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投稿者:ライラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
何しろ登場人物が魅力的。
深海のような懐の深さと謎めいた魅力を持つ真珠ねえさんと、いるだけで場が明るくなるおてんばのルーちゃん。
キャバレーが舞台ですが女性同士のドロドロはほぼなく、読むと元気になれるハートフルストーリーです。
令和の世にふさわしい上質でハッピーな百合。オススメです!
昭和から平成へと移り変わる京橋のキャバレーを舞台にして、ふたりの女性が物語を紡ぎます
2020/02/26 11:55
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投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台は京橋。書名とは一文字違いの京橋にあるレジャービル(西洋の城のような奇抜な外観と、♪京橋はええとこだっせ…のCMは、関西人ならだれもが知っている。)にあったキャバレーがモデル。物語の舞台となった京橋は1945年8月14日、終戦の前日に1トン爆弾が落ちて一度灰の街に。そこからコンクリートを敷き詰めて、闇市がたって、あっという間に歓楽街になった。一方、都心なのに爆弾が埋まっているということで長い間手つかずだった旧陸軍造兵廠がすぐそば。大阪のなかでも古き良き、何でもありな感じが残っている。でも、そういった京橋の良さもいつまで残っていることだろうか。それと、「キャバレー」。なんとも時代を感じさせる響き。今や絶滅寸前。「キャバレー」というものがまだなくなっていないうちに、この作品は書かれる意味があったのではないかと思います。産経新聞大阪本社版で連載がはじまり、あまりの反響の大きさから、急きょ東京本社版でも掲載が決まった話題作。キャバレーが全盛だった1960年代、家出してホステスになった「ルー」は、大阪らしいド派手でやんちゃなアイディアを次々と繰り出し、キャバレー・グランドシャトーを大阪一にのし上げます。着飾ったホステスばかりの中、ナンバーワンの座を守り続けるのは、黒のドレスに身を包み静かに話す「真珠」。「ルー」は、中崎町の古びた長屋でつつましやかに暮らす「真珠」の元に転がり込みます。地味で平凡、昼間の二人の日常は「にせもんの光」に輝く夜の世界とは全く違うもの。しっとりとした昭和の暮らしが懐かしく目に浮かびます。そんな大阪もあったのです。悩みぬいた末、マスコミに進出するために東京に行った「ルー」は、歯に衣着せぬ関西弁で大人気を得る。そして20年。大阪に凱旋し、昔通りに長屋で暮らしていた「真珠」との生活を再開します。しかし、時の流れは残酷。キャバレーは見る影もなく落ち込み、「真珠」の体は衰えていきます。ルーは不思議でたまらなかった。莫大なたくわえがあるはずの「真珠」なのに、どうしていつまでも質素な暮らしに甘んじているのか。ラスト、その謎を知ったあなたはきっと泣くでしょう。必死で「にせもんの光」を発し続けた「ルー」と一緒に。逆境をはねのけて大活躍する「ルー」に元気づけられ、どこまでもやさしい「真珠」に心を癒されます。きっと今年はええ年になる、読み終えたときにそんな気分になる一冊です。
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高殿円と須賀しのぶには早く直木賞をとって欲しい。本作ではキャバレー華やかなりし時代を2人のホステスを中心に描く。聖母のような真珠さんと奔放なルーのコンビがいい。この設定でこれで終わりは勿体無い。もっといろいろなエピソードが読みたかった。
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【著者の本領発揮! 笑って泣ける大阪キャバレー物語】ねえさんのため、このキャバレーは潰させない――。昭和から平成、時代を超えて二人のホステスが織りなす温かくも切ない共同生活。
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著者20周年で話題!
大阪京橋のキャバレーで、導かれるように出会ったふたりの女。 昭和から平成へ家族を超えた絆を描く物語。
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大阪京橋に実在する名物ビルにあるキャバレーで交差する二人の女性の人生。
何十年もナンバーワンを張った真珠の稼ぎは何に使われたのか。何故いつも黒一色のベルベットに真珠のロングネックレスなのか。最後に明かされる事情には終戦直前の空爆で廃墟となった京橋という場所が鍵となる。
ルーの一本気な性格は魅力的だし、商売を絡めた成功譚は作者の得意とするところ。
全編を通じた人情味、生活感、生命力は大阪ならでは。
恩人を失った悲しみを乗り越えてキャバレーをもり立てるルー。
刺さるフレーズがいくつもあった。
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読み終えてしばらくはロス状態で感想が書けなかった。主人公二人が魅力的過ぎて、生まれ育った大阪の下町風情も絡めて、物語の中にぐいぐい引き込まれた。映画で観てみたい気持ちもあるけど、あの夏の終わりの地蔵盆の楽しいけど寂しいような気分とか、梅雨時のアジサイが咲いて猫が横切る路地の空気感とか、橋から見る夕焼けの色と川の匂いとか、そういうのをちゃんと出してくれるのは難しいだろうな。女優さんは誰が良いかな、、真珠とルー、、、
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紫煙の充満した部屋、コンクリートの打ち水、出来立てのチキンラーメン。色々な匂いがする。全てがそこはかとなく哀しくてそれでもこの物語の内側で生を終えられた真珠は幸せだと思う。
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夜の社交場として隆盛を極めた時代からバブル崩壊後の平成の世まで、キャバレーを舞台に描く細うで繫盛記。
自分の居場所を求めて前へ向かおうと奮闘する主人公が清々しい。登場人物の造形だけでなく、活き活きと表現された大阪の雑踏や当時の風俗がうかがわれる描写が読むものを楽しませる。
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イントロダクションは、時代外れ的に感じて入りづらいなぁと思いましたが、第1章に入ると引き込まれました。
大阪で生きていくルーと彼女が慕う真珠ねえさんとの生活。
家を出ることになったルーと家族の関係が切ない、けど、ルーのたくましさにほっとしたりもする。
第2章は、ルーが東京に出てから20年経った頃からの話。
長い長いルーの生き様、そばにいて優しく変わることのない真珠、読んで良かったなぁ~と思う1冊でした。
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たまらないなつかしさ満載、一時期よく通った京橋(グランドシャトーではありませんが、講師をしていた経理学校の本部がありました)。フィクションだけれどモデルを想像するのも楽しい。最近楽しいこと少ないし。
『ベルベット・イースター』(by荒井由実)は今日も車で聞いていたし、『パルナース、パルナース、モスクワの味~♪』、『ブンブン音をたてている真っ白でぴかぴかのナショナル製の冷蔵庫』ウルさいとは書いてないけど...
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大阪、京橋のキャバレーを舞台に、終戦後から平成のはじめまでの文化風俗を織り交ぜながら、二人の女性の人生を描く。
舞台となるグランドシャトー というキャバレーは実在したグランシャトーをモデルにしているとわかる。
夜の街の文化とそこで生きる女性を描くのであるが、それが大阪の新地でも東京のそれでもなく、大阪京橋というところがミソである。関西、そして大阪人であるなら「京橋」という言葉でその街のイメージが思い浮かぶ。高級ではない下町のイメージ。雑然とした街並みと飲食街等々、他地方の人間にはイメージしにくいかもしれない。その街で生きる女性の人生物語である。
物語終盤までは辛い過去を持ちながらも、前向きに生きていく片方の主人公を中心に、からりとした雰囲気でストーリーは進んでいくが、終盤もう一人のヒロインの謎に包まれていた人生、戦争にまつわる悲しい過去が明らかになる。
戦後から今に至る大阪の雑然といた京橋、天満界隈の雰囲気、歴史を描き、また夜の世界で生きる女性の人生の哀愁を感じさせる大阪を知るものには感慨深い作品だろう。
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高殿作品はストーリテリングに優れている。なので自然と物語に入っていける。戦後の昭和の女の逞しい生き方をルーを通して描いていて、関西弁の会話の心地良いテンポとリズムが活きている。不幸な生い立ちと較べても成功し過ぎな気もするが、真珠ともども、業に縛られて生きる辛さもよく描かれている。
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昭和から平成を駆け抜けたホステスとその舞台でもあるキャバレーの物語.真珠というナンバー1ホステスに救われ慕うルーの破天荒で我が道を行く人生に快哉.大阪のその時々の時代の空気が甦り懐かしい.
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大阪のキャバレーに生涯をかけた女性。
昭和という時代の流れに乗って大きくなったキャバレー、そして廃れていったキャバレー。
そのキャバレーで育ちやがて華やぐ人となった。
一時は東京のテレビに出て一躍人気者にんったが、また大阪キャバレーに戻ってくる。
女性としての生き方、時代の流れも感じ面白かった。