序盤にてこずるかも・・・でも事件が動き出せば意外と進む。
2018/12/05 06:14
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんか読むのにずいぶんかかってしまったような気がする・・・実際考えてみればそこまでではないのだが、途中別の本が優先になって何回か中断したのと、文章になかなかノれなかったので余計時間がかかった感じがする。
決して面白くないとかそういうことではないのだが・・・なんだろう、とっつきにくい? 作者も、訳者も、初めてだからかしら。前半、苦労しました・・・後半になってきて、やっとペースが上がってきた。
刑事を退職し、暇を持て余して写真アートにはまっているガーニーのもとに旧友が突然訪ねてきて、「妙な電話と手紙が来た」と言う。
「1000までの数字を一つ頭に思い浮かべてみろ」という。友人は658という数字を思い浮かべた。すると658が書かれた手紙が。次々と届く不可解な手紙に耐えられずガーニーを訪ねてきたのだが、ガーニーの努力が実を結ぶことなく、友人は他殺死体で発見される。周囲は雪が降った後で、犯人らしき足跡は森へ向かう途中で消えていた・・・という話。
退職刑事が主人公ってはやっているのかと思ったら、ガーニー元刑事はまだ40代半ばという設定で、『ミスター・メルセデス』のホッジスのように定年退職組ではないのが新鮮。ガーニーの妻マデリンも事件に自分から進んで巻き込まれる夫に辟易、といういかにもな感じでありながら、ガーニーの気づかなかったポイントを指摘するなど勘のいい女性である。女性に助けられている刑事、多いぞ。
唯一シリアルキラーと対決した経験がありながら、謎解きの興奮に夢中になってしまい思わず先走った行動をとってしまうガーニー、内省的な性格と思いきや時々頭のねじがゆるむ、まったく魅力的なキャラクター。マデリンがいることで余計にそれが引き立つ。
<まるで手品のような、謎、謎、謎!>と帯にありますが・・・確かに解決のくだりやヒントの散りばめ方など、日本の<新本格ブーム>のあたりの作品群の雰囲気に通じるものがある。
海外ではクイーンやカーなどの作品群が容易に手に入らないそうなので、日本の<本格ミステリ>に当たる言葉がないから<HONKAKU MYSTERY>というジャンルが英米に逆輸入される形で盛り上がってきているらしい。
ハードボイルドもノワールもよいが、一見して不可解な謎・それを思いもかけぬ形で実現させるトリックの存在こそミステリの華!
でもパズル的要素だけでなく、人間ドラマ部分もしっかり用意されていて、小説としての完成度も高い。ガーニーを主人公にシリーズ化されているそうだが、それも納得。
二作目以降も翻訳してくれるのかなぁ、期待して待ちたい。
展開はゆっくりめ
2018/12/20 06:40
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投稿者:むーみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
展開はゆっくりめなので、前半や半ばは合わないと感じるかもしれません。ちょっと冗長というかとっつきにくい。ちゃんとしたミステリで最後まで読めはするけど、もう少しテンポ感ほしいところでした
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
完全に手作業だったのか。
思いつかなかった。
主人公の過去の事件っていうか、子供の件は不要だなあ。
弱さを出そうとしてるのかもしれないけど、最後まで引っ張られて面倒。
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あらすじが面白そうだったので購入。
ハードボイルドに近いのかと思ったら、予想外に謎解き要素が強く、パズラーに近い内容で吃驚した。ハードボイルドやサスペンス、スリラー的な要素は、ラストの、真犯人との対決シーンぐらいか?
巻末の解説が海外のミステリ事情に軽く触れていて、それも興味深かった。日本で言う『本格もの』ってあちらにはジャンルとして存在しないのね……。
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「なんというか、ひじょうに……おもしろい」p.307
謎また謎の本格。託されるのは誰もが知る退職した名物刑事。
読みながら横山秀夫の『64』が頭に浮かんでいました。
解説でも、日本の本格を代表する一作として名前が挙がっていましたが、私が考えたのはそういう意味ではなく…。
ひじょうに私の好みでした。現在6作発表されているとのことですが、2作目を早く読みたい。
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わりとゆっくりと物語が進む。そのなかに伏線があり、たくさんの謎がある。犯人からの不気味な声明、そこに隠された謎。本格ミステリーと警察小説が上手く合わさっていてどちらの良さもあり謎解きも、警察の捜査も空気がしっなりと作られていて楽しめる。
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タイトルから、スタイリッシュなクライムものかな?ノワールかな?と思いながら読み進めたが、意外とクラシックでしっかり重量も感じられるものであった。掴みは魅力的な謎でグイグイ引っ張られ、途中ちょっと(私は)だれたが、終盤はまた引っ張られた。
ちょっとルヘインを思い出したり。
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初読みの作家。しかも特異なあらすじがバカミスっぽく見えたので正直不安要素の方が大きかったが、それを払拭して余りある面白さだった。
序盤は手探り状態。数字の謎も、主人公と知人の微妙な距離関係もややとっつきにくく退屈しかけたが、殺人事件に発展してからは一気にストーリーが流れていく。退職刑事ガーニーは不可解な謎をひとつひとつ解明しながら調査を進めるが、新たな事件が新たな謎を生み、当初の予想をはるかに超える連続殺人計画が浮かび上がる。大まかな骨格は警察ミステリだが、本格ミステリ色が非常に濃い。謎のテーマがhowdunitからwhydunitへと繋がり、意外性に富むラストまで飽きることなく突っ走る。
事件を取り巻く状況やアイテムにどことなく古典っぽさを感じたので、現代ミステリでは珍しいと感じていたら、作者はリタイア後、古典本格を読み漁って作家デビューしたようだ。海外には日本でいうところの「本格ミステリ」にあたる言葉がないが、英米語圏のミステリ・シーンでは「honkaku mystery」というワードが使われ始めているらしい。そんな「honkaku」の書き手として期待できるひとりが作者なのだとか。
今年の収穫本。リピ決定。今後も作者の描く「honkaku」に期待大だわ。
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珍しい海外の本格物(と言っても強引に日本のジャンルに合わせたら、の話だけど)。
そこに惹かれて読んだのだけど、これを本格者として日本の作家が出版したら、全く相手にならないほどレベルが低い。肝心の”数字をあてる”トリックが2回出て来るがどちらも馬鹿らしく簡単にわかる。”まさか、そんなはずはないだろうから、どんなトリックだろう?”と思って読んでいると見事に肩透かしを食らう。しかも長々と説明するが普通すぐにわかるのでは?
足跡の謎もあまりにも安易。
どこか牧歌的な雰囲気があるから、いっそのこと20世紀初頭や戦前戦後辺りの時代背景にすればこの設定でもいけたかも。
横糸となる奥さんとのドラマも、やたら内省的な主人公のモノローグが長いわりにはドラマもありきたりで薄っぺら。
このレベルだったら続編は期待できない
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さきほど読了。上がった心拍数と呼吸数がいまだもとにもどらない。よくできたミステリー,とくに欧米の,を読むには体力が要る。
なんで星が5つまでしかないんだ,というぶつける相手のない憤りをみなさんにも味わってほしい。
ひさびさにいい汗かかせてもらいましたよ,まったく。
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デイヴ・ガーニーは四十七歳。いくつもの難事件を解決してきた超有名な刑事だが、今はニューヨーク警察を退職し、デラウェア近郊の牧草地に十九世紀に建てられた農館で暮らしている。事件解決以外に興味を持たない夫と二つ違いの妻マデリンとの間にはすき間風が吹いていて、それは近頃ではどんどん強くなってきていた。早期に退職したのはそれも原因の一つだった。
どんな資産があれば、ただの元刑事がそんな優雅な引退生活を送れるのだろう、と素朴な疑問がわくのだが、ともかくそんな元刑事のところに事件は突然舞い込んでくる。大学時代の友人に送られてきた奇妙な手紙の一件だ。手紙には「数字を一つ思い浮かべろ」と書かれていた。友人は658という数字を思い浮かべた。同封の小さな封筒を開けるとその中に入っていた紙には、658と記されていた。なぜ差出人は前もって知ることができたのか、というのが謎だ。
クラブのショーの一つに読心術というのがある。それと同じ手口だが、サクラを使えない手紙で、どうしてそれができたのか。しかも、手紙には続きがあり、なにやら復讐めいた匂いすら漂う。今は成功者だが、かつて酒浸りだったことのある友人は当時のことを覚えておらず、恐怖を感じてガーニーを頼ってきたのだ。初めは警察に知らせろと言っていたガーニーだが、その友人が殺される。
被害者は割れたガラス瓶で喉を何度も刺されて死んでいた。しかし、不可解なのは雪の上に残された犯人の足跡だった。現場から規則的に続いた足跡が途中で消えていたのだ。何という古典的なトリックだろう。近頃とんとお目にかかれないべたな足跡消失ネタである。読心術に雪上に残る足跡。古き良き探偵小説の読みすぎだろう、とツッコミの一つも入れたくなるところだが、それでいてこの小説けっこう読ませる。
ガーニーは地方検事の要請で、捜査に協力することに。すると、間を置かず、ブロンクスでもウィチャーリでも殺人事件が起きる。被害者は一様に喉を指されているのだ。しかも、現場にはしりとり遊びのように殺人の行われた地名を示す何かが残されていた。もっとも、そのことに気づくのはガーニーではなく、彼の妻であるマデリンなのだが。そう、このガーニーという凄腕の元刑事、前評判は高いくせにひらめきという点では妻にかなわない。
それというのも、何かというと自分の過去や現在の家庭内の問題にばかり頭を悩ませているからだ。実は父親に疎まれていた過去を持ち、今は前妻との間にできた子とは疎遠で、マデリンとの間に生まれた子は事故で失くしている。妻との間に溝が生まれたのはその事故がきっかけだった。ガーニーは子どもの死以来、家庭を顧みなくなっていた。自分が眼を離した間に息子が交通事故に遭えば、自分を責めるのは当たり前だと思うが、妻の眼から見るとまるで自分を罰しているように見える。
謎解き物の本格ミステリのように見えるが、評判の割にはガーニーの捜査にキレはない。むしろ、口は悪いが腕は立つディックもふくめ、妻のマデリンや捜査本部のチームに属する冷静沈着な女性巡査部長ウィッグや同じく女性心理学者のレヴェッカに助けられている。むしろ、刑事でもないのに長時間車を運転して現場に向かい、現場を仕切る刑事に煙たがられるガーニーの姿は、どちらかというとハードボイルド小説の探偵のようだ。
シリーズ化を考えているらしいが、数字のトリックはまだしも、消えた足跡の方はあまりにも時代がかっている。謎解きならよほど目新しいものを持ってくる必要がある。他の人気シリーズとの差異化を図るなら、ニューヨークという大都会ではなく、キャッツキル渓谷という山間地を舞台にしている点はポイントになる。もう一つ、アームチェア・ディテクティブ役を振られているマデリンとのコンビを強化し、今後も二人三脚でやっていくことを強く勧めたい。
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一通の手紙が手元に届く。
そこには、タイトルの通り「数字を一つ思い浮かべろ」と書かれていた。
そして手紙に同封されていた、封印された封筒を開くと、自分の思い抱いた数値が記されている。どういうことだ? 手紙が投函された時点では、封印された数値を当てることなど予測できないはずだ。
から始まるミステリ。
謎をどうして?と最後まで読ませる構成も素晴らしいのだが、主人公の元刑事の人物造形というか、彼の物語る世界が美しい。
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『本格ミステリ・ベスト10』で高評価だったので読んでみた。男に手紙が届く。その中には脅迫めいた文章と「1000までの中で数字を一つ思い浮かべろ」の文字。男が三桁の数字を思い浮かべて同封の紙を広げたら、正にその数字が書いてあった。後日、同じように数字を当てられ、その男は不可能状況の中で殺される・・・というミステリ。
黄金時代の本格ミステリが現代に甦った、との宣伝文句だが、確かに重厚で良く構成された作品だった。
何とも不思議な現象の割に、解明されたトリックは驚くほどの事では無かったし、もう少し簡潔(半分位のページ数)に書かれていたら尚更良かったが、傑作である事は間違い無い。
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警察小説で、本格で、シリアルキラーものという、美味しいとこ取りです。分厚いですが、文章は読みやすく、最後まで読み通せました。
メインのトリックは、読み始める前から、これしかないだろな、と思っていたのが、そのままだったので、意外性はあまりありませんでしたが、普通に楽しめました。
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『数字を一つ思い浮かべろ』という手紙から始まる惨劇と、元警察官の捜査。
沢山のトリック、推理。
エキサイティングな中にも家族の切なさを感じずにはいられない。