電子書籍
もう一つの源氏
2022/04/26 12:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
源頼政が平家政権下でも厚遇されていた件について朝廷の武力部門が平家だけで占めることになると武力行使の責任者が清盛になってしまうので頼政を加えることで責任を取るのが後白河にすることができたという解釈が新鮮だった。木曾義仲については北陸宮を天皇に推戴しようとしたことが後白河はじめ朝廷の顰蹙を買ってしまったことがわかった。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古来源氏は身内同士の争いが醜く繰り返されてきた。主流ではなく滅び去っていく人々に着目したこの本は稀な存在かもしれない。
紙の本
主役になれなかった二人の武将
2015/09/08 20:20
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
源頼政と源義仲という、結果的に主役(後白河院・頼朝・義経等)の引き立て役となった二人の源氏の側から描いた源平合戦史です。
特に頼政は、名前を知っている程度の知識しかありませんでしたので、平氏政権下のキーマンだったとは驚きです。その頼政の挙兵は自分の本意ではなく、そして、その戦死により平氏政権内のバランスが崩れ、結果として平家滅亡に繋がっていくというところに歴史の流れを感じました。
義仲の成功と失敗も良く理解できました。「木曽の田舎猿」ゆえに、後白河院の権謀術数に太刀打ちできなかったというのは、大河ドラマでも描かれ、人口に膾炙していますが、北陸宮のもとに残した藤原重季が一緒に入京していれば、歴史が変わっていたかもしれません(145・159ページ)。
また、福原遷都が平家滅亡を早めたこと(102ページ)や、清盛死後も、平家が源氏とともに存続するチャンスがあったが、清盛の遺言に縛られ、滅亡へ向かったことは初めて知りました(114ページ)。
二人の武将の成功を描くことで、平家の盛衰が見えてきます。また、二人の失敗を描くことで、頼朝の巧みさが、鮮明に見えてきます。「鎌倉という少し距離を置いた場所から、この二人を見た源頼朝は、自らの主導権を確保した状態で後白河院と交渉し、鎌倉の武家政権という新しい政治権力を朝廷に承認させた。後白河院との提携に成功した頼朝が、次の時代を創り上げていく(197ページ)。」ということでした。
一方で、似たような名前の登場人物が多いため、頭が混乱すると思いますが、気にせずに読み進んでも、全体として理解できますので、大丈夫です。
脇役たちの源平合戦史は、新しい発見もあり、面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
以仁王の平氏追討の挙兵に加わり、内乱の端緒を 開いた摂津源氏の源頼政。以仁王の遺児を奉じ て、平氏を西へ追い落とし、入京に成功した木曽 義仲。悲劇的な最期を遂げる二人は、時代の転換 点となる治承・寿永の乱(源平合戦)の幕開きを象 徴する人物である。保元・平治の乱、宇治合戦、 倶利伽羅峠の戦い、そして都落ちと敗死…。皇位 継承をめぐる政治的背景も織り交ぜつつ、二人の 実像と動乱の時代を描きだす。
投稿元:
レビューを見る
源平合戦前の朝廷、武家の関係性が良く分かり勉強になった。頼朝以前の動きが分かりやすく記述している。
ほぼ名前聞いたことがあるといった程度であった両名のことが少し分かった。関連の書籍も読んでみたくなった。
投稿元:
レビューを見る
以仁王とともに挙兵し、真っ先に死んでしまったため影の薄い印象のある源頼政と、悪役のイメージの強い木曽義仲にスポットを当てた本書。
義仲の生涯や、治承・寿永の乱(源平合戦)に至るまでの、源氏の棟梁としての頼政、そして2人の血を継いだそれぞれの子孫たちのその後が分かりやすくまとめられ、読みやすい歴史書でした。
投稿元:
レビューを見る
いわゆる「源平合戦」の前半戦を読むにはとても良い本!
頼政と義仲に焦点をあてて書かれているので、保元の乱前夜~義仲滅亡までが通史的に読めます。
以仁王は積極的に平氏に敵対したのではなく、巻き込まれたのでは?という提言は理由を含めてなるほどと思った。
また、頼朝が源平和平の道を提案していたことは、気に留めていなかったというか、何をおっしゃるみたいに思っていたけど、源平両立がそもそも常態であったことを知ると、その道がまず考える道なのかなとも思った。
投稿元:
レビューを見る
大内守護として歌人とて朝廷の信頼を得た源頼政。平氏の専横の謗りを恐れる平清盛が、源平並立をアピールするために重用。源氏として初めて三位に昇る。だが安徳天皇のライバルとなった以仁王が八条院に仕える三位局の婿になり、かつ謀反の疑いをかけられる。八条院に仕えていた頼政は以仁王に自重の手紙を送るが、以仁王の出奔により反乱に巻き込まれていく。以仁王の遺児、北陸宮を奉じた木曽義仲。
投稿元:
レビューを見る
不人気だった大河ドラマ「平清盛」を見てから、教科書では一見、華やかに見える源平合戦をより詳しく知りたいと思い、「河内源氏」に続き、関係書を読破。
読後、ドラマではよくわからなかった人間関係や動機を伺い知ることができ、すっきりとした気分。
敵対関係とみられがちな源氏と平家の協調路線、蜜月だった後白河院と平清盛の確執、手を汚さず、政敵を追い詰める後白河院の陰湿さ。その渦中に弄ばれる源氏一族。
このドロドロの愛憎劇の難解さが、ドラマ不人気の一因となっている気もする。なかなか奥深い。
投稿元:
レビューを見る
摂津源氏の傍系ながら和歌に堪能で辟邪の技能もあって朝廷に重用されていた源頼政、父の戦死で木曾で育ち平氏の侵攻に立ち向かううちに連勝したが中央政権を差配する展望も能力も無かった源義仲、以仁王の挙兵が彼らに敗北の運命をもたらしたが、その鍵は双方ともかかわり深く以仁王を猶子としていた八条院が握っていたことがよくわかった。
投稿元:
レビューを見る
以仁王は挙兵も令旨も出してない?
源頼政は中立の人?
折角覚えた常識がこの新書では否定されます
全ては清盛の疑心暗鬼だった
後白河院の3男で親王宣下こそされていないが八条院の寵臣えある三位局との間の子を、八条院が後継者として育ててくれて、以仁王は自分が皇位を継ぐ事よりもリスクなく荒れた政局と距離を置いて自儘にのんきに生活していたが、後白河院を幽閉した(クーデター)うしろめたさから生まれた清盛の邪推は、皇位を望む敵が以仁王になった
熊野本宮と熊野新宮による平治の乱の罪人源行家をめぐる争いは、平家の警戒する以仁王に向けられる
さて、以仁王は園城寺最大のカード「嗷訴=ごうそ」で事故の潔白・身の安全を得ようとしていたのだが、追い落としを狙う平家は之を挙兵と見做す
そのあと少しでも仲間を増やすべく考えた令旨(先にこれ=檄文があった訳ではない)は、藪蛇で王の挙兵の証憑となった
ああ、頼政の事書くのが面倒になった(義仲は書く気無い)
投稿元:
レビューを見る
月岡芳年の「月百姿」を観に行って、源頼政の鵺退治の背景が気になって。この、平安時代末期から源平合戦を経て、鎌倉時代の成立まで…って、まさに怒濤のよう。政治的混乱に延暦寺・圓城寺・興福寺の僧侶達の思惑…どころか実力行使が絡むし、登場人物はやったら多いし、もう追っかけきれない(涙)
ちなみに「扇の芝」は出てこない。『平家物語』にはないからかなあ。
投稿元:
レビューを見る
やはり歴史は細部を知ることが必要。この本を読むことでかなりいろいろ分かった。たとえば、伊豆に流された頼朝がわりと自由に暮らせたのは知行国主が源頼政で国守がその息子の仲綱だったからなどということは大河ドラマを見ていても全く分からないこと(ま、ドラマと歴史は別だが)。美濃とか近江の源氏の動きなども結構重要。等々、その辺が大変わかりやすく書かれている好著である。
投稿元:
レビューを見る
いわゆる源平合戦の前半にて敗死した二人の実像を探ると共に、当時の複雑な政治情勢を読み解こうとする内容。特に頼政について、京都政界での位置付けや八条院との関係・以仁王の挙兵への関わりなどが分かりやすい。