見事に説明されている
2021/05/20 22:45
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投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在、わが国の歴史教科書には「なぜ日本が大東亜戦争へと向かったのか」につい て、本当の理由が書いてありません。(引用)
本書は冒頭にこうある。教科書を無責任に批判しているわけではない。「本当の理由」については、ちゃんと書いている。しかも非常に明快に。
大戦の原因は金本位制だった、と。
以上、終わりです。いや、そんなに単純なものではないはずだ、と思う方がいたら、どうぞお読みください。あら不思議。それ見事に説明されてしまっているでしょう?
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済を中心とした観点から日本史を評価したわかりやすく読みやすい本である。その中でも再認識させられたのは金との兌換を停止して半世紀しか経っていない という点である。「通貨は世間に流通している財サービスと釣り合った量だけ必要」というのは常識と思い込んでいたが、その考え方が一般的になるのはわずか半世紀前であり、それ以前は数千年来の「金の魔力」に囚われ続けていたということに慄然とした。
ところどころに入っている著者特有の皇国史観がアクセントになっているが、そうだろうかと考えさせられるところでもある。
大正、昭和の本が意外とない
2019/09/02 13:37
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投稿者:まさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済で、大正、昭和の事を書くのは珍しい
どこで間違ったのでしょうか。
2022/04/03 11:00
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投稿者:FA - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界中の国を敵に回して戦争をする。
真珠湾攻撃。スカッとする人もいるかもしれませんが、今となってみれば、何故、アメリカと戦争する必要があるのか。不思議です。ソ連とは不可侵条約を結んでますし、エネルギー問題を解決しません。南方に行くしかないのです。石油を抑えないといけないはずです。
どこで間違ったのでしょうか。
昭和時代の経済面では、高度成長も大きなことだったかもしれませんが、戦争は、経済を破壊してしまいましたから、こちらの原因分析が先決でしょうね。本当に工作員が入っていての陰謀なのでしょうか。
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上念氏の本は以前から読んでいたのですが、最近ネットにて「経済で読み解く日本史」のシリーズとして全5巻セットが文庫本で出ていることを知りました。文庫本なので持ち運びがしやすく、どこででも読めて助かります。
第四冊目は、大正・昭和時代⑤です~
以下は気になったポイントです。
・大東亜戦争の発端は、日露戦争の戦後処理にあった。あれだけ協力してくれた英米との約束を反故にして、満州の権益を独り占めにしようとした(p2)
・本シリーズの一貫したテーマは、「人々は経済的に困窮すると、ヤケを起こして普段は見向きもしないような過激思想に救済を求める」(p6)
・金の生産量が人間がつくる商品よりも不足して金(ゴールド)の価値が高くなるのが、デフレである。デフレとは、モノとお金のバランスがお金不足によって崩れること(p7)
・戦前の交換レートで金本位制に復帰するには、すでに大量に発行してしまった貨幣を吸収して減らす必要があった、貨幣を吸収するには利上げが必要、しかし利上げをすると不景気になる。利上げにより人々が貯蓄を選好すれば景気は悪化する(p9)
・第一次世界大戦の終結から昭和恐慌に至る間に経済が低迷した本当の原因は「デフレ」であること、インフレではなく、デフレであることが重要(p25)
・植民地獲得の主な目的は、1)増加する本国人口のはけ口、2)原料の供給地、3)過剰に生産される製品を売りさばくための市場、である(p33)
・鉱山ビジネスに参入してきたスタンダードオイルのロックフェラーは、新たな鉱山を購入するたびにハインツとの泥沼の訴訟に巻き込まれるので、1906年に1200万ドルの大金を払ってモンタナのすべての権益を購入した(p57)
・第一次世界大戦の東部戦線において、1908年3月にロシアのボルシェビキ政権との間で「ブレスト=リトフスク条約」を締結し、ドイツ・オーストリア・トルコ連合軍の勝利が確定、フィンランド・エストニア・ラトビア・リトアニア・ポーランド・ウクライナは独立できた(p80)
・ハイパーインフレとなる条件、1)生産設備の徹底的な破壊、2)労働力の中長期的な不足、3)高額紙幣の大量発行(p109)
・旧平価での金本位制復帰とは、1ドル2.5円だったのを、25%円高の、1ドル=2円(デフレ志向)で復帰すること(p121)
・ゴールドが大量に流出したときにイギリスができることは2つ、1)減少した金の量に合わせて貨幣量を減らす、デフレを引き起こす、2)金とポンドとの交換を停止する=金本位制の離脱(p155)
・日銀の直接の国債引き受けについて大事なのは、この政策により貨幣量が今後も増えていくという期待の形成である、それで得た財源(財政政策)はおまけ(p165)
・ヒトラーは政権発足からわずか4か月で一党独裁を実現した、ドイツという国家よりもナチスという政党が上にあるので、ファシズム体制と呼ぶ(p180)
・日本はなぜ高い関税をかけられても日本製品の輸出が伸びたか、その理由は為替レー��の大幅な切り下げにある、金本位制を離脱したことで100円=13ポンドが、5ポンドにまで急落した(p183)
・太平洋戦争の敗戦によって受けた日本の被害総額は、1340億円で、当時の国富(正味資産)総額の41%であった、失業者1000万人(p204)
・日本は1973年に変動相場制に移行したので為替介入はしないと約束したのであったが実際には輸出企業の衰退を恐れてやっていた、やめた途端に、為替は250円から120円となった(p253)
2019年11月17日作成
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大正昭和ほぼ戦争の経済事象。小さな歪みは各国あれど、金本位制の限界が根源と読んだ。外交政策は経営学が必要。しっかり国を発展してもらってこちらが恩恵を受けられるように。本書の主張の反対側の意見も読んでみたい。
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諸外国との関わりが一層意味を持ってきた大正・昭和時代。戦争や内政の混乱などの原因の一つに当時の金融システムの脆弱性があった。それが本シリーズを通して議論されている金本位制。当時はグローバルスタンダードだったこの制度をどうして当時は積極的に採用していたのか。貨幣の天井が決まっているから、生産性の向上に対して十分なカバーができず、デフレを誘発してしまう。その結果困窮した庶民による過激思想や暴力行為に繋がる。戦争や共産主義のデモ行為などはそうして起こってきた。
中学、高校では暗記科目であった、当時の出来事の裏を経済の流れを汲み取って理解できる本です。
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この国が二度と戦争に突入することがないように
正しい経済政策を歴史から学べ。
歴史を学ぶ本来の目的は、平和な未来を築くため。
ぜひ高校生に読んでほしいシリーズ。
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この本は金融政策から見た歴史の流れを描いたもので非常に説得力がある。
本書の主題ではないが、面白い視点だったのでメモ。
帝国を解体すると、秩序が失われて、民族問題や宗教問題が再燃する。
オスマントルコ帝国やオーストリアハンガリー帝国の解体が、保っていた秩序を失わせ、民族問題や宗教問題を再燃させる。現代のバルカン半島や中東の不安定の原因はここにある。
第一次世界大戦前までは敗戦国を滅ぼし解体するような真似はしなかった。なぜなら秩序を崩壊させるコストがあまりに高いことを歴史の教訓により知っており、権力階級は帝王学で身につけていた。
ところが「民主主義」では階級に関係なく人気投票で選ばれるので、民意を無視できない。国際政治の素人が戦争したり、講和条件を話し合い、民族自決といって勝手な国境線を引き直したことが新たな悲劇を生んでいる。