メンタル疾患の視点
2015/12/03 02:57
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
麻雀小説の阿佐田哲也の方が有名になってしまったが、その娯楽的な作品い比べると、色川武大のんで書いている”本来の小説”は、純文学のカテゴリと言ってもいい。本書は、ナプコレプシーというメンタル面の奇病を抱えた色川氏の視点で、いささかの恐怖を含んだ作品に仕上がっている。氏の数ある著書の中でもトップクラスと脱帽。
アウトサイダーたちに光を
2020/04/06 18:22
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
世間から隔離されている人たちに、愛情ある眼差しを注いでいます。多くの欠点を抱えながら、あるがままに生きた著者自身にも重なりました。
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色川武大名義唯一の長編にして遺作。「我が身より劣等なものに優しくなるのは、優しさと呼べるのかどうか。」
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数ある狂人モノの中でも、お気に入りです。物語に現実味があり、読みやすいと同時に、身近に起こりうる恐ろしさがあります。病を持って生き続ける悲劇。
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深い…深すぎる。
これを読むと、人に優しくなろうと思える。だけど実際はできない。★が4つなのはあたしがまだ勉強不足だから。
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高校の授業をさぼって、喫茶店で一日中たむろしていたとき、たまたま手に取った本がこれでした。衝撃でした。三回は読んでいます。
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主人公は精神病院に入院中の男性である。子供の頃父親の破産により一家離散し、さまざまな職業を転々とする。知り合った女性との婚約に大きな喜びを感じるも、彼女は死んでしまう。主人公は確固たる居場所をなかなか手に入れられない。多くの現実を消化しきれないまま、正気と狂気の間を行き交う日々を過ごすなかで、同じ病人の圭子と出会い、圭子の退院と共に彼女の同居人となる。そうしてようやく安息を得られるかと思うのだが…。
やはりここに描かれる幻覚があまりに変化に富んでいるのには衝撃を受けた。どう逃げ回っても追ってくる機関車、壁にへばりついた字が天井に来た母艦に吸われていく幻覚、体に吸い付く蟹の大群等、私の乏しい想像力をはるかに越える物ばかりで、これほど凄いものかと驚かされる。
しかしそれだけに終わらない。主人公の、折り合いのつかないままわだかまっている種々の物事、それが孤独の渦を巻いている。ずるずると終わりのない苦しさはこちらの心の奥までひたひたと迫ってきた。淡々と綴られ、やたら感情的になるわけでもない。それがかえってこちらにまっすぐ訴えかけてくる。
「限りなくひとりの世界に安住しようとする性情と、人並みに近親や相棒を必要とするところと、自分は欲をはってどちらも捨てきれない」「自分は、両親も、弟妹も(中略)誰をも、本当に知らずに、また彼らにも知らせず、ぽつんと生きてきた。それが、憎い」…きりなく引用できるほど、主人公の思いが切実に渦巻いている。
他人を信じきれないと言いつつ完全に背を向けているのではない。妙に厭世的を気取るのでもなく、「死ぬまで個々のケースを歩いていくだけだ」と言う反面「誰かとつながりたい」と切に願う。その二つの間で板ばさみになりながらも生きなければならない。そこに「弧絶」の苦しさをひしひしと感じる。「人間の感情などというもの、つまるところは単純、素朴なもので、弧絶、それだけだ」この一文には、とても殺伐とした寂しさ、埋めがたい空白が目の前に突然広げられたようで、ぐっと胸につまるものを覚えた。
「完全な狂人となって、正気を失ったまま日が送れたらどんなに楽だろう」という言葉の凄みに強く揺さぶられたのは、それが一時的な慰みではなく、生死を賭けたような切実さから発せられるものだからだろうと思う。
おかしいのは自分だけなのか。他の人もこんな事を感じているのか。主人公は何度も問いかける。それは外へというより、自分の奥底の、どうにも始末のつかない心の核心部分への問いかけのように感じられた。
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もの凄い描写とディテールが、うねっている。
そして朽ちてゆく自分の未来を垣間見たような、鈍い恐怖を思わざるを得ない。
別の或る書籍で「中島らも」と「伊集院静」の
アル中VSギャンブラー対談を読んだ。
そのなかでこの小説について
「色川さん、つらかったろうに…」と、
死をも恐れぬらも氏(昨年死んだが)が述べていて、
そんな共感の仕方も印象的だった。
これは色川武大(阿佐田哲也)氏、最期の小説。
参った。
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妄想の闇に取り込まれる訳でもなく、おびえる訳でもなく、其処にある何かにゆっくりと浸食されていく
とても不幸せ。決まりきった不幸せ。結局のところはどう転んでも、生きて死んだだけ。
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だめだわからんわからんわからん
いやわかるっちゃわかるんだけど
絶対的にわからない壁がある
境界線の上に立って
ずっとあちら側を見ながら手を振ったり、手をつないだりはしているけれど
私はあちら側に体毎ダイブする覚悟はなくて
正直憧れるし正直理解できないし、という相反するものを背負って
ずっと境界線上にいるわけですが
あちらの人間は、あちらこそこちらと思っているわけで
私が理解していると思い込んでいるものは、その人からは理解できない所業なのかもしれません
ね
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友人に薦められて。
読むと欝になるが何故か萌えた。
「狂った人の日常萌え」ってやつでしょうか。
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飛行機の中でよんだ。片道12時間以上。精神病棟の閉塞感と、機上の鬱々とした不安感があいまって、さくさくとよめた。
自分の知らない世界をのぞき見るというのは、どきどきしてそしてこわい。
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正気と狂気の狭間を揺れ動く、狂人エッセイという感じかな
精神病院で知り合った患者同士(男女)が一緒に暮らすようになるという。
わりと退屈だった。
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人とは違うものを見てしまうがゆえに孤独から逃れられない男の葛藤を描いた作品。
孤独と闘う様子は決して他人事ではないので、共感しつつも
鬼気迫るリアルな幻覚の描写に圧倒された。
退屈な恋愛物のあとに読んだのでなおさら面白いと感じた。
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俺も誰かの役に立ちたかったな。せっかく生まれてきたんだから
この言葉に一番共感した。
孤独とか許す許さないとか愛とか様々なものが混じりまって複雑で私には理解しきれていない。ただただ最後は寂しい…。