電子書籍
こんな悲劇が……というのが
2021/03/31 02:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終わってすぐの感想でした。何もこの人物まで死なせなくても……と思ってしまいました。茂子には、強く生きてもらいたいです。それにしても、三影潤は、人間味があって、魅力的ですね
電子書籍
大人の男、三影潤
2019/08/22 23:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:beni - この投稿者のレビュー一覧を見る
仁木悦子のシリーズ物の一つ、探偵・三影潤。
三影潤の視点から描かれる人間風景と謎とが絡み合いながら進んでいくミステリーである。
意外と最後の方まで犯人が分からない。よく出来ていると思う。
好きなシーンは、三影のアパートに来ると寛いだ感じになり、勝手に煙草を吸ってる冬樹に何も言わず、三影も煙草をくわえるところ。何故かいまでも心に残っている。
この冬樹も非常に魅力的。最近は減ったな、こんな少年。
携帯も無い時代の小説だが、読み応えは十分。
仁木悦子のシリーズはオススメが多い。
電子書籍
過去のある雄太郎
2023/04/25 06:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
仁木悦子といえば仁木雄太郎・悦子兄妹が活躍するシリーズが楽しいが、本作の探偵は別。作者は探偵小説という手法を用いて何を書きたかったのだろう。何故、謎を解くのは仁木兄妹ではなかったのだろう。解説では本作の主人公三影を「過去のある雄太郎」と評している。確かにそうかも知れない。雇い主に自らの身辺をしつこく問いただされた際、自分にとってもっとも重要な部分は頑なに隠していた三影。ハードボイルドの定石のまま、彼は過去を明かさぬ探偵として物語は進むのかと思いきや、少しずつそれが明らかにされていく。
投稿元:
レビューを見る
竪岡一族の周辺で奇妙な事件がおこっているようで、まず次男が暴漢に襲われ、
次に長男がガス中毒を起こし、今度は長女の誘拐予告がきたということだった。
そしてその日の夜、竪岡家で妻玉代の誕生祝いが行われたが、そこで長男の清嗣が毒殺される
投稿元:
レビューを見る
仁木悦子の中ではマイナーかもしれませんが、私の一番好きな作品です。犯人を知りたいあまり一気に読んでしまった挙句犯人を知ったときの衝撃。もう一度読み直したときに改めて心を傾けられる家族関係や探偵の過去、若い恋人たちの愛情。
いわゆる推理小説ではあるけれど、読み継がれていってほしい作品です。
投稿元:
レビューを見る
探偵・御影潤シリーズの長編。明るく軽妙な仁木兄妹のシリーズとはまた違った雰囲気です。
事件そのものは、いくつかの仮説は立てられるけどどれも矛盾が発生するという、この興味のそそり方にうまく乗せられます。有力そうな手がかりも惜しみ無く提供してくれるし、そこから想定されることもその場で明らかにしてくれる。でも真相には近づいていけない。餌に呼ばれてどんどん世界にのめり込んでいきます。外野の視点からちょっと引き込まれたくらいのちょうど良いタイミングで出てくるのが御影の私生活や多感な高校生の孤独だったりするのでますます釣られていく。理屈だけで事件を追うのではなく、この世界で動いているのは過去も感情もポリシーも持った人間たちであること。その認識のなかでもたらされる事件の真相にはなんともやりきれない気持ちになりました。
1971年発表の作品らしいですが、作中で御影が「人間は利口になりすぎ、社会は複雑になりすぎた」と言っています。そんな社会に生きる彼の信条は逆にシンプルで、それを貫く姿勢こそがハードボイルド。もっと時間が過ぎた現代にも通じる価値観です。
投稿元:
レビューを見る
娘ののぞみを誘拐すると脅迫の手紙を受け取った堅岡清太郎。脅迫の手紙の前から起きる事件。長男・清嗣のガス事故、次男は冬彦の暴行事件。警護を依頼された三影潤。清太郎の誕生パーティで毒殺された清嗣。三影潤の捜査。清太郎の前妻で冬彦の母親・志保子の死の真相。清嗣が殺害したと考えた清太郎の隠蔽工作。殺害された清太郎の妻・玉代。冬彦の事故。冬彦が隠していた真実。
投稿元:
レビューを見る
あのですね…これ最高じゃないですか?
もろに好みすぎる作品なのですが…本当に辛いこの読後感…
本格ミステリとしてもハードボイルドとしても一流。
探偵三影のセリフが頭から離れない。切ない…
捜査の進捗と加速度がほんとに心地いいくらい理想的で、最後に『冷えきった街』というタイトルが胸に刺さるスピードがえげつなすぎて暫し呆然。
三影シリーズってまだあるのかしら…読もう。
投稿元:
レビューを見る
短編集「青い風景画」に1話入っていた私立探偵三影潤の長編。短編では良くわからなかった三影の魅力がよくわかる長編。好きになっちゃったな。
この事件の結末は、どう転んでも三影にとって苦味が残るものでしかないのだろうね。
どこかで何かが少しずれていれば、悲劇は起こらなかったのだろうけど、悲劇が起きたからこそ三影と冬樹は出会ったのだろうし……ただただ切なくて物悲しい。
投稿元:
レビューを見る
所謂「名探偵」ではない、職業私立探偵が視点人物を務める「三影潤」シリーズの長編。ハードボイルドと呼ばれるのはロス・マクドナルドのおかげという感じで、格闘シーンもあったりするのだが、腕っ節の弱さを自認している三影が、一方的にのされているだけで、タフガイ小説ではない。脅迫事件の調査を依頼された三影が、丹念にインタビューを繰り返しながら、富豪一家の過去に潜む事件の謎を暴いていく展開は、まさにロス・マク。とはいえ、一家の孤独な少年と三影の交流の描き方とかはこの作者ならでは。それだけにラストの哀感が一層強まる。