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哲学する道具、そして「神の視点」
2010/07/08 10:19
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:rindajones - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書からの抜粋。
・この本が紹介しようとしている標準的な論理体系は俳中律を認める「神の論理学」で、俳中律を認めない非標準的な論理体系は、俳中律を拒否する「人間の論理学」です。
・俳中律を論理法則として認めるような標準的な論理体系を考えますが、そのことは二つの意味をもちます。ひとつは、あいまいな概念を考えないということ。(略) そしてもうひとつは、(略) 神の視点を想定するような立場からものごとを捉えていくということです。
と、ここまでちゃんと読んでいただいた方、ありがとうございます。ご苦労様でした ^^;
何か分かりましたか?「何か堅そうな本やなぁ~」とお思いになられた方は多いかもしれません。そもそも 俳中律てなんや?
(お菓子の)ハイチュウ好きな人たちが100人中何人いるかてことか?
ハイ、ハ~イ、僕はいつだって中立ですよ~、という人たちのことか?
と思った方もおられるかもしれません(いるかそんな人?)。
実を言えば本書のノリはこの「(お菓子の)ハイチュウ」的ではあります(どんなんや?)。楽しい下世話?な表現が多々あります。
とかく記号の羅列や演繹的推論、述語論理など日常会話ではとうてい発せられることがない用語が飛び交うわけですが、本書は最低限の用語は出ますが記号の羅列はなく、日常の会話において「論理的」とされるされる考え方とを常に並べながら、学術的(?)に「論理的」なものを明らかにしようという姿勢が貫かれています。
その貫きが魅力的で興味深いのですが、その結果分かり難い点があるのが「論理学」の深さであり、且つ重要な点でもあるように思います。と、書きながら、この文章も何を言いたいのか分かり難くなっているような...。
本書の例から。「私はあなたのことが好き」の否定は「私はあなたのことが好きじゃない」だろうか?これには否定の意味以外にも、「私はあなたのことが嫌い」という意味合いも感じられてしまいませんか?これは「嫌い」の否定で「好き」としたところで同じような疑問が抱かれます、「好きというほどじゃないけどね...」という場合です。
ここでハイチュウ率、ちがった(スミマセン)俳中律の登場です。「中間を排する」つまり「A」か「Aじゃない」の中間にあるようなものを排する(入れない)という意味です。この本では俳中律を認める立場を取っています。つまり「神の視点」でものごとを捉えます。
例えば「僕の総資産は現在1,000億円です」は、1,000億円持っているかいないかのどちらかで中間はありません。本書の論理法則ではこのようなあいまいでない明確な概念やものごとを扱います。「Bob Marleyは神様だ」というのは、ある意味では(僕個人にとっては)正しいのですが、正しいと思わない人が少なからず一人はいるのでこれは駄目で、ここでの論理法則では取り扱わないものになります。
このように書いてしまうと、「なんや論理学って大したことないな」という主張があるでしょうが、それは正しいかもしれません。そのような曖昧な領域にも挑む論理法則もあるのですが、かなり難しいのは容易想像できると思います。こちらは「人間の論理学」であります。つまり、人間はもっともっと複雑で深い、そして豊かなのです、と私はここで強調したいのです。「好き」の否定は単に「好きでない」ということのように。
かといって、この本が採用する論理学が使えない「道具」ではありません。私の仕事柄、すぐに思いつく例としては、コンピュータの「0と1の世界」です。これは正に論理学の上に成立しています。コンピュータの分野以外のあらゆる学問の強力な「道具」となるのです。しかしながら、適切な例を挙げれない僕の学問の浅はかさが、ここで露呈してしまうわけです... (泣)。
本書を読んで感激した点を一つだけ挙げるとしたら、それは「哲学」するための重要な「道具」を見つけたこと。本書でも登場する「神の視点」を採用すること。この思いを上手く書いて伝えられる日には一冊本を書きたくなっているでしょうね ^^;
ここまでダラダラと本当に拙い文章になって我ながら呆れています。まったくもって「論理的でない」です。
本書は軽快なタッチで読み易くしようという配慮が随所にあります。実は、著者の論理学の本は10年以上も前に読んでいました。好きな著者です。にもかかわらず、本書を通読するのに、同様の分量を読む時間の2倍以上も要したのは難解な内容が原因ではありません。じっくり考えて読みたかったからに他なりません。それほど魅力的な本です。これからも二度三度と読み返す本になるでしょう。
著者の「論理学という泉の湧き出し口へ誘い、そこでひとすくいの水を口にしてほしかった」という願いは、私には届きました。そこの水は不思議に魅力的で、その泉の奥を覗きたくなりました。
最後に、本書に挙げた稚拙な文例と解説が誤っている可能性はゼロではありません。その場合は、本書の落ち度ではなく、僕自身の能力の無さです、ゴメンナサイ。
いざ、「入門!」なのだ
2007/05/17 06:58
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
論理学が苦手だ。だいぶ前に同じ著者の『論理学』に手を出したが、早々に投げ出してしまった。そんな私でも、この本なら何とかかんとかついていけた(それでも難しところもあるけれど)。でも、単に易しく解説しましたというだけの本でもない。
勉強というやつも苦手だ。学問は学ぶことと問うことからなるが、学ぶ=勉強とは「コレコレはこういうことだ」ということを、暗記的に覚える作業が主だ。学ぶ過程での疑問、すなわち「何でコレコレはこういうことなのか」は、ある程度棚上げしないと前に進まない。この、押しつけられたものを素直に受容するのが、ちと苦手だったりする。
しかし、基礎的な知識は詰め込んでいかないと次の「問う」という段階にも行けないとする、詰め込み教育肯定論に一理あることも理解しているつもりだ。それでも、過程における疑問というのにも、もっと配慮してくれる教師やテキストが増えてくれればいいなと願ってもいるのだ。
本書は、その意味での願望に完全ではないにしろ、かなりマッチしたテキストだと思う。それは論理学の営為そのものを哲学するという、著者の目的意識が投影されているからだ。一から論理学を積み上げていく流れに構成していて、読者と同じ土俵で一緒に頭を捻りながら考えてみようとしている。つまり、初心者が疑問を持つようなところは、極力、同じように著者も問いを立てて考えようとしてくれている。
書物とはモノローグであるから、途中どこかで引っかかっても、テキストは読者を置き去りにして流れていく宿命しかない。本書は、それを可能な限り回避しようとする作りなのである。
学ぶことと(その過程で)問うことという、学問の醍醐味をバランス良く両立させた入門書というのもそう多くはないと思う。だから、タイトルも通常と違って『入門!』なのだ。
著者の言葉を借りるとこうなる。
《この本で私は、論理学という学問が、私達が日常用いていることばに潜む論理を理論化し、体系化していく、その作業の実際の手触りを伝えようとした。だから、できあがった理論のみごとさよりも、むしろあれこれ迷いながら理論化を模索していくそのプロセスを、ぜひ味わい、楽しんでいただきたい。》
そのプロセスを経て次のような目標地点に達することで、本書は終わる。
それは、《「ではない」「そして」「または」「ならば」「すべて」「存在する」、これらのことばが作り出す演繹的推論の全体を統一的に見通すこと》だ。標準的な命題論理と述語論理の公理系が完成される。
詳しい人からすれば「たったこれだけ」とも思えることのために、250ページ近くをかけているが、以上のような意図があるゆえであり、十分費やしただけの価値はあると思う。
これを読んでも、論理学が得意になったとまではいかなかったが、論理学者の頭のなか(思考のプロセス)が覗けただけでも収穫だった。おかげで、苦手な分野に「親しみ」を感じることもできた。
頑固でこまっしゃくれた、私のような読者の凍った心を、シュウッと溶かしてくれた本書に感謝。
入門でこのアプローチはきついと思います。
2009/08/19 22:39
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:それ行け!!残飯マン - この投稿者のレビュー一覧を見る
●あまり“入門”を真に受けないようにしてください。とても興味深い趣旨に則っておりますが本当に初めて学ぶ場合は挫折する可能性が高いです。まず論理学の基本は命題自体の正しさと論理的正しさの違いを理解するということ。これを真っ先に飲み込まないととても混乱するし単なる屁理屈やパラドクスの類と勘違いしてしまいます。それにはまず縦読みの文字よりも真理表と解説を見比べてデジタルに解釈した方が非常に楽です。本書と本書で紹介されている「論理学をつくる」を両方読んだ私の正直な感想です。特に「~でない」は「~である」の対義語にあらずという趣旨のくだりは思考一般に対して豊かな発想を与えますが論理学を学び始めた人間に真っ先に投げかける問いではないと思います。こういう足踏みをさせる必要が果たしてあるのかどうか。●そして自然演繹法、これも初学者にはまずいです。公理と定理に各々の関係と概略を理解するには役立ちますがやはり命題自体の正しさと論理的な正しさについて明快な区別・判別を直感的に得るまでは至らないと思います。やはりタブローでデジタルに学ぶ方が初心者の荷は軽いし近道でしょう。タブローはまず論理的な正しさの検証法であると同時にそれを学ぶ過程で論理的な正しさの意味そして命題の正しさとの違いがどんどん浮かび上がってくる非常に便利なツールです。●というわけで初心者にはあまりお薦めいたしません。あとがきで紹介されている「論理学をつくる」の1部を一度ざっと読んだあと本書を手にとってください。これをあちらの橋渡しに上梓されたようですがむしろ向こうの1部までの内容の方がこちらよりも入門者向けです。●本当の初心者以外の方へは文句なしにお薦めです。論理学の体系について難解さを避けつつ疑義や問いが随所にちりばめられております。これが「論理学を~」においてやむをえず脇に置かれてしまったお荷物なのです。
☆論理学☆
2024/05/14 22:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
「論理学」という、一見難しそうな学問の話をするように思えて、文体はフランクに書かれており、読みやすかった。
----------------------------------------------
【第1章】
次章以降へと続く導入的な構成である。
「推測」と「推論」の違いは、生活の中であまり意識していなかったように思えた。改めて学べてよかったと思う。
【第2章】
「否定」についてとことん拘った章だと思う。「《PならばQ》の否定は、《PであってもQでない》」で終了だが、論理学で出る否定と日常生活で何気なく使っている否定表現には、その言葉の背景が、純粋な否定構造をぶらしてしまうことに、「否定」の難しさを感じた。このような違いを感じ取れない人は、否定に対して的確な議論ができなくなってしまうのだな、と思った。
【第3章】
接続詞の中で、「かつ」と「または」に特に焦点を当てた章である。
ド・モルガンの法則等にも触れ、接続表現がいかに大事かを繙いていく。
また、日常会話で意識する接続詞と論理学上で取り扱う接続詞は、全く同じ発音でありながら、その取り扱われ方が違うことにも触れ、論理学の面白さを伝えていく。
【第4章】
「ならば」という条件表現を中心に、論理的な文章構造を学んでいく。
逆・裏・対偶といったお馴染みの構文関係も学び、簡単なロジックの組立等を学んでいく。
【第5章】
命題論理を軸として、今まで学んだことを復習しながら、複数の文章の論理的な繋がり等を学んでいく。
ここまで読むと、今までの学習がステップアップしていっていることが、よくわかる。
【第6章】
これまでの基本的な命題論理に加えて、全称と存在(Fであるものが存在する。Fであるものは全てGである。だから、Gであるものが存在する。)について、述語論理の広がり等を学んでいく。
☆論理学☆
2024/05/14 22:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
「論理学」という、一見難しそうな学問の話をするように思えて、文体はフランクに書かれており、読みやすかった。
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【第1章】
次章以降へと続く導入的な構成である。
「推測」と「推論」の違いは、生活の中であまり意識していなかったように思えた。改めて学べてよかったと思う。
【第2章】
「否定」についてとことん拘った章だと思う。「《PならばQ》の否定は、《PであってもQでない》」で終了だが、論理学で出る否定と日常生活で何気なく使っている否定表現には、その言葉の背景が、純粋な否定構造をぶらしてしまうことに、「否定」の難しさを感じた。このような違いを感じ取れない人は、否定に対して的確な議論ができなくなってしまうのだな、と思った。
【第3章】
接続詞の中で、「かつ」と「または」に特に焦点を当てた章である。
ド・モルガンの法則等にも触れ、接続表現がいかに大事かを繙いていく。
また、日常会話で意識する接続詞と論理学上で取り扱う接続詞は、全く同じ発音でありながら、その取り扱われ方が違うことにも触れ、論理学の面白さを伝えていく。
【第4章】
「ならば」という条件表現を中心に、論理的な文章構造を学んでいく。
逆・裏・対偶といったお馴染みの構文関係も学び、簡単なロジックの組立等を学んでいく。
【第5章】
命題論理を軸として、今まで学んだことを復習しながら、複数の文章の論理的な繋がり等を学んでいく。
ここまで読むと、今までの学習がステップアップしていっていることが、よくわかる。
【第6章】
これまでの基本的な命題論理に加えて、全称と存在(Fであるものが存在する。Fであるものは全てGである。だから、Gであるものが存在する。)について、述語論理の広がり等を学んでいく。