしている。みんな上手くやるために何らかの嘘をついているだけなのかもしれない。「上手くやろう」「自分を守ろう」とする嘘が重なり、家族の歯車が崩れていく。
読んでいてもどかしくて物悲しくなってくるのに、どこか軽快で不思議な感じでした。
でも、最後、この家族に、一筋の光と希望が見えてとても良かった。
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最初は迷路の中にいるような感じだった。
読み進むにつれ、わかったような気がしてきた。
皆んな、幸せになるといいな。
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ほぼ一気読みでした。読後にあらすじを追ってみようとしたけれど、一本筋が通っているという作りではないため、容易ではありませんでした。時系列に書かれているにもかかわらず(笑)エピソードの妙が光る構成にハッとさせられました。
寺地さんの小説に登場する男の子はどこかふわふわとして頼りなさそう。しかし、人を傷つけまいとする心は強い。
どの人物のモノローグもちょっと悲しげですが、ここで自分を貫き通す紅が物語を引き締めています。
誰にもない、不思議な個性をまとった作家さんです。これからあらすじを考えながら、物語をもう一度味わいたい。そして、次回作を心待ちにしたいです。
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細長い家に住んでる心の離れた羽猫一家の物語.伊吹が,4歳の時に死んでしまった弟しか愛せない母親のためにニセ手紙を書き続けているところ,不条理でやりきれない気持ちになった.頼と出会ってそのまっすぐな人柄に引かれながらも気づかないところ,イライラしながら読んだが,その恐る恐る手を伸ばした伊吹にちゃんと幸せが訪れて本当に良かった.それにしてもお父さん,もっとしっかりしてよ.
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羽猫家のみんなは少しずつ嘘を付いていて
山吹は空想が得意で架空の犬を飼っている
架空の犬と嘘をつく猫
最後に本当の犬を飼うことになったの、嬉しかった
嘘でも架空でも そこにある
わたしも「ない」ものを守りながら生きる
生きていくために
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真剣に自分には関わってくれない家族に囲まれた少年の小学生時代から30代を描く不思議な小説。笑えるわけでもなく、どんでん返しがあるわけでもないのに、なぜか頁を捲る手が止まらない。変化球な成長物語。
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女性週刊紙の本紹介コーナーでの作者のインタビュー記事を読んで興味を持った。装画も好みだったし。
久しぶりの小説作品ということで、なかなか小説世界には入れなかった(たぶん心を開ききれていなかったと思われる)けど、徐々に頼りない主人公・山吹が気になり始めた。
山吹、という綺麗な名を持つ男の子は物語のはじまりでは八歳。空想癖があり‘架空の犬’を飼っていて、辛いときにはその犬の頭を撫でている。家族は六人。祖父母と父母、姉・紅と暮らしている。もうひとり下に青磁という弟がいた。不幸な事故で亡くなったが、母はその事実を受け入れられず、青磁が‘まだ生きている’ように過ごす。その母の世界を壊さぬために山吹は‘青磁’の署名が記された手紙を書き、母に送り続けているが...。
主人公、山吹だけではなく、魔女と呼ばれる祖母、浮気している父、そんな家族を嫌って後に出ていってしまう姉などの視点も挿入され、いろんな人の立場から見える小説になっている。みんな自分を守るため自分にも他人にも嘘をついている。それは『ずるい』ことなのか。
父の愛人の鮎子が偶然であった山吹にこう言う。
‘「逃げたいなら逃げたらいい。いずれ逃げられん時が来る。その時まで力をたくわえとったらいい」
(山吹は)ある意味、「逃げてはいけない」と言われるよりおそろしい気がする。要するに、逃げた後のおとしまえは自分でつけろよ、ということだと思った。’
この鮎子さん、ちょっとしか出てこないが魅力的だった。
現実から目を逸らす母から更に目を逸らすダメすぎる父の避難先となるが、一緒に溺れないところとか。
あと印象に残ったのが祖母の言葉。
機嫌の悪い山吹がこういい放つ。
‘「ブローチって何の役に立つと?」
(中略)
「そうよ、何の役にも立たんよ」
あんたと一緒、とにべのない言い方を、祖母はした。
「世界に、役に立つものしか存在せんやったらあんたどうする?」(中略)無駄なものが全然ない世界なんてフッ、と祖母は鼻で笑う。
「そんな世界、おことわりよ。そう思わん?」’
役に立たない私はまったくもって同意だわ、と思った(笑)
気に入ったのでこの作者の他の作品も読んでみたい。
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すごい一家。三人兄弟の末っ子・青磁が4歳で亡くなり、その日から母はおかしくなった。青磁が生きていると信じる母に、山吹はその世界を壊さないよう嘘を吐き続け、父は地域住民にもバレバレの浮気をする。そんな家庭に嫌気がさした姉は家を出て連絡も取れなくなる。それでも、悲壮感はなく、ほんわかと話が進む。辛いときは、架空の犬を撫でて過ごした山吹。頼と幸せな家庭を築けますように。あんたは社会にとってなんの役にも立ってないけど、おばあちゃんのかわいい孫やけん、いていいんだよ、とおばあちゃんが言ってくれるところが好き。
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それぞれの名前が良かった。
紅、山吹、頼。。。熊人間。。。千里さん
あるなぁ。。。うん、おばあさんの
「役に立つと存在価値は別物」
大人と子ども。。。色んな目線で書いていて面白い
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羽猫家は、みんな「嘘つき」である――。これは、それぞれが破綻した「嘘」をつき続けた家族の、ある素敵な物語。
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三番目の子の死によってバラバラになった家族と暮らす男の子の成長物語。
何気ない一言がググッときて涙が溢れたり、優しいと誠実さの違いとか、誰かの幸せを祈る気持ちとか、さらさらとは読めず、深く考えながら読んだ。
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独特な嘘をつく家庭で育った主人公。彼が成長し、人と出会ってゆっくりと変わっていく。濃いキャラクターばかりの家族も変化し、それぞれ行き着く先には何が起こるのか。穏やかに流れる物語の中に胸を突くような言葉が潜んでいて、幾度もはっとさせられた。
最後の方で「安全な場所から他人の選択に口を出すのは、恥ずべき事だと自分を戒めた」が印象的でした。寺地先生の他のお話も読んでみたいです。
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嘘つきの家族の物語というけれど、私には特別な家族の話には思えなかった。多かれ少なかれ人間はこんなもんだと思う。おばあちゃんとの会話がよかった。