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「イタリアのファシズムの今日性」(285頁)の部分が有益でした。
2022/08/20 11:28
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
上記に加えて、「戦前の神道思想家の今泉定助は「臣民は死んだら神になって天皇と対等になる。靖国神社は天皇が頭を垂れにくる空間だと語った。」(227頁、片山)や「突き詰めて考えていけば、日本人とは何かとは天皇制の変容と表と裏の関係だと思うんですよ。」(232頁、佐藤)、「全体主義とファシズムは違うと考えられる。個を原則的に認めないのが全体主義であり、個のスペースが何らかの次元で幾分なりとも保障されているのがファシズムである。」(277頁、片山)など、日本史や思想史を考える上で、多くの示唆を得ることのできた好著。いや、勉強というのは実に面白いです。
格差や分断が進む社会だからこそファシズムを警戒すべきと警鐘を鳴らす
2024/03/24 14:48
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投稿者:巴里倫敦塔 - この投稿者のレビュー一覧を見る
格差拡大など資本主義社会の抱える諸問題を解決する方策として台頭する「ファシズム」について、元外交官の佐藤優と政治・思想史学者の片山杜秀が対談した書。ファシズムの本質と危うさ、今後の展開について、日本とグローバルの両面から語り合う。格差や分断を解決する上で、ファシズムの効果は抜群であり、だからこそ警戒すべきと警鐘を鳴らす。多くの日本人がファシズムを独裁や全体主義と混同しており、日本人はあまりに無防備だと断じる。
資本主義国家で格差が拡大しており、社会の分断が進む。ファシズム国家は本質的に福祉国家であり、私益よりも公益を優先する。分けあえる財産があれば分け与え、国家を効率的に動かす。理屈よりも実践を重視する。格差拡大や分断といった社会問題を効率的に解決するにはファシズム的な政治手法が不可欠だとする。だからこそ、今の資本主義国家の状況は危ない。ファシズムとは何かを改めて考える必要があると強調する。
日本の戦前・戦中・戦後の分析は興味深い。日本は資源の乏しい「持たざる国」である。持てる国に対抗するには、国民や資源を束ね効率的に国家を運営しなければ歯が立たない。そのため軍人や指導者はファシズムに手を染めた。本当に持たざる国なら身の程をわきまえる。しかし日本は持たざる国としては中途半端に人口が多い。客観状況を無視して、主観的な願望で物事を決めていく念力主義がはびこったとする。
約5年前に上梓された書で、安倍政権が前提だったり、ロシアのウクライナ侵略や習近平の独裁体制が対象外だったりするが、対談の内容はかなり普遍的なのでさほど問題は感じない。ロシアは国境を「面で考える」など、多様な見方に触れることができて勉強になる。
わかりやすい
2019/06/15 08:47
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在の日本の危険な状況が、よくわかり納得できることが多かったです。ファシズムへの足音が、近いづいてきているのかも。
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