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紙の本
群像劇
2019/07/20 16:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桜井 哲夫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ようやく完成しました。400字詰めで1800枚。総頁数856ページ。本文のみ801ページの本になりました。書いているときは、ここまで長い物語になるとは思っていませんでした。登場人物の人名(生没年入れてあるもののみ)索引900人ほど。誰が主役というのではなく、何十人もの人物の伝記を同時に読むようなスタイルの群像劇です。
表紙の帯には、担当編集者が考えてくれた「現代が始まり、現在へとつながる」とあります。「戦争がつくる世界のなかで、誰が誰とともに、どんな思想を、活動を、表現を、政治を生きたか?」と続きます。横表紙には「誰が誰とともに生きたかをたどる現代史」となっています。
途中で挫折せず、一気に書き上がりました。我ながら、一年あまりでよくも完成できたものだと思います。第一次大戦前から戦間期、第二次大戦、冷戦からアルジェリア戦争終結まで、叙述しました。私のこれまで知り得た事実や考えていることは、すべて書いたつもりです。昨年大学を辞めたのも、これまで集めた著作や最新の研究書の成果をとりれるべく、集中的に読み解き、この本を書き上げるためでした。過去の三作(「戦争の世紀」「戦間期の思想家たち」「占領下パリの思想家たち」)を基盤にしてますが、大幅に書き替えました。新たな書き下ろしだと考えてください。たぶん、これだけ広範囲にわたった現代史の本は、海外にも類書は少ないでしょう。
紙の本
悲劇の世紀におけるヨーロッパ知識人の運命
2019/09/08 15:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Takeshita - この投稿者のレビュー一覧を見る
大変感心した。桜井さんは一遍上人研究者でもあるがヨーロッパ現代史の歴史家でもあり、長年の広汎な読書歴に基づき800ページにも及ぶこの大著を書き上げた。一次大戦と二次大戦、最後はアルジェリア戦争にまて至るヨーロッパ知識人、特にフランス知識人の動向を辿っており一気に読ませる。レーニン、トロッキー、ケインズ、アラゴン、サルトル、カミュ、ヘミングウェイ、デリダと綺羅星の如き知識人が何年、何月にどこで何をしていて、どういう出会いがあったがが書かれているが、これは邦訳されていない彼らの伝記を全部読んでいないと書けない。巻末の英仏伊語の参考文献にも圧倒される。
それにしても20世紀のヨーロッパ知識人は生まれた地に終生居た人は先ずいない。外国に渡り外地で死んだ人が殆どだ。特にユダヤ系の知識人の運命は過酷。何でこんなことになったのか、ヨーロッパの近代思想じたいに原因があるのか、人類はこの先どういう世界を作っていけば良いのか、そんなことを深く考えさせる好著だった。
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