紙の本
若竹七海氏による御子柴刑事を主人公とした興味深い連作短篇集です!
2020/09/13 12:53
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『夏の果て』、『優しい水』、『手紙嫌い』、『スクランブル』、『悪いうさぎ』などの傑作を次々に発表しておられる若竹七海氏の作品です。同書は、長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事を主人公として繰り広げられる物語です。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるのですが、日々起こる事件は、ビターなものばかりなのです。上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、軽井沢の教会で逃亡犯を待ち受ける(「不審なプリン事件」)といったものばかりです。著者の代表作『プレゼント』に登場した御子柴くんが主役の、興味深い短篇集です。
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コージーじゃなかった・・・(不覚)。
2017/11/29 03:42
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2014年6月発売なのに・・・何故かチェックから漏れていた。
その後、存在を知ったのだが・・・タイトルと表紙のイメージから「コージーかなぁ」と思ってしまい、手に取らなかった。
なんでだろう。そのときはコージーの気分ではなかったのかもしれない。
それに、主人公が御子柴くんというのが余計にコージーっぽかった。
『プレゼント』に出ていた小林警部補はいい人そうだが作品群がハードボイルドの雰囲気をまとっていたのに、御子柴刑事は小林警部補の使いっ走りのような若手なんだもん(何故覚えていたのかといえば、横溝正史を読んで育った人間として「御子柴」という名字は絶対忘れないから。『怪盗XYZ』などのジュブナイル物に御子柴少年がメインキャストとして出てくるのです)。
そしたらたまたま、来月(2017年12月)の新刊情報に御子柴くん第二弾が出るとあって・・・あ、読んでみようか、と思った次第。
連作短編集。 『哀愁のくるみ餅事件』などと<甘味>が出てはくるけれどあくまで登場人物の性格を補完するエピソードとして。物語はユーモアミステリの範囲に入るけど、描かれる事件の背後にあるものはどうしようもなく重い(そこをさらっと省略して書いているので読後は悪くない)。300ページないからすぐ読み終わっちゃったじゃない!
なによりも御子柴くん、ぐっと成長してる!
勿論、毎度事件を解決するためのカギを見つけるのは小林警部補なんだけど(そういう意味では小林警部補によるアームチェアディティクティブものであるともいえる)、そこからどうするかは御子柴くんの仕事。県警の刑事という立場ではなく、県警と警視庁の調整役という役回りを背負ってしまったせいで否応なく覚えてしまった政治的な駆け引きを嫌悪しつつ、事件を解決して被疑者を逮捕し、最大限の成果を得るためにはどこで手を打つべきか、という現実との折り合いを知る。そんな中で自己嫌悪に陥らないために必要なのは、仕事仲間との信頼関係だということ。
実はちょっとお仕事小説の趣もありで。
なんだよー、いつもの若竹七海節じゃないか!
ただ女探偵葉村晶シリーズと違って、軽めに仕上がっているというだけで。
でもその軽さは悪いものじゃない。こりゃ、続編も読むことになるな!
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期待したほどおもしろくなかった。
2015/08/25 10:04
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルのわりに、甘味と捜査の間に必然的な繋がりはない。ただ、主人公が長野県警と警視庁の間で「お菓子の使いっ走り」のようなことをさせられるというシーンがよくあるだけ。色んなお菓子や食べ物が出てきておもしろいといえばおもしろいけど、ストーリーとは何の関係もないし、途中から同じパターンで飽きてくる。捜査の描き方などは、本格的な警察小説に比べるとだいぶ劣るし、全体的な印象としては物足りない。
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とっくに読み終わったと思ってたら積んでた件。
ポリス猫DCの事件簿と勘違いしてましたわ。
猫島関連かと思ったら、プレゼントのスピンオフ的な。
比較的最近、時代小説のお留守居役物を読んだので、あーなるほど!と(笑。
一番食べてみたいのは、あめせんべいかなぁ。
実際のお店の名前が出てくるので、お取り寄せも考えてしまいます。
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連作短編集。
長野県から東京・警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。長野県の上司たちから東京のどこどこのスイーツを送ってくれなど要求されるが日々。
ミステリとしては普通。
一つの地方を超えて事件が起こった場合や犯人が移動した場合に協力がしやすいよう、警視庁内に地方から連絡調整役として警官を派遣して常駐させるというシステムが面白かった。
(図書館)
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ライトなんだけど、かなり毒が効いている若竹さんらしい短編集。時間があまりなくても読めて楽しめてよかった
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主役は甘党の上司に翻弄される御子柴刑事、彼からの報告で事件を解くのは元上司の小林警部補という、安楽椅子探偵もの。後味の悪い事件ばかりですが、出てくるスイーツはいずれもとてもおいしそう。
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長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるが、日々起こる事件は、ビターなものばかり。上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、軽井沢の教会で逃亡犯を待ち受ける(「不審なプリン事件」)。『プレゼント』に登場した御子柴くんが主役の、文庫オリジナル短篇集。
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「哀愁のくるみ餅事件」 「根こそぎの酒饅頭事件」 「不審なプリン事件」 「忘れじの信州味噌ピッツァ事件」 「謀略のあめせんべい事件」
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タイトルには信州名物のスイーツが並ぶが、事件自体はそれらとは無関係で、どれも深刻なものであるのだが、御子柴君の人の好さと随所に出てくるおいしそうなものたちのせいで、つい気を抜いてしまいそうになる。しかも、主人公は御子柴君だが、真の探偵役は、長野にいる上司の小林警部補ではないか。御子柴君の役目はお土産を買ったりチケットを取ったりすることか、と思ってしまうが、たくさんの甘いものとお人好しのキャラで、それも良しとしたくなる。どうしてこういう仕儀になったかは、著者あとがきで明らかにされている。やっぱり御子柴君はそういう役回りだったのね、と思わされる一冊である。
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長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事の事件簿。甘党の上司や同僚から何故かスイーツを要求されるので、読んでると作中に出てくるスイーツを食べに長野に行きたくなってきました。事件の方はなかなかビターなのですが軽く読める感じ。元上司の田中警部補もいい味を出しているので彼が主役の短編集も読んでみたいですね!
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『天冥の標』をがんがん読み進めすぎて、ちょっと疲れたので一休み。
意外とどぎつい事件が起きたりして、あんまりお休みにはなりませんでした。
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長野県警の主人公は、警視庁で修業中。
一筋縄では行かない事件と同僚たち。。。
長野県の名物にも強くなれます。
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業務外でパシられる御子柴くんが不憫で不憫で……。
なんだこいつイヤな奴だな、と思っていた玉森さんが、最後の最後でちょっと可愛く思えたり、優しくて鋭い小林警部補。などなど、登場人物がとにかく魅力的。
あとがきさえなければなぁ……。あとがきが全ての感想を台無しにする本も珍しいです。
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知らないお菓子がたくさん出てきて、食べてみたい気持ちが高まりました。小林警部補は安楽椅子探偵ですが、話の中にちゃんとヒントが出てくるので、ライトミステリによくある何でそれで犯人が分かるのかさっぱり理解できん、というようなイライラは感じないですね。
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【あらすじ】
長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるが、日々起こる事件は、ビターなものばかり。上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、軽井沢の教会で逃亡犯を待ち受ける(「不審なプリン事件」)。『プレゼント』に登場した御子柴くんが主役の、文庫オリジナル短篇集。
【感想】
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両親の出身が長野で毎年夏には帰省していたため、エセ長野県民を自称しています。好きな作家さんが思い入れのある場所を取り上げてくれる。こんな嬉しいことはございません。しかも葉山晶が初登場した初期の短編集「プレゼント」の脇役が主人公。懐かしさもこみあげてきます。
事件そのものはやはり楽しくはありません。問題を抱えた身内を切り捨てる家族に、どこまでも利己的な理由で罪を重ねる人々。ニュースで聞いたら一言暴言を吐き捨てたくなるようなケースばかりです。そこを鋭いユーモアとパシリ体質の御子柴くんのキャラクターが和らげてくれる。徐々に仕事面でも人間的にも成長してるんですね。またグルメの噛ませ方がよいです。御子柴くん本人がそれほど甘いもの好きなわけではないので、食べ物の名前がたくさん出てくるけどくどい説明にならない。これくらいの方が興味わきます。
本当の信州人には起こられるかもしれないけれど、長野の描写には「そうそう!」と頷き。いやそこは甘精堂でしょ!と拳を握り。知ってる場所が出てくると読書の楽しみ三割増。