全編これ狂気だ!
2018/09/05 10:34
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投稿者:のりちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
率直に言って後味の悪い小説だった。
一人の若者がこれだけ人を先導、洗脳出来るのか。田舎は恐ろしい。孤立化は凶器の第一歩という感じだけど、その根元は、不倫、不義の子、乱れた血縁というものでなあんだという感じがして拍子抜けした。
普段は確立されてゆるぎないかに見えた上下関係、地縁、血縁もあるきっかけがあれば脆くも崩壊するということがよく分かったものの、結局は私怨がそのエネルギーであったということでなんかがっかりしてしまった。もっともそれが作者にとって一番言いたかったことかもしれないが。
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今回はちょっと期待はずれだったかな。
ただ時期的に、時事的にか、感傷に浸りやすい作品ではあったけれども。
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旧弊で閉鎖的な村での暴動に巻き込まれた父娘の話。昭和を生きていないと伝わりにくいかもしれない。読み進めるほど嫌な感じが増してきて、荒唐無稽なようで、すごくリアルなようで、割と一気読みだった。
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昭和の旧弊な村を舞台にしたサスペンス。村に漂う閉塞感と、豪雨により閉ざされた不安感、そしてやがて起こる暴動への緊迫感がどれをとってもたまりません。もうタイトルと表紙を見た時から嫌な予感しかしなかったのですが(笑)。全編嫌な雰囲気に満ちていて、それでもぐいぐい読ませられます。
扇動される若者たちの姿がとにかく怖い。抑圧され続けた感情が爆発にいたる緊張が半端じゃなくって、先を読むのが恐ろしいのだけれど読む手が止まりません。起こった「事件」の真相も読みどころではあったのですが、とにかく主人公の命運が気になっていて、誰が犯人なのかとか考えるのは忘れていたかも。主人公の終盤の意外なほどの頑張りも応援したくなります。
ああ、それにしてもこういう村ってやっぱり嫌だなあ。赤の他人よりもむしろ、こういう親戚ぐるみとかのほうがこじれると余計に厄介な気がします。だからこそ「よそ者」であるピアノさんの姿はすがすがしく感じられました。彼女のキャラ、いいなあ。
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昭和54年夏、亡き妻・節子の墓参りのため節子の田舎・鵜頭川村に3年ぶりにやってきた岩森明と娘・愛子。
山間の村で50年に一度といわれる豪雨に見舞われ、土砂崩れで交通は分断、大規模な停電により外部との通信も途絶えた中、一人の若者の死体が発見される。
旧態依然とした閉鎖的な村は、村の有力者・矢作家が力の全てをほしいままにし、虐げられた他家のものたちは従いながらも鬱屈をためていた。
食料も水も尽きてくるなか、次第に大きくなる悪意と反発。日和見の大人たちに業を煮やし、友を殺された若者たちが自警団を発足する。極限下での略奪や暴力から女子供を守るための自警団のはずだった・・・
ひゃ~、冒頭からホラーかと思うほどの怖さ。主人公の田舎の昔の事件からの導入はお見事。
時代は昭和、場所は田舎の山間部、方言など、横溝正史の作品を彷彿とさせるなか、連日降り続く雨、雨、雨。
たれ込める雨雲の下、渦巻く悪意と、鬱屈した思い。
貧しさ故に村に縛られ、家のしがらみ、家長である父の横暴、酒乱、暴力に押さえつけられた女と子供たち。こんな村嫌だ!と誰もが思うだろう。
自警団が暴走をするまでのリーダーによる洗脳ともいえるアジテート。人は、極限状態におかれるとこんなにも簡単に理性を捨ててしまえるものなのか。
壊れていく若者たちのエネルギーが暴力という方向に向かう過程がただただ怖い。
岩森と自警団のリーダーの最期の死闘が長く凄絶で、やりすぎ感はぬぐえないものの、ラストまで一気に読ませる櫛木さんのリーダビリティはさすが。櫛木さん、2作目だけどハズレなし。次も楽しみ。
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ド田舎の積もり積もった鬱屈が暴動に至る。
過去作の「避雷針の夏」を改題修正したような話だった。
昭和五十年代、長雨による土砂崩れにより鵜頭川村は孤立状態となった。
水害は県内全域に及んでいた影響で、救援も遅くなった。
この村には道路拡張計画をめぐり賛成派と反対派に分かれていた。
反対派の村長は昔からの地主であり、賛成派は農地解放後に農地を売った金を元手に成功した土建屋の一族だ。
村民たちはほとんどがこの土建屋に従事しているため、この一族には逆らえずに鬱憤が溜まっていた。
そしてこの長雨による水害のさなかに殺人事件が起きた。
一人の若者が殺されたが、犯人と目されるのは土建屋一族の息子で、大人たちはそのことを指摘できなかった。
自らの命は自らで守るしかない。
自警団を呼びかけた若者もまた、心に鬱屈を抱えていた。
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次どうなるのかわからず、ハラハラしながら読んだ。相変わらずこの作者さんは閉塞感とか狂乱を描くのが上手い
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閉塞した村の悲劇。
典型的な村社会の弊害(今の感覚で言えば)を享受してきた大人と、虐げられてきた若者の構図。
弱い立場が強権を手にしてしまった時、強い立場に反転する。
その様子がなかなかに生々しくて、怖かった……
とにかく嫌な奴ばかりで、群集劇としても読み応えというか、ストレスがすごかった。
その分、子供たちやかくしゃくとした老婆などの存在には心底ホッとさせられた。
主人公の愛情もビンビンに伝わる。
ラストの肉弾戦、さすがホラー小説出身かと。
「痛い、痛いワアアアアア!」の描写よ……
後日談が猛烈に読みたい。
そして辰樹の敦人に対する想いに感じ入っタア。
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リアリティがあるようなないような集団心理の恐ろしさ。こんな単純なの!?とも思うが、鬱屈した不満が集まって弾けると誰にも止められない勢いが簡単に生まれてしまうのだろう。
子連れの逃避行はドキドキ。後半は櫛木さんお得意のバイオレンスの連続。港人と廉太郎の友情、ピアノさんの逞しさ…チラリと垣間見える良心もあるけれど、感情移入する登場人物がいなかったのと結局狩る側狩られる側どっちもどっちだったから、終わりはちょっと物足りなかった。
耐えてばかりだった有美さんが爆発しちゃえば意外性もあってスッキリしたなと思う。
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なんでそんなに騒がれてたのかな?
という読後感。
一番悪いのは口の軽い人って事だとして、
なぜゆみさんは全然訛ってないんだい。
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後半の暴力描写はしんどい。あまりにも村全体が胸糞悪くて、酷い目に合う理由がありすぎてでも狂ってく若者たちが辛くてしかもことが起こるまでが長くてしんどい読書体験だった。しかし本人がやったか、真犯人がやった確証を得た上で暴動起こし始めたのかと思いきやそうでもなくてほんとうにただ全てを壊したかったんだなっていうのが悲しい。ただ親父供は糞だけど、主犯がここまでやるには動機がうすい気がした。あらゆるタイミングがかちあってしまったってことなのかな。岩森が無事だといい。しんどい中にも港人やピアノさんたちの光があってそれが良かった。
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大雨で孤立した集落で殺人を機に暴動が起こっていく。なかなか読み進みにくく、最後は思っていた方向とは別の方向に行ってしまった。
最後のWikipedia記載からみると岩森さんは助かったのかな。
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8月-8。3.0点。
1979年の事件。閉鎖性の高い村で起きた、殺人事件。土砂崩れで外部と遮断された村で、抑圧されていた若者達が実力者達と対峙する。
まあまあ。オカルト性は低め。殺人の動機も少し弱いかな。
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人って怖いなーって思える作品。
群集心理とそれを操る方法と。
今もこういう村があるのかもしれないって思えるくらいに日本の閉鎖的な部分が濃く出てる。
話も昭和の話だしね。
最後は暴力的な方向へ進んで。
読後の爽快感はなし。
所々の新聞描写。
裏ではこんな事があったんだってのは記事からは伝わらない。
それが一番怖いってちょっと思った。
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田舎特有の黒い人間関係と、災害時の人間のパニック。
災害で閉鎖された村での略奪行為はコロナパニックの今、他人事とは思えなく感じた…