紙の本
「平成」という時代を振り返り、総括しようと試みた興味深い一冊です!
2020/05/07 10:43
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「平成」という時代を振り返り、その時代を総括しようと試みた作品です。平成と言えば、様々な困難が次々に生起した時代でした。例えば、政治の劣化、オウム真理教事件、阪神淡路大震災や東日本大震災をはじめとした天災、それに人災などです。また、経済面でも、平成初期にバブル崩壊に直面し、長く続いた経済停滞によって社会不安が続きました。しかし、こうした問題だけで、「平成」という時代を総括してもよいのでしょうか?同書では、さらに昭和との因果関係を踏まえて、平成という時代の深層を読み込んでいこうと試みます。同書の構成は、「序章 天皇の生前譲位と災害史観」、「第1章 世界史の中の平成元年」、「第2章 天皇が築いた国民との回路」、「第3章 政治はなぜ劣化したか」、「第4章 1995年という転換点」、「第5章 事件から見る時代の貌」、「第6章 胎動する歴史観の歪み」、「終章 平成の終焉から次代へ」となっており、興味深い議論が続けられます!
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元号時代は一区切り
2019/03/21 11:47
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
元号は日本の文化であるか、いや過去のことを考えると西暦のように機転がないので不便か。明治以降一世一元制となり、多少の長短はあるものの、一つの元号の時代が終わると、それを区切りとして過去を振り返るのも良いだろう。とは言っても、平成の時代が、その前後と比較して連続性に乏しいというのではない。しかし、ここで、平成を振り返るのも良いだろう。30年というのは、一時代であり、振り返るののちょうど良い長さかと思う。
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
平成の時代は歴史になったときに、どのようにして後世の人々に語られていくんだろうなと、改めて考えました。
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【三十年一刻のごとし】約30年に及んだ平成という一つの時代を、政治や経済、社会や皇室といった多様な側面から分析した作品です。著者は、昭和史研究により菊池寛賞を受賞している保阪正康。
日本近代史の大家とも言える著者の作品ということもあり、時に昭和と比較をしながら進めていく平成論はお見事の一言。教科書的な知識を身につけることとは一味違う、時代の通奏低音とは何だったのかを考える上で有益な作品です。
〜昭和を因とし、平成を果として多様な光景が生みだされていると言ってもいい。平成史はこの二つを回転軸として回っているとの言い方もできるであろう。〜
こういう作品は類書をまとめて読むと比較ができて面白い☆5つ
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平成から令和へ
平成の世を振り返る決定的な一冊
平成という一時代を、政治や経済
社会や皇室などのトピックから考えるための一冊。
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うーむ
新書のページ数の制限もあるけど
これで平成史かなぁ
昭和の人の平成史だよなぁ
冷静な記述なのに政治批判になると変なスイッチはいってそうだったり
平成生まれの人だともっとぜんぜん違う平成史だろうな
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https://kinoden.kinokuniya.co.jp/shizuoka_university/bookdetail/p/KP00032325/
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平成の歴史について簡単に勉強する必要があり、何冊かを読むことにしたうちの1冊。
「平成史」という題名から、平成時代を通じての日本の出来事・歴史の紹介と、全体を貫く流れみたいなものの解説を予想していたが、内容は予想とはずいぶんと異なった。
平成に起こった出来事や平成に活躍した人物等についての、筆者の個人的な感想や解釈等を綴ったものであり、歴史についての本という感想は持てなかった。内容自体は、面白いことも書いているが、私が期待していたものとは違った。
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平成は後世どのように総括されるか。政治の劣化、オウム真理教事件、天災と人災……。
その始まりでバブル崩壊に直面し、長く続く経済停滞はこの時代に暗い影を落とす。
だが、「停滞」や「閉塞」といった言葉だけで、平成は語られるものなのだろうか。
昭和との因果関係をふまえ、平成という時代の深層を読む。
序章 天皇の生前譲位と「災害史観」
天皇による「国民統合」の呼びかけ/捨て身の戦い/〈平和勢力〉としての天皇
五五年体制の終焉がもたらしたもの/昭和の政治のツケ/小選挙区制の欠陥
大正と昭和の因果関係/平成の災害史観
第一章 世界史の中の「平成元年」
元号は“句読点”/昭和天皇の死と冷戦終結/ソ連崩壊後のモスクワで見たこと
「昭和」に殉じた者たち/昭和と平成、それぞれのキーワード
天皇が示した自らの役割
第二章 天皇が築いた国民との回路
天皇が置かれた状況の苛酷さ/国民に発した問い/昭和天皇との間で交わされた伝承
「軍人がバッコして大局を考えず」/海外への追悼と慰霊の旅/平成からの託言
継承に向けた準備/元残留日本兵家族との会見/象徴天皇としての務め
韓国とのゆかり/歴史に向きあう姿勢
第三章 政治はなぜ劣化したか
小選挙区制導入がもたらしたもの/政治の劣化を示す予兆/「村山談話」の歴史的意味
歴史修正主義の跋扈/「自虐史観」という言葉/小泉純一郎の論法と発想
二元論的な政治指導者/平成の政治家は何を土台に据えているか
第四章 〈一九九五年〉という転換点
昭和の清算/変質した青年の反抗の姿/オウム事件とは何だったのか
王国における暴力装置/平成の最大の教訓/機械文明の極致への入り口
戦後民主主義を肌で学んだ指導者たち/平成における死生観/延命医療の本質
誰にも看取られることのない死/時代に補助線を引いた西部邁の自裁
「社員は悪くありません」/バブル期の意識/経済大国という空念仏
第五章 事件から見る時代の貌
“ひきこもり”という時代の病/犯罪の目的が変わった/神戸連続児童殺傷事件
光市母子殺害事件/「人を殺してみたかった」/〈戦後〉はなぜ死んだのか
第六章 胎動する歴史観の歪み
民主党政権とは何だったか/生かされなかった太平洋戦争時の教訓
「デモクラシーの後をファシズムがついてくる」/ナショナリズムのあり方
深刻な時代の胎動/日本は「右傾化」したのか
終章 平成の終焉から次代へ
「おことば」に加えられた能動的な表現/新しい天皇制確立の機運
先帝との関係性でつくられる新たな天皇像/「天皇の二重構造」をいかに防ぐか
大正末期に生まれた奇妙な空間/関東大震災から広がった虚無感
貞明皇后の被災地巡り/天皇を見つめる国民の目