紙の本
平成の30年間を経済・政治・社会・文化の各トピックごとに振り返り、「壮大な失敗」として総括し、失敗から学ぶことを説く本
2019/06/24 20:46
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投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ポスト戦後社会』の続編に位置付けられる本書。とりあえず平成日本否定しまくる。著者のポスト平成への展望は暗い。そしてその暗さには説得力がある。一度、問題を見えなくしてしまうと、状況の厳しさに対処するのが怖くなり、問題はさらに深刻化してしまう。この誰でもわかるはずの理屈を真剣に受けとめようとしなかった。とてつもなく無責任である。しかし、ただ失敗を論じるだけではなく、平成の〈失敗〉がそれより前に兆していたのと同じように、暗さの先にある光明にも兆しがある。
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時代のまとめ
2019/08/30 10:59
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
元号は、唯一の起点がなく歴史などを俯瞰するとき不便です。でも、明治以降一世一元制になったこともあり、一つの元号の時代はそれなりの時のまとまりがあります。それを一つの時代として、顧みることは有意義でしょう。平成時代を顧みる本は何冊か出ていますが、本書は、政治、経済、社会、文化など昭和以来の日本の曲がり角に来ている時代を説明してくれます。
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はじめに 「平成」という失敗―「失われた三〇年」とは何か
第1章 没落する企業国家―銀行の失敗 家電の失敗
第2章 ポスト戦後政治の幻滅―「改革」というポピュリズム
第3章 ショックのなかで変容する日本―社会の連続と非連続
第4章 虚構化するアイデンティティ―「アメリカニッポン」のゆくえ
おわりに 世界史のなかの「平成時代」―失われる半世紀への序曲
著者:吉見俊哉(1957-、東京都、社会学)
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【一九八九年から二〇一九年までの「平成」の三〇年間は、一言でいえば「失敗の時代」だった】(文中より引用)
タイトルずばり,平成とはいかなる時代だったのかを詳述した作品。特にその時代の「失敗」に焦点を当て,ポスト平成に求められるものとは何かにつき検討を重ねていきます。著者は,『トランプのアメリカに住む』等の著作で知られる吉見俊哉。
かなり厳しい平成評であるため,著者があとがきで記しているように読んでいてかなり気分が重くなりました。しかしその厳しさ故に勉強となる教訓についても多く触れられており,平成以後を考える上で大変参考になる一冊だと思います。
平成本は数多く発売されていますが☆5つ
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日本の平成30年は失敗の歴史だった。のっけから強烈なメッセージを発する著者。そして、その失敗の具体例があげられる。
グローバル社会、ネット社会に乗り遅れた日本企業たち。特に金融や家電業界では縮小、倒産が連鎖した。政治の世界では政権交代を繰り返しつつも、結局は与党一極集中と極端なポピュリズムだけが生き残った。さらに大企業と正社員に富が集中し、拡大する格差社会とそれに伴う少子化。そして、2つの大震災。
こうしてながめてみると、たしかに平成はろくでもない時代だった。が、それなら平成後のネクスト安倍政権や東京オリンピック、消費増税などに希望があるのかと問われると、心もとない。
批判的な眼で見れば、どんな時代だって、失敗は目立つという楽観的な考えもあるだろう。「あの頃はよかった」と繰り返し発するより、大事なのはこの失敗を次の成功につなげることだと、著者は平成時代を総括する。
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まず1章で、世界の財界のことも、日本の財界のことも、私があまりに無知であることに呆れた。特に製造業のことが。
政治や社会、文化についての章は、知識としては知っていても、それが何を意味するのか、という記述は私を内省へと導く。
失敗からしか学べない。
危機からしか変われない。
著者の姿勢は、読む者を暗澹たる気持ちにさせるが、ここから強靱な思索が営めるかどうかが今、問われている。
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問題を先送りにして、適当な対策も失敗し、その失敗を学ぶことなくまた失敗を繰り返す。いまのわたしたちは、失敗を繰り返さないようにその失敗に向き合うということが今までに成功した大きな例がないために、失敗を繰り返す失敗をまた選んでしまっている。どうせ良くならない、と言って失敗を見つめるより無邪気に他のことで楽しいことをする。それこそが平成の残した最悪の失敗のように思う。
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平成の30年をひとくくりにすると「失敗の時代」という著者の結論は否定できないだけに、笑えない結果である。企業経営、国民経済、そして政治的にも。4つの失敗が➀バブル崩壊、②阪神大震災、③2001年のNYテロ事件、④東日本大震災と福島原発事故がこの時代「日本が壊れていく時代」を象徴する言葉であることは間違いない。そして社会的にも幼女連続殺人の宮崎勤、オウム真理教、酒鬼薔薇聖斗事件なども失敗の時代を増幅するような出来事として書かれており、失敗の一環とのがりを感じざるを得ない。なお企業経営の失敗の中で、山一證券、東芝、シャープなどの事例にはあまりにも衝撃的だった。アルゴリズムによるフィルターバブルの時代がますます断絶の時代を深めていることは救いのない暗澹たる気持ちにさせられた。
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平成の30年を「壮大な失敗の歴史」と捉え、経済、政治、災害、文化、オリンピック、基地問題、人口問題等を取り上げ論じる。希望のかけらもない、ただ失敗の渦巻く時代であったと位置付けている。果たして本当にそうなのか?確かに、ポジティブな要素を見つけようにも、見つけられない・・。私たちはこれらの壮大な失敗から何かを学んで、未来に活かすことができるのだろうか。その展望について知りたくなる。
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平成の30年間、日本は坂道を転落した
1.現在の日本の低迷 GDPのシェアは18%→6%へ(1/3へ)
世界的視野で捉える
2.日本の失敗の本質 トータルの総括が出来ていない
=国債累増により先送り
高度成長期の体制・制度の改廃が不可欠
①グローバル化 内向き・鎖国
②デジタル化 ファックス
③バブル崩壊
④人口減少・高齢化
⑤財政逼迫