社会問題が盛り込まれている
2018/11/24 19:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
通り魔に家族を奪われた被害者遺族の苦しみ、高次脳機能障害者の介護問題、要介護者を抱える家族の問題などなど、今どきの社会問題が盛り込まれています。
立証しにくい殺人事件を通して家族の闇の部分が見え隠れしてイロイロ考えさせられます。
難しい設定を生かしたミステリ
2018/10/19 19:50
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何といっても犯人とされている主人公の女性が、最近の記憶を保持することのできない記憶障碍を持っているので、作品の世界は最初ひどく揺らめいた印象がある。不安感を誘うようなその揺らめきに、主人公はどうなるのか、どのような扱いを受けるのかと、徐々に強く引き込まれていく。
彼女の視点だけでは成り立たない部分を補完するため、刑事の視点などを挟む。これが有効に働き、事件の行方を固唾を呑んで追うことになる。
詳しい展開、事件の背景などについては割愛するが、最後のほうでは一気に、たたみかけるように事実が明らかになっていく。息づまる展開の描写が巧い。
タイトルのつけ方もうまい。そこにひそむ意味を考える時、ラストの情景もより印象深いものとなる。
投稿元:
レビューを見る
泣けた…号泣とかではなくて、ラストはずっと目頭が熱かった。犯人については予想がついたので驚きはなかったけど、介護するものとされるものの多方の関係性に、泣ける。大切な記憶をなくす。絶対的な味方がいる。幸せでいるだけでいいと思える人がいる。
あ、思い出しただけで泣けてきた。ただのミステリーではなく、どちらかというとヒューマン。秋吉さんイヤミス作品なイメージでしたけど、こういう作品も良かったです。
投稿元:
レビューを見る
警察に「殺した」と通報してきたのは、事故による高次脳機能障害のため、短時間しか記憶を維持することができない女性だった。
二転三転するストーリーとはいうものの、切ない話だった。
(図書館)
投稿元:
レビューを見る
「人を殺しました」と通報してきた女性。殺された男は以前、女性の両親を殺害した人物だったので、復讐の為の殺人と思われた。しかし女性は交通事故で脳に障害があり、記憶が20分しか保てない病気だった。通報した事すらも覚えていない。本当に女性が犯人なのか? それとも誰かの罠なのか?・・・というミステリ。
記憶障害という、恋愛映画等で良く取り上げられる題材だが、この作品は真相を追う女刑事の母が重度の認知症になっているサイドストーリーが絡んでいて、決してイヤミスだけでない秋吉さんのストーリーテラーぶりが光っている。真相は予想できたが面白かった。
投稿元:
レビューを見る
「わたし、人を殺しました」女性の通報によって、駆け付けた警察。果たしてそこには確かに男の刺殺体があり、しかしそこに佇む彼女は一切の記憶を失っていた。ほどなくして彼女の夫から得られた情報によれば、20年前に通り魔事件で両親を亡くし、それに伴う事故で彼女はそこからの記憶に障害をかかえていた。そして、今回殺されたのはかつての通り魔だった。記憶を失いながらも執念深く復讐の炎を燃やしていたことが夫の協力から明らかになり、特殊ながらもこの事件は幕を閉じようとしていた。しかし、再び彼女の記憶に混乱が生じ……。
記憶障害の犯人という設定がとてもよくいきてて、真相はうすうす分かっていても彼女の混乱に一緒に振り回された。記憶を失ったり取り戻したり、という過程が生々しくてよかったなあ。刑事の認知症の母にまつわるエピソードもしんどくて、でもちょうどいいスパイスになってた。ラストの部下にはグッとしたけど、こっちがメインテーマだったか?と思ってしまった。あともう嫌ミスに毒されすぎてて最後二人になった途端夫にやられるんじゃ?と身構えてごめん。
投稿元:
レビューを見る
殺人容疑で逮捕された、高次脳機能障害を持った女性。彼女の記憶は長時間保たれることがなく、したがって事件のこともまったく覚えていない。彼女自身の混乱と、捜査する警察側の当惑が痛々しくも読む手が止まらないミステリ。
動機といい状況といい彼女が殺したことは間違いなさそうに思えるのだけれど。徐々に湧き上がる記憶の断片に不穏なものが感じられます。いったい誰が味方なのか、誰を信じればいいのかがまったく分からない心細さがひしひしと迫りました。二転三転するラストの展開も圧巻。
そしてあの人の作為がとても胸に沁みました。うーむ、それは考えてもみなかった。切ないながらも余韻が優しい読み心地の作品です。
投稿元:
レビューを見る
家族が通り魔事件の被害者であり、自身も事故に遭い、記憶障害をおった女性が、ある事件の犯人として捕まってしまう。記憶がわからないこともあり、事件の展開は進んでいかないのだが、捜査を進めていくうちに、犯人は実は違うのではないと思う女性刑事の推理により、事件は思わぬドンデン返しを迎える。女性と結婚した男性の複雑な関係、家族を思う気持ち、女性を自分の娘のように世話をする女性の存在など、障害をおった女性は人を疑ぐり深く感じてしまうが、二人の愛情が深く感じられ、感動。事件の以外な結末も面白かった。
投稿元:
レビューを見る
短時間しか記憶することができない女性が殺人事件の自分で110番通報し犯人として逮捕された。
のっけから物語にどっぷりで、物語の展開が気になります。
新聞の書評で「忙しい時には(徹夜してしまうので)読むな」と書いてあったとおり、途中で休むことを許してくれない本です。
最後まで、どうなるんだろうとハラハラドキドキとなること請け合いです。
認知症の人が周りにいると登場人物の気持ちがよくわかります。
投稿元:
レビューを見る
過去の事故により高次脳機能障害を患い、記憶障害を持つ麻由子が、殺人事件の被疑者として逮捕される。
殺害されたのは、麻由子を襲った通り魔の犯人だった。
事件を覚えていない麻由子、彼女の犯行なのか。
表紙が怖い。
つい裏返してしまいます。(苦笑)
事件と並行して語られる介護の苦悩が興味深いものでした。
麻由子の障害は、本人にとっても周りの人にとってもとても辛いもの。
それは、ある意味認知症にも通ずるものではあるのですね。
事件は無事解決を見ますが、麻由子の今後を思うと、胸が苦しくなります。
色々考えされられた話でした。
投稿元:
レビューを見る
最初から引き込まれる。
それがず~と続き、最後にどんでん返し!!
真犯人登場!!!
推理小説なのに介護問題を社会へ問う・・・
【本文より】
母の面倒をみるからには自分がこの家と土地を相続すべきだと鼻息荒く思い、しかし、相続税や固定資産税の計算に没頭しているうちに明け方になりふと冷静になった。
どうしてわたしは母の介護に対価を求めているんだろう。どうして無理やり金銭的な価値を見出そうとしているんだろう。どうして得をしようとしているんだろう。
わたしいつから、こんなイヤな正確になったんだろう。オムツを外してやるの母の快適さの為なんかではなく、確かに兄が言った通りあてつけの気持ちがあったからだ。
わたし最低だ。
どんどんひねくれていく。
さっさと介護から抜け出した兄が嫌いだ。
同じ関東にいるくせに手伝いにもこない弟が嫌いだ。
だけど母をこの家から追い出したわたし自身が一番嫌いだ。
「親の立場から言わせてもらいますよ」。
「桐谷さんはね、できることだけをできるときにやってあげるだけでいいんですよ。できないことをやらないのは、悪くもないし間違ってもいない。自分を責めたり罪悪感に押しつぶされるのは全く無意味だと思います」。
「俺の娘、この前ひきつけ起こして入院したんですよ。原因不明の高熱も続いて、検査結果で何もないとわかるまでは、もう生きた心地がしなかったです。俺の命を代わりに持ってって下さいって泣きながら祈ってました。
我が子のためなら、死だって受け入れられるし、何にだって立ち向かっていける。親っていうのはものすごく強くて特殊な生き物なんです。どんなこともいとわないし、見返りもいらない。
ただ、我が子が笑ってくれるだけで苦労なんて吹き飛んじゃうんです。だから親なんてね、子供が幸せでいてくれさえすれば、それ以上の幸せなんてないんですよ。
そりゃ、お母さんは家に帰りたいだろうし、桐谷さんに泣き言を言うこともあると思います。だけど桐谷さんは今、ちゃんと食事して眠れる生活ができてるんでしょ?親にとってはそれが何よりなんですよ。
桐谷さんが健康で幸せでいることがお母さんの一番の親孝行です」。
投稿元:
レビューを見る
冒頭からグングン引かれていく展開で、次はどうなる?と気になり、あっという間に読了。
ただ、面白いだけではなく、記憶障害の麻由子の立場になって読むとかなり読むのが辛かった。
男を殺し、自首する麻由子。ただ、麻由子は記憶障害を患っており、自分が本当に殺したのかわからない。しかし、状況は麻由子が殺人を犯したことを雄弁に語っている。麻由子を19年間も献身的に支えながらも殺人を犯したことをすんなり受け入れる夫。麻由子の近所にすむ老女の久江は夫の虐待をリークし、弁護士を雇い麻由子が釈放できるように計らう。一体何が正しいのか。誰を信じればいいのか。
刑務所の入り口に
自分が殺人を犯したこと。
刑務所に収監されていること。
自分は大学生ではなく41歳であること。
夫がいてとても愛してくれていること。
自分は事故による記憶障害があり、物事を忘れてしま うこと
両親が通り魔に殺害されたこと
などのメモを残し、忘れるたびもう一度その現実を突きつけられる麻由子。毎回初めてその現実を突きつけられるのはどれ程の苦痛を生むのだろうか。と考えると胸が圧し潰されそうになる。
また、麻由子を担当する刑事の優香は、母親がアルツハイマーを患い、施設に入所させてしまったことに後ろめたい思いを拭えないでいる。そんな母親と麻由子を重ねて見てしまうのだった。
さて、序盤は麻由子に自分を投影して苦しみながらも、誰が犯人なのかと謎解きしながら楽しく読めた。最後はやはり帯にもあるように、二転三転するどんでん返しも楽しめた。ただ、それだけだったら単に面白いだけになってしまうが、ラストの海での麻由子と夫のシーンは秀逸。思わず目頭が熱くなってしまった。
3.5
投稿元:
レビューを見る
なかなかの重いテーマと意外性のあるストーリー展開。どんでん返しが何度もある。最後は何とかかんとか辛すぎない終わり方でちょっとホッとした。
投稿元:
レビューを見る
このおばさん、絶対なにかあるだろーと思ったら案の定。
そういうことだったんですね。
介護のくだりは、なんだかとても切なくなったし、悲しくなったし、虚しくなったし、自分も将来そんな感情を抱くのかもしれないとか思ってしまって辛かった。
無意識に見返りを求めたり、金銭に還元して計算してみたり、直視するのが嫌になる。
実はこのレビューを書いてる今現在、これを読んだ1ヶ月以上先。
その間に、違う本を読んだりしてるので、そこから感じたことを込みで文字打ちなうだからこう思うんだろうけど、難しいことはあれども角度次第なんだなって。
すごいと思えばすごいし、ただそういうものと思えばただそういうものだし、総じて思うのは人間の感情の複雑さ。と言えば、実は人間以上の感情を持つ動物とか植物とかいるかもしれないんだけど。
自分結構人と関わるのを避けてしまうタイプだから、こういうのは我ながら妙だけど、人間という生物を心の底から本気で忌み嫌ったり憎んだりっていうのは、少なくとも今のところはしてないんだなと思う。
投稿元:
レビューを見る
1月-13。3.0点。
記憶障害を抱える女性。気付くと包丁を持ち、目の前に死体が。女性が殺害したのか。。
2時間モノのサスペンスのよう。読みやすいが、途中からオチが想像できた。
次作も期待。